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“推し”の分散化にともないスモールIP市場が活性化 博報堂キースリー「KEY3 IP Lab.」におけるNFT企画の支援
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“推し”の分散化にともないスモールIP市場が活性化 博報堂キースリー「KEY3 IP Lab.」におけるNFT企画の支援

次世代の分散型インターネットといわれる「web3」に、大きな注目が集まり始めています。ブロックチェーンをはじめとする技術により、スポーツやアニメ、エンタメ領域でのNFTなど、生活者にとって新しい価値や楽しみが生まれつつあります。博報堂では各領域でプラットフォーム立ち上げなどに注力しながら、Astar Networkの渡辺創太氏と共同で、web3のプロジェクトを進める企業に並走する博報堂キースリーを設立しました。

フラットにweb3の本質を見つめる日
2023年4月18~19日、過去3回にわたり開催されたNFT Summit Tokyoがバージョンアップする形で、「web3BB(Beyond Borders) Tokyo 2023 Spring」が開催。Web3BBは、世界で起こりつつある価値のグローバリゼーション時代にフォーカスし、それを推進していく日本発グローバルweb3ビジネスコミュニティです。本稿ではその中から、博報堂キースリー CEO/代表取締役の重松俊範と、シニアプロダクトマネージャーの彌重(やしげ)向太郎によるセッションをレポートします。カルビー「じゃがりこ」のコラボNFT展開など、新たなIP支援ソリューション「KEY3 IP Lab.」の活動を中心に解説しました。

重松 俊範
博報堂キースリー CEO / 代表取締役

彌重 向太郎 Yahige Kotaro
博報堂キースリー シニアプロダクトマネージャー

設立半年の博報堂キースリーで走る複数の事業

2022年12月に設立したばかりの博報堂キースリー。社長を務める重松は、広告会社にてメタバースやブロックチェーンなど新しい技術領域の活用を模索しながら、web3の技術活用が進む中国にも10年ほどの在住経験があります。また、ともに登壇した彌重はweb3関連の事業開発などに携わる中で博報堂キースリーに参画しました。

重松
今回は、博報堂キースリーの既存事業とともに、企業とIPをつないでweb3プロジェクトに転換する新規事業「KEY3 IP Lab.」について紹介したいと思います。まずはすでに進んでいる、カルビーの「じゃがりこ」のNFT展開について、詳しく解説させていただきます。

そもそも博報堂キースリーは、従来の広告会社がCMやイベントといったさまざまな顧客接点を包括して事業会社を支援してきたのと同様に、メタバース空間やNFTなどのweb3領域でも並走していくために設立しました。具体的には、先行して「グローバルハッカソン」「KEY3 STUDIO」「データウォレット『wappa』」の3つの事業を展開しています。

グローバルハッカソンは、主に企業の新規事業開発の方々とともに進めている取り組みです。世界のネットワークを通じて各国からエンジニアの参加を募り、新しいアイデアをもとにプロトタイプをつくり、事業化するところまで並走します。直近では2月から3月にかけて、トヨタ自動車と組んでweb3グローバルハッカソンを実施し、世界中から450人ほどのエンジニアが参加してくれました。メタバース空間で実施したのですが、そうした場の設定や、入室のためのNFT配布なども我々が行っています。
次のKEY3 STUDIOは、大手企業とweb3系の新興企業をつないで、従来の広告会社が担っていたようなweb3上でコミュニケーションをサポートする取り組みです。たとえばNFTをプロモーションに使いたい、新たに自社でマーケットプレイスをつくりたいといったご意向がある際、我々がネットワークしている中から最適な企業を紹介します。
そして企業向けデータウォレットサービス「wappa」は、企業が自社アプリ内で各ユーザーにウォレットを実装したいときなどに活用できます。単なる仮想通貨ウォレットではなく、利用中のサービスの会員証や、個人の卒業記録などもデータで管理できる仕組みとして設けています。wappaの名称は、お弁当箱のおかずを交換するようにNFTを交換できる状況をイメージして、「曲げわっぱ」から取りました。
直近では、カルビーのルビープログラムアプリのNFTを受け取る仕組みにwappaが採用されています。

スモールIP拡大の背景にある「“推し”の分散化」

既存の3事業に加え、今回のweb3BBの場で初公開となった「KEY3 IP Lab.」について、彌重から紹介しました。NFT活用においては、NFTを持っている人は少しずつ広がっているものの、DiscordなどでそのNFT関連のコミュニティに入っているような人はまだ少ない状況があります。まだ希少なだけに、熱量の高いコミュニティが成立しやすいのが、NFTを軸としたコミュニケーションの特徴です。

彌重
では私のほうから、今回発表させていただく「KEY3 IP Lab.」について紹介します。
NFT発のスモールIPを活用した、新しいマーケティングサービスとしてリリースしました。
保有する人が広がっているNFTですが、特にNFT発IPの領域だと、非常に濃いコミュニティが形成されているのが特徴です。既存のタレントやキャラクターなどのIPと比べ、企業とコラボレーションする費用はまだ低く、制約条件も多くありません。NFTプロジェクト自体の価値をこれから押し上げていこうという意欲ある方々が中心になっていて、マーケティングに新たに活用できる市場が生まれつつあります。

コアなファンがいるIPだと、NFT自体がとても高額で取引されています。たとえば、あるスポーツブランドはNFTプロジェクトの「CLONE X」と組み、メタバース空間で着用できるデジタルNFTスニーカーを販売し、さらにリアルの靴も開発しています。
また、冒頭で触れたカルビー「じゃがりこ」では、商品キャラクターのキリンをモチーフに、NFTプロジェクト『VeryLongAnimals』(ベリロン)とコラボしたNFTが当たる企画を展開しました。

こうしたスモールIPは、これからさらに重要になってくると考えています。背景にあるのは「“推し”の分散化・細分化・多様化」です。
皆さんもご存じの通り、SNSの普及などにより接触メディアが多様化し、人それぞれで応援する対象やファンになる対象が非常に幅広くなりました。そのため、従来のマス領域で広く浅くリーチするのではなく、狭い領域に対して深く接触するマーケティングが今後さらに必要になってきます。その支援のために立ち上げたのが、「KEY3 IP Lab.」です。

NFTプロジェクトは総合格闘技 博報堂グループの強みを生かす

KEY3 IP Lab.ではNFT発のIPを活用し、具体的にはブランディング、商品開発、コンテンツ開発の3つのサービスを提供していきます。セッション後半では、NFT発のIPを使って、実際にどのようなマーケティング展開ができるかが語られました。

彌重
NFT発のIPはまだまだこれから拡大していく市場なので、KEY3 IP Lab.では企業の商品やサービスとNFT発IPを活用し、ともに成長していくマーケティングを展開していければと考えています。博報堂DYグループの知見はもちろん、先ほど重松が紹介しましたKEY3 STUDIOを介してつながっている、優秀なweb3系ベンチャーとも連携していきます。
今やNFTプロジェクトは“総合格闘技”といわれるほど、さまざまな分野に精通している必要がありますが、それに対応しうる全体設計力や推進力にも自負があります。

具体的には、3つのサービスを設けています。
ひとつ目はブランディングで、NFTの肖像を広告に活用し、テレビCMやデジタル動画を制作・展開していきます。
2つ目は商品開発で、既存のリアルな商品にNFTの世界観やイメージを掛け合わせてオリジナル商品を開発し、マーケティングしていくことが可能です。
3つ目はコンテンツ開発で、NFTを活用したイベントを実施したり、ドラマを制作したりすることができます。
といっても、ブランドによってコラボ先との相性もさまざまなので、こちらで相性のいいNFT発IPを選定させていただき、その上でコラボストーリーやブランディング案を企画します。そしてIP元でのコミュニティ発信や、実際にユーザーに届いた商品を介して新たなサービスを展開するなど、一度で終わらないマーケティングができるのが特徴です。

どういったブランドがどのようなNFTと相性がいいのか、まとめてみました。
全体的に幅広く対応していますが、大きくは「ブランド消費財×富裕層向けNFT」と、「日用品・消費財×大衆向けNFT」の2つが相性がよさそうです。前者だと、たとえば自動車メーカーが限定車を100台販売し、IPとコラボしたNFTを引換券とするような共創マーケティングが考えられます。後者では、飲料メーカーの新商品にQRコードを付け、それを読み込むとコラボNFTがもらえる……といった形があります。SNSでの話題化を図り、少額の予算で数十万のリーチを目指すようなプロジェクトに活用できます。

コラボストーリーの例としては、近未来を舞台にしたNFTプロジェクトとコラボして、企業の新商品が提供する近未来の姿を描いたり、逆に80年代をコンセプトにしたNFTと企業の周年企画を絡めたり、などが考えられます。
企業の目的や展開内容にもよりますが、まずはディスカッションから始めさせていただいて、最短3カ月ほどでローンチが可能です。

重松
NFTの活用やweb3領域に強いだけでなく、企業の伝えたいストーリーをしっかり捉えた上でNFTの世界観をつなぎ、施策に落とし込めるのが当社の強みです。
もちろん、まだ発展中の領域なので、我々も幅広い企業の方々と組んで新しいことに挑戦できるのを楽しみにしています。模索段階からでも、ぜひご相談できればと思います。
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