2022.06.14

ヒット習慣予報　vol.222「知らぬ間にヴィーガン」

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中林です。

東京は梅雨ですね。どんよりですね。
私は雨より晴れ！冬より夏！という単純人間なので、朝起きて空がどよーんとしていると、その時点で割と戦意喪失してしまいます。
もっと言うと、梅雨という漢字二文字を見るだけで、心が曇っていきます。
冒頭からどんより度Maxのコラムになってしまいごめんなさい…。

さて、気を取り直して今日は、そんなどんより梅雨に癒しを与えてくれるアイテムをご紹介したいと思います。テーマは「ヴィーガン」。
そもそもヴィーガンとは、動物性の製品やサービスを消費しないライフスタイルのことで、肉や魚はもちろん、卵、乳製品などすべての動物由来の成分を取り入れない主義のことです。

ヴィーガンってナチュラル志向のことでしょ？と捉えている方もいらっしゃると思うのですが、ナチュラルと呼ばれるアイテムは“自然由来の成分を中心に製造されたもの”という定義なので少し違っています。また、ヴィーガンが製造途中に動物実験を行わないのに対して、ナチュラルを謳う製品にはそのような工程の決まりはないため、実際にはヴィーガン＝ナチュラルではないのです。

近年はヴィーガン専用のレストランやカフェもできるなど、ライフスタイルの一つとして確立されています。Googleトレンドで調べてみても、じわじわと検索数が増加していることが分かりますね。

「ヴィーガン」の検索数推移

国内外で急増中のヴィーガンですが、それに伴い増えているのが、食事ではなく、日常の中のケア用品でヴィーガンを選択するスタイル。知らず知らずのうちに、ヴィーガンは食から食以外のものへと領域を拡大させていたのです。
そこで今日は、テーマを「知らぬ間にヴィーガン」として、いつくかのアイテムをご紹介します。

まず、一つ目が、「ヴィーガンスキンケア」です。
ヴィーガンスキンケアとは、化粧品によく使用される牛脂や、虫から採られる紅色色素、動物性コラーゲン、シルクなどの動物由来成分、保存料や増粘剤などを一切配合せず、かつ製造過程において動物実験をしていないスキンケアアイテムのことです。こんにゃく芋成分が配合されたつぶつぶのスクラブ入りのクレンザーや、カモミール・ジャスミン・ローズなど心地良い香りに調合された化粧水が人気ですが、それだけでなくパッケージにもこだわりが詰まっています。
リサイクル可能なガラス容器や再生紙が使われていたり、容器を回収してリサイクルするシステムや、パッケージ自体がなく商品のみを販売しているブランドもあり、サステナブルなライフスタイルを実践したい人から注目を集めています。

次にご紹介するのが「ヴィーガンオーラルケア」です。
使い捨てプラスチックの削減が近年課題として掲げられていますが、その文脈で持続可能にアップデートされたオーラルケア製品が注目を集めており、なかでも動物性成分を一切使用せず天然成分のみを使った歯ブラシや錠剤トゥースペースなどが人気です。
歯ブラシの主原料として使われるのは、モウソウチク（孟宗竹）と呼ばれる、わずか2年で最大20メートルまで育つ竹。人工灌漑、肥料、農薬の使用が一切ない、とても地球に優しい素材で、水につけて口に入れると木の香りが広がり、リラックス性がとても高いアイテムです。
SNSを見ていると、歯間ブラシや歯ブラシケースなどシリーズで購入し、バスルーム周りをプラスチック製でない天然素材で揃える人が増えているな、と感じます。

トゥースタブレットは、1錠を口の中口に含み、かみ砕き、濡らした歯ブラシでブラッシングして使うのですが、一番の特徴はその保存方法です。
ガラス瓶やアルミ缶など、リサイクルや再生が可能な素材に入れて販売されているため、プラスチック製品のチューブやキャップの使い捨てが出ないというところが人気ポイントです。また、持ち運びの際も、オフィスや旅行で使う量だけをケースに入れて持ち歩けるので、利便性の高さも人気の理由の一つとして挙げられます。

３つ目は「ヴィーガンコスメ」です。
ヴィーガンコスメは、韓国でトレンド入りしたことをきっかけに日本でも人気が上昇中のコスメジャンルです。動物や環境に配慮されているだけでなく、成分にこだわり抜かれたアイテムが多いため、敏感肌にも優しいと注目を集めています。特に目元周りのメイクは、顔の他のパーツに比べても皮膚が薄くデリケートなので、天然の美容成分がたっぷり配合されているヴィーガンコスメを選ぶ人が増えています。
さらに、ヴィーガンコスメを使ってメイクをするときには、よりヴィーガンフレンドリーな仕上がりにするため、ツールもヴィーガンのアイテムを使うのがトレンドです。また、人口毛のみを使ったブラシはお手入れが簡単かつ長持ちするので非常にサステナブルだと人気も高いのです。

では、なぜこういったヴィーガンアイテムがいま注目を集めているのでしょうか？理由をいくつか考えてみました。

まず一つ目は、「頑張りすぎずに社会貢献ができる」という点だと考えられます。
動物性アイテムを製造するためには、地球に大きなダメージがかかると言われており、たとえば畜産業では、放牧用の土地を確保するために森林が伐採されたり、大量の水が消費されたりしています。

とはいえ、いきなり食生活をガラッと変えるのはハードルが高い！と考える人も少なくありません。そんな人達に向けて、日常生活で使うケアアイテムにヴィーガンを選択することによって環境保全に少しでも繋がるとして、もともとヴィーガンではない人から受け入れられ始めるようになってきたのではないでしょうか。

また、近年エシカル消費というキーワードが注目されており、ヴィーガンアイテムを作っている企業のエシカルな姿勢に共感して購入する人も多いようです。
具体的には、生産者との関係を重視し環境・資源に対して最大限の配慮がされている、マイクロプラスチックの使用を中止し代替素材に切り替えられている、余剰在庫を持たない、など。

日常的に使用する生活用品が「どんな過程で作られ、どんな素材が使われていて、最終的に環境にどんな影響を与えるのか」について関心を持っている生活者が増えているため、透明度の高いやさしいヴィーガンアイテムの需要が拡大しているのかもしれませんね。

最後に、期待値が高まるヴィーガンアイテムの今後の可能性について、考えてみました。

「知らぬ間にヴィーガン」のビジネスチャンスの例
■ヴィーガンアイテムの製造工程をみられる、工場見学ツアーを開催
■自分で収穫した植物でスキンケアやコスメを作れるワークショップ
■様々なヴィーガンアイテムに挑戦できるヴィーガンサブスクを提供

ヴィーガンデビューによって、日常のケアタイムの中で、一人ひとりが少しずつ環境問題について考えるきっかけが生まれれば素敵だなと思います。
この記事を書くにあたり私も興味が湧いてきたので、まずはオーラルケアからヴィーガンデビューしてみようと思います～！みなさんも、ぜひ、試してみてください！

▼「ヒット習慣予報」とは？
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。