ヒット習慣予報 vol.415『イマジナリー商品開発』

みなさんは、新しいアイデアを考えることは好きですか?
すごく好きというひとと、あまり好きではないというひとに分かれる質問かと、個人的には思います。
まっさらな状態からとなると少しハードルが高いものの、もともとあるアイデアにちょい足ししたり、オリジナルのアレンジを入れたりしたものが実際に出来上がるのはおもしろいと感じるひとは多いのかもしれません。
いま、SNSを利用するさまざまなひとたちのなかで、自身が頭のなかで想像した商品のアイデアを、AIや画像編集アプリを駆使しながらかなりリアルな画像まで作成したり、実際に作ってみたりする習慣が見られるのを知っていますか?
この習慣は、もちろん仕事としてではなく、あくまで個人的な趣味としてアイデアをリアルな画像にし、SNSにおもしろいネタとしてアップするというものです。実際につくるとなるとさまざまな問題が発生するため非現実的なものも多くある反面、だからこそSNS上で多くのひとに楽しまれるコンテンツとなっている側面もあるように見受けられます。
実際にGoogleトレンドを見てみると、「商品 生成」の検索数はここ5年で増加していることがわかります。

(出典:Googleトレンド「商品 生成」の検索数推移)
では一体、「イマジナリー商品開発」はどんな習慣なのか。事例を交えて具体的にご紹介します。
事例の1つ目は、「オリジナルお菓子のパッケージ開発」です。
お菓子のパッケージは楽しい見た目のものが多いですが、オリジナル・架空のものを妄想して、例えば近未来お菓子パッケージやギャル風パッケージ、推しに関連した味のお菓子のパッケージなどの画像をAIを使って作成し、それをSNSにアップするひとが散見されるのです。コメント欄ではほかのユーザーから、さらにこんなアイデアも加えてみてほしいと要望が寄せられたり、ぜひ買いたいと高く評価されたりなど、盛り上がりを見せているものも多くあります。

事例の2つ目は、「だれでもあのシーンを再現できるアイテム開発」です。
身につけるだけで、スポーツ選手やお笑い芸人の名シーンを再現できるようなグッズを開発し、その画像をSNSにアップしたり、実物を簡易的に作ってみたりして楽しむというひとが現れてきています。ボールの端ギリギリをかするように蹴ってゴールを入れた名シーンを再現するかのような、サッカーボールがついたサッカー用のスパイクや、持つだけでだれでもお笑い芸人の有名なネタを再現できるようなグッズなどが実際にSNS上にアップされるとコメント欄で盛り上がりを見せていました。決して実用的とは言えない商品の画像が出来上がるわけですが、もし実際にあったら仮装やパーティーのネタに使いたいという声も上がっていました。
事例3つ目は、「欲望詰め込みスイーツ開発」です。
実現するとあまりに背徳感が大きそうな破天荒なビジュアルのケーキや、他社コラボのため実現性は極めて低いものの、好きなお菓子をすべて乗せたパフェなどのリアルな画像を生成するひとも見られます。中には、さらにAIにアドバイスをもらってよりおもしろいスイーツを画面上で開発してから、実際に友人とのホームパーティーで作ってみたというひともいます。
では、なぜいまこのような習慣がきているのでしょうか。
ひとつは、発想を形にするまでの心理的ハードルがとにかく低くなったのではないかと思います。
これまでは、おもしろく話題になりそうな発想が頭の中にあっても、絵が描けたり慣れが必要なソフトを操作できたりしない限り、世の中に発信しようと思えるほどのかたちにはできない、という状況が案外多かったのではないでしょうか。
それがいまは、簡単な言葉の入力や簡単なタップ操作のみで、しかも数秒という短時間で、自身の発想をかなり的確に画像化してくれるAIや画像編集アプリが広く普及しています。もしこうだったら…こんな商品があれば…というアイデアを、想像だけで終わらせず画面上で表現してみるということが、より多くのひとにとって非常に気軽なものとなってきたのではないかと思います。
もうひとつは、だれかには受け入れてもらえる、という期待感を持ちやすい社会になってきたことが背景にあるのではないでしょうか。
最近では、企業やブランドと生活者がインタラクティブにやり取りしやすい環境が普及しています。その結果、生活者のアイデアやファンの発想を企画として取り入れ、実際に商品化へ進める企業も多くなってきました。
自身のアイデアを具体的に表現しSNSにアップすることで、もしかしたらそれを実現できるだれかに届くかもしれない、同じような感性を持つだれかに響くかもしれない、という可能性があるおもしろさがもたらした変化が一因なのではないかと思います。

最後に、「イマジナリー商品開発」のビジネスチャンスを考えてみました。
『イマジナリー商品開発』のビジネスチャンス例
■ 企業の商品開発担当者がアイデアのヒントを拾えるような、さまざまなひとの自由な妄想商品の投稿に特化した専用サイト
■ SNSで上がっていたアイデアを商品化したおもしろアイテムだけが売られている通販サイト
■ AIと一緒に開発した料理やスイーツの実現方法を真面目に記載している妄想レシピブック
みなさんもぜひ、頭の中にアイデアが浮かんだらすぐにAIに入力し、この世界にまだ存在しない商品の画像を作って楽しんでみてください!
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです
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北海道博報堂 / ヒット習慣メーカーズ メンバー2023年に北海道博報堂に入社。今年の4月からはプランナーと営業を兼務。
ここ最近、お香を焚かない日はない。


