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実写撮影・フルCGと並ぶ、第三の選択肢。バーチャル空間で地上1㎝での撮影も実現。 博報堂プロダクツが開発する「Green Lights™」が切り開く映像制作の新しい可能性
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実写撮影・フルCGと並ぶ、第三の選択肢。バーチャル空間で地上1㎝での撮影も実現。 博報堂プロダクツが開発する「Green Lights™」が切り開く映像制作の新しい可能性

博報堂プロダクツでは、2026年2月からバーチャル空間で自動車走行シーン撮影を可能にする映像制作サービス「Green Lights™」の提供をスタート。一般的なフルCGとの違いや開発の裏側、「Green Lights™」がビジネス、クリエイティブに与える影響などを開発メンバーにききました。

Green Lightsとは
バーチャル空間で自動車走行シーンを自由に撮影できる新しい映像制作サービス。野外オープンスタジオでのダイナミックなカメラワークから、会議室サイズのミニマムな環境まで、スペースを選ばず撮影が可能。天候や時間帯に左右されない撮影環境やドローン撮影、地上1cmの撮影など現実では困難なカメラワーク、複数テイクによる多様な映像展開を実現する。
https://www.h-products.co.jp/topics/entry/n/2025/12/18/140000

開発スタートから1年半で日産自動車 新型「日産リーフ」のCMに採用

-はじめに、どのような経緯からサービスの開発に至ったのでしょうか?

中矢
数年前からVR関連の仕事が増え、我々のチームにもエンジニアが加入しました。VR制作で培った技術を活かし、バーチャルプロダクション(以下VP)でも何か新しいチャレンジができないかと考えたのがきっかけです。
もともと自動車関連の仕事を多く担当していたこともあり、VPと自動車を掛け合わせたコンテンツの開発がスタートしました。
いまはカメラ機材を使っていますが、はじめはiPadを使った簡易的なシステムからスタートしました。当初、画像のクオリティはそれほど高くありませんでしたが「実際の見え方」をシミュレーションできる点に価値を感じました。従来はコンテをもとに画を想像する部分が大きかったのですが、このシステムによって、カメラのアングルや見え方をリアルタイムに確認することができ、検討段階での検証ツールとして有効だと考えました。
佐藤
その有用性を実感しながら、もっとクオリティを高めていけば、実際の撮影にも使えるのではないかと考えて開発したのがこの「Green Lights」になります。
開発段階から日産自動車様の制作チームの目に留まり、新型「日産リーフ」のCMにご活用いただきました。開発をはじめて1年半ほどのタイミングでしたので、異例のスピード感ですね。
槇野
車外からカメラが入って、また外へ抜けていくなど、今回の演出は、本来であれば、かなり難易度の高いものでした。しかし「Green Lights」のパイロット版を見たCD(クリエイティブ・ディレクター)と監督が「この技術を試してみたい」と考え、こうした演出につながりました。その結果、実写では難しい表現を形にできました。

リアルタイムで撮り直し可能。実写でも従来のフルCGでもない第三の選択肢に

-「Green Lights」を使うことでどんなメリットがあるのでしょう?

鴫原
まず、実写撮影を行った場合とフルCGの場合、それぞれのメリット・デメリットをお話します。実写の場合やはり自然でリアルな画が撮れることが一番ですが、時間的な制約、また天候的な制約を受けてしまう。一方フルCGの場合、時間や天候の制限なく、思い描いた世界を表現することはできますが、時間とコストが掛かるうえ、どうしてもコンピューター的な仕上がりになってしまうことは否めません。

佐藤
加えて従来のフルCGでは、修正が発生するたびに再レンダリングが必要になるため、確認までに時間がかかるというデメリットがあります。その点「Green Lights」では、実写と同じようにカメラを覗きながら何テイクでも撮り直すことができるので、スムーズな制作フローを確立できます。
槇野
やはりリアルタイム性というのは重要なポイントですね。
撮影も実写で使うのと同じカメラ機材を使って、カメラマン自ら操作しますので、クリエイターの息遣いがそのまま画面に表現されるというのも大きな違いだと思います。
鴫原
言ってみれば、普段スタジオやロケ地で行っている撮影をそのままバーチャル環境で再現しているような感覚なんです。これまで現場で経験を積み重ねてきたプロの技術が反映されるという点は新しいと思いますし、実写でもフルCGでもない第三の選択肢になれたらと思っています。

リアルな自動車の挙動を表現。車種によって一台一台カスタマイズする

-自動車に特化したサービスとしてスタートしていますが、開発においてとくにこだわったポイントはありますか?

兒玉
リアルな車体の挙動を表現するというところが最大のポイントです。カーブやブレーキはもちろん、路面の状態によって車体の揺れを調整。さらに、車種によっても重量が異なるため、それぞれカスタマイズして実際の動きを再現しています。
先ほどリアルな撮影に近い体験という話がありましたが、通常カメラマンが使う機材と同じように、焦点距離やフォーカス、絞りなどを確認できるUIに仕上げていることもポイント。博報堂プロダクツにはフォトクリエイティブをはじめとした映像撮影に特化した専門部署があるため、プロのカメラマンの知見を取り入れながら、できる限り現実の撮影に近い感覚、仕上がりを追求して開発を進めました。

-開発段階では意識していなかったことや、リリースしてみて気付いた発見などありましたか?

中矢
いまはテレビCMに使うヨコ矩形の動画だけでなく、モバイル用のタテ矩形の素材も求められることが増えてきました。リアルの撮影では比率を変えて複数パターン撮ることが難しいですが、この「Green Lights」を使えば撮影した後からタテ方向の背景を追加することもできるため、さまざまな媒体への展開をより低コストで実現できます。
佐藤
たくさん撮影したテイクをつなげて、別の動画を制作することもできますし、タレントさんを使用しないバージョンを制作したいといったご要望にも対応できます。また、過去に撮影した映像を活用し、車種やパーツのみを変更するというアップデートにもご利用いただけます。

ロケの制限からの解放。クリエイターにとっては新たな発想源に

-「Green Lights」はどんな未来をもたらしてくれるでしょうか?

鴫原
映像監督やカメラマンなどクリエイティブに関わる人にとっては新たな発想源になるはずです。例えば、現実では困難な地上1cmの撮影などのカメラワークが可能になったり、ドローンのような空中撮影から車内に一気にカメラを移動させるなど、予想を超えるおもしろい映像を撮ることができます。
これまではカメラカーの中から撮影するという制約がありましたが、「Green Lights」なら自分の手でカメラを動かすことができます。このシステムに触れていただき、いろいろ試していく中で、おもしろいアングルが見つかるなど新しい発見にもつながるのではないでしょうか。
佐藤
ビジネスの視点から見ると、やはりロケを行わずに済む点は一番大きなポイントだと思います。実写の撮影では撮影チームとクライアントがまとまって移動する必要があり、コスト面だけでなく環境負荷の観点からも負担が大きくなりがちです。「Green Lights」を活用することで環境負荷の低減にもつながると考えています。

槇野
実際、海辺のシーン、山のシーン、街のシーンなどさまざまなロケーションを1日に撮ることはできないですし、太陽の向きなど時間的な制約もあります。「Green Lights」ならすべてのシチュエーションを1日で撮り切ることも可能です。
鴫原
実写の撮影と「Green Lights」の映像を組み合わせて使うこともできますし、活用の方法はさまざまです。繰り返しになりますが、ロケとフルCGの間の第三の撮影手法が「Green Lights」だと考えていますので、演出の内容に応じて最適な手法を選んでいただくことが重要だと考えています。
やはり、リアルに撮影したものが最もリアルである点は変わらず、完成度も高いものになります。その一方で、多様なロケーションで多くのカットを撮影したい場合や、新しい演出にチャレンジしたい場合は「Green Lights」は有効な選択肢になると考えています。

アイデア次第でいかようにも活用可能。自動車以外のプロダクトにも発展させたい

-最後に今後のアップデートやチャレンジしたいことについてお聞かせ下さい。

鴫原
現在、森林・海辺・橋といったロケーションを20ロケーション30種類用意しているのですが、この背景ロケーションは随時追加し、表現の可能性を広げていきたいと考えています。それに加えて、既存の背景で撮影した後にAIで背景の差し替えやブラッシュアップするなど今後のアップデートを構想しています。
中矢
活用方法としては、モビリティーショーなど長尺の動画をつくるケースにも最適です。これまでフルCGで制作する場合はコストが大きくなりがちでしたが「Green Lights」を活用することでコストの抑制にも貢献できると考えています。

槇野
クライアントにこのシステムをご紹介すると、鉄道などほかのモビリティにも応用できないかとご相談をいただくことがあります。今後は自動車以外の領域への展開も広げていきたいですね。
鴫原
化粧品や家電などのプロダクトにも応用していただけると考えています。様々な演出にチャレンジしてみたい、おもしろい発見をしてみたいというクリエイターにとっては、発想のきっかけになるのではないでしょうか。ひとつの新しいツールとして、ぜひ一度触れてみてほしいですね。
佐藤
そうですね。ミュージックビデオの撮影など、アイデア次第で様々に活用いただけると思います。企画や制作期間、予算などあらゆる条件を踏まえながらベストマッチなご提案をさせていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。

※肩書は取材当時のものです 

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  • 博報堂プロダクツ
    映像クリエイティブ事業本部REDHILL
    シニアCG/VFXディレクター
    VFX・CGを中心に、フォトリアル表現を軸とした映像制作およびビジュアル開発に従事。自動車案件を中心に、CADデータを活用した高精度なビジュアライズや、UnrealEngineを用いたリアルタイム表現などを手掛ける。近年はAIやリアルタイム技術の活用にも取り組み、テクノロジーとクリエイティブを横断しながら、新たな表現の可能性を模索している。
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    シニアCG/VFXディレクター
    VFX・CGを中心に、フォトリアル表現を軸とした映像制作およびビジュアル開発に従事。自動車案件を中心に、撮影・CG・リアルタイムなどの幅広いビジュアライズや、UnrealEngineを用いたエンバイロンメント制作などを手掛ける。近年はAI VFX・AI Renderingなどの活用とAIワークフローの構築にも取り組み、次世代の映像制作の可能性を模索している。
  • 博報堂プロダクツ
    映像クリエイティブ事業本部REDHILL
    CGエンジニア
    Unreal Engineを用いた車両撮影システムの構築を中心に、トラッキングシステムと連携したリアルタイム撮影環境を開発。完全バーチャル空間での撮影現場ではUnreal Engineのオペレーションも担う。開発と現場の制作に従事しながら、今後はAIを開発フローに組み込み、リアルタイム表現のさらなる進化と新たなクリエイティブの可能性を探求している。
  • 博報堂プロダクツ
    映像クリエイティブ事業本部 REDHILL
    シニアCG/VFXプロデューサー
    ポストプロダクションとリアルタイム技術を横断したコンテンツ制作を手掛けるプロデューサー。 広告映像、CM、VPを中心に、フォトリアルなCG表現と最新テクノロジーを融合したビジュアル開発を得意とする。 インタラクティブコンテンツやプロジェクションマッピング、XR領域など、多様なプロジェクトを統括し、企画から実装まで一貫して推進。 近年は、実写撮影の制約を超える新たな映像制作手法の確立に注力している。
  • 博報堂プロダクツ
    映像クリエイティブ事業本部REDHILL
    CG/VFXプロデューサー
    CG/VFXプロデューサーとして、CM・WebCMを中心に映像制作に従事。自動車に限らず、化粧品やキャラクターなど多様な領域でのビジュアル制作を統括し、企画からポストプロダクションまで一貫して推進。クオリティと効率を両立したプロジェクト進行を強みとし、最適な表現と成果の実現を目指している。