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こんにちは、博報堂ダイレクトの渡辺です。

今回は、いま注目を集める「サブスクリプションモデル」について
ダイレクト視点から、注目される理由、今後のマーケティング活動へのヒントなどについて、
お話しできればと思います。

2017年11月頃、“ラーメン業界でもサブスクリプションモデル導入”
というニュースが流れ、ちょっとびっくりしました。

関東でガッツリ系ラーメンを展開する「野郎ラーメン」が始めた、
月額8600円で毎日ラーメンが食べられるというサービス。

決済や店員さんとのやり取りは、すべて「野郎ラーメンアプリ」で完結。
だいたい10日くらい食べると元が取れるような設計になっているようで、
毎日でも食べたいコアなファンにはとてもうれしいサービスのようです。

ちなみに、野郎ラーメンのプレスリリースに、
「赤字覚悟のサービスですので、食べ盛りの学生や働き盛りの18~38歳までの
私たちが定義する『野郎世代』のご利用に限ります」とあり、
彼らなりに自社の優良顧客をしっかり定義し、
そのためのサービスであることをきちんとメッセージしているあたりは、
単なる話題性狙いだけではない意思を感じました。

サブスクリプションモデルとは

サブスクリプションモデル(サブスクと略されこともあります)とは、
モノを買い取るのではなく、モノやサービスの“使用権”を一定期間借りる(契約する)
というビジネスモデルで、最近では、“定額制サービス”を指すことが多いようです。

ただ、サブスクリプションの原型としては、雑誌の年間購読がよく例に出されることがありますね。
我々が実務で扱っている「健康食品や化粧品など単品通販の定期コースや総合通販の頒布会」なども、これに含まれると考えてもよさそうです。
ですので、広義では、“都度購入ではなく、一定期間、その商品やサービスを購入または使用を前提とした契約型モデル”と定義することも出来そうですね。

様々な業種業態に広がるサブスクリプションモデル

DTPソフトで有名なAdobeが、
2013年にPhotoshopやIllustratorを箱売りからクラウド販売に切り替え、
売上、継続利用率を高めたことをきっかけに、デジタル業界でも導入が進んでいます。

ケータイのパケ放題、Apple Music、Netflixなどの
定額制の音楽や動画配信サービス、Amazonプライムなど、
デジタル系、ネット系では普通になってきましたが、
冒頭のラーメン屋さんをはじめ、飲食やクリーニング屋さんなど、身近なところでも導入が始まり、
話題になっています。
最近では、ファッション、家具、クルマなど、高額な商品にも広がりを見せています。

ラーメン屋さんや、コーヒーのサブスクリプションは、毎月一定額で食べ放題(飲み放題)
=“いっぱい使う人にはとてもお得”なサービス、というわかりやすいモデルですが、
家具やクルマのサブスクリプションとはどんなモデルなのでしょうか。

クルマを例に、少し説明します。
クルマ業界では、レンタカー、最近だとカーシェアリングといった“買わないモデル“がすでに存在しています。
これらは“週末だけ、使いたい”、あるいは、“ちょっと1時間だけ使いたい”というニーズに対応したものですが、クルマのサブスクリプションモデルは、もう少し長期(半年とか1年)での利用を想定したもの。
外資系自動車メーカーが、毎月定額で、そのメーカーの車種を自由に乗り換えられるサービスを始めたようです。
レンタカーやカーシェアリングは用途に応じて単に借りるだけに対して、
サブスクリプションの場合、一時的にでも自分の好きなブランドと関係できる(=“オーナー気分になれる“)というところは実は大きな違いかもしれません。

いまサブスクリプションモデルが
注目される意味

では、改めて、サブスクリプションモデルが
今、注目される意味はなんでしょうか。

サブスクリプションは、
企業にとっては、“継続的かつ安定的に収益が見込める”というメリットがあり、
ユーザーにとっても、都度購入するより、“お得かつ便利”、
という双方にWinWinなよく出来たモデルなのです。

人口が増えず、新しいお客様がつくりづらい今の時代では、
一人のお客様に、自社の商品やサービスをできるだけ長く継続して利用していただくことが
非常に重要な経営課題になってきていますが、継続利用を前提としたサブスクリプションは、
この課題を解決する新しい販売モデルなのです。

もうひとつは、
“所有価値から使用価値へ“という生活者の意識変化です。

「所有すること」よりも、「使いやすいこと」が選択基準になってきていると言われています。
高額な商品をがんばって購入し、長く使い続けるよりも、自分の経済状態やライフステージに合わせて、
使う商品を合理的に変えていく、そんな価値観を持った人が増えてきています。

これも、サブスクリプションモデルが注目されている背景の一つです。

サブスクリプションモデル成功の
ポイント

企業側、ユーザー側双方にメリットがある、注目のサブスクリプションですが、
参入事業者がみな成功しているかと言うと、戦いは始まったばかり。
勝者となるためのポイントをいくつか挙げてみましょう。

◆新しいもの好きや固定客だけのサービスであってはならない
毎月一定額を払うサブスクリプションは、そのサービスやブランドが好きなファンにはとてもうれしいサービスですが、新しいお客様にとっては、少しハードルがあるかもしれません。
“まず、ちょっと試せる”、“自分のスタイルに合わなければいつでも解約できる”、“うまく使いこなしているユーザーをきちんと見せる”といった新しいユーザーをうまく巻き込み、かつ、そのまま継続していただく、工夫が必要です。

◆長期利用者を優遇する仕組み
ずっとサービスを利用しているユーザーは、収益貢献のみならず、そのサービスを他人に広げてくれる伝道師。利用期間に応じて、利用料を変動させたり、長期利用者だけに特別なサービスを用意する、
などファンを育てる仕組みの構築が重要です。

◆お得だけではない、商品やサービスの独自性
サブスクリプション=”お得”、だけでは、競合に勝てません。
他社にない独自の商品(サービス)にサブスクリプションが掛け合わされ、初めて利用価値が生まれます。毎月定額でコーヒー飲み放題、でも、コーヒーが美味しくなければ、、、ということです。

◆使いやすいユーザーインターフェース
当たり前ですが、サブスクリプションは、使ってもらわなければ、そのメリットを享受できません。
そのために重要なのが、誰でも、使いやすいということ。
少ないステップでユーザー登録できたり、使いたい時に簡単に利用できる(それこそスマホをワンタップするくらい)、ちょっと気の利いた、親しみやすいインタフェースの実装が、実はとても大事です。

◆アジャイル的に進化させていくスピード感
じっくり時間をかけてサービスを構築しているうちに、どんどん新しいサービスがでてきます。プロトタイプを一部のコアなユーザーに使っていただき、その利用者の生声をベースに改良を重ねながら、サービスを進化・拡充させるくらいのスピード感が求められます。

サブスクリプションモデルは
何を実現するのか

アメリカの世界的な自動車メーカーが、
「これからは、モノづくりで勝負するのではなく、
“モビリティサービスプロバイダー“として、
顧客に様々な価値を提供できなければ生き残れない」
と言っています。

モノの価値だけでは、なかなか差別化しにくい現代、
企業と顧客が、どうすれば長期的かつ良好なリレーションを築くことができるのか。
(これは、我々が活動するダイレクトマーケティングの世界で、とても重要なテーマです)

そのヒントが、サブスクリプションモデルにあると思います。

どうやって買ってもらうか、ではなく、
どうやって使ってもらうか。
顧客に一番使いやすいカタチを提供することで、
結果的に、顧客と末永い関係が作られる、
サブスクリプションモデルにはそんな可能性を感じています。

プロフィール

渡辺 創吾(わたなべ・そうご)
博報堂ダイレクト
取締役常務執行役員

1991年博報堂入社。IT部門にて、基幹システムの大規模リニューアル、新聞社、雑誌社とのデジタル化推進プロジェクトなどに従事。以降、インタラクティブ局等でネットマーケティングやダイレクトマーケティング業務に携わる。2006年BrandXing(現、博報堂ダイレクト)設立時より参画。マーケティング×IT視点でのプロジェクトワークデザイン、CRMプランニングを得意領域とする。

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