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HAKUHODO Live Commerce+ライブコマースに求められるノウハウとナレッジとは?──地方テレビ局の取り組みに見る「成功するライブコマース」のあり方
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HAKUHODO Live Commerce+ライブコマースに求められるノウハウとナレッジとは?──地方テレビ局の取り組みに見る「成功するライブコマース」のあり方

博報堂DYグループのライブコマース専門チーム「HAKUHODO Live Commerce+」。その活動を紹介する連載の第3回では、地方テレビ局のライブコマース支援の取り組みを振り返りながら、「成功するライブコマース」に求められるノウハウやナレッジをご紹介していきます。ライブコマースの成果がなかなか上がらない。ライブコマースを始めたいがどこから着手していいかわからない──。そういった課題の解決につながるさまざまなヒントをお届けします。

視聴者にいかに能動的に参加してもらうか

竹島
この1、2年ほどでライブコマースに取り組む企業がとても増えましたね。
恩地
ライブコマースは、生活者の態度変容を促すことができるマーケティング手法です。その認識が広く行き渡ってきたことを感じますね。昨年までは「とりあえず、やってみよう」というスタンスの企業が多かったのですが、今年に入ってからは点として配信に取り組むだけではなく「マーケティング戦略に基づいてライブコマースに取り組もう」という意識が確実に広まっていることを感じます。

竹島
博報堂DYメディアパートナーズは、昨年から地方テレビ局のライブコマースを支援する取り組みを進めてきました。この取り組みについて、伊藤さんから説明していただけますか。
伊藤
コロナ禍以降、生活者のライフスタイルやメディア環境が大きく変化しました。各テレビ局もそういった変化に対応するために、デジタルを活用した新しいビジネスモデルづくりを模索されています。そのチャレンジの一つとしてテレビスポット&エリアビジネス局 として支援させていただいたのがライブコマースです。地元の生産者や販売者の皆さんが、ライブコマースで商品にかけるこだわりや思いを伝え、全国の生活者に商品を買っていただく。それをにっぽん発掘型の「エモーショナルEC」サービスとしてテレビ局に提案しました。そのようなライブコマース支援を「クラフトーク」という名称でサービス化し、現在全国32放送エリアのなかで、系列を超えて連合体を結成し21エリアのテレビ局でご提供しています。

竹島
映像制作のプロフェッショナルであるテレビ局の皆さんにとっても、ライブコマースは未知の領域だったと思います。ライブコマースを実践するに当たって、どのような課題がありましたか。
伊藤
テレビ局の皆さんは、クオリティの高い映像をつくる点では一流のスキルをお持ちです。一方、ライブコマースで重視されるのは、映像を一方向的に見せていくのではなく、視聴者との双方向のコミュニケーションを実現し、視聴者をコンテンツに巻き込んでいくことです。生活者にいかに能動的にライブコマースに参加してもらうか──。そこが一番の課題でしたね。

ライブコマースに求められる「目標設定」

竹島
ある地方局のライブコマースの案件で、博報堂DYグループのライブコマース専門チームである「HAKUHODO LiveCommerce+」が知見とノウハウを提供いたしました。

HAKUHODO Live Commerce+に参画するirepの恩地さんより、ライブコマースを実践する上で重要な要素についてお話しいただきます。

恩地
伊藤さんからもあったように、ライブコマースにおいて一番大切なのは双方向のコミュニケーションを実現することです。視聴者がコメントしやすい雰囲気をつくって、多様なコメントを引き出し、コメントを軸にして話の流れを展開していく。そんな構成が必要です。

私たちはこれまで、タレント兼インフルエンサーであり、ライブコマースのパイオニアでもあるゆうこすさんへのヒアリングの実施や、ライブコマース配信の企画ディレクションを通じてライブコマースのノウハウを蓄積してきました。それを、この地方局の取り組みでもお伝えして、テレビショッピングとは異なるライブコマースならではの情報発信を実現するお手伝いをしました。

ご提供したノウハウは、視聴者にメリットをわかりやすく伝えるフックの設計、配信テーマの設定、商品選定、商品の魅力を伝えるコマーサーの選定、撮影手法、演出方法などです。局のご担当者とディスカッションを重ね、ライブコマースならではのコンテンツづくりに伴走させていただきました。

竹島
ライブコマースは、スマートフォンが一台あれば実施できてしまうので、気軽にチャレンジできるマーケティング手法というイメージを持たれている方も多くいるかと思います。しかし、継続した成果を上げるためには、専門知識を持ったメンバーのディレクションが必要であり、綿密な事前準備も欠かせません。ライブコマースを成功させるためには、 特にどのような点を重視する必要があるのでしょうか。
恩地
最も重要なのは、目標設定です。ライブコマースの実践が目的化してしまい、何を達成するかが定義されていないというケースがこれまでは少なくなかったと思います。ほかのマーケティング施策と同様に、目標がなければ成果にも繋がりません。

例えば、「売上を上げる」ことをシンプルな目標とするのであれば、ライブコマースで売りやすい価格帯の商品を選定したり、売上を目指す上でどのように視聴者を集客するかを設計する必要があります。一方、「商品の認知を上げる」ことが目標であれば、メッセージの内容や演出をそれに合わせることが重要です。また、ライブコマースを単発のイベントとして盛り上げるのか、継続的な取り組みにしていくのかによっても目標設定は変わってきます。目標を決めて、KPIを設定し、それを達成するために必要な商材、プラットフォーム、コマーサー、コンテンツ設計を考えていく──。そのようなプロセスが大切であると考えています。

商品とコマーサー選定のポイントとは

竹島
この地方局のライブコマースでは、HAKUHODO Live Commerce+のサポートにより、そのようなプロセスを実現できたということですね。
恩地
そうです。目標は「地元産の商材を全国の視聴者に届けること」でした。商品選定においては、価格だけでなく「語れる商品であること」と「限定感がある商品であること」を重視しました。「語れる商品」というのは、その商品にどのような背景があり、どのような生産者のこだわりがあるのかといったことを言葉にして伝えられる商品ということです。一方「限定感がある商品」というのは、このライブコマースでしか出会えない商品、買えない商品のことです。

次に重視したのが、コマーサーの選定です。重要な要素は「熱量を持って商品に対する愛を語れること」でした。コマーサーが商品を深く理解しているかどうか、商品への愛情があるかどうかで視聴者への伝わり方が大きく変わるのがライブコマースの特徴です。たんなる商品のリコメンドでは、視聴者の心を捉えることはできません。

またコマーサーは、次々に寄せられる視聴者からのコメントに対して、即座にかつ明快に応答できなければなりません。視聴者が商品に対して感じている疑問点や気になる点がクリアされれば、購買へのステップが一気に進む。それもライブコマースの大きな特徴です。そういった点を重視して、コマーサーの選定をアドバイスいたしました。

竹島
今回、コマ―サーに対しての事前ディレクションをかなり細かく実施されました。それほどコマ―サーという存在はライブコマース成功に向けた重要なキーになるということですね。
伊藤
恩地さんにいろいろなアドバイスをいただきながら、テレビ局側のスタッフの皆さんと手探りでコンテンツをつくっていきました。私自身も、テレビとデジタル配信の違いをあらためて勉強させていただきました。テレビでは映像のクオリティが重視されますが、ライブコマースはクオリティよりリアリティが重視されることがわかりました。
恩地
テレビ局のスタッフの皆さんは、美しい映像を撮ることや、台本にそって緻密な演出をするという点では素晴らしいスキルをお持ちです。そのスキルをいかしながら、一方でリアルな商品映像を視聴者に見せたり、台本にはない「余白」をつくって視聴者のコメントを数多く紹介したりするライブコマースならではのやり方に一緒にチャレンジしました。それぞれの領域のプロの協業が成功したという手応えがありますね。

商品への理解を深め、購入意欲を高める手法

竹島
視聴者やテレビ局の皆さんからの反応はいかがでしたか。
恩地
視聴者アンケートを実施したところ、「商品の理解が深まった」「商品のイメージが明確になった」といった声が寄せられました。以前に私たちが行った独自調査では、ライブコマースを見た9割の人が、商品理解が深まり、購入意欲が高まったという結果が出ています。今回もそれに近い結果が得られました。
伊藤
テレビ局の方々からも、取り組み全般についてご評価いただいています。一例として「商品選定において客観的な視点を提示してもらえたことがありがたかった」といった評価がありました。地方の放送局の皆さんは地元愛が強いので、商品選びがどうしても「地元目線」になってしまいます。それに対して、僕たちの側から客観的な視点で、できるだけバランスの取れた商品選びを提案させていただきました。

私たちとしては、局や視聴者の皆さんに喜んでいただけたことに加えて、この取り組みを通じてテレビ局が実施するライブコマースの手法をマニュアル化できたことも大きな成果でした。すでに、クラフトークの連合体に参加いただいているほかのテレビ局にもこのマニュアルをご提供しています。

竹島
テレビ局のアセットとHAKUHODO Live Commerce+が持つライブコマースの知見を掛け合わせた、新たなライブコマース体験を創造できたということですね。自社アセットを活用しようとしても中々うまくスケールしない事例も多い中、専門的な知見を用いてライブコマースを作り上げることが必要だということが改めて分かりました。
恩地
ライブコマースには変動要素がとても多く、その一つ一つをどう決めていけばいいかわからない。そんな悩みを多くの企業の皆さんはお持ちだと思います。私たちは、そのお悩みを解決できるさまざまなノウハウをもっています。また、私たちは独自のコマーサー育成プログラムを開発していて、それをカスタマイズしてご提供することも可能です。目標を設定し、コンテンツを企画し、コマーサーを選び、配信をサポートする。そこまでのトータルな支援ができるプレーヤーは、ほかにあまりいないと思います。その専門性を多くの企業にご提供していきたいと考えています。
竹島
これからの取り組みにかける思いを最後にお聞かせください。

伊藤
テレビ局のライブコマースにはまだ正解はありません。クラフトークの提供を通じて、ナレッジを全国の地方局の皆さんと共有しながら、成功の確率が高い質の高いライブコマースを実現していきたいと考えています。目下は集客やコンテンツ・商品選定・CRMによる売上拡大が重要ですがゆくゆくは、海外にもサービスを広げていきたいですね。
恩地
ライブコマースに取り組んでいるけれど手応えがない。ライブコマースの成果がなかなか上がらない──。そんな課題をお持ちであれば、ぜひ気軽にご相談いただければと思います。どんなご相談にも丁寧に対応いたします。
竹島
今後も、クライアントやプラットフォームの皆さまとともにライブコマース市場を活性化させていたいですね。ライブコマースにご興味がありましたら、ぜひ一度、HAKUHODO Live Commerce+にご相談下さい。

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  • HAKUHODO Live Commerce+
    博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォーマー戦略局
    第二グループ メディアプロデューサー
    2015年、博報堂DYメディアパートナーズに入社。新聞社のメディアビジネス及びコンテンツプロデュースに携わった後、2018年10月より現職。ECプラットフォーム担当として、戦略策定からソリューション開発まで幅広く担当。
  • 博報堂DYメディアパートナーズ 統合アカウントプロデュース局
    AaaSアカウント推進三部 メディアプラナー
    デジタルエージェンシーにてデジタルメディアのプランニング・運用・分析に従事。
    株式会社大広にてデジタル領域のクリエイティブディレクション・メディアプランニング・CRMに従事したのち、 博報堂DYメディアパートナーズテレビスポット&エリアビジネス局 にてテレビ朝日・テレビ東京系列のTVスポット局担業務をしている際、クラフトークを企画。
    現在はメディアプランナーとして現場経験を活かしたテレデジ中心の統合メディアプランニングを務める。
  • HAKUHODO Live Commerce+
    アイレップ クリエイティブプロデューサー
    ライブ系ソリューション推進チーム「TAKE ZERO」プロジェクトマネージャー
    広告制作会社、広告会社でのプロデューサー、ディレクター経験を経て、フリーランスでテレビ番組のディレクターとして活動。2019年にアイレップに入社し、クリエイティブプロデューサーとして動画広告やPR施策のプランニングに従事。2021年よりライブ系ソリューションの推進チーム「TAKEZERO」のプロジェクトマネージャーを務める。