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α世代は何が違う? スマホ・AIネイティブが変えるメディア体験と情報行動 @メ環研フォーラム2026 レポートvol.2
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α世代は何が違う? スマホ・AIネイティブが変えるメディア体験と情報行動 @メ環研フォーラム2026 レポートvol.2

2026年7月7日、メディア環境研究所によるフォーラム【情報圏のひらき方~「7つの認知タイプ」と「α世代」から見える未来~】が開催されました。

今、世の中に流通する情報の量は増え続けており、その結果、生活者は自分にとって必要かつ心地よい情報であふれた「情報圏」の中で過ごすようになりました。しかしパーソナライズ化されたアルゴリズムにより、情報圏は時に閉鎖的になりがちです。

このような現代の情報環境の中で、メディアはどうやって新たな情報コンテンツを届け、生活者とのつながりを作ればよいのでしょうか。

レポートvol.2では「こどもの情報圏」をテーマに、Z世代のさらに若い世代にあたる「α世代」への定量調査とインタビュー調査の結果から、彼らを取り巻く情報圏を知り、そのひらき方を検討していきます。

α世代はどのような情報圏に身を置き、そしてどうやって新たなコンテンツと出会っていくのでしょうか。発表者は、メディア環境研究所・野田絵美上席研究員です。

AIネイティブ・α世代を取り巻く情報圏とは

レポートのテーマになる「α世代」について、メディア環境研究所(以下メ環研)では「2010年以降に生まれた子どもたち」と定義づけています。

彼らはスマートフォンやタブレットが身近に存在する世界に生まれ、就学以降はタブレットを用いたデジタル学習が当たり前の世代です。まさに「スマホネイティブ」であり、同時に、生成AIが身近になるにつれて「AIネイティブ」と呼ばれる最初の世代となっています。

そんな彼らは、普段はどのような情報圏で生活しているのでしょうか?まずはα世代の情報環境を探るべく、メ環研では今回、2種類の調査を実施しました。

1つ目が、全国の小学校1年生から中学3年生の1500名を対象とするインターネット調査「α世代のメディア生活調査2026」です。その結果を、高校生以上の10代から20代のZ世代400名、そしてさらに上の30代から60代までの世代800名と比較します。

そしてα世代の傾向をより詳しく掘り下げるために、2つ目の調査として生成AIを使っている小学校低学年から中学3年生までの8名にインタビューを実施しました。

α世代、変わるテレビスクリーンの体験

まず彼らの日々のメディア接触の様子から見ていきましょう。メ環研は、それぞれの世代の日常的な利用率が45%以上の機器に着目しました。

Z世代では、スマホ(94.2%)、テレビ(79.3%)、PC(52.0%)という結果に。一方のα世代では、テレビ(90.6%)とスマホ(73.0%)に加えて、ゲーム機(63.4%)とタブレット(46.5%)があがりました。

野田上席研究員
α世代の特徴は、直感的なスクリーンが常に身近にあるということだと言えます。

続いて、α世代で最も利用率の高かったテレビスクリーンについて、その利用状況を調査結果およびインタビューから見ていきます。「テレビ離れ」という言葉がよく聞かれますが、α世代はテレビ放送を全く見ていないわけではありません。他の世代と同様に約9割が「テレビ放送を見ている」と回答しています。

しかし、他の世代にはない特徴としてYouTubeのような無料動画やゲーム、さらにショート動画などを、テレビスクリーンを使って視聴していることがわかりました。α世代の「自分の見たいものを見るため、大きなテレビスクリーンをマルチ活用している」姿が見て取れます。

具体的な家庭でのメディア接触について、α世代のYさんはこのように語ります。

Yさん(小1)
家ではほとんどテレビ。テレビではYouTubeがずっと流れている。じっくり見るときもあるけど、どちらかというと「ずっとついている」感じ。

 

野田上席研究員
「テレビがつきっぱなし」というのは、テレビ放送だけではなく「テレビスクリーンでYouTubeがつきっぱなし」といったことも家庭では起きているようです。

続いて、テレビスクリーンを通して「最も利用しているもの」を聞いてみました。

Z世代はテレビスクリーンで最も「テレビ放送を見ている」という人が過半数で1位という結果になりました。一方α世代では、テレビ放送が1位ではあるものの半数を下回る結果に。そしてYさんの実体験と同様に、無料動画をテレビで見ている人は4人に1人と他の世代よりも多く、テレビスクリーンを通した体験に変化が生じているようです。

Rさん(中3)
テレビで見るものは、スマホで見るものとほとんど変わらない。

 

Sさん(小6)
朝は情報番組を見て、放課後は無料動画や定額制動画配信を見ている。テレビは大きいから見やすくて好き。

 

野田上席研究員
α世代はテレビでもスマホでも、自分の今見たいものを選んで楽しんでいます。スクリーンの境界線が非常にフラットであるようです。

スマホネイティブは、スマホで何してる?

一方、スマホ利用はどのような状況なのでしょうか。まず、初めてスマホやタブレットに触れた年齢について聞いてみました。

「回線はモバイル・Wi-Fiを問わない。また契約者を問わない」という条件で聞いたところ、Z世代の多くが中学校、高校で初めてスマホやタブレットに触れているのに対し、α世代の最多は1歳から3歳。

実に32.0%の人が幼児前期にスマホやタブレットに触れています。α世代こそ、真のスマホネイティブと言えるのではないでしょうか。

そしてα世代が個人用のスマホを持つようになる時期については、小学校4年生から徐々に増え始め、小学校卒業間近の6年生で約7割へと急増します。そして中学生になると、1人がほぼ1台持っている状況になっているようです。

 

ではスマホを用いてα世代は何をしているのでしょうか。上位5つを見ると、「写真を撮る」、「無料動画」、「検索」、「ゲーム」、「ショート動画」と、スマホをエンタメ中心に利用している様子が見て取れます。

その中で具体的によく使うサービスを挙げてもらいました。α世代全体だとYouTube、LINE、TikTok、Instagramが上位に上がっています。これをSNSで発信可能なアカウントを作成できる中学生にしぼると、LINEが8割以上、TikTokやInstagramも4割を超える状況です。

SNSはリアルの延長線にあるコミュニケーションインフラ

Z世代にとってのSNSは、自ら発信してつながっていくツールでした。しかし今回の調査ではα世代のSNS利用は少し様相が異なることが明らかになっています。

SNSの利用用途について聞いてみたところ、Z世代の場合、SNSで「他人の投稿を見る」と答えた人は98.6%、「自分で投稿する」と答えた人は64.0%でした。

それに対し、α世代の中学生は「他人の投稿を見る」と答えた人は97.2%であるのに対し、「自分で投稿する」と答えたのは42.5%とZ世代よりも低めの結果に。SNSは他人の投稿を見るという使い方が中心であるようです。

またα世代は、ネット上の知らない人との交流に対しても、積極的ではないようです。SNSでは親しい友人とのやり取りが中心であり、ここでもZ世代との違いが浮かび上がりました。

Rさん(中3)
友達とのやり取りはLINEとInstagramのDM。部活や大会で知り合った他校の子ともInstagramでフォローし合う。

 

Hさん(中3)
個人のInstagramでは友達としかつながっていない。ずっと残る本投稿はせず、今やっていることを(24時間で消える)ストーリーにアップして、それを友達同士で見ている。友達もほぼ全員同じような使い方だった。

α世代にとってSNSは、自己表現の場というより、リアルと地続きのコミュニケーションインフラであるようです。またインタビューの中で、個人情報の扱い方についても興味深い意見が出ていました。

Hさん(中3)
個人情報の扱いや、顔出しをしないように気をつけている。そもそも自分のことをSNSに載せるのが好きじゃない。

 

Rさん(中3)
ストーリーであっても、友達の顔が映らないように気をつけている。

 

野田上席研究員
SNSは個人情報の拡散や炎上のリスクがあり、一度投稿した情報はインターネットに残っていくのが前提です。これらのリスクを回避する意識が高いというのもα世代の特徴になっています。

ゲームは「やり込む」から「選び続ける」へ

続いて、ゲームについても調査しました。α世代では全体の4割強がオンラインゲームを楽しんでおり、割合は高学年になるほど上がっていきます。

今回インタビューした小学生のうち過半数が利用していたのが、幾通りものゲームをオンライン上で遊べるオンラインゲームです。実際にどのように遊んでいるのか聞いてみました。

Tさん(小5)
いっぱいのおすすめの中から、とりあえず少しだけ遊んでみて、面白かったら続けてプレイする。

 

Lさん(小3)
おすすめに出てくるものを見て「あ、面白そうだな」って、新しいゲームを知ることが多い。

 

野田上席研究員
α世代のゲームの遊び方は、何か1つの作品をやり込むというよりも、無数にあるおすすめの中から、ピンと来たものを選び取るというようなスタイルになっていました。

α世代の情報圏のひらき方とは

α世代のメディア生活は、Z世代と異なる特徴を持つことが見えてきました。

まず、彼らにとって情報源を届けてくれるのはテレビ、スマホ、ゲーム機、タブレットといった直感的なスクリーン。その中でフォローやアルゴリズムによって、わざわざ取りに行かなくても、自分の興味が自然とやってくるのが前提になっています。

受動的でいても多くの情報が入ってくるという環境の中で、彼らは情報圏をどうやってひらいていくのでしょうか。「新しいことに興味を持つきっかけ」を調査し、それをZ世代と比較しました。

Z世代ではSNSを挙げる人が多いのが特徴的です。一方のα世代は、無料動画というネットベースの情報だけでなく、人の話やテレビ番組、イベントなど、アルゴリズムの外でも新しい情報と出会う多様な接点を持っているようです。

また同じ無料動画でも、横動画と縦動画で、情報の取り方を使い分けていることもインタビューから見えてきました。

Tさん(小5)
横動画は好きなクリエイターの動画の新作が上がっていたら見る。縦型ショート動画はジャンル関係なく色々一気に見られるのがいい。

 

Lさん(小3)
縦型ショート動画で流行を知る。ショート動画でよく見かけて、「なかなか買えない」「どこで買ったの?よく買えたね」などのコメントが多数あると、「今みんなが興味を持っている物なんだ」と気づく。

2人の話からは、横動画は「いつもの自分の馴染みを見る情報源」、縦動画は「身近な流行を幅広く取り入れる情報源」として利用している姿が見て取れます。さらにSNSを利用する中学生からはこんな意見も出ました。

Rさん(中3)
InstagramやXは、今好きなアイドルの情報収集に便利。TikTokは自分の興味のなかった他の情報も流れてくることがあって新しい情報や気づかなかった欲しいものを見つけることがあるんです。

好きなものを効率的に深堀りするときは、InstagramやXのようにアルゴリズムが効いているSNSで。新しいものを広げるときは、TikTokのような、緩くフォーカスされすぎないアルゴリズムのSNSで、といったように、必要な情報にあわせて情報源を使い分けているようです。

まとめ

α世代の情報圏のひらき方。スマホネイティブであるα世代は、生まれながらにして自分の興味が自然と集まってくる情報圏をベースに生活をしています。しかしそれだけでは、自分の今の興味以上の情報は集まりません。

だからこそ、ショート動画などの緩いアルゴリズムで興味をひろげていき、さらには人の話、テレビ番組、お出かけイベント、展示会といった多様な機会から、アルゴリズムの外にある情報に触れていく。これが、α世代の情報圏のひらき方であると言えそうです。

α世代は、生まれながらのスマホネイティブであるからこそ、スクリーンの移動も、多様な情報源への接触も抵抗なくフラットに行える世代なのかもしれません。彼らに新たなコンテンツを届けられるチャンスは、デジタルはもちろん、リアルでも大いにあると言えそうです。

vol.3では、そんなα世代が生成AIとどのように付き合っているのかを、同じく調査結果とインタビューから紐解いていきます。

(編集協力=沢井メグ+鬼頭佳代/ノオト)

※掲載している情報/見解、研究員や執筆者の所属/経歴/肩書などは掲載当時のものです。

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  • メディア環境研究所 上席研究員
    2003年博報堂入社。マーケティングプラナーとして、食品やトイレタリー、自動車など消費財から耐久財まで幅広く、得意先企業のブランディング、商品開発、コミュニケーション戦略立案に携わる。生活密着やインタビューなど様々な調査を通じて、生活者の行動の裏にあるインサイトを探るのが得意。2017年4月より現職。生活者のメディア生活の動向を研究する。

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