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連載【ソウルドアウトグループVol.1】地方、中小・ベンチャー企業をトータルに支援するグループ力
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連載【ソウルドアウトグループVol.1】地方、中小・ベンチャー企業をトータルに支援するグループ力

2022年4月に博報堂DYグループ入りしたソウルドアウトは、09年の創業以来、地方を含む日本全国の中小・ベンチャー企業のデジタルマーケティングを支援してきた会社です。デジタルマーケティング、ソフトウェア、DX、メディア制作・運営の領域でクライアントを広範に支援してきたソウルドアウトが博報堂DYグループに加わることの意義とは。また、そこで期待されるシナジーとは──。連載記事の第1回では、ソウルドアウトグループを率いるリーダーたちに、博報堂DYグループにジョインした経緯や、それぞれが担当するビジネスの概要などについて語ってもらいました。

荒波 修
ソウルドアウト 代表取締役社長CEO 兼 CCO
博報堂DYホールディングス 執行役員

北川 共史
マーケティングカンパニープレジデント 兼 CCO

荒木 央
SO Technologies 代表取締役 兼 CCO
ソフトウエアカンパニープレジデント

津田 翔平
アンドデジタル 取締役 兼 CCO
DXカンパニープレジデント

杉岡 秀一
メディアエンジン 代表取締役CEO 兼 CCO
メディアカンパニープレジデント

ビジネスを多角化してクライアントニーズに応える

──ソウルドアウトの成り立ちと事業内容についてお聞かせください。

荒波
ソウルドアウトは、地方を含む日本全国の中小・ベンチャー企業の事業成長を、デジタル×マーケティングで支援するため2009年の12月に設立されました。地方、中小・ベンチャー企業の中には、デジタル広告やデジタルマーケティングに取り組んだことのない会社、あるいはデジタル施策に使える予算が必ずしも潤沢ではない会社がたくさんあります。そういった皆さんに私たちのノウハウやソリューションをご提供し、売り上げを伸ばし、ビジネスの成長をご支援しています。

──ソウルドアウトが博報堂DYグループの一員となったのは2022年4月でした。グループにジョインした理由をお聞かせいただけますか。

荒波
博報堂DYグループには、全国のさまざまな規模の企業との広範なネットワークがあります。その中にはもちろん、まだ私たちがお付き合いをしたことのない企業もたくさんあります。そのネットワークを活用させていただくことで、ソウルドアウトのビジネスを拡大できると考えたこと。それが1つです。

一方私たちには、大手クライアント以外の数多くの企業をデジタル領域で支援してきた実績があります。そのノウハウを博報堂DYグループの皆さんにお伝えしていくことによって、大きなシナジーを生み出すことができるに違いない。そんな見通しもありました。

──ビジネスを多角化する「ポートフォリオ経営」を実践しているそうですね。

荒波
2021年4月からその方針を掲げ、カンパニー制を導入しました。現在は、SO Technologies、アンドデジタル、メディアエンジンという3つの会社がデジタル広告以外の領域を担っています。

──ビジネスの多角化は、クライアントの課題の多様化に対応したものなのですか。

荒波
そうですね。しかしもう1つは、「デジタル広告の手前」のデジタル化支援のニーズがあることです。デジタル広告出稿以前に、社内業務、営業活動、マーケティング活動などのDX(デジタルトランスフォーメーション)の課題を解決したいと考えていらっしゃるクライアントもいます。そこで、ソフトウェア、DX、メディアなど、広告の隣接領域のビジネスを立ち上げて、トータルなデジタル活用を支援させていただこうと考えたわけです。

デジタルの総合力でクライアントを支援する

──「ポートフォリオ経営」の内容について詳しくご説明ください。

北川
まず、ソウルドアウトグループでは、「マーケティング」「ソフトウェア」「DX」「メディア」の4つからなるカンパニー制をとっています。私がプレジデントとして率いるマーケティングカンパニーは、ソウルドアウトの本業である、地方、中小・ベンチャー企業向けのデジタル広告ビジネスを担っています。ほかの3つのカンパニーは、それぞれのカンパニープレジデントがグループ会社のトップを務める体制となっています。

──各カンパニーの事業内容についてお聞かせください。

荒木
ソフトウエアカンパニープレジデント兼SO Technologies代表の荒木です。SO Technologiesの事業は、クライアントのデジタル広告施策を支援するという点ではソウルドアウトと同じです。異なるのはその支援の方法です。ソウルドアウトのビジネスが、主に担当者、つまり「人」がクライアントに伴走するハンズオン型であるのに対し、SO Technologiesのビジネスは、自社で開発したソフトウェア、つまり「テクノロジー」でクライアントを支援するモデルになっています。それによって、支援させていただけるクライアントの数を大きく拡大することができます。

もちろん、ソフトウェアを販売して終わりではありません。導入や運用の支援、アフターサービスなどは人を介してご提供しています。そういう意味では「人×テクノロジー」を軸としたモデルと言ってもいいかもしれません。
我々のクライアントの中には、広告会社も含まれます。広告会社にソフトウェアをご提供し、そこからその広告会社がお付き合いのある企業とも関係を構築していく。それがSO Technologiesの戦略の1つです。

津田
DXカンパニープレジデント兼アンドデジタル代表の津田です。アンドデジタルは、営業とマーケティング活動のデジタル・データ活用を支援する会社です。世の中的には「DX支援」と言われています。クライアントの多くは地方のBtoB企業です。こういった企業では、デジタル未活用によりそもそもデータがなかったり、デジタル活用を行っていても営業関連のデータとマーケティング関連のデータが分断しており、事業成長のためのデータ活用が行われていないケースが多いのが現状です。それらのデータを統合・可視化し、一元管理する事で事業成長に繋がる仕組みをつくり、営業とマーケティング活動を一気通貫で進められる体制づくりを支援しています。

杉岡
メディアカンパニープレジデント兼メディアエンジン代表の杉岡です。メディアエンジンのビジネスには、コンテンツマーケティング事業とメディア事業の2つの柱があります。コンテンツマーケティングは、広告よりも即効性が低い一方で、顧客や見込み顧客と深い関係を築けるという特徴があります。その関係を「資産」としていけるのがコンテンツマーケティングの大きなメリットです。

メディア事業のクライアントの多くは、出版社やメディア企業です。媒体のデジタル化や自社メディアにおけるコンテンツの拡充を支援するのがこのビジネスの柱で、大きな強みは、3,000人を超えるクリエイターのネットワークがあること、さまざまな領域のコンテンツを監修できる人材がいること、コンテンツ制作をスムーズに進めるための自社開発ツールがあることです。

いずれの事業でも、我々が蓄積してきたSEOのノウハウをご提供して、デジタル接点からの流入を増やすことが可能です。

──カンパニー間での人材の移動も盛んなのでしょうか。

北川
ソウルドアウトグループ内における人材の流動性は非常に高いですね。私たちが重視しているのは「理念共感人材」の採用です。大企業ほどの潤沢な予算がない企業、デジタルのノウハウをお持ちではない企業を私たちのスキルやノウハウによって支援したい──。それがグループで共通している想いです。その想いに共感してくれる人材を私たちは積極的に採用しています。想いへの共感があれば、どのビジネス領域でも力を発揮してもらうことができます。
荒波
新卒で入社してくる人たちの中には、「広告ビジネスがやりたい」というよりも、「地方企業、中小・ベンチャー企業の力になりたい」というモチベーションを持っている人が多いです。「力になる方法」には、広告も、DXも、ソフトウェア活用も、コンテンツマーケティングもある。そう考えれば、どのカンパニーでも活躍してもらうことができると考えています。

経営統合のシナジーをどう生み出していくか

──博報堂DYグループの一員となった2022年4月以降、どのような取り組みを進めてきたのでしょうか。

荒波
PMI(M&A後の統合プロセス)が着実に進んでいます。分科会がいくつも立ち上がり、それぞれのチームが統合作業に取り組んでいます。22年は基盤作りができたので、23年以降は、シナジーの具体的成果を示していきたいと考えています。
北川
グループ全体のエコシステムを整理する作業と人材交流は、現時点でもかなり進んでいますね。デジタルテクノロジーに関しても、それぞれの知見を持ち寄って相互に吸収する取り組みを行っています。今後重要になるのは、データ活用の方法論を確立していくことだと思います。地方企業、中小・ベンチャー企業にはファーストパーティデータが少ないのが現状です。それぞれの企業のデータを拡充したり、博報堂DYグループのデータリソースを活用したりしながら、地方、中小・ベンチャー企業のデータマーケティングを支援する仕組みを進化させていきたいと考えています。
荒木
ソフトウェアの領域では、大きく3つの取り組みを進めています。1つ目が、博報堂DYグループのネットワークの中で、僕たちのプロダクトを販売していただく仕組みづくり。2つ目が、逆に博報堂DYグループの自社ソリューションを僕たちのクライアントネットワークの中で販売していく仕組みづくり。そして3つ目が、ソフトウェアやソリューションを共同で開発していく体制づくりです。

従来の博報堂DYグループと我々とでは、ソフトウェアに関して得意とする領域が異なると捉えています。これまでの博報堂DYグループは、どちらかというとクライアントの課題に応じて最適なソリューションを調達し、カスタムメイドでシステムをつくることを得意としてきたと思います。一方の我々は、製品の自社開発を基本としてきました。そのそれぞれの得意領域を融合することで、大きなシナジーを生み出せると考えています。

津田
アンドデジタルが進めているのは、博報堂DYグループが注力しているAaaS(アドバタイジング・アズ・ア・サービス)との連携と人材交流です。博報堂DYグループへはアンドデジタルが強みにするデータ取得・蓄積・突合の技術を提供する事でクライアントへのAaaS導入を支援し、アンドデジタルにはマスメディアとWebメディアデータの分析ノウハウを還元してもらっております。
杉岡
メディアエンジンの取り組みは、大きくは2つです。博報堂DYグループの既存クライアントに私たちのサービスを紹介してもらうことと、新しいメディアを立ち上げそれを新規事業としていく活動です。後者に関しては、新規事業開発をミッションとする「ミライの事業室」のメンバーの皆さんとともに、ウェルビーイングをテーマとしたメディアの企画を現在練っています。博報堂DYグループは、ビジネスや社会課題の広範な領域にネットワークがあります。そのネットワーク力と、僕たちのノウハウを組み合わせて、これまでになかったメディアをつくっていきたいですね。

地方、中小・ベンチャー企業に生活者発想のマーケティングを広めていきたい

──博報堂DYグループが掲げる「生活者視点」をどう捉えていますか。

荒波
ソウルドアウトグループは、「八方よし」という方針を大切にしてきました。自社、社員、クライアント、クライアントの顧客、社会、地域──。そのすべての調和を目指すビジネスをひと言であらわしたのが「八方よし」です。そこには当然、博報堂DYグループが言う生活者視点が含まれると理解しています。その意味で、生活者視点は私たちのこれまでのビジネスのスタンスと共通するものであると捉えています。

荒木
生活者発想は、マーケティングにおける基礎原則だと思います。一方で、本当の意味で生活者に基づいたマーケティングを実現していくことは簡単ではないとも考えています。生活者の立場に立ったマーケティングを実現するにはデータの活用が不可欠ですが、先ほども話に出たように、地方企業や中小・ベンチャー企業には十分なデータがないケースが少なくありません。データ活用を推進して、生活者発想のマーケティングを地方、中小・ベンチャー企業に広めていくこと。それがこれからの課題の1つだと思います。

──最後に、今後に向けた意気込みをお聞かせください。

荒波
統合後の基盤は着実に固まってきています。これまでのビジネスの延長線上で地方展開をさらに推し進めながら、日本全国の地方、中小・ベンチャー企業の成長を博報堂DYグループ総体で支援できる体制づくりを全力で進めていきたい。そう考えています。
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  • ソウルドアウト 代表取締役社長CEO 兼 CCO
    博報堂DYホールディングス 執行役員
    1971年生まれ。外資系のハードウェア・ソフトウェア会社などを経て、2007年 オーバーチュア株式会社に入社。2008年 ヤフー株式会社へ転籍し、2013年4月、同社執行役員に就任。2016年4月、株式会社GYAO代表取締役社長に就任。2018年3月より当社取締役COOに就任。2019年3月より代表取締役社長CEO(=Chief Executive Officer、最高経営責任者)に就任。2022年7月よりCCO(=Chief Compliance Officer)を兼任。
  • 北川 共史
    北川 共史
    ソウルドアウト
    グループ執行役員
    マーケティングカンパニープレジデント 兼 CCO
    1984年生まれ。2007年に株式会社オプトへ入社。2010年にソウルドアウトの立ち上げに参画。東日本・西日本営業部長・営業本部長を歴任し、2018年より当社営業執行役員に就任。デジタルマーケティングの課題解決力を武器に、全国の中堅・中小企業を最前線で支援し続ける。2019年4月より上席執行役員CRO(=Chief Revenue Officer、最高売上責任者)に就任。2021年3月より現職。2022年8月よりCCO(=Chief Compliance Officer)を兼任。
  • 荒木 央
    荒木 央
    SO Technologies 代表取締役 兼 CCO
    ソフトウエアカンパニープレジデント
    1978年生まれ。オーバーチュア株式会社(現Yahoo! JAPAN)に入社し大手Web専業代理店の営業に従事した後、株式会社オムニバスに入社。海外製DSPや動画DSPの拡販を行い、2015年よりソウルドアウトグループに参画。ネット広告の媒体仕入~営業支援~運用・レポーティングに関わるすべての業務をパッケージにしたサービス「AG-Boost」の立ち上げと事業責任者を経て株式会社サーチライフの取締役に就任。2019年7月よりソフトウエアカンパニー 執行役員に就任。2023年1月より現職。
  • 津田 翔平
    津田 翔平
    アンドデジタル 代表取締役 兼 CCO
    DXカンパニープレジデント
    1993年生まれ。2016年ソウルドアウト株式会社に入社。SEMの広告運用、分析を経験。
    2019年に営業部長に就任、SMB企業様へ注力してご支援する部門を立ち上げ。並行してアンドデジタルのカシカ事業の立ち上げを担う。2021年にアンドデジタル株式会社の立ち上げに参画、デジタルプランニング本部長に就任。2023年1月より現職。
  • 杉岡 秀一
    杉岡 秀一
    メディアエンジン 代表取締役CEO 兼 CCO
    メディアカンパニープレジデント
    1984年生まれ。2007年に総合広告代理店に入社。2010年に株式会社オプトに入社。2012年にソウルドアウト株式会社に出向、転籍し関西営業部部長として、大阪、京都、兵庫の3拠点を管轄。2017年に東京本社に転勤。EC支援一部部長、2018年7月に西日本統括本部長を経て、2020年メディアエンジン株式会社取締役に就任。2022年4月より現職。2022年8月よりCCO(=Chief Compliance Officer)を兼任。