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初めまして、データ・シェフの横井です。
クリエイター志望、されどデータ畑に配属。ゆえに”データとアイデアの間”の現場で奮闘する「データ・シェフの横井」が、「データの料理術」を紹介する連載。

第一回は、データ・シェフとは何者か? です。

いきなりサマリー
■ データ・シェフとは「データでおいしいビジネスを創るプロ」
経営者が探している人材はデータ・シェフである可能性が高く、彼らは理系より文系に潜む模様。
■ 理想はデータ・サイエンティストとデータ・シェフのコラボによる「サイエンス・クッキング」

科学者よりも、シェフ?

データ・サイエンティスト。
データを扱う21世紀で最高にセクシーな職業と言われています。[1]

しかし、私がデータビジネスの現場で感じるのは、「サイエンティストよりもシェフであれ」ということです。どういうことか?

データ・サイエンティストは、発想が科学者寄りで、仕事のモチベーションが「データに潜む真理の発見」な人が多いと感じます。つまり、ビジネス上の問題解決よりは、データの中に眠る神秘の発見に興奮する傾向。

一方、私たちが勝手に提唱する「データ・シェフ」は、「顧客のうまい!のためにデータを使う人」です。モチベーションは真理の発見よりも「顧客の笑顔」。つまり、サイエンティストとは逆で、ビジネス上の問題解決にエキサイトするタイプが多いと感じます。
料理のシェフが「食材でおいしい料理を創るプロ」ならば、データ・シェフは「データでおいしいビジネスを創るプロ」。

データ・シェフとは、データでおいしいビジネスを創るプロ

私たちの周りでは、「データ分析」だけでなく「分析を基にした柔軟な発想による企画」を求められること、つまりシェフ型の動きを期待されるケースが増加中です。
時を同じくしてアメリカでもハーバード・ビジネス・レビューに2018/2/8に「データをビジネスにつなげられる”翻訳家“が必要だ」との論考が出ました。[2]
(以下、データ・サイエンティスト=サイエンティスト、データ・シェフ=シェフと記載する)

例えば、イチゴをどう捌くか

サイエンティストとシェフにデータを渡すと、どうアウトプットが違うのか。
サイエンティストは「高度な統計解析手法を駆使して解決策を導く」ことが、シェフは「データ分析を土台にしつつ、トリッキーな解決策を発想する」ことが得意な傾向にあります。

例えば、イチゴ(≒データ)を渡すとどうなるか。
サイエンティストは、「イチゴの旨味成分とは何か」「旨味成分の生まれるパターンは何か」を解析し、「おいしいイチゴの作り方」を示す感じ

一方、シェフはまず「お客さんがいま、本当に食べたいモノは何か?」や「好き嫌い」を探り、例えば「お客さんが和食好きで、15時に甘いもので癒されたい」と把握。
するとシェフは「いちご大福」を作り、抹茶とセットで提供。 (余談:初めて「大福にいちご入れた人」は相当のイノベーターですよね)
つまり、データはあくまで「食材の一つ」として扱い、柔軟な発想で問題解決を成す。

イチゴ(≒データ)を渡すと…?

マーケティング現場での実例ですと、周りにいるサイエンティスト人材は「データベースの構築や高度な統計解析」などが得意。シェフ人材は「データ分析に基づいた戦略プランニング・施策考案や、データを活用・獲得するサービス開発」が得意。

ちなみに私の一番の師匠は「データを見ると、セールスコピーを思いつく」特殊能力者です。三ツ星。

経営者が探しているのはデータ・シェフ!?

採用市場において「データ・サイエンティスト人材の不足」、及び「データサイエンス教育の出遅れ」がよく言われます。[3]
しかし、現場の肌感では「データを捌ける人」は年々どんどん増えています。
そのため「”経営者が期待するサイエンティスト像“が、実態とズレているのでは?」という仮説を持っています。
つまり、経営者が求める人材は、サイエンティスト型よりも、シェフ型ではないか。

「データを渡したら、自社のビジネスに革命的なアイデアと成長をもたらしてくれる人材」

経営者が期待するサイエンティスト像とは、そんな人材ではないでしょうか?
しかし、私たちに言わせれば、その人材はサイエンティストよりはシェフ寄りです。(※世界レベルな人になれば両方できますが)

それにも関わらず、サイエンティストとして募集をかけるとどうなるか?
集まるのは「あまりにも理系。フーリエ解析やマルコフ連鎖モンテカルロ法に目を輝かせる人達」。
もはや仕事の任せ方がわからず、採用見送り。こんなケースが多いのではないでしょうか。

データ・シェフは理系より、文系に潜む!?

「データでおいしいビジネスを創るのが得意」なのは、データ・シェフ。
そして、シェフは「物理・工学・統計」の世界には、実は少ないと見立てています。
興味対象が違うからです。この畑の人材はベースが生粋の科学者である人が多いと感じます。

シェフが潜むのは「文系」。特に“ヒトの心”を扱う学問分野ではないかと見立てています。
例えば、行動経済学・心理学(実験・認知・社会)・マーケティング等。

シェフ型人材は、文系に多い 

我が師匠(データを見るとキャッチコピーを思いつく天才)も政治学科卒です。私も専攻は心理学(影響力の武器)でした。
(大学時代にはPythonはおろか、Excelすらまともに触ったことナシ…!)
私の周りで活躍するデータ人材も、文系出身者は意外と多いです。

ですので、全国の文系学生の皆さん。
「文系はデータ畑じゃ生き残れない」は「大ウソ」です。興味があれば、ぜひデータ畑に飛び込んでみて下さい!
ちなみに我が社には、シェフになるための修行機会はいくらでもあります。もちろん最初は「21世紀のじゃがいも剥き=クロス集計」からですが(笑。 (ちなみにインターンも開催します。私、講師します[4] )

こしらえるサミット

また持論では、「学部教育でのデータサイエンスの強化」よりも、シェフ型人材が社会に出た後に学べる「社会人大学院としてのデータサイエンスプログラムの強化」がより重要だと思っています。少なくとも、私は「喉から手」が出ています。

理想はサイエンス・クッキング

散々、シェフのポジショントークを繰り広げましたが、サイエンティストに価値がないとは一言もいっていません。
むしろ、リスペクトしています。

なぜか? 例えばフグ。
「フグの毒抜き」のような「高度な調理術の発明、実行」は、サイエンティストが抜群に得意だからです。
シェフは「毒の抜かれたフグ」を料理することが得意です。

そのため、超一級のデータを最高の料理にするには、「三ツ星データ・シェフ」と「ノーベル賞データ・サイエンティスト」がタッグを組む必要があるのです。
つまり理想は「サイエンス・クッキング」なのです!

理想はサイエンス・クッキング

私も理系天国のフロアーの中で、文系出身のシェフとして、凄腕サイエンティスト達と共に、日夜サイエンス・クッキングに励んでおります!

すべては、クライアントのうまい!のために。

次回からは、データ・シェフ横井が、どんな風にデータを料理するのか?その料理術についてご紹介します!

参考文献
[1]:Thomas H. Davenport and D.J. Patil, “Data Scientist: The Sexiest Job of the 21st Century,” Harvard Business Review, Oct., 2012. 邦訳「データ・サイエンティストほど素敵な仕事はない」,『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2013年2月号.
[2] Nicolaus Henke, Jordan Levine and Paul McInerney, “You Don’t Have to Be a Data Scientist to Fill This Must-Have Analytics Role”,Harvard Business Review,
(https://hbr.org/2018/02/you-dont-have-to-be-a-data-scientist-to-fill-this-must-have-analytics-role)
[3]:安宅和⼈「データ時代に向けたビジネス課題とアカデミアに向けた期待」応⽤統計学セミナー2015.5.23 (http://www.applstat.gr.jp/seminar/ataka.pdf)
[4]:博報堂PRODUCT’S インターンシップ こしらえるサミット D:ビッグデータから答えを導く仕事 http://www.h-products.co.jp/koshiraeru-summit/

プロフィール

横井 忠泰(よこい ただやす)
博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部 データマーケティング二部

【職業】データ・シェフ 【得意】 データサイエンスを活かしたビジネス企画 / ファシリテーション
【趣味】一日一冊の読書 【志】日本の難問解決 
【経歴】公立中学→国立学芸大学附属高校→慶應義塾大学(社会心理)→博報堂 PRODUCT’S。以来、一貫してデータマーケティングに従事
Tadayasu Yokoi is a Data Chef has expertise in growing business with data and idea, and loves reading books (one book per day).

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