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「AIを自社の強みと結び付けて、顧客価値創出や事業成長につなげられるかが2026年の現在地に」~Rakuten AI Optimismイベントレポート~
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「AIを自社の強みと結び付けて、顧客価値創出や事業成長につなげられるかが2026年の現在地に」~Rakuten AI Optimismイベントレポート~

2026年8月5~7日にパシフィコ横浜で楽天グループのビジネスイベント「Rakuten AI Optimism 」が開催されました。同イベントのDay2の冒頭セッションでは、博報堂DYホールディングスの執行役員でChief AI Officer(CAIO)である森正弥が登壇し、LIXILの常務役員でCX Function リーダーを務める安井卓氏とかんぽ生命保険サイバーセキュリティ統括部の執行役員である早瀬千善氏とともに、企業のAI活用の実情と課題を深堀りしながら、人間中心のAIの実現に向けて何が必要なのかを議論しました。

「AI=単なる便利ツール」から脱却を

森CAIOはAI活用の現状について「多くの企業がAI基盤を社員の普段使いのツールとして導入して生産性向上に努めているが、単なる社員の“便利ツール”として利用されているケースも多い」と指摘。そのうえで「いかにAI活用を、自社の強みと結びつけて、事業成長・業務変革・顧客への価値創出につなげていくかが2026年の現在地として求められている」と述べました。

あわせて7月に博報堂DYホールディングスや日立製作所グループなど40以上の企業や有識者などによって設立された「人間中心のAIコンソーシアム」についても紹介しました。コンソーシアムの理事を務めるLIXILの安井常務役員とかんぽ生命保険の早瀬執行役員からはそれぞれ自社におけるAI利用の実情について話しました。 

電話オペレーターをAI支援により、顧客と社員の体験を改善

LIXILの安井常務役は、DXを経てAIによる変革へと歩みを進めている状況について「デジタルをうまく使って顧客体験を良くするためにまず従業員体験を良くするDXをやってきた。それを発展させ、今はAIによる変革を会社全体で成し遂げようとしている」と説明。具体的な取り組みとしてコールセンターでAIがリアルタイムで顧客の要望などを分析してオペレーターに次の応答について提案する「オペレーターサポートAI」と、営業担当者の音声による商談のSFAへの登録やデータの蓄積という2つを紹介しました。

オペレーターサポートAIについて安井常務役員は「これまでオペレーターのスキルに依存していたところをAIが支援することで、従業員の体験もお客様の体験も良くなる」と手ごたえを語り、SFAへの登録     についても「記録がたくさん残ることで、そのデータを活用してAIが次の提案をすることが可能になる」として、通常業務におけるAIの活用が順調に進んでいると述べました。 

AI時代だからこそ、AIの説明責任とハルシネーションを見極める力が必要に

かんぽ生命保険の早瀬執行役員は「これまではAIについて、ビジネス側が要件を作って、IT側がそれを作っていくという、いわゆる請負のような体制でやってきたところが多分にあった。このあたりを抜本的に見直していこうと考えている」として、 AIの活用をビジネスのみならず、IT部門もともに考える体制づくりの重要性を語りました。

 また、生命保険業界で確率や統計などの手法を用いて保険や年金などのリスクマネジメントを行う専門職「アクチュアリー」とAIの関係について「マシンラーニングやAIは一兆の単位でのパラメーターを使って動いているが、これを人間がどう解釈していくかは、従来の伝統的なものからすると桁違いに難しい。人間中心のAIというのは、AIが何をやっているのかがある程度分かることも求められるのではないか」と話し、ブラックボックス化しているAIの学習のありようを「人間中心のAI」の中では人間が進んで理解をしようとする姿勢が重要との認識を示しました。

早瀬執行役員は、AIで人材育成にも変化が及んでいると指摘。例えばITの経験がなく4月に異動してきた社員が、AIを活用することで5~6月にはプログラムの作成やデータ分析の成果を出せるようになったと明らかにし「AIがあることで、これまでのようにコツコツと事務作業から積み上げなくてもチャレンジできる入り口が広がってきている。もっとも、AIは間違えることもあるので、ハルシネーションが起きているかどうかを判断できる力こそが暗黙知や人材育成の鍵になる」と語りました。

AIと人間は対立構造にあるのではなく、コラボレーションをする関係にある

博報堂DYホールディングスの森CAIOは博報堂DYグループが実施している「AIと暮らす未来の生活調査」のなかで、ルーティンワーク・翻訳・モニタリングなどは「AIがやるべきこと」、調理・医療・クリエイティブ・教育などは「人間がやるべきこと」とする声が多くありました。特に日々の買い物については最も「人間がやるべきこと」として挙げた生活者が多くおり、「カスタマーサポート」は「人間がやるべきこと」とする声と「AIがやるべきこと」とする声が拮抗していました。

森CAIOは「カスタマーサポートは、ホスピタリティを提供するから人間がやるべきだという気持ちと、クレームやストレスが高いからAIにやってほしいという葛藤が見える領域」だと指摘。そのうえで「重要なのはAI対人間という構図ではなく、AIと人間のコラボレーションという組み合わせだ」と強調しました。この観点を踏まえ、森CAIOは、企業のAI活用を、AIだけで業務効率化を進める”automation”(自動化)と、AIによって社員のポテンシャルなどを高める”augmentation”(拡張)の2軸で捉えるべきと提案しました。

セッション終盤では、AIで結果を出せる組織とそうでない組織の違いやリーダーとしての在り方についても議論が交わされました。LIXILの安井常務役員は「失敗をとにかく恐れないようにしようと言っている。最終的に責任はリーダーが取るから、とにかくチャレンジしていこうと。AIが間違えたっていい、そこは人間が後でカバーしようくらいの気持ちでチャレンジしてもらっている」と、失敗を恐れずにチャレンジをする組織の在り方について語りました。

かんぽ生命保険の早瀬執行役員は「AIはすぐに性能が上がっていく。人間の方が劣っている部分も出てきているのではないか」としたうえで「自分が得意とするところとAIが得意とするところを認識しながら進めていくこと、そしてチェック体制をどう設計し続けるかが大事だ。AIの急激な変化に適応し続けることを目指すべきだろう」と語りました。
 

博報堂プロダクツの茂呂取締役は、鈴木おさむ氏と、AI時代のクリエイティビティについて対談

Day1にあたる8月5日には、「『ありそうでない』は、AIに生み出せるか?」をテーマに、スタートアップファクトリー代表の鈴木おさむ氏と、博報堂プロダクツ 取締役常務執行役員 兼AI Craft Studio部長の茂呂譲治が対談しました。

セッションでは、生成AIの進化によって求められる創造性のあり方や人ならではの価値・役割の変化、広告会社・制作会社の存在意義、若手人材の育成などについて、それぞれの視点や経験を交えながら語り合いました。

茂呂取締役は、博報堂プロダクツのAI専門職「上級ジェネレーター」と博報堂のクリエイター、ストラテジスト等が連携し、プラニングからアウトプットまで一貫してAIを活用するプロセス等の取り組みを紹介。博報堂グループの「AIを起点にしたクリエイティブやビジネス変革」の現在地と、その先に広がる機会と可能性や課題について、経営とクリエイティブの双方の視点から語りながら、鈴木氏への問いかけがありました。

鈴木氏からは創作現場における実践的なAIの活用を通じたアイデアの生み出し方や、創り手が担うべき問い、判断、責任について、独自の考えが語られました。

イベント会場では博報堂グループのブース展示も

同イベントでは博報堂DYグループとしてブースを出展し、AI関連サービス・ソリューションの展示が行われました。具体的には、博報堂DYホールディングスから「CREATIVITY ENGINE BLOOM」、博報堂SYNVOICEから「VOICE VALUE」、博報堂から「DATA GEAR」、博報堂テクノロジーズから「次世代バーチャルヒューマン」をそれぞれ出展したほか、博報堂プロダクツは、AI専門職「ジェネレーター」を擁する次世代制作体制「AI Craft Studio」、子育て中の社員で構成するママクリエイティブユニット「ハハハクリエイティブ」とデジタル技術を活用した体験開発を手掛ける「ウラワザ」が共同で出展しました。

※肩書は取材当時のものです 

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