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連載【ソウルドアウトのポテンシャルVol.3】日本のすみずみまで「稼ぐ力」を行き渡らせたい──テクノロジーと人の力で地方の広告会社を支援するSO Technologies
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連載【ソウルドアウトのポテンシャルVol.3】日本のすみずみまで「稼ぐ力」を行き渡らせたい──テクノロジーと人の力で地方の広告会社を支援するSO Technologies

2022年に博報堂DYグループの仲間となったソウルドアウト。そのグループ企業の一つがSO Technologies(エスオーテクノロジーズ)です。日本全国で活動する広告会社のインターネット広告事業を支援するSO Technologiesのビジネスモデルの概要、提供しているソリューション、ビジョンなどについて、今年から代表取締役を務める荒木 央に語ってもらいました。

荒木 央
SO Technologies 代表取締役

クライアントは地方の広告会社

──SO Technologiesの創設は2019年7月とのことです。はじめに会社の成り立ちについてご説明いただけますか。

荒木
ソウルドアウトのグループ企業だったツールベンダーとインターネット広告運用代行会社の2社が合併して生まれたのがSO Technologiesです。いずれのビジネスも広告会社をご支援していたので、それぞれの営業力、ソリューション力を組み合わせて、より強力なクライアント支援体制をつくっていくために合併することになりました。

──会社のミッションをお聞かせください。

荒木
「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」──。それがSO Technologiesのミッションです。地方で活動する広告会社のビジネスを支援し、さらにその先にいるたくさんの地方企業のお力にもなりたい。それが僕たちの思いです。地方の広告会社と地方企業、その両方の「稼ぐ力」を最大化するお手伝いをし、日本のすみずみまで「稼ぐ力」を行き渡らせることを目標にしています。

──具体的なビジネスモデルをお聞かせください。

荒木
「ツール」と「人」によって広告会社を支援するのが基本的なモデルです。さまざまなソリューションを用意していますが、とくに現在注力しているのは、「ATOM」と「AG-Boost」の2つです。

広告会社の数は、全国でおよそ9,000社にのぼります。その中には、マス広告が得意な総合広告会社もあれば、インターネット広告専業の会社、販促・プロモーションが得意な会社など、さまざまな形態の会社があります。そういった広告会社のインターネット広告業務の課題解決をご支援するのが僕たちの仕事です。ソリューションをご提供するだけでなく、インターネット広告業務に求められる組織開発や人材採用などのご相談に乗るケースも少なくありません。

「開発力」と「人材力」が大きな強み

──各地方に拠点を展開しているのですか。

荒木
現在の拠点は、東京と沖縄の2カ所です。お取り引きは、直接ご支援先となる広告会社のもとに伺ってお話をお聞きするところから始まりますが、その後はオンラインを活用しながら、適宜訪問してコミュニケーションを行うというスタイルで仕事を進めています。

コロナ禍以降は、フルリモートで働く社員が増えました。例えば、北海道に住みながらリモートで働き、地場の広告会社を支援するといったスタイルで働いている社員もいます。今後そのような社員を増やし、47都道府県すべてにネットワークをつくっていきたい。そんな長期的な目標を掲げています。

──それが実現すれば、働き方の多様化を推進しながら、クライアントとの距離を近づけることができますね。地方の広告会社を支援する企業は、ほかにもたくさんあるのですか。

荒木
各地域でビジネスをしている企業はほかにもありますが、全国規模で僕たちのようなビジネスをしている会社はほとんどありませんね。同じ博報堂DYグループのDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム)は、僕たちに近いモデルのビジネスを展開しています。

──SO Technologiesの強みはどのような点にあるとお考えですか。

荒木
開発力と人材力。その2つが大きな強みです。ツールはすべて社内で開発しているので、新しいプロダクトをつくることもできるし、クライアントからのご要望などに応じて既存のプロダクトに新機能を追加したり改修したりすることもスピーディにできます。

そのような開発体制を支えているのが人材力です。120人強の社員のうち、30人以上がエンジニア職で、外部のパートナーを合わせればエンジニアの数はその倍ほどになります。

また、広告業界での経験が長い社員が多いのも大きな強みです。業界経験が長いということは、インターネット広告市場拡大の過程とそこで生じた課題などを直接的に知っているということです。ですから、広告会社がインターネット広告業務を推進するに当たってどのような壁に直面するか、それをどのように乗り越えればいいかがよくわかるわけです。

──技術力や開発力に秀でた人材がいるだけでなく、課題解決力をもった人材もたくさんいるということですね。ソウルドアウトグループにおけるSO Technologiesのポジションについてもご説明いただけますか。

荒木
ソウルドアウトはいくつかのカンパニーに分かれています。SO Technologiesが属しているのは、その中の「ソフトウェアカンパニー」です。ソフトウェアを自ら開発し、全国の広告会社に提供するだけでなく、同じく広告会社でもあり、親会社となるソウルドアウトにも活用してもらう。そんなモデルになっています。

インターネット広告業務を支援する2つのソリューション

──現在注力しているソリューションは、「ATOM」と「AG-Boost」の2つとのことでした。それぞれについて詳しくご紹介ください。

荒木
ATOMは、運用型広告を手がけている広告会社にご提供している統合管理ツールです。運用型広告は、プラットフォームやメディアによって管理画面やレポーティングの仕組みが異なります。例えば、5つのプラットフォームで広告を運用する場合、それぞれに個別にログインし、それぞれの管理画面でデータを確認し、それぞれのフォーマットに則ってレポーティングをしなければなりません。1つのプラットフォームに複数のアカウントがある場合は、その作業はさらに煩雑になります。その作業を一元化し、共通の画面ですべてを管理できるようにするのがATOMです。

 このツールをお使いいただく最大のメリットは効率化です。運用型広告は「張り付き」での作業が必要になるので、どうしでも業務量が増えて、現場の社員の皆さんへの負荷が高まるという問題があります。ATOMをご活用いただければ、その負荷を大幅に下げることが可能になります。これまで600社以上にお使いいただいていますが、導入初月で、作業時間が総計30時間以上圧縮されたケースもあります。

広告会社支援SaaS「ATOM」:https://www.atom.tools/top/

──導入のプロセスもご説明いただけますか。

荒木
導入していただく際には、弊社の営業とカスタマーサクセスの担当が広告会社側のご担当者様とミーティングを行い、どのような媒体でどのくらいのアカウントを運用しているのか、どのくらい作業時間がかかってるのかといったことを細かくヒアリングしています。そのうえで、ATOMの使い方をご提案します。この段階ではコンサルティングや提案のフィーは一切いただきません。また、導入検討期間にお使いいただける管理画面も無料でご提供します。画面を実際に操作しながら、弊社のスタッフのサポートのもとで使用感を体験いただき、導入の可否を決めていただくという流れです。

──効率化以外のメリットにはどのようなものがありますか。

荒木
広告会社のお客様である企業(広告主)へのレポーティングのスピードや質を上げることが可能になります。それによって広告主側も広告成果を確認しやすくなり、意思決定もスムーズになります。また、効率化によって広告会社側のご担当者に時間の余裕ができるので、空いた時間を緻密なコンサルティングや新しい提案などに使うこともできるようになります。

──もう1つのソリューションが「AG-Boost」ですね。

荒木
ATOMがインターネット広告事業を持つ広告会社にご提供するツールであるのに対して、AG-Boostはインターネット広告を得意としていない広告会社をご支援するソリューションです。「AG」はエージェンシー(広告会社)のことで、エージェンシーのインターネット広告事業をブースト(成長)させるソリューションという意味がこの名称には込められています。

 このソリューションをお使いいただければ、インターネット広告に関わるあらゆる業務を弊社側のスタッフが黒子となって担当させていただきます。それによって、これまでインターネット広告をまったく手がけたことがない広告会社でも、インターネット広告商品を販売することが可能になります。これも導入に当たっては、クライアントへの提案書を簡単につくれるツールを無料でご提供し、ソリューションの使い勝手を体験していただくようにしています。

広告会社向けネット広告仕入・提案・運用支援サービス「AG-Boost」:https://ag-boost.jp/

──一種のアウトソーシングサービスということですね。広告会社側にインターネット広告事業を内製化していきたいというニーズがある場合は、どのように対応するのでしょうか。

荒木
そういったニーズにももちろんお応えしています。これまでインターネット広告を手がけてこなかった会社がすべてのオペレーションをすぐに内製化することは難しいので、例えば、インターネット広告の取り引きを始めた広告主が10社あれば、そのうちの3社の業務については内製化を進めていただき、残りの7社については僕たちが引き続きご支援する。そんなご提案をすることが多いですね。

全国9,000社の広告会社すべてを支援したい

──2022年4月に博報堂DYグループにジョインしました。それによってどのような変化が生まれましたか。

荒木
最も大きな変化は、情報や意見を交換する場が格段に広がったことです。博報堂DYグループ内にはさまざまな企業やユニットがありますし、先ほど申し上げたように、DACのように我々と同様に地方の広告会社を支援している企業もあります。そういった企業のメンバーとの情報交換は非常に有意義です。

──ビジネス領域が重なることによる問題はありませんか。

荒木
それはまったくありません。例えばDACと僕たちでは得意領域やクライアントへのアプローチの仕方が異なるので、むしろ補完関係がつくれると思っています。実際、この3月以降に複数のサービス連携もスタートさせています。(※)

ほかに、開発領域では博報堂テクノロジーズとの連携が進んでいます。今後は地方の博報堂との協業にもぜひ取り組んでいきたいですね。

※フィード広告支援サービス「フォーカセル」がDACのデータフィードコンサルティングサービスと連携、SO Technologiesとアイレップ、デジタルマーケター育成のための動画学習コンテンツ「D-PRACTICE」の共同開発を開始

──カルチャー面での融合で難しさを感じる点はありますか。

荒木
それもありませんね。博報堂DYグループが掲げる「生活者発想」や「パートナー主義」といったグループポリシーには大いに共感できますし、「パートナーに寄り添う」という文化もソウルドアウトグループと共通していると感じます。これまで、博報堂DYグループのさまざまなメンバーと対話してきましたが、「話が通じない」とか「受け入れてもらえない」といったことは一度としてありません。今後もぜひ共通のカルチャーを一緒に育てていきたいと思っています。

──これからの目標やビジョンをお聞かせください。

荒木
短期的には、プロダクト開発力にさらに磨きをかけていくことが目標です。最近話題になっている生成AIの技術なども取り込みながら、先端的なプロダクトを地方の広告会社の皆さんにどんどんお届けしていきたいと思っています。

長期的には、日本に9,000社ある広告会社のすべてにSO Technologiesのソリューションをお使いいただくことが夢であり目標です。全国津々浦々の広告会社の業務を支援し、その先にいる企業や生活者が享受できる価値を向上させていきたい。それによって、僕たちが掲げている「稼ぐ力をこの国のすみずみまで。」というミッションを実現していきたい──。そんなふうに考えています。

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  • 荒木 央
    荒木 央
    SO Technologies 代表取締役 兼 CCO
    ソフトウエアカンパニープレジデント
    1978年生まれ。オーバーチュア株式会社(現Yahoo! JAPAN)に入社し大手Web専業代理店の営業に従事した後、株式会社オムニバスに入社。海外製DSPや動画DSPの拡販を行い、2015年よりソウルドアウトグループに参画。ネット広告の媒体仕入~営業支援~運用・レポーティングに関わるすべての業務をパッケージにしたサービス「AG-Boost」の立ち上げと事業責任者を経て株式会社サーチライフの取締役に就任。2019年7月よりソフトウエアカンパニー 執行役員に就任。2023年1月より現職。