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対談!EC+【特別編②】地方企業や自治体のEC課題を解決する「地域DXソリューション」──地域コマースのバリューチェーンをフルファネルで支援──
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対談!EC+【特別編②】地方企業や自治体のEC課題を解決する「地域DXソリューション」──地域コマースのバリューチェーンをフルファネルで支援──

博報堂DYグループ内のEC領域のナレッジやスキルを集約し、クライアント企業のEC事業を戦略構築から実装・運用までフルファネル、ワンストップでサポートする「HAKUHODO EC+」がお送りする、EC事情の最前線をさまざまなプロフェッショナルの方とご紹介する連載「対談!EC+」。
今回は「対談!EC+」特別編の第2回として、「HAKUHODO EC+」の地方企業支援の経験から新たに生まれた「地域DXソリューション」より4つの個別ソリューションをご紹介します。ソリューションを担うメンバーに話を聞きました。

桑嶋 剛史
HAKUHODO EC+ ビジネスコンサルタント/地域DXソリューション リーダー
博報堂 ショッパーマーケティング事業局
コマース DX推進グループ イノベーションプラニングディレクター

水穂 優太
HAKUHODO EC+ コンサルタント
博報堂 ショッパーマーケティング事業局
コマースDX推進グループ マーケティングプラニングディレクター

矢野 裕
博報堂プロダクツ
カスタマーリレーション事業本部 コマースDX部 部長/シニアダイレクトマーケティングプロデューサー

靏見 亮太
日本トータルテレマーケティング株式会社
ECソリューション事業本部 ECソリューション営業統括部 統括部長

ECの企画から物流までをサポートする

──HAKUHODO EC+が提供する「地域DXソリューション」を紹介する第2回目となる今回は、博報堂、博報堂プロダクツ、そのグループ企業である日本トータルテレマーケティングの皆さんにお集まりいただきました。

桑嶋
6つある地域DXソリューションの中で、〈産地直送ECモール立ち上げ〉〈ECモール運用代行〉〈地域DX教育〉〈新商品開発〉の4つの個別ソリューションを担っているメンバーが今回は集まっています。クライアントの課題をヒアリングして、どのようなソリューションを使うのが最適かを考えるのが博報堂の僕や水穂さんの役割で、そのプランニングをもとに具体的なアクションプランをつくるのが博報堂プロダクツの矢野さんの仕事です。そのプランに基づいて、博報堂プロダクツや靏見さんの所属する日本トータルテレマーケティングのプロフェッショナルのメンバーがそれぞれの領域で力を発揮しています。

矢野
企画・構想を担うのが博報堂、実装・運用を担うのが博報堂プロダクツ。大きくはそう整理できます。2社の関係は、建築士と現場監督の関係に似ていると言えます。「現場」では、ECサイトの立上げにはじまり、コンタクトセンターでのサポートや受発注管理、物流、システム構築、CRM、時には商品を掲載していただく加盟店の促進といったサービスをクライアントに提供します。そのうち、コンタクトセンターと物流を担当するのが日本トータルテレマーケティングです。

──ECの企画から物流までをサポートするわけですね。博報堂DYグループの中でも、ここまでの一気通貫モデルは珍しいかもしれませんね。

水穂
なかなかないモデルだと思います。地域の事業者や自治体のEC展開をまさにトータルに支援できるのが地域DXソリューションの最大の特徴です。
矢野
博報堂DYグループは「フルファネルマーケティング」を掲げていますが、地域DXソリューションが目指しているのは「フルファネルのECバリューチェーン支援」です。世の中にはさまざまなECソリューションがありますが、商品がエンドユーザーに届くところまでをサポートできるのは、地域DXソリューションの大きな強みだと思います。

地域商圏を活性化させるEC展開

──それぞれのソリューションについて伺っていきます。まず〈産地直送ECモール立上げ〉についてご説明ください。

桑嶋
この数年、地域の事業者や自治体、地域商社の皆さんのEC展開をご支援する中で、とくに多かったのが「地域部産品の販促を加速させつつ、お金やデータが地域にたまる仕組みをつくりたい」という声でした。そのような声に応えるために開発したのがこのソリューションです。地域の事業者が加盟するECモールを立上げ、システム設計、ページ制作、加盟促進、受発注管理、ユーザーサポート、物流、PRまでの支援をご提供します。「フルファネルのECバリューチェーン支援」というコンセプトが最も明確に体現されたソリューションと言えますね。

水穂
クライアントとして想定されるのは、自治体や地方銀行、地域商社など、地域を束ねているプレーヤーです。ECで取り扱う商品は、食品など特定のカテゴリーに限定するケースと、地域の商材をマルチに取り扱うケースの両方がありうると考えています。

──受発注管理、ユーザーサポート、物流などの支援はどのようにして行うのですか。

桑嶋
その部分を担うのが日本トータルテレマーケティングです。地域ECの課題としてよく挙げられるのが、日々のEC業務を担う人材がいないことと、物流の統一的な仕組みをつくるのが難しいということです。ECを一度立ち上げると、毎日の売り上げを確認したり、ユーザーからの質問に応えたりするという日常の業務が発生します。また、各事業者が個別に物流事業者と契約すると、同じECサイトなのに商品によって到着までの時間がまちまちだったり、梱包がばらばらになったりするという問題が発生する可能性があります。それらの業務プロセスを日本トータルテレマーケティングが一括して請け負うことで、地域ECモールのスムーズな運営を実現する。それがこのソリューションの大きなポイントとなっています。
靏見
日本トータルテレマーケティングは自社で物流サービスを展開しています。その仕組みを使って、ECでの注文が発生した時点で加盟店の事業所から商品をピックアップし、物流網に商品を載せて、注文者に確実に商品を届けます。加盟店の皆さんの業務は、商品を発送用に梱包するだけです。

──一般的なECモールの場合、共通の倉庫に商品を預ける必要がありますよね。

靏見
このソリューションでは、各加盟店それぞれの事業所が「倉庫」になるので、商品を外部に預ける工程を省くことができます。結果として在庫管理も楽になるので、加盟店の皆さんにとって非常にやさしいモデルと言っていいと思います。

──このモデルで日本トータルテレマーケティングの持ち味がとくに発揮されているのはどのような点ですか。

靏見
サポートを集約することでコストメリットを出すことができる点です。例えば、東北と東海と九州それぞれのECモールを支援する場合でも、売り上げ管理や、コンタクトセンターでのユーザーサポート、物流オペレーションなどを共通のチームが担うことができます。人的リソースを集約できるので、各モールに比較的割安でサービスを提供することが可能になります。

──産地直送ECモールで販売できる商品にはどのようなものがあると考えられますか。

水穂
地域物産品とは非常に相性がいいと思います。デパートなどで開催されている物産展で売られている商品をイメージして頂けるとわかりやすいかもしれません。お酒、お菓子、生鮮食品、加工商品、伝統工芸品など、多種多様な商品展開が可能です。
靏見
そういった地域商材を入り口として、「その地域に行かなければ買えない商品」に目を向けていただくのが理想だと僕たちは考えています。ECによって地域の魅力を知ってもらい、次は実際にその地域に観光で訪れてもらうといった展開です。
桑嶋
将来的には、産地直送ECモールに宿泊予約などの仕組みを付加して、観光やレジャー商品の販売窓口にもできたらいいですよね。

ECの店長業務を代行して売上を伸ばす

──次に、〈ECモール運用代行〉についてご説明ください。

水穂
ECモールに出店したあとの運用を支援するソリューションが〈ECモール運用代行〉です。ECを運用する人材や知見が不足しているというのが、地方の多くの事業者の皆さんに共通するお悩みです。博報堂DYグループの人材力やECビジネスのノウハウを提供することで、その悩みを解決していきます。

桑嶋
地域DXソリューションの一つに〈EC事業診断〉という個別ソリューションがあります。これは、ECを始めるかどうか迷っている事業者がいらっしゃった場合、ECをやるメリットやその際の課題などをアセスメントし、その後の道筋をご提案するものです。その診断の結果、「ECモールに出店すべき」という結論が出た場合に提供できるのが〈ECモール運用代行〉です。
矢野
大規模なECプラットフォームで売上を確実に上げていくのは簡単ではありません。競合となる出店者がたくさんいるので、常に商品の動きをウォッチして、適切なアクションを素早く起こしていく必要があります。いわば「店長」の役割が必要になるわけです。その仕事をほかの業務と並行して行うことは、僕たちのこれまでの経験から見てほぼ不可能です。そこで、ECの管理業務の経験があるスタッフを派遣し、店長業務を代行するというのがこのソリューションのコアとなるサービスの一つです。
水穂
大手ECプラットフォームは巨大な商圏です。そこで売り上げを伸ばしていくには、検索順位を上げるといった施策も必要です。そのような戦略立案をしながら、人材面のサポートも提供していく。そんなトータルな支援モデルと言えますね。
矢野
売上を伸ばすためには、PRや広告などの施策が必要になる場合もあります。そのようなケースにも地域DXソリューションのメンバーが対応させていただけます。ECのオペレーションをサポートするだけでなく、「EC事業を成長させる」という大きな目標に寄与できるソリューションです。

EC業務の内製化を支援する

──3つ目が〈地域DX教育〉ですね。

桑嶋
この連載の第1回でもご説明しましたが、〈地域DX教育〉の構成は3つに分かれています。1つ目が「経営層向けのECビジネス講座」で、これは主に博報堂のメンバーが講師を担当します。2つ目が、企業の一般社員の皆さんを対象にしたベーシックな「DX研修」です。これはオンライン中心で提供しているサービスで、地域DXソリューションのメンバーの一社であるSO Technologiesが提供しています。これについては、連載の第3回で詳しくご紹介したいと思います。

そして3つ目が「EC店長育成研修」です。〈ECモール運用代行〉は店長となる人材を派遣するソリューションですが、僕たちが目指しているのは、最終的にEC業務をクライアント側で内製できる体制をつくることです。そのためには、クライアント社内で店長業務を担える人材を育成するお手伝いをする必要があります。そのソリューションが「EC店長育成研修」です。

矢野
ECの店長業務のスキルは、多くの場合、属人化した暗黙知になっています。そこで、そのスキルを一から整理して言語化し、体系化しました。しかし、それを座学で学んでいただくわけではありません。僕たちの専門スタッフが店長候補者の実業務に伴走し、OJTでスキルを身につけていただきます。
水穂
基本となる研修プログラムはありますが、クライアントの課題に応じてカスタマイズして提供できることも特徴です。求められるスキル水準にもよりますが、おおむね3カ月程度で研修が修了するケースが多いですね。

──〈ECモール運用代行〉と「EC店長育成研修」は、どのように使い分ければいいのでしょうか。

矢野
桑嶋さんが言ったように、クライアント側で最終的にEC業務を内製化できる支援をするのが僕たちの役割であると考えています。しかし、中にはECはアウトソーシングで展開していきたいと考えるクライアントもいらっしゃいます。内製化を目指す場合は「EC店長育成研修」を、アウトソーシングをお求めの場合は〈ECモール運用代行〉をお使いいただく。そんなイメージですね。
桑嶋
時間感にもよりますね。すぐにでもECの運用を始めたいという場合は〈ECモール運用代行〉をお使いいただくのがいいと思います。一方、多少時間がかかっても社内の人材を育てたいというときは、「EC店長育成研修」をご提案するようにしています。

全国の生活者と地域の事業者の双方をハッピーにしたい

──最後に4つ目の〈新商品開発〉についてご説明ください。

桑嶋
「ECを起点に、オフラインでも展開できるヒット商品」をつくるご支援をするのがこのソリューションです。ECで売れる商品を開発するには、顧客のニーズを踏まえながら、地域特性を上手に表現していく必要があります。また、ECのトレンドにも目を配らなければなりません。〈新商品開発〉ソリューションを活用いただければ、クライアントの想いをしっかりヒアリングし、地域に関する客観的視点を踏まえたうえで、博報堂DYグループ独自の生活者調査やEC市場データなどに基づいた商品企画をご提案することが可能です。

商品開発にあたっては、仕様、ネーミング、パッケージデザイン、販売スタイルなどを含めてご提案していきます。また、新商品を売り出したあとも、購買者データやSNSの口コミなどを分析し、商品の改善や第二弾商品の開発につなげていくことができます。

EC向けの商品開発のメリットは、スモールスタートができる点にあります。PDCAのP(プラン)の部分を小さく始めて、商品の動きを見ながら、その後のD(実行)、C(検証)、A(改善)のプロセスで商品を育てていく──。そんな取り組みをサポートできるのがこのソリューションです。

矢野
これまでの僕たちの商品開発支援の経験が生かされるソリューションだと考えています。クリエイターやプランナーなどの人材力をご提供するだけでなく、必要があればパッケージや配送に必要な箱の資材調達のご支援までをやらせていただけます。

──これらのソリューション群を活用して、地方事業者のECの成功や地方創生にどのように寄与していきたいか。それぞれの思いをお聞かせください。

水穂
EC事業支援に関して、ここまで網羅性のあるソリューションはないと自負しています。事業者や自治体の皆さんの課題に応じて必要なソリューションをご提供し、地域の魅力を全国に広めることで商圏を拡大していくお手伝いをしていきたいと考えています。

靏見
商品を「売る」だけではなく、「届ける」ところまでを支援できるのが地域DXソリューションの大きな特徴です。それぞれの地域ならではの商品を、全国の生活者の自宅まで確実にお届けする。それによって地域と生活者をつなげる。そんな取り組みをこれからも支援していきたいと思います。

矢野
ここまではどちらかというとクライアントとなる事業者側の視点に立って話をしてきました。一方で、地域発ECのいいところは、例えば北海道の山の中で暮らしていても、沖縄の特産品を手にすることができる点にあります。その仕組みを広めて、全国の生活者と地域の事業者の双方がハッピーになるような未来をつくっていきたいですね。
桑嶋
全国の生活者がどのエリアからでも商品を取り寄せることができて、その結果として全国のエリアが活性化していく。そんな世界をつくるポテンシャルが地域DXソリューションにはあると僕たちは考えています。このソリューションをどんどん活用いただいて、地域のビジネスをどんどん盛り上げていきたい。それが僕たちの想いです。このチームは地域ECのあらゆる課題に対応することが可能です。ぜひ一度ご相談いただければと思います。
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  • HAKUHODO EC+ ビジネスコンサルタント/
    地域DXソリューション リーダー
    博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    コマースDX推進グループ
    イノベーションプラニングディレクター
    通販事業の運営チームを経て、博報堂のEC支援チームの旗揚げに参画。米国Kepler社への短期出向を経て、現職。ECを軸に、新規ビジネスの立ち上げや変革、事業設計を得意とする。各種講師や記事/書籍執筆なども担当。
  • HAKUHODO EC+ コンサルタント
    博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    コマースDX推進グループ マーケティングプラニングディレクター
    2022年博報堂中途入社。大手ECモールでのECコンサルタントの経験をもとに、EC領域全体の事業設計や戦略策定を担当。新規出店企業から月商数十億円規模のクライアントまで幅広いコンサルティング実績を持つ。EC領域に特化した「HAKUHODO EC+」にも所属し、新たなソリューション開発も推進している。
  • 株式会社博報堂プロダクツ
    カスタマーリレーション事業本部 コマースDX部 部長/シニアダイレクトマーケティングプロデューサー
    2016年の博報堂グループ入社以来、ダイレクトビジネス/ECのプロデューサーとして現在に至る。プランニング領域に留まらず、事業計画/データ分析といったコンサルティング領域、コンタクトセンター/システム/物流といったフルフィルメント領域、EC/MA/モールといったデジタル領域など、川上から川下まで幅広い領域でのプロデュースおよびプロジェクトマネジメント経験が強み。
  • 靏見 亮太
    靏見 亮太
    日本トータルテレマーケティング株式会社
    ECソリューション事業本部 ECソリューション営業統括部  統括部長
    大手アパレル企業に入社し卸営業、直営店の運営を経験、その後レディースアパレル、雑貨、コスメのEC事業運営会社で営業、MDを経験。
    2016年に日本トータルテレマーケティング株式会社へ入社。
    現在はEC運営事業者様向けに売り上げアップ、業務改善、品質改善を中心に多数のプロジェクトに従事。

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