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みなさん、親指使ってますか?

現在はモバイルやソーシャルメディアの普及により情報が爆発しているような社会となり、毎日いろんなニュースやコンテンツが僕たちの前をすごいスピードで通り過ぎていきます。FacebookやTwitter、Instagram、LINE、メッセンジャー、メールにブログなど多くのプラットフォームに囲まれて、はっと気がつくと親指で情報をどんどんスクロールしている自分に気がつきます。
実際に他の人がスマホを操作している姿を見ていると、「えっ、そんなスピードで読めてるの?」というペースで情報をスクロールしていることに驚かされます。
以前は「ネットサーフィン」と称されていたように、PCベースの情報をある程度しっかりと読みこなしながら情報の海を渡り歩いていたのですが、最近ではモバイル中心となり、いわば「ネット激流下り」というようなペースで情報を次から次へと消化(スクロール)していかなくてはならなくなっているのです。

そんな「情報スクロール社会(もしこんな言葉があるとすれば)」において、どうやってブランドは生活者の「親指」を止めることができるのでしょうか?
もちろんマーケティングの目的としては、親指を止めるだけではなく生活者の心を動かして行動を促すことも必要です。ただ、まずは情報の洪水の中でいかにアテンションを獲得できるかの勝負に勝たないことにはその先に行けないことも事実なのです。

僕自身がソーシャルメディアなどで大量の情報に接していること自体が好きなこともあり、さまざまなブランドメッセージに触れることも多い中から、このコラムでは「これは親指止まっちゃうなあ」と感じたいくつかのティップスを紹介させていただきます。

Flashy 色味やデザインが派手、文字が大きい

いきなりベタな要素ですみません。
やっぱり派手な色味やデザインは目に止まりやすいんですよね。もちろんブランドを毀損するようなトーン&マナーは論外ですが、ノンバーバルでも伝わるダイナミックなデザインで感情に訴えかけるような表現や、リッチに動くビジュアルはすごく親指が止まってしまいます。また、「文字要素がしっかりと目に入ってくる」というのもモバイル・スクロール時代には大事な要素ですね。モバイルの画面から30cm離れて見ている状況をしっかりとイメージして、その距離感の中でどういったタイポグラフィがアピールするのかを検討すると、これまでのムービー・グラフィックとは違うデザインの切り口が見えてくるかもしれません。

Multi Interest いろんな興味・関心にあった切り口、多焦点

実際に私たちが目にするのはひとつのバージョンかもしれないのですが、そのバージョンが自分の興味関心にあっていることは大事なポイントです。今ではさまざまなデータを活用して、一人一人にあったコンテンツを訴求することが可能になってきています。同じ商品でも自分の好きな切り口で紹介してもらうと、ぐっとくるものです。コストと効率のバランスを考えつつ、マルチインタレスト・マルチクリエイティブをトライしてみましょう。

Soundless 音なしでも伝わる

これは本当に大事なポイントですね。状況にもよりますが、情報をスクロールしている時は音声をオフにしていることも多いと思います。そんな人たちにとっては、「音声無しでも言っていることが伝わる」というのは思っている以上に重要です。「テロップを入れる」「そもそも音声に依存しない表現とする」などやり方は様々ですが、実際にモバイルで見ている生活者の側に立ったクリエイティブを意識したいものです。

Condensed 情報が凝縮されている

自分の周りの情報が爆発的に増える一方で、私たちに与えられた1日24時間は変わらないとすると、生活者はどんどん効率的な情報摂取を志向していきます。逆にいえば、効率的でない情報は簡単にスルーされてしまうのです。もちろん現代の生活者はデジタルデバイスから離れてゆとりを楽しんだり、ゆっくりとコンテンツに接したりする時間も大切にするという一面もあるのですが、すきま時間で効率的に情報を消化していこうというモードの時は、いかに「情報を凝縮」して伝えられるかが鍵となってきます。これまでテレビで進化してきた「テロップ技」や最近のYouTuberに代表されるような「間を詰めた編集」など情報を「ぎゅっと圧縮」して短時間で言いたいことが伝わる表現も大事な要素です。

Discomfort 違和感

「郷に入りては郷に従え」ではないですが、「プラットフォームに入りてはプラットフォームに従え」ということで、それぞれのプラットフォームやコミュニティなど「その場の雰囲気」にあわせることは必要です。ただ、あまりにもその場のクリエイティブに馴染ませてしまうことによって逆にひっかかりが少なくなり重要なメッセージが生活者にスルーされてしまうという危険性もはらんでいます。そこで、ある程度の「違和感」を作り出すのも親指を止めるには十分な効果を発揮します。「コンサバな表現かと思ったらいきなり踊り出した」「すごく生っぽいつくりになっている」「意外なメッセージが大きく出ていた」などなど、そのプラットフォームの「型」をしっかりと知った上で「型破り」な表現を挿入することでアテンションを獲得してみるのも効果的です。

Climax first オチは最初に

これもよく言われることですが、どんどん情報がスクロールされていく中では、どうしても「オチまで待ってもらえない」ということがあります。例えば15秒程度の動画コンテンツを用意していたとしても、見てもらえるのは最初の数秒、もしかするとサムネだけかもしれないのです。こういった視聴環境の中では、まず「オチを最初に見せてしまう」ことが必要になってきます。そうして親指を止めてもらった上で、伝えたい要素をアピールする、そんな新しいストーリーラインを持ったコンテンツが今後さらに多くなってくるのではないでしょうか。

Sizzle 情報のシズル

これまで、肉が「ジュ~」と焼ける音や映像がシズルの代表例として語られてきましたが、これからはそれぞれのブランドやカテゴリー、商品自体の「情報のシズル」というものを追い求める時代になってきたのではないでしょうか。いや、少し乱暴な話だったかもしれないですね。すみません。まだうまく言語化できていないのですが、情報が飽和している世の中だからこそ、見ているだけ・聞いているだけで「なんか気持ちいいなあ」「好きになっちゃうかも」といったクオリア的なアプローチがひとつの答えになるような気がしています。またこの辺りの話はしっかりと言語化して、みなさんに共有させていただきたいと思います。

以上、情報スクロール社会において生活者の「親指を止める」いくつかのティップスをご紹介させていただきました。もちろん、これらはあくまでひとつの例であり、答えは他にもいろいろあると思います。今後みなさんと一緒に新しい表現を開発していければ嬉しいです。

プロフィール

堀 宏史
株式会社 博報堂
シニアインタラクティブディレクター

1993年博報堂入社。これまでに広告業界でリアルとデジタルを融合させた新しい広告を実現し、カンヌフェスティバル、アドフェスト、ロンドン広告祭、クリオ、東京インタラクティブアドアワードグランプリ、文化庁メディア芸術祭グランプリ、モバイル広告大賞など受賞歴多数。カンヌフェスティバル等で審査員を務めるとともに、adtech等の国際カンファレンスでスピーカーとしても活躍している。

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