おすすめ検索キーワード
次世代MMM、Cookieレス時代のマーケティング投資をどう最適化するか? ―Google「Meridian」のPlaybookを公開
PLANNING

次世代MMM、Cookieレス時代のマーケティング投資をどう最適化するか? ―Google「Meridian」のPlaybookを公開

サードパーティCookieの規制が本格化し、メディア環境の複雑化がさらに加速する中、従来のトラッキングやアトリビューション分析は本格的な転換期を迎えています。
こうした変化の中で、個人データに依存せず、各メディア・施策が売上等のビジネス成果に与える貢献度を定量的に把握・評価できる手法として、「MMM(Marketing Mix Modeling)」の重要性は増すばかりです。 売上や獲得件数(KGI)に対し、メディア出稿や外部要因がどう寄与しているかを統計的に解析するアプローチは、今やマーケティング戦略の不可欠な軸となりつつあります。
本記事では、こうした時代の要請に応えてGoogleが公開した次世代MMM「Meridian」の特長と、博報堂およびHakuhodo DY ONEが独自に体系化した実践的ノウハウ『Meridian Playbook Ver.1.0』について詳しく解説します。

 

複雑化するメディア環境

MMM(Marketing Mix Modeling)とは、売上や獲得(KGI)といった事業成果に対して、テレビCMやWeb広告などの各メディア出稿、さらには価格・競合動向・天候といった外部要因が「それぞれどの程度貢献したか」を統計的に推定・可視化する手法です。

近年、Cookie規制やプライバシー保護の強化により、個人トラッキングに依存した従来のデジタル評価(ラストタッチアトリビューション等)は限界を迎えています。クリックや獲得に近い施策ばかりが過小・過大評価され、「テレビや動画広告の本当の貢献度が見えない」「メディア全体でどこにいくら投資すべきか分からない」という既存プラニングの課題が浮き彫りになってきました。経営層からも、マーケティング投資全体に対するより明確なROIへの説明責任が強く求められており、こういった背景から、トラッキングに頼らず横断的に投資対効果を定量化できるMMMへの注目が急速に高まっています。

そのような中、Googleが公開した次世代オープンソースMMMが「Meridian(メリディアン)」です。博報堂DYグループでは、広告メディアビジネスのデジタルトランスフォーメーションを推進し、メディア投資効果を最大化する次世代型モデル「AaaS(Advertising as a Service)」を展開してきました。その基幹ソリューションである「Analytics AaaS」の進化形として、我々はMeridianを全面統合した『Analytics AaaS powered by Meridian』を提供しています。Hakuhodo DY ONEが日本・APACにおけるGoogle Meridianの認定パートナーに選出されている背景には、このAaaSを通じた長年のマーケティング分析・運用実績があります。

我々にとってMeridianは、単なる一つのオープンソースツールではありません。AaaSが目指す「『広告枠の取引』によるビジネスから『広告効果の最大化』によるビジネスへの転換」という戦略の核となる事業開発エンジンです。  しかし、オープンソースであるMeridianをそのまま扱うだけでは、現場の意思決定や日々の配信運用へと即座に接続することは困難です。そこで、博報堂DYグループが培ってきた「生活者理解」とデータ基盤にMeridianの先端アルゴリズムを融合させ、企業が実務で成果を出すための具体的アプローチを体系化した『Meridian Playbook Ver.1.0』を新たに作成いたしました。

『Meridian Playbook』が明かす「Meridian」の技術的特長

『Meridian Playbook Ver.1.0』では、従来のMMMが抱えていた「長期の履歴データが必要」「全国一律の粒度にとどまりエリア別の評価が難しい」といった課題を、Meridianの先進的な統計フレームワークがどのように解決するのかを解説しています 。 

Meridian Playbookは以下のサイトより閲覧・ダウンロードいただけます。
https://www.hakuhodo.co.jp/aaas/news/meridianplaybook.html

階層ベイズモデルとエリア(Geo)データの活用

 Meridianの最大の技術的強みの一つは、地域レベル階層ベイズモデルの全面的な採用です 。

従来型MMMでは、データ数を十分に確保するために3年以上の全国データが必要とされるケースが一般的でした 。  一方、Meridianでは都道府県や地域ブロックなどの「エリア(Geo)レベルデータ」をパネルデータとして活用し、Geo方向にサンプルサイズを拡張しながら同時に推定することが可能です 。地域ごとのデータを活用してサンプルサイズを飛躍的に増加させることで、推奨データ期間を「2年間(最短1年半程度)」にまで短縮しています。

データ整備の工数削減によってプラニングのスピード向上、またこれまでデータ不足が原因で分析できなかった比較的新しい商材等でも、再現性の高い頑健なモデル構築が可能になります。

到達率・接触回数(R&F)データの統合と適正投資額の可視化

Meridianでは、従来の「投下金額」や「インプレッション数」だけでなく、リーチ(R)とフリークエンシー(F)のデータを明確に分離してモデルに組み込むことができます 。これにより、「何回の接触が最も広告の投資対効果が高いか」という最適フリークエンシー(Optimal Frequency)の算出が可能です 。実際にメディアプランを策定するときはただ予算配分をするだけではなく配信面やFQキャップの設定等細かい運用のレバーを設定していきます。そういった意味では今回最適フリークエンシーの算出が可能になることでより解像度の高いメディアプラニングができるようになったと言えます。

また、投資の増加に伴って効果の伸びが鈍化する「収穫逓減(非線形性)」の動きをレスポンスカーブとして捉え、各メディアのmROI(限界投資対効果)を可視化、これをもとにした予算最適化(Budget Optimizer)で適切な投資配分を導くことができます。  

実務課題に応える活用シナリオ

Meridianは、現場のマーケターが直面する多様な課題に対応します。『Meridian Playbook Ver.1.0』では、特に有効な活用シナリオとして以下の3点を挙げています 。  

【Meridian活用が極めて有効な3つのシナリオ】

1つ目は獲得案件における動画投資の価値可視化です。
獲得案件において獲得効率が悪くなってきた際に、アッパー(認知)施策による新規層の獲得、購入検討へと態度変容させていくようなコミュニケーションを実施することがよくあります。しかし、認知施策が獲得に対してどの程度寄与しているかがわかりにくい。そういった課題に対してMeridianで動画施策の獲得(KPI)への寄与度を可視化し、アッパー~ロワーまでのメディア投資の最適化を可能にします。

2つ目は、エリアの生活者特徴を踏まえたメディア最適化です。
商材等にもよりますが、例えば大都市と地方都市では影響力のあるメディアに異なる特徴が存在します。大都市では影響力のあるデジタルメディアも、地方では大都市と比較して影響力が小さい傾向にあり、新聞等のメディアが影響力を持っているというのも例の一つです。そのような都市性を加味しエリアごとのメディア最適化をしていきたい、そういった需要は特に店舗型のクライアント群で強くMeridianではその需要に応じた最適化を可能にします。

最後3つ目は、販促・広告を統合したメディア最適化です。
我々は、総合広告会社として広告に閉じない販促費まで含め最適化をしていくことが重要だと考えます。店頭で行うようなイベント施策やチラシなどの販促領域にどれぐらい効果があるのかまでみることで、本当の意味での最適化をしていくのです。
KGI達成のためには、店頭でのイベント施策やチラシ、いわゆる販促施策の効果も把握する必要があります。Meridianでは、説明変数として広告施策だけでなく販促施策も扱うことによって、販促・広告費を合わせた全体での予算最適化が可能になります。

様々な影響関係を踏まえた純粋な施策効果を捉える「因果機械学習(Causal ML)」

先述したエリアの生活者特徴を踏まえたメディア最適化を行うにあたって、特に家電や消費財などの領域では、「気温・天候」「自治体の補助金」「競合のセール」といった強烈な外部要因(交絡因子)も存在します 。これらを考慮せずに広告出稿と売上の関係だけを測ると、データの歪み(バイアス)が生じてしまいます 。  

そこで鍵となるのが因果機械学習(Causal ML: Double/Debiased Machine Learningなど)です。因果機械学習を用いて外部要因のノイズを柔軟に調整し、エリアごとの条件付き平均処置効果(CATE)を算出します 。因果機械学習によって推定されたROIを、Meridianのベイズ推論における事前分布(Prior)のアンカーとして反映することで、推定のブレを防止し、シミュレーションの信頼性を飛躍的に高めています 。 

【事例】家電量販大手・エディオン様における地域最適化の取り組み 

実際のエディオン様との共創プロジェクトでは、長年の注力施策であった新聞折込チラシやDM、デジタル広告、天候や補助金等の外部要因を包括的に整理し、DML×Meridianによる分析を実施しました 。  

その結果、「投資効率に4倍以上の地域差があること」が判明し、紙媒体が有効な地域とデジタルシフトを促進すべき地域が明確に分離されました 。これにより、地域間で効果の異質性を踏まえながらメディア効果を横断的に評価することが可能となり、データに基づく「聖域なき販促費の見直しと適正化」および、創出された原資の「新規顧客開拓への再投資」を実現しています 。

詳細はこちらの記事を是非ご覧ください。
https://seikatsusha-ddm.com/article/16922/

博報堂DYグループが提供する独自価値とサポート体制

高度なモデリングやツールが存在しても、それがマーケティングの現場でタイムリーに「実行」されなければ事業成果には結びつきません。博報堂DYグループでは、分析からメディア実行までをシームレスにつなぐ独自のサポート体制を構築しています 。

「生活者理解」に基づくモデル構造の仮説構築力

MMMは単にデータをアルゴリズムに投入すれば正しい答えが出るものではありません 。生活者がどのような心理・行動文脈で認知から検討、購入、リピートへと至るのかというドメイン知識(生活者理解)に基づく仮説構築が不可欠です 。  博報堂DYグループが培ってきた「生活者発想」は、モデルの変数選択やラグ効果(効果の遅延)の設定において決定的な差を生み出し、定性的に納得感のあるビジネスに即した分析結果を導き出します 。 
また博報堂にはMeridianの分析を複数案件担当したスペシャリストが在籍しており、そうした生活者理解×MMMスペシャリストの知見で得意先様の課題に合わせたアウトプットを高いレベルで提供することが可能になります。 

「データ抽出の自動化基盤」による運用負荷の大幅削減

MMM導入において最大の障壁となるのが、分析用データの収集と加工(データマート構築)にかかる膨大な工数です 。  博報堂DYグループはGoogle AdsやDV360の出稿データ(Geoレベルデータ含む)、YouTubeのR&Fデータ、さらにブランド検索意向を示す検索ボリュームデータ(GQV: Google Query Volume)を自動抽出・クレンジングする専用基盤(MMM Data Platform)を整えています 。  データ収集にかかるクライアント企業の負荷を大幅に軽減することで、キックオフからモデル構築、最適化シミュレーション提示までの標準期間を約2~3か月という短期間で実行可能です 。 

【標準的なプロジェクト推進スケジュール(約3か月)】

認定パートナー「Hakuhodo DY ONE」によるシームレスな実行(Activation) 

算出された「最適予算配分」や「最適フリークエンシー」は、実際のメディアバイイングに反映されて初めて価値を発揮します 。  
日本・APACにおけるGoogle Meridianの認定パートナーであるHakuhodo DY ONEは、博報堂DYグループのデジタルコアとして、デジタルマーケティングの高い専門性と実行力を併せ持つ組織です。Meridianスペシャリストと運用チームが密に連携し、導き出された分析結果を即座に実際の広告配信設定(入札戦略、ターゲット指定、フリークエンシーキャップなど)へ落とし込みます 。  
分析だけで終わらせず、「高度な分析 ➔ 意思決定 ➔ メディア実行 ➔ 効果検証」という一連のPDCAをワンストップで回せる体制こそが、博報堂DYグループの最大の強みです 。  

おわりに:確信に満ちたマーケティング投資決断のために

データ環境の変化により、従来の感覚や局所的なアトリビューションに頼った投資判断は限界を迎えています。Googleの「Meridian」は、MMMを現代のマーケティング環境に即した高度な意思決定ツールへと進化させました 。  博報堂およびHakuhodo DY ONEは、『Meridian Playbook Ver.1.0』に凝縮された技術的・実践的ノウハウと、グループならではの体制(生活者理解・自動化基盤・実行力)をもって、企業の持続的な事業成長を伴走支援してまいります 。

sending

この記事はいかがでしたか?

送信