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SEOのプロが解説する「ローカルSEO」の基礎知識
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SEOのプロが解説する「ローカルSEO」の基礎知識

地域に関連する情報の検索結果を最適化する「ローカルSEO」に注目が集まっています。リアル店舗展開を行っている事業者にとって必須であるこの施策の基礎知識や、活用できるソリューションについて、検索エンジンマーケティングサービスを提供するアイレップのメンバーに話を聞きました。

(写真右:株式会社アイレップ SEOディレクター 宮崎 薫 写真左:株式会社アイレップ サービスプランナー 荒井佑樹)

最適な店舗情報を提供し、顧客獲得の精度を高める

──「ローカルSEO」の概要について、あらためてご説明いただけますか。

宮崎
ローカルSEOとはSEO(Search Engine Optimization)の一種であり、地域情報(ローカル)の領域における最適化施策を指します。検索するユーザーに関連性の高い情報をローカル検索を通じて提供するための施策を指します。スマートフォンの普及もあり、近年ではユーザー自身の今いる場所の周辺情報を検索するケースが多く、そのような検索行動に対して、最適な情報を提供し、顧客獲得の精度を高めていくことの重要性が高まっています。
荒井
生活者を直接顧客対象としている店舗、具体的には飲食店や小売店にとって必要とされている施策です。

──いわゆる「MEO(マップ・エンジン・オプティマイゼーション)」と同義と考えてよいのでしょうか。

宮崎
同じ意味で使われることも少なくありませんが、「MEO」はローカル検索が日本で開始された黎明期に生まれた日本独自の造語で定義もあいまいです。クライアントの混乱を招く可能性や、これから学びたい人たちが適切な情報にアクセスできるようにするために、私たちは海外でも一般的に使われている「ローカルSEO」という用語で統一しています。

──ローカルSEOが着目されている背景についてお聞かせください。

荒井
店舗情報の検索に利用されるポータルサイト、レビューサイトなどの媒体の数は、世界で150を超えます。店舗側にとって重要なのは、どのような端末や検索サービスを使っても、あるいはどこから検索しても、店舗の情報が上位に表示されることであり、ユーザーに正確な情報が届くことです。それを実現する方法として着目されているのがローカルSEOです。
宮崎
日本でもこの数年、ローカルSEOに取り組む事業者が増えています。ローカルSEOにおける最もポピュラーであり定番のサービスとして「Googleマイビジネス」が挙げられます。これは、店舗情報などを無料で登録できるたいへん便利なサービスです。Googleは、この登録情報に基づいて検索結果を表示します。しかし世界に目を向けると、必ずしもすべてのユーザーがGoogleで検索しているわけではありません。例えば、中国からの観光客が日本の店舗情報を検索する場合に利用するのは、百度(バイドゥ)である可能性が高いですよね。あるいは、旅行・観光サイトなどから調べる人も少なくありません。
荒井
Googleマイビジネスだけでなく、あらゆる情報登録サービスや口コミサイトなどに掲載されている店舗情報を正確に管理する必要性が出てきたこと。それが、ローカルSEOに注目が集まっている大きな理由と言えます。

150超の媒体の情報を一元管理する

──アイレップもローカルSEOの支援を始めているのですか。

荒井
もちろんです。ローカル情報に関する検索の場合、検索結果のファーストビューは3つの要素で構成されています。上段から、リスティング広告、地図・地域情報、自然検索結果です。アイレップは以前から、そのうちの1段目に当たるリスティング広告と、3段目に当たるオーガニック検索のSEOに主に力を入れてきましたが、最近は2段目、つまりローカルSEOにも注力するようになっています。
宮崎
重要なのは、ローカルSEOにはSEOのトータルなノウハウが必要であるということです。例えば、企業のオウンドサイトの内容やレビューサイトの投稿内容によっても、ローカル検索の結果は大きく変わってきます。そのような視点を踏まえ、総合的なSEOのコンサルティングの一環としてローカルSEOを支援できるのが私たちの強みであると考えています。

──具体的にはどのような支援方法があるのでしょうか。

宮崎
最近私たちが着目し、クライアントにご提案しているのが「Yext(イエクスト)」というソリューションの活用です。これはさまざまなメディアに掲載されている店舗情報を一元管理できるツールで、先ほど申し上げた150を超える媒体のほぼすべてに対応しています。ここまでの網羅性を持ったツールはほかにありません。
荒井
ローカルSEOの基本は「NAP」、つまり、店名(Name)、住所(Address)、電話番号(Phone)を統一することです。しかし、その内容がメディアごとに異なるケースがしばしば見られます。例えば、店名の表記が誤っているケースや、営業時間を変更したのにそれが反映されていないといったケースです。
宮崎
検索エンジンの視点で見ると、情報が多くのメディアに掲載されていたとしても、NAPの表記が少しでも異なれば、同一の店舗として認識することができません。逆に、いろいろなメディアで店舗の情報が正確に言及されていると検索エンジンの評価も高まり、検索結果の上位に表示される可能性が高まります。
荒井
ユーザー視点で見ると、検索した時に正しい情報が掲出されることで、店舗への信頼性が高まることになります。一方、店舗側からすれば、正確な情報発信は来店機会損失の防止につながります。22時くらいにお酒が飲みたくなって近くの居酒屋を検索する場合、遅くまでやっている店を選びますよね。実際には24時まで営業しているのに、誤って「23時閉店」と記載していたら、その居酒屋が選ばれないかもしれません。Yextを活用すれば、そういった来店機会の損失を防ぐことができます。

──新型コロナウイルスの状況に対応して営業時間を変更する場合などにも、Yextは力を発揮しそうですね。

宮崎
おっしゃるとおりです。営業時間や休業日の急な変更などが発生した場合でも、Yextのプラットフォーム上で変更を加えれば、それがすべてのメディアに反映されます。非常に効率的で、かつ訂正漏れも生じません。

ほかにも、検索エンジンに読み取らせる構造化データを整備する機能や、オプションとして口コミ情報を解析する機能もあります。NAPなどの情報を100%コントロールしながら、PDCAを回すこともできる。そんなソリューションですね。

荒井
もう一つ、さまざまなメディアのユーザーレビューに一元的にリアクションできることも、Yextの機能として挙げておきたいと思います。レビューが来店や購入の意思決定になるケースは非常に多いし、レビューに対する返信は顧客満足度の向上にもつながります。
宮崎
ネガティブなレビューに対して丁寧なリアクションをすることでポジティブな評価に変わることもあります。Yextを活用した口コミ対策支援も私たちが提供できるサービスの一つです。

──Yextを活用することでより大きな効果が挙げられそうなのは、どのような店舗なのでしょうか。

荒井
あらゆる店舗に効果があると思いますが、とくに外国人の需要が多い店舗での効果は大きいと考えられます。コロナ禍によって訪日外国人の数は激減してしまいましたが、コロナ感染が収まれば、インバウンドは間違いなく復活するでしょう。先ほども触れたように、外国人が利用する検索ツールはさまざまです。そのすべてに正しい情報を露出することが、来店数と売上の向上に直結することになると思います。

オフラインとオンラインの隔たりを埋めていく

──Yextを導入している事業者は増えているのですか。

宮崎
大手チェーン系の企業などでの導入が増えていますね。
荒井
最近では、国内におよそ450店舗を展開するアパレル販売店がYextを活用しています。このクライアントの課題は、販売している主力商品のブランド名と店名が異なることでした。そこで、Yextを活用して店舗情報を正確に発信しながら、店舗情報と販売ブランド名を紐づける構造化のお手伝いをしました。
宮崎
ローカルSEOはもちろんYextの活用だけで実現するわけではありません。従来のSEOのノウハウを活用しながら、Yextとの相乗効果を生み出していくことが必要です。

──ローカルSEOは、リアル店舗とデジタル施策を融合させる新しい形の一つとも言えそうですね。

荒井
そう思います。実店舗を経営されてきた事業者の皆さんは、店舗設計、看板づくり、メニューづくり、接客といったオフラインマーケティングのノウハウを蓄積されていると思います。一方、そのノウハウをオンラインと結びつけられていないケースが少なくありません。
宮崎
組織的にも、実店舗運営を担う部門とデジタルマーケティングを担う部門が完全に分かれているケースが多いですよね。一方の部署には実店舗で集客しようというこだわりがあり、一方の部署にはデジタルで集客しようというこだわりがある。その2つのこだわりに隔たりがある点が課題になっていると思います。ローカルSEOの取り組みは、その隔たりを埋めていく作業と言ってもいいかもしれませんね。

<参考情報>
「【ローカルSEO】Googleマイビジネスの登録で終わらない対策」
https://digiful.irep.co.jp/blog/31306511493
「【新型コロナウイルス対応版】ローカルSEOで上位表示されるための運用法」
https://digiful.irep.co.jp/blog/30358089378

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  • 株式会社アイレップ
    ソリューションビジネスUnit インバウンドマーケティングDiv 第1インバウンドマーケティンググループ
    SEOディレクター
    SEOをはじめとして、ローカルSEO/LP制作/SNS運用/Facebook広告など多彩なWebマーケティングに携わった経験を活かし、クライアント企業(事業会社)の目標達成に向けて、オウンドメディアの流入を最大化するための課題把握と改善提案を柔軟に行う。ユーザー意図を踏まえた上での検索エンジンへの最適化を旨としており、通常検索及びローカルパックでのGoogleの検索アルゴリズムに精通し、テクニカルなSEOの観点から成果最大化に貢献する。
  • 株式会社アイレップ
    ソリューションビジネスUnit 統合ソリューションセールスDiv ソリューションセールスグループ
    サービスプランナー
    デジタルマーケティングを推進するうえでのクライアント課題を構造的に整理し、アイレップが持つケイパビリティを十分に活用したマーケティング施策を立案する。事業会社での営業経験を活かし、徹底した顧客目線でのサービス提案を行う。アイレップのローカルリスティング事業立ち上げ期である2019年8月より推進担当業務に従事している。