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ヒット習慣予報 vol.416『セルフミームコレクション』
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ヒット習慣予報 vol.416『セルフミームコレクション』

こんにちは、ヒット習慣メーカーズの中村です。

雨の日が続くこの時期は、家でゆっくり過ごす時間も増えますよね。
私は先日、そんな休日に、前から気になっていた書籍『利己的な遺伝子』を読みました。
実はこの本は、著者のリチャード・ドーキンスが生物学的に伝わる情報「遺伝子(gene)」をもじって文化的に伝わる情報「ミーム(meme)」という言葉を初めて提唱した一冊としても知られています。

「ミーム」という言葉自体、いまやインターネット文化の広がりとともに、すっかり日常語として定着してきました。2024年2月以来、ネット上で生まれた面白い画像や言い回しを「ミーム」として楽しむのは、もはや当たり前の光景になりつつあります。


Google Trends「ミーム」検索量推移(2004年1月以降・日本)

言葉としても日本に広まってきた「ミーム」ですが、周りの人や感度の高いユーザーのソーシャルアカウントを眺めていると、外から流れてくるミームを楽しむだけでなく、日常での自分自身のミスやエラーを“自分だけのミーム” として面白がり、集めていくような動きが芽生えはじめているように感じます。

今回は、そんな何気ない日常で“複製”される自分のミスやエラーを、反省するのではなくネタとしてコレクションしていく新しい習慣を、「セルフミームコレクション」と名付けてご紹介いたします。

1つ目は、「半目コレクション」です。
写真をたくさん撮るなかで、半目になってしまった写真、いわゆる “失敗写真”を、消さずに専用のフォルダへ集めていく習慣です。普段なら、ベストショットだけ残して残りは削除するところを、あえてボツのほうをミームとしてコレクションする人がいるようで、私の友人は「半目専用フォルダをつくっている」とのことでした。私もつい半目になりがちなので、自分だったらすぐに大量の写真がストックされそうです。

2つ目は、「打ち間違いコレクション」です。
チャットやメールでやってしまう、クスっと笑えるような変な誤変換や打ち間違いを、送信前後でスクリーンショットに残していく習慣です。私の後輩にも、仕事中にやってしまった誤字をこっそりストックしている人がいました。見せてもらうと、「そんな打ち間違いすることある!?」というような内容で、なんだかこちらまで元気が湧いてきました。

3つ目は、「忘れものコレクション」です。
色々な場所でつい忘れて置いてきてしまった、忘れものを淡々と写真に記録していく習慣です。「絶対に忘れない」と書いた付箋ごと忘れてしまった友人に返すはずの小説や、宿に忘れてきてしまい今更意味のない「お土産リスト」のメモなど、自分への皮肉的な意味合いも込めてInstagramに投稿する友人をみかけます。そのうち「次はどんなものを忘れるんだろう」と、ちょっと楽しみになってくるかもしれませんね。

このように、様々な文脈で、「セルフミームコレクション」の兆しが見て取れます。
では、この習慣が広がりつつあることにはどんな背景や理由があるのでしょうか?考察してみました。

ひとつは、「完璧な自分」よりも、「崩れた自分」を受け入れる風潮が広がってきていることです。
完璧に取り繕った姿を見せることが当たり前になった反動か、最近はむしろ“盛らない”等身大の自分を受け入れ、肯定しようとする空気が強まってきました。ずっと隙のない自分を演じ続けるのは、しんどいものです。だからこそ、崩れた瞬間を否定せずにネタとして手元に置いておくことが、肩の力を抜くスイッチになっているのではないでしょうか。反省は自分を責める行為の一方で、セルフミームコレクションは自分を面白がり、自分を受け入れる行為として広まりつつあるのかもしれません。

もうひとつは、AIの時代だからこそ、人間のエラーがいとおしく見えてきていることです。
生成AIが暮らしに入り込み、たいていのことをそつなくこなしてくれるようになりました。AIは半目になりませんし、傘を忘れて出かけることもありません。だからこそ、半目になったり打ち間違えたり忘れたりする“ヒューマンエラー”は、AIには複製できない、人間だけのユーモアとして、むしろ魅力的に映るのではないでしょうか。ミスは、自分がちゃんと人間である証拠でもあるのです。

最後に、「セルフミームコレクション」に関するビジネスチャンスについて、考えてみました。

『セルフミームコレクション』に関連するビジネスチャンスの例
■ 何気なく撮ったセルフミーム、をそっと自動でアーカイブしてカテゴリ分類くれる、「セルフミーム」ストックアプリ
■ 仲の良い人たちの間で自分のセルフミームを投稿し合い、共感したり励まし合ったりする、クローズドで安心な「セルフミーム」SNSコミュニティ
■ 自分のセルフミームコレクションを、フォトブックやグッズに仕立てられる「セルフミーム作品集」づくりサービス

今回このコラムを書いてみて、セルフミームコレクションは、ありのままの自分を受け入れる練習にもなっているかもしれない、と感じました。失敗を消したり隠したりせず、「これも自分だよね」と棚に並べていく。それを繰り返すうちに、自己肯定や自己受容みたいなものに、じんわり効いてくるような気がしています。
もしこの記事を読んで少しでも興味を持たれた方は、まずは自分の小さなミスを、逆に面白がって一つ集めてみるところから、セルフミームコレクションを始めてみてはいかがでしょうか。

みなさんもぜひ、頭の中にアイデアが浮かんだらすぐにAIに入力し、この世界にまだ存在しない商品の画像を作って楽しんでみてください!

▼「ヒット習慣予報」とは? 
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。 
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2022年博報堂に入社。
    最近はキャンプにハマりそう。