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アルビレックス新潟×DACが学生から募る未来のヒント|FULL SWAN CUP2023がみせた可能性
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アルビレックス新潟×DACが学生から募る未来のヒント|FULL SWAN CUP2023がみせた可能性

2023年夏、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下、DAC)は、プロサッカークラブ「アルビレックス新潟」と共同で、学生を対象としたマーケティングコンテスト「FULL SWAN CUP」*を開催しました。
新潟大学発のベンチャー企業である合同会社ビーゼア(以下、ビーゼア)とともに、「学生の力で世の中を動かす」ことをコンセプトに企画された今回のマーケティングコンテスト。そこにはどんな狙いがあったのか、この企画を通して得られたものとは?最終審査を終えたばかりのプロジェクトメンバーに聞きました。

*「FULL SWAN CUP」とは・・・アルビレックス新潟のホームスタジアムであるデンカビッグスワンスタジアムを満員にするためのマーケティングプランを募る、大学生を対象としたコンテスト。

風間一理氏
株式会社アルビレックス新潟 事業本部 本部長兼事業部 部長

杉山凛氏
合同会社ビーゼア CEO

佐藤允
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
経営管理本部 人事企画部 マネージャー

竹林知里
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
経営管理本部 人事企画部

「スタジアムをいっぱいにする」という大きいゴールに向かうパートナー

―はじめに、「FULL SWAN CUP」の立役者である皆さんに自己紹介をお願いします。

佐藤允(以下、佐藤)
DACの人事企画部で、採用広報を担当しています。DACでは2019年に新潟オフィスを設立し、新潟での採用も行なっているのですが、まだまだ知名度が低いというのがネックです。新潟の皆さんにDACの存在を知っていただきたい、一緒に新潟を盛りあげていきたいという想いで、昨年の9月からアルビレックス新潟に協賛させていただきました。今年に入ってからはデジタルマーケティングパートナーとしてご一緒しています。
竹林知里(以下、竹林)
私も佐藤と同じく人事企画部のメンバーとして新潟の採用広報を行なっています。今回のコンテストでは進行など全般を担当しています。
杉山凛さん(以下、杉山)
合同会社ビーゼアの代表で、新潟大学経済科学部の4年生です。ビーゼアでは企業の採用活動や店舗マーケティングの支援をしています。DACとは大学の教授の紹介でご一緒するようになり、今回のコンテストの企画も提案させていただきました。
風間一理さん(以下、風間)
アルビレックス新潟の事業本部で、個人のファンの皆さんに向けた施策を行なっています。DACには、もっとサポーターに楽しんでいただくため、ファンを増やしていくための施策を、デジタルマーケティングパートナーとして支援していただいています。そのなかで生まれたのが今回の「FULL SWAN CUP」です。

―デジタルマーケティングパートナーということですが、具体的にはどのような取り組みをしているのでしょうか。

佐藤
サポーターの皆さんとのLINE上でのコミュニケーション設計を、DACのソリューション「DialogOne ®」を活用して行なったり、SNS広告の戦略を提案したりしています。
直近では新たに友だち紹介キャンペーン「アルビと、会おう。」を開始しました。アルビレックス新潟を応援している方々と一緒に新たな仲間を増やしたいと思い、新規登録の方への特典はもちろんですが、紹介者である既に友だちのユーザーにも楽しんでもらえる仕掛けを考えました。
風間
若年層のお客さまを呼ぶためSNS広告をお手伝いいただいたとき、目に見えて新規の若いお客さまが増加するなど、着実に効果は出せていると実感しています。私達が目指しているものをシーズンのはじめから共有できているので、目先のコンバージョンだけにとらわれず、いつも私達に寄り添った提案をしていただけるチームですね。
佐藤
通常の広告案件ですと、ひとつのKPIを達成しましょうという話になりますが、アルビレックスとの取り組みでは「スタジアムをいっぱいにする」という大きいゴールに向かっているので、持続的に施策を行うことを意識しています。そのためには、私たちだけでなく、学生など異なる目線も必要です。これから次世代のファン層を呼びたいと考えたとき、一番欲しいのは同世代の視点ですよね。そのためにも、ビーゼアはぴったりのパートナーだったわけです。

アルビレックス新潟、DAC、ビーゼア。3者のつながりが生んだ「FULL SWAN CUP」

―DACとビーゼアはどういった経緯で取り組みを始めたのでしょうか。

佐藤
もともとDACが新潟大学でマーケティングの授業を行っていたのがきっかけです。そこから知り合った教授に、新潟の採用でのニーズについて相談したところ、ゼミから生まれたベンチャーがあるとご紹介いただいたのがビーゼアです。現役の大学生がどう考えているのか、なにを求めているのかを定期的にヒアリングさせてもらっていました。そのなかで「こういう企画があったらいいのでは」というアイデアが出たのが、まさしく今回の「FULL SWAN CUP」です。
杉山
私達の専攻はマーケティングなので、はじめは雑貨屋さんの店舗マーケティングなどから事業をスタートしたのですが、企業と取り組むなかでどの企業も採用に課題があることがわかりました。私達自身学生ですし、その視点をもってなにかお役に立てることがあるのではないかと思い、採用のお手伝いをはじめることに。新潟の学生に採用に関する本音をヒアリングして、それを企業に橋渡しする取り組みをしてきました。学生はDACのような企業の仕事内容に触れる機会があまりないので、コンテストの場でマーケティングの楽しさが伝わったらいいのではと思い、今回の企画を提案させていただきました。

佐藤
せっかくマーケティングコンテストを行うなら、学生の皆さんにとっても親しみのあるアルビレックス新潟を題材にすることで参加のハードルが下がりますし、若年層を取り入れたいアルビレックス新潟としてもアイデアを募ることができる。最高のマッチングだと思いましたね。
風間
そういう流れでご提案をいただけたのは本当に光栄なことだと思います。二つ返事でオーケーしました。
竹林
最終的には18チームの応募があり、一次審査を経て昨日8チームによる最終審査が行われたばかりです。

地域貢献や社会課題への取り組みなど、新たな視点に感じた可能性

―審査を終えて、率直な感想をお聞かせください。

風間
サッカーが好きな人が参加してくださっているのがよくわかりました。さまざまな施策も研究したうえで、新潟で何をすればいいかをちゃんと考えてくれていました。県外からの参加チームも、新潟のことをよく調べて提案してくださっていたのが嬉しかったですね。とてもまとまってよくできた提案が多かった印象です。それは裏を返すと、これまで他で行ってきた施策の枠から出ないものになってしまいがち。その中で、1チームかなり大胆な発想を取り入れているチームがあって、印象的でした。まだ我々が気づいていないアプローチの可能性を感じましたね。

―具体的にはどのようなアイデアだったのでしょうか。

風間
保護犬の問題とスタジアムを紐づけたアイデアでした。ペットと一緒に観戦しようというアイデアは私も考えたことがあるんですが、これは順番が違うんですよ。まず保護犬との触れ合いイベントをやりましょう、その後に譲渡会をやりましょう、最後にペットと一緒に観戦しましょうというアイデアです。自分たちでは考えられなかった視点でした。
佐藤
地域貢献的な側面だったり、社会課題の解決みたいな視点はすごくよかったですよね。
審査員特別賞に選ばれました。
風間
私達はついつい「サッカー好きはどこにいるのか」と探してしまいがちですが、本当はいまサッカーファンではない皆さんにも興味を持っていただかなくてはいけない。そういう意味で新しい扉が開かれたような気持ちがしました。

参加のハードルを下げ、マーケティングの魅力を伝えるために取り組んだこと

―コンテストは学生が求めていた場でもあると思います。ビーゼアの皆さんから見ていかがでしたか。

杉山
こういったコンテストに出る人は、いかにも起業を目指しています!という百戦錬磨な学生が多い印象なのですが、今回は幅広い学生にマーケティングに触れてもらえる機会になったと思います。いい意味で挑戦するハードルを下げられたのかなと。

―ハードルを下げるために工夫したことは?

杉山
アルビレックス新潟を題材にできたことが第一ですし、オリエンのときにDACの皆さんがかなり詳しくマーケティングについてのレクチャーをしてくださったのも大きかったです。
佐藤
学生へのオリエンで、マーケティングってなに?という基本からアイデアの発想法、メッセージのつくり方などDACの知見を提供しました。今回はコラボレーションをテーマにしていたので、チームづくりのノウハウをお伝えしたのもポイントです。チームのミッションを考えてもらって、そこからチーム名をつくったり。そこまでやると、チームとしてなにをやるべきかが見えてくるんですよね。優勝したチームはそういった根っこの部分もきちんとやってくれていて、オリエンをした私達も嬉しくなりました。
竹林
私は学生たちのメンター的な役割も担っていたので、オリエンから発表までの姿を近くでずっと見てきて、昨日行われた最終プレゼンでは母心のようなものが生まれてましたね(笑)。この取り組みを通して、学生の方たちにマーケティングの魅力を伝えられた実感はあります。

優勝したアイデアのすばらしさは、発想の軸足がお客さまにあること

―優勝を手にしたのはどんなアイデアだったのでしょうか。

佐藤
スタジアムに来たファンがお揃いのブランケットを掲げるコレオグラフィーをベースにした案なのですが、ショッピングモールでサッカーファン以外の層に向けたプレゼントキャンペーンを絡めていたりとなかなか秀逸でした。実はアルビレックス新潟と客層が似ているのは、大規模ショッピングモールだったりもするわけです。
風間
家族で過ごす時間をどこで費やすかという意味では同じですよね。そういう日常の場で訴求するのは非常に有意義です。また、プレゼントの中身に公式グッズだけでなく日用品を入れるというアイデアも実に大人な提案だと思いました。サッカー好きじゃなければ公式グッズにメリットを感じないわけで、そういうこちらの価値観を押し付けない提案ができていました。
佐藤
そのプレゼントキャンペーンを通じてコレオグラフィーの企画を周知して、スタジアムに来たお客さまにブランケットをプレゼントするという流れになっているんですよね。
風間
面積が大きいブランケットを使えばタオルよりもよりきれいにコレオグラフィーができますし、シーズン最終戦で行う想定なので12月の実施です。冬の新潟は寒いですから、あたたかいブランケットは価値になります。アイデアが斬新というよりも、発想の軸足がお客さまにあることがすばらしいです。このスタジアムがオレンジのブランケット一色になる風景を見てみたいですよね。地域を盛りあげることにもつながりますし、ぜひ実現してみたいと思います。

若い世代と一緒に考える“場”をつくり、リアルな熱量でつながりを生み出す

―今回のコンテストを通じての気づきや、今後の展望を教えてください。

佐藤
本当にサッカーが大好きな人が参加してくれたので、アイデアにリアリティがあるんですよね。私自身はアルビレックスの「デジタルマーケティングパートナー」であるという名称に少し引っ張られすぎていたのかな、と反省する場面もありました。優勝チームのアイデアもそうですが、オフラインでチームを盛りあげるリアルな種をいただいたので、今後デジタルとどう掛け合わせていくかという新しい課題に向き合っていきたいです。
風間
普段からDACがビーゼアと取り組まれる姿を見ていて、若い世代の皆さんとの向き合い方がすばらしいと感じています。
アルビレックス新潟は発足から30年ほど経ちましたが、若い皆さんにどう残していくかを常に考えていますし、クラブチームというのは、これからの世代の地域の皆さまのためのもの。それを一緒に考えようという場のつくり方は非常に参考になりました。マーケティングの文脈だけでなく、地域貢献活動をやっていこうというときに、先ほどの保護犬の活動なども参考になりますし。若い世代の方が我々にどういう価値を求めるのか、それをしっかりと追いつづけて、先輩方がつくってくれたアルビレックス新潟の文化をしっかり繋いでいきたいと改めて思いました。

杉山
アルビレックス新潟と一緒に社会課題の解決に取り組めるという機会があれば、それは新潟の学生にとってもとても良い経験になると思います。自分で就職活動をしていても、やはり首都圏の学生とくらべて経験値の差を感じることがあります。一緒にビーゼアをやっている仲間は、地域の教育格差や文化格差をなくしたいという活動を行っているので、地方学生のポテンシャルを引き出す方法は今後も考えていきたいです。今回の「FULL SWAN CUP」ではチャレンジするきっかけやマーケティングについて知ってもらうきっかけをつくれたと思うので、地元新潟のためにも非常に良かったなと思います。
風間
今回の企画を通じて、若い方にどう関わってもらえるかのヒントをたくさんいただけたのが何よりありがたかったです。
佐藤
私達がやっているマーケティングって、ものを売ることだけじゃないんですよね。
つながりを生むということ。DACとアルビレックス新潟がつながり、DACとビーゼアがつながり、そうすることでアルビレックス新潟とビーゼアがつながる。このつながりを通して何かがつくれることに意味があると感じます。デジタルってちょっと冷たい印象を持つ方もいるかもしれませんが、私達はつながりをうまくつくる仕組みを生み出したいです。でもそのためには、デジタルだけでなくリアルな熱量が必要なのだと、今回のことで改めて感じました。

―今後も、リアルな熱量でつながりを生み出す展開が楽しみですね。
本日はどうもありがとうございました!

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  • 風間 一理氏
    風間 一理氏
    株式会社アルビレックス新潟 事業本部 本部長兼事業部 部長

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