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ヒット習慣予報 vol.261『肯定感セルフケア』
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ヒット習慣予報 vol.261『肯定感セルフケア』

こんにちは。最近はすっかり暖かくなり、春の訪れにワクワクすると同時に花粉の訪れに震えています。ヒット習慣メーカーズの吉田です。

私はインターネットカルチャーが大好きなのですが、少し前からインターネット上で「全肯定bot」という言葉を見かける頻度が増えたように感じます。
この言葉は「何をしても盲目的に褒めてくれる人」に対して使われるものなのですが、ストレス社会と表現される現代社会では、この「全肯定bot」のような「褒めてくれる存在」を求めている人が多いのではないかと思います。

実際、Googleトレンドで「肯定感」と検索してみると、2016年頃から徐々に検索数が増加し続けており、近年ではその検索数は非常に多くなっています。「肯定感」が現代を生きるうえで重要な要素になっていると考えられます。

出典:Googleトレンド(「肯定感」で検索)

そんな「肯定感」について気になり、色々と調べてみたところ、様々な方法で「肯定感」を高める取り組みをしている人たちが増えてきていることがわかりました。
そこで、今回は「肯定感セルフケア」と題しまして、「肯定感」をあげる習慣の兆しのいくつかの事例を紹介したいと思います。

最初に紹介する事例は、「コミュニティで肯定感UP」です。
去年の夏ごろにリリースされた高校生向けのコミュニケーションアプリが、褒めあうアプリとしてアメリカの若者の間で話題になっているようです。
アプリの利用者は、自分が通う学校を指定し、同級生を登録し、アプリ側から送られてくる「学校のイベントでの人気者といえば?」などの質問に回答します。選択肢には、同じ学校に通う同級生の名前が表示されており、投票で選ばれると、選ばれた人にアプリ内のスコアが付与される仕組みです。
アプリによってさまざまな褒めどころが用意されており、ほかのクラスメイトに投票で選ばれることで肯定感に繋がっていくのですが、顔も名前も知らない人ではなく、普段から顔を合わせている学校の友人たちに褒めてもらうことで、より現実的に肯定されていると感じられるのが、このアプリが人気を集め始めている一つの要因ではないかと思います。

次は、「タスク管理で肯定感UP」です。
日々やらなくてはいけないことが増え続けるビジネスパーソンの中にはタスク管理アプリを利用されている方も多いかと思いますが、そんなタスク管理アプリの中には、タスクを一つこなすことでアプリ内のキャラクターから「時間通り起きられてえらい!」などと褒めてもらえるアプリが存在します。
自分が達成したタスクを可視化すると同時に「褒めてもらえる」という達成感も味わえるのが人気で、タスク管理以外にも日記を書くことで褒めてもらえるというアプリもあり、日々の行動の中で自然と肯定感を挙げられるのが人気の秘訣なのではないでしょうか。
タスク管理や日記といったルーティン作業は長続きしないという人でも、「褒めてもらえる」という達成感があれば長続きにつながるかもしれませんね。

最後に紹介するのが、「自分磨きで肯定感UP」です。
スキンケアやヘアケアといった外見に関する自分磨きだけでなく、英会話のレッスンや資格取得のための勉強といったスキルに関する自分磨きなど、様々な自分磨きを通じて、自己肯定感を上げる人たちが増えてきているようです。
自分磨きの多くは、一日だけでなく、中長期的に取り組むことで効果が出るものが多く、「長い間頑張ってきた」という事実も肯定感を上げるのにつながっているのではないでしょうか。


ここまで事例をいくつか紹介してきましたが、人に褒めてもらう機会を増やすだけでなく、何かを達成したりすることで「自己肯定感」を高めている人たちが増えてきていることがわかりました。
では、このような、「肯定感セルフケア」の機運が高まっている背景にはどのようなことが考えられるでしょうか。

まずひとつは、他人とのコミュニケーションがデジタル上で行われることが増えたことで「褒められる」機会が減少したことが背景として考えられます。デジタル上のコミュニケーションでは、最低限のやり取り以外が発生しにくいこともあり、人に褒められる機会が減少しているのではないかと考えられます。褒めてもらえる機会が減ったことにより、昔よりも自己肯定感を維持しにくくなっていることで、肯定感を求める人が増加したのではないでしょうか。
もう一つは、SNSなどのコミュニケーションツールの発達に伴い、自分より優れている人に出会いやすくなったことが挙げられます。「井の中の蛙大海を知らず」という言葉がありますが、インターネットの発達によって全世界的に情報が共有される現代社会では、この「井の中」は日本全国、全世界、といったスケールにまで拡張されているのではないでしょうか。そのような中で自分と他人を比較すると、どうしても自分に自信を持ちにくくなってしまい、自己肯定感をあげるために「肯定感セルフケア」を行う人が増加したのではないでしょうか。

最後に、「肯定感セルフケア」のビジネスチャンスについて、少し考えてみました。

「肯定感セルフケア」のビジネスチャンスの例
■自分が飼っているペットから今日の自分を褒めてもらえるARアプリの開発
■一日のタスクを応援しながら見守ってくれる応援型タスク管理アプリの開発
■自分が達成したことを記録し続ける「実績ポイントカード」アプリの開発

私はルーティン作業があまり得意ではないので、褒めてくれるタスク管理アプリを導入して、継続できるようにしつつ、肯定感を上げるか検討しています(笑)

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 北海道博報堂
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2020年北海道博報堂に入社し、マーケティング・ストラテジックプラナーとして業務に邁進している。インターネットに生息し、日夜インターネットカルチャーを浴び続けている。