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【第9回】「メーカーの勝ちパターン」を創る、博報堂の“流通戦略”コンサルティングとは
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【第9回】「メーカーの勝ちパターン」を創る、博報堂の“流通戦略”コンサルティングとは

※2024年4月をもって、ショッパーマーケティング事業局(SMK局)はコマースコンサルティング局に改称いたしました。本稿より、連載「徹底解剖!コマースコンサルティング局」としてお届けします。

ショッパーマーケティング・コマース領域を専門とする組織「コマースコンサルティング局(CC局)」に迫る本連載。
第9回は、コマースコンサルティング局トレードマーケティング推進グループの井上、佐々木、古澤、さらにPwCコンサルティングの倉貫氏を交え、メーカーが抱える“流通戦略”における課題や、実際のコンサルティング事例などについて話を聞きました。

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(写真左から)
博報堂 コマースコンサルティング局
トレードマーケティング推進グループ マーケティングプラナー
古澤 咲来

博報堂 コマースコンサルティング局
トレードマーケティング推進グループ マーケティングプラニングディレクター
佐々木 智紀

博報堂 コマースコンサルティング局
トレードマーケティング推進グループ グループマネージャー
井上 元作

PwCコンサルティング合同会社 Consumer Markets
Senior Associate
倉貫 真理香

日々難化するメーカーの“流通戦略”

――まずは自己紹介をお願いします。

井上
私は2022年6月に博報堂へ入社しました。前職では飲料メーカーにてブランドマーケティングに従事し、現在はその経験を生かしてトレードマーケティング推進グループのマネージャーを務めています。
佐々木
トレードマーケティング推進グループの佐々木です。前職では食品メーカーの営業部において、大小さまざまな流通に対する営業実務や営業推進業務を経験しました。博報堂に入社後はショッパー・トレードマーケティング領域のメディア戦略の策定や、クライアントのトレードマーケティング領域の課題解決支援などの業務を担当しています。
古澤
同じくトレードマーケティング推進グループの古澤です。2022年12月に博報堂に入社しました。前職は日用品メーカーで、 ドラッグストアをはじめとした様々な業態の小売店に対して、担当商材が該当するカテゴリー全体の売場・販促提案を実施しておりました。 現在はトレードマーケティング領域の支援や新規ソリューション開発等に携わっています。
倉貫
私はPwCのコンサルタントとして、2023年4月からコマースコンサルティング局に常駐という形で参画させていただいております。PwCコンサルティングでも、流通業界や消費財業界のクライアントに対して、営業領域の事業改革、組織構築の他、戦略策定や業務改革、日系メーカーの海外進出等のご支援を行っております。

――トレードマーケティング推進グループでは、クライアントであるメーカーからどのような相談を受けることが多いのでしょうか。

佐々木
企業規模やカテゴリーの異なるさまざまなメーカー企業からご相談をいただいていますが、共通の課題としてあげられるのが「流通戦略」です。現在、小売業界のM&Aの加速やDtoCブランドのオフライン進出などによって、小売業を取り巻く環境が大きく変化しています。そんな変化の激しい環境の中、円安や原材料の高騰によりメーカー側も販促費の捻出が難しくなったり、競争プレイヤーも増えていたりするなかで、流通戦略の構築に課題を感じるメーカーは少なくありません。こうした状況を打開するために、我々にご相談をいただくケースが増えています。
井上
たとえば食品メーカーであれば、これまではスーパーへの流通を中心に考えていましたが、ドラッグストア店舗数の急拡大に伴い、ドラッグストアチャネルも見過ごせない状況になっています。こうしたチャネルシフトが加速している一方で、新しいチャネルやアカウントに対しどのようにアプローチすればいいのかという知見がなく、その課題を抱えるメーカーから問い合わせをいただくことが増えています。とりわけ、ドラッグストアチャネルにおいては、市場環境の変化が顕著に出ていると感じています。10年前と比べると寡占化が非常に進んでおり、1チェーンあたりの占めるシェアやメーカーに対する交渉力も増してきている状況に、どう向き合っていけばいいかを考えることが求められていますね。

古澤
ここ2~3年の間でSNS発の新興ブランドが登場してきた背景もあり、人的リソースや販促費が限られる中小企業のメーカーにも、大きなチャンスがある時代になってきています。その反面、大手メーカーに比べて小売との接点が少なく、「オフライン店舗での商品の配荷を増やすためにはどうすればいいか」といった相談を受けることがよくあります。
倉貫
やはり、一口に流通戦略と言っても、人的リソースや販促費等の物理的な制約の他、企業ごとの考え方や方針にも大きく影響を受ける部分で、画一的な正解があるわけではありません。だからこそ、クライアントの気持ちや想いも理解したうえで、ご支援していくことが重要になるのではないでしょうか。

メーカーと小売の利害を一致させ、全体最適のソリューションを提供


――メーカーの流通戦略という課題に対して、トレードマーケティング推進グループではどのような提案や解決策の提示を行っているのでしょうか。

佐々木
メーカーが抱えている課題は当然個社ごとにさまざまなので、画一的なソリューションを提供するのではなく、それぞれのケースの課題に応じた最適な支援を目指しています。課題を適切に把握するため、まずはクライアントの営業活動が戦略上どのようなフェーズにあるのかを確認し、課題感をディスカッションしながらクライアントとともに解決策をつくりあげていきます。
井上
現時点では課題把握で見えてきたことに対し、販路拡大や売上の向上、営業組織の構築など、メーカーごとの要望にいかに応えられるかを意識しながら、我々ならではの付加価値を提供していくスタンスで取り組んでいますね。
倉貫
クライアントの流通攻略のご支援に当たっては、彼らの「自社ブランドを売りたい」という視点と、小売企業の「このカテゴリー全体の売上を上げたい」という、一見似ているようで異なる2つの視点を理解することが重要になります。この過程において博報堂のクライアント企業出身の皆さんの知見と弊社の小売に関する知見を掛け合わせることで、クライアントの様々な課題解決をご支援できていると認識しています。
またこれまで博報堂とご一緒させていただいていると、やはり実際の売りに繋げるソリューションがあることも、クライアントが感じる大きなメリットだと思います。リテールメディアや店頭の棚獲得、配荷の最適化やラウンディングなど、「構想」だけでなく「実装」まで確実に繋げることが可能なため、クライアントも効果的にPDCAサイクルを回すことができるのではないでしょうか。

取り組み事例①:日用品メーカーでの営業組織構築支援

――具体的な支援実績にはどのようなものがあるのか教えてください。

古澤
まずは私から、日用品メーカーにおける、営業組織の構築支援の事例を紹介いたします。そもそもの与件としていただいたのは、「一般流通向けに発売された製品の販路を大手ドラッグチェーンなどに拡大したい」というものでした。同メーカーは法人向け製品においてはブランド認知もあり、営業組織としても経験が豊富ですが、未経験である一般流通にビジネスを拡大するという点にハードルを感じられていました。また、自社営業の人的リソースの問題から網羅的な営業が難しく、小売領域の専門的な知見を有する営業組織もないことが大きな課題となっていました。私自身、前職時代に培った一般流通における商品配荷の適切なタイミングやアクションについての知見は持っていましたが、営業組織の構築をする際の最適解を持ち合わせていなかったので、PwCの倉貫さんと連携しながら、クライアントの要望に適う営業チームの組成を伴走支援しました。具体的には、チームビルディングの際にクライアントから「みんなで話し合いながら作っていきたい」という要望があったため、初手としてワークショップを実施しました。全員で膝を突き合わせ、議論を重ねながら理想の営業組織を思い描いていく。そして最後に出たアウトプットをもとに、ToDoレベルまで落とし込めるようなワークショップの設計を行いました。

倉貫
クライアントからのご要望は「対小売向けの営業組織の組成」と、「営業プロセスの確立およびその確実な遂行」の2点でした。ご支援においては、現場のメンバーや実際に営業を推進する担当者も含めた課題ヒアリングを実施し、あるべき営業組織を議論し合うことからスタートしました。我々のご支援が終了した後でも、現場の方々が納得感を持って自走していける状態をいかに作れるかが重要だと考えています。
ワークショップは2ステップで行いました。前半では、一般的な流通におけるメーカー営業について、扱う商材やチャネルごとの違い、取り組みのノウハウをインプットしつつ全員で議論しました。後半では今回の一般流通向け商品の強みや、営業活動にリソースを避ける人員等の情報を踏まえ、「誰が、いつ、どのように」動くかという具体的なToDoまで落とし込んでいきました。各アクションを担当する具体メンバーの割り振りまで完了させ、“明日から手を動かせる状態”を作ったのがワークショップの大きな成果でした。

井上
博報堂のコマースコンサルティング局には、実際にメーカーの中でカテゴリーキャプテンとして営業実務を行っていたメンバーがいるからこそ、週次・月次ですること、追うべき指標など細かな粒度まで決めることができ、具体的なToDoまで落とし込めたと思っています。
倉貫
クライアントの考える理想の営業組織はどのようなものか。それを組成するために重要視していることや課題・背景は何か。現場が適切に運用できるように、クライアントとの認識合わせを密に行いながらカスタマイズしていくことを心がけていましたね。
佐々木
メーカーにおいて営業の実務経験がある我々から見ても、最終的なアウトプットはメーカーの営業現場が活動する上で本当に使える・役立つような非常に納得性の高いものであると感じました。
古澤
加えて、ワークショップの開催を通して評価いただいたのは、マーケティングの目線ではなく、営業の目線に立った多くの「気づき」や「発見」につながり、クライアントにおける社内認識の統一ができたことです。現状としては、今夏以降の棚割における販路拡大の準備を進めている段階で、「具体的に何をするべきかがクリアになったことで、実際に配荷が広がりそう」というお声をいただいております。

取り組み事例②:食品メーカーにおける営業戦略プラニングと商談支援

佐々木
私からは食品メーカーにおける営業戦略プラニングと流通商談の支援事例をご紹介します。当クライアントには営業戦略の立案や流通取組を支援する部門がそれまで社内に存在しておらず、リテール個社に対する取組が各営業個人のスキルや経験に依存する部分が大きい状況でした。

井上
営業戦略プラニングに関しても、全国各地の営業支社任せになっており、定量的なデータをもとに優先順位をつけることに課題感がありました。そこで我々がいくつかの定量データを元に客観的な視点からアカウントの仕分け、グルーピングを行っていき、その中からオポチュニティのあるアカウントに対して商談支援をさせていただきました。

佐々木
商談支援のフェーズでは我々メーカー営業出身者の知見だけでなく、コマースコンサルティング局に所属するリテール商品部出身のメンバーからヒアリングした「バイヤーがどういった提案をメーカーに求めているか」=「バイヤーインサイト」にもしっかりと準拠しながら支援を行いました。また、商談に欠かせない説得材料となるデータ分析については、クライアントの保有しているデータ・博報堂の持つデータの双方を活用しながら、コマースコンサルティング局内のデータサイエンティストとも連携し、統計学的な観点からも分析サポートを行うことでより強度の高い提案ストーリーをつくることができました。結果として、今回のご支援が対象カテゴリーにおけるクライアントの採用SKU増加や重点商品の採用店舗数のモジュールUPを実現することにつながるなど、目に見える成果も実際に出ています。流通商談にはデータ分析などの要素だけではなく、リベートや商品部の方針、競合メーカーの攻勢や過去の取組経緯など様々な変数が存在するため、我々の支援だけの成果では当然ありませんが、クライアントの営業担当者様からも博報堂の支援が商談ストーリーを考える上で大きなヒントになったというお声もいただきました。
古澤
今回の商談支援をきっかけに、今まで取得できていなかったリテールのPOSデータをバイヤーから提供してもらえるようになったほか、 クライアントが追加の提案機会を得られたことも今後につながる成果のひとつですね。

「新しい勝ちパターン」をクライアントと共創していく

――今後の展望や挑戦したいことをお聞かせください。

古澤
私は主に中小企業を担当させていただくケースが多いのですが、今回の日用品メーカーのような、新たに一般流通のオフラインチャネルの開拓にチャレンジしたいというメーカーの支援をしていきたいですね。現状でも、一般流通への配荷に課題がある事例は多くある一方で、やるべきことはある程度決まっていると思っていて。ただ、小売やメーカー、扱う商材によって変わってくるので、そこの知見を蓄積していくことができれば、より多くの要望に応えられるのではと考えています。
佐々木
我々のチームには先述したようなデータサイエンティストやリテールサイドの知見を持つメンバーなど、様々な角度からメーカー様の課題に対応できるメンバーが在籍しています。今後も流通戦略の王道となるアプローチだけでなく、クライアント個別の課題に応じたプラニング、サポートを推進していきたいですね。
井上
生活者の消費行動が変わっていくなかで、小売の競争もより一層激しくなっていくと思っています。当然ながらメーカーの営業部としても、小売のニーズに沿った形での営業活動や提案の仕方を考えていくことが求められています。こうした部分をPwCの知見もお借りしながら、ソリューションとして提案できる幅をさらに広げていければと考えていますね。
テレビCMを打って全国キャンペーンを実施し、小売の売場を抑えていくという従来の手法だけではなく、「新しい勝ちパターン」を見出せるように、クライアントと共創していければと思っています。
倉貫
今回のような博報堂との取り組みを受けて、今後互いの強みを生かしたより幅広い支援ができると実感しました。博報堂の強みである生活者発想の視点や、売り上げに寄与するブランディングや販促のノウハウと、PwCの培ってきた営業や小売分野のご支援実績をうまく掛け合わせ、戦略策定のような比較的長期的な視点から、明日の売りをどう作っていくかといった短期的な視点まで、さまざまなクライアントの課題解決に貢献していきたいと考えています。
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  • 博報堂 コマースコンサルティング局
    トレードマーケティング推進グループ マーケティングプラナー
    2019年に新卒で外資系大手日用品メーカーに入社後、ドラッグストアを中心とした様々な業態の小売企業の本部を担当。棚割戦略の構築や戦略的協働パートナーシップの締結など多岐にわたる業務を経験。2022年12月に博報堂に入社し、消費財業界におけるトレードマーケティング領域の戦略策定及びコンサルティング業務を担当。
  • 博報堂 コマースコンサルティング局
    トレードマーケティング推進グループ マーケティングプラニングディレクター
    新卒で大手消費財メーカーに入社後、多様なチャネルのリテールに対する営業実務や営業推進業務を経験。2023年に博報堂入社。ショッパー・トレード領域のマーケティング戦略策定や新規ソリューションの開発、コンサルティング業務を担当。
  • 博報堂 コマースコンサルティング局
    トレードマーケティング推進グループ グループマネージャー
    2000年に新卒で国内大手コンサルティング会社に入社以降、金融・消費財・アパレル・小売業界に対するITシステムの開発・導入、BPR、店舗再生、プライシング戦略等多岐にわたるプロジェクトに従事。その後、外資系事業会社において、ブランドマネージャーとしてブランド戦略立案から実践までの実務を経験。2022年6月博報堂入社。現在は、消費財業界におけるコンサルティング業務及び新規ソリューションの開発を担当。
  • 倉貫 真理香
    倉貫 真理香
    PwCコンサルティング合同会社 Consumer Markets
    Senior Associate
    2021年に新卒でPwCコンサルティングに入社後、国内大手消費財メーカーの営業改革や営業データ分析基盤整備、海外進出支援や、小売企業の経営戦略やDX戦略策定、新規事業の立案等に従事。主にマーケティング・セールスの領域と小売企業に対するコンサルティング業務を専門に実施する。2023年から博報堂に常駐し、消費財メーカーを中心にトレードマーケティング領域の戦略・実行支援、独自ソリューションの開発を実施。