ヒット習慣予報 vol.421『ヤング終活』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの植月です。
先日育児休暇から復帰しまして、ヒット習慣予報も再デビューさせていただきます。改めましてよろしくお願いいたします。
休暇中はほとんど母としか会う機会がなかったのですが、その母がやたらと「終活」というワードを用いるので私も気になり始めて調べてみると、世間でもジワジワと「終活」への関心は増えてきているようです。

出典:Google Trends 「終活」の検索数推移
「終活」という言葉のイメージから、高齢の方を中心に行われるものというイメージがあったのですが、年齢別の「終活」取り組み状況を見てみると、高齢の方に限らず、20代~50代の方の中にも一定数取り組んでいる方がいると知り、びっくりしました。
あなたは現在ご自分の最期の準備(いわゆる終活)をしていますか?

出典:株式会社ティア「第12回“葬儀”に対する意識・実態調査」より
https://www.tear.co.jp/company/news/PDF/20260613HP2026tyousa.pdf
そこで、今回は「ヤング終活」として若者世代がどんな終活を行っているのかを紹介したいと思います。
まずは、「デビットカードの活用」です。
一見デビットカードと終活は結びつきにくいかもしれませんが、身辺整理をするためのツールと捉えると想像しやすいかもしれません。身辺整理といえば不用品の処分や断捨離ですが、20代は本来ならまだ先が長くモノがどんどん増えていく世代です。そこで、クレジットカードではなくデビットカードを活用することで自分の財産を適宜把握できるようにし、浪費や余分なモノの増加を制限している人が出てきているようです。捨てるのではなく増やさないことに重点を置いた身辺整理と言えるのではないでしょうか。
実際に私の周りでも新卒入社社員が使いすぎを防止するためにあえてデビットカードを使っていると聞き、私も取り入れようかと思った記憶があります。

次に、「エンディングノートの作成」です。
エンディングノートとは、もしもの時に備えて自分の希望や情報を家族や友人に伝えるための備忘録で、保険・銀行口座・不動産などの個人の財産に関することや葬儀の希望を書くことが一般的とされています。しかし、20代となると記す内容はそれだけではありません。SNSアカウントの削除・追悼指定や隠しフォルダの処分方法など、デジタルタトゥーを危惧した内容や、自分が大事にしてきた推し活グッズの継承先や処分方法なども含まれてきます。愛着を持って接してきたものだからこそ、自身の死後も思い通りに扱ってほしいという願いが込められているのでしょう。
私はノートという形ではないですが、デジタルのメモ上で自分に万が一のことがあった際の財産関連の情報や子ども関連の情報を記載して、家族にはそのメモを既に共有しています。自分自身も財産整理の際に見直せますし、何かあったときにも安心できるのでおすすめです。

最後に、「終活スナックでの相談」です。
最近では、お酒を飲みながら他のお客さんと死についてフラットに語り合える場所として終活スナックが人気を集めています。終活を始めたいけど何から始めればいいかわからないという20代が気軽に相談できる場所でありつつも、入棺体験などのユーモアのある体験のできる場所であることから身構えずに入店できるのがポイントだそうです。SNS上でも「カラオケはないけどカンオケある」「デス活入門にぴったり」などと話題になっておりました。
では、なぜ『ヤング終活』が増えつつあるのでしょうか?
理由は大きく2つあると考えられます。
1つ目は、未婚率や離婚率の増加に伴う将来不安です。
年々未婚率や離婚率が高まっていることで、生涯一人で過ごすことになるかもしれないという不安が現代の20代に強く表れています。将来面倒を見てくれる子どもがいるかもわからないし、いたとしても子どもに迷惑をかけるのは申し訳ないという思いから、将来への備えとして終活をしているのかもしれません。
2つ目は、情報過多な現代における自分の解像度の明確化です。
ここまで説明してきた通り、20代の終活はただ単に死に向けた準備ではなく、自分の大切なものは何か?それを今後も大切にしていくために本当に必要なものは何か?という問いを自分自身に投げかけるような活動になっています。将来不安がある中で自分が長く快適に生き抜くための方針を明らかにするための方法の一つともいえるのではないでしょうか?
最後に、『ヤング終活』のビジネスチャンスとしては下記のようなことが考えられるのではないでしょうか?
「ヤング終活」のビジネスチャンスの例
■ スマートウォッチなどで本人の心肺停止を確認した瞬間、遠隔でスマホやPCのデータを削除してくれる「データクリーンサービス」を導入する。
■ 本来なら見られない葬儀をメタバース上で仮体験したうえで実際の要望を追加できる「生前葬体験」を提供する。
■ 死後指定したタイミングでSNSの投稿や友人への手紙送付をしてくれる「デッドメッセージ代行サービス」を運営する。
終わりに向けた準備ではなく、今を見つめなおす機会としてみなさまも一度「終活」を考えてみてはいかがでしょうか?
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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ストラテジックプラニング局
ヒット習慣メーカーズ メンバー2017年 博報堂に入社。
8年目のマーケターとして、社会の荒波に揉まれながら、新たな潮流をつくることを夢見て奮闘中。芋は野菜なのかという議論もありますが、お気に入りの秋野菜はサツマイモです。


