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ヒット習慣予報 vol.429『ハレ読書』
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ヒット習慣予報 vol.429『ハレ読書』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの上利です。

9月の関東は雨続きでしたね。暑くないのは有難かった一方で、なかなか外でのレジャーが楽しめなかったり、予定がキャンセルになったりと、残念な思いをした方もいらっしゃるかもしれません。

雨の日にすることといえば、「晴耕雨読」という言葉が思い浮かびます。
今回は、そんな「読書」に関する新たな兆しを取り上げたいと思います。

読書といえば、ひとりで部屋やカフェにこもり、黙々とページをめくるような静かな時間を想像する人が多いのではないでしょうか。特別感のあるような非日常を意味する“ハレ”と日常を意味する“ケ”でいえば、圧倒的に“ケ”の行為というイメージです。
しかし今、読書をクールでラグジュアリーな“ハレ”の行為として楽しむ、「ハレ読書」が国内外で生まれてきているようなのです。

まず一つ目にご紹介するのは、「読書×ナイトクラブ」です。
ここ最近、ナイトクラブでDJがプレイする中で読書をする「テクノ読書」イベントが生まれ始めています。昼間のクラブ空間を活用して開催されており、大音量の音楽がかえって読書への集中力や没入感を高めてくれるという効果もあるようです。
出入り自由で音楽と本をマイペースに楽しむものから、参加者全員で同じ本を読んで最後に感想をシェアし合う形式まで、幅広い楽しみ方が提供されています。
実際に参加した人からは「ひとりで読むよりも読書が捗った」「居心地の良い空間だった」といったポジティブな感想が集まっており、今後ますます人気が高まっていきそうです。

次にご紹介するのは、「読書×ハイブランド」です。
最近、高級ブランドが読書クラブを開催したり、カバンに本を付けられるブックチャームを発売したり、あるいは書店とのコラボアイテムを展開したりと、読書と絡めた活動が目立っています。なかでも、女性作家の作品を中心に選書するなど、女性のエンパワーメント文脈に乗った展開となっているケースが多い印象を受けます。
これは、文学コンテンツを好む知的好奇心の高い層をターゲットに、ブランドの世界観や哲学を伝えることで深い共感や好意を醸成するマーケティング手法として、各ブランドが次々と参入しているようです。
日本国内でも、実際に読めるコンパクトなブックチャームの可愛らしさに、「ほしい!」という声が散見されました。

最後にご紹介するのは、「書店×オールナイトフェス」です。
深夜に店を開け、本をテーマにしたトークショーやクイズ大会、書店員体験イベントなど、様々なコンテンツを用意したオールナイトフェスを開催する書店が登場しているようです。
「本屋さんでオールする」という非日常感や、一晩どっぷりと本の世界に浸かる没入感が魅力のようで、深夜開催ながらもチケットは即完売するほどの人気ぶりです。
「レジに行列ができていた」というレポートも各イベントで挙がっており、イベント収入だけに留まらず、本業である「本を売る」ビジネスにもしっかりと貢献していることが窺えます。

では、なぜ今、こうした「ハレ読書」が広まりつつあるのでしょうか?

理由の一つとして、ショート動画やAI要約の普及を背景にした、「あえて時間をかけて、アナログに自分と向き合う時間」の価値の高まりが挙げられます。
AI要約はこの数年ですっかり浸透しましたし、有名な著作であれば要約動画もネット上に存在します。

出典:Googleトレンド(「AI要約」の2010年からのウェブ検索量の推移)

短時間で膨大な情報を得られる今の時代に、読書のような時間のかかる行為はもはやラグジュアリー化しており、その贅沢感が読書の「ハレ化」を引き起こしているのだと思います。要約で消費せず、自分で一語一語読むことで、本を通じて自分の思考を深めたり、自分と向き合ったりする時間になるという魅力もあるでしょう。

もう一つの理由は、「ヘルシーな交流」を求める意識の高まりです。
「若者のアルコール離れ」はたびたび報じられていますが、さらに最近はランニングコミュニティに所属する人の増加といった動きも見られます。
健康意識が高まる中で、旧来の飲み会のようなコミュニケーションではなく、読書やランニングといった趣味を通じて、人と程よい距離感でつながりたいという欲求を持つ人が増えているのではないでしょうか。

最後に、「ハレ読書」のビジネスチャンスとして、下記のようなことを考えてみました。

『ハレ読書』のビジネスチャンスの例
■ 名作の世界を表現した「ブック・テーマパーク」
■ 本をコーディネートの一部にする「ショルダーブックカバー」
■ 読書体験を味覚で拡張する「ブック・アフタヌーンティー」

ハレのイベントとして本を読む「ハレ読書」、皆さんもやってみたくなりましたか?

しばらく秋晴れの陽気が続くことを祈りつつ、雨の日でも晴れの日でも、外に出て誰かと一緒に本を読んでみたり、ご紹介したようなイベントに参加してみたりすると楽しいかもしれません。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2022年 博報堂に入社。
    趣味は演劇を観ることと、創ること。最近、ピラティス歴が3年を超えました。