このページをシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line
  • line

ここ数年でデータドリブンマーケティングによるビジネスの効率化は進んできましたが、クリエイティブとの掛け算による価値創造の可能性はまだまだ進化の余地があります。
博報堂アクティベーション企画局の茂呂譲冶が、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムの3社主催で行った“生活者データ・ドリブン”マーケティング領域に関するセミナーで、データドリブン×クリエイティブの両軸に向き合った事例を紹介し、次のビジネスの可能性を示しました。

―クリエイティブの力で「仕組み発想」を超える

マーケティングプロセスやビジネスの効率化といった文脈で語られることが多いデータドリブンマーケティング。このプレゼンテーションでは、データドリブン×クリエイティブによって新たな価値創造を実現させた2つの事例の紹介を通じて、クリエイティブがデータドリブンマーケティングにもたらす可能性について掘り下げます。

 まずプレゼンターである博報堂アクティベーション企画局の茂呂譲冶は、高度なデジタル知見をもとに、事業、戦略策定からクリエイティブディレクションまで携わっています。その立場から、データドリブン×クリエイティブを「価値創造を実現すること」と定義。さらにその意義を「仕組み発想ではなく、クリエイティビティの視点や手法を掛け算することで、生活者を能動的に動かし、ブランドを持続的に成長させる価値が生まれること」として、特徴的な2つの成功事例を紹介しました。

①外資系食品メーカーA社による「ソーシャルリスニング・クリエイティブ」
②通信教育事業を運営するB社による「マルチモーメント・クリエイティブ」

①外資系食品メーカーA社のケース

<課題>
A社がこれまでに培ってきたブランド価値を生かし、若者への存在感を高めたい。

<発想の原点>
SNS上に存在するA社のファンという資産をプロモーションに生かせないか?

<実際の取り組み>
A社は、自社ブランドの価値を活用し、若者が能動的に振り返りたくなる施策を欲していました。その検討過程でチームはSNSに着目。SNS上の言動をリサーチしたところ、数こそ多くはありませんでしたがブランド価値の向上につながりそうな、ある発見をします。それは商品のふたを開けたとき、まれに出現するハートのような形に注目する若者の存在でした。

「この発見をきっかけに、メンバー総出でハート型の出現率を調べ、形状のパターンを11種に分類。それぞれに名称と解説をつけることで、ふたを開けるワクワク感を演出しました」(茂呂)

<結果>
 このキャンペーンは、デジタル中心になってはいますが、それだけにとどまらず、テレビCMや店頭においても同様のアプローチを展開。その結果、人々が商品を手に取りやすくなる導線を確保することに成功し、当初の目論見通り「ハート探し」がネット上で拡散されるように。若者たちが能動的に動き出したくなる状況を生み出すことができました。

<成功のポイント>

②通信教育事業を運営するB社のケース

<課題>
2017年度 景気に連動して若干の落ち込みを見せていた資格需要を掘り起こしたい。
2018年度 掘り起こした資格需要を講座申し込みにつなげるアプローチを探りたい。

<発想の原点>
個人の欲求や指向に合わせ、生活シーンや気持ちに寄り添うインサイトを提案してみては?
 
<実際の取り組み>
「2017年度の取り組みは、資格需要を喚起するためにその前段階である学びへの関心を高めるクリエイティブをマルチターゲットで展開し、翌2018年度は講座への申し込みを増やすため、申し込み行動直前の『うずき』に着目してクリエイティブを制作しました」(茂呂)

 まず2017年度の取り組みでは、「人より抜きん出たい」「家族に感謝・承認されたい」といった生活者の学びに関する欲求を11種のマルチターゲット(トライブ)として可視化し、それぞれに性格を体現する名称と解説をつけ、全ターゲットでデジタル広告を展開。さらに主要講座と親和性が高い一部のターゲットはテレビCMも放映しマルチターゲットで資格需要の喚起を図る取り組みを行いました。

 2018年度には前年の取り組みから一歩踏み込んで、講座への資料請求を増やすために申し込み行動の直前に感じるであろう、心の「うずき」に焦点を当て、その傾向を主要40講座の系統と重ね合わせて6つに分類しメディアプランニングを含めたマルチターゲットへの広告展開に活用。さらにオウンドメディアに誘導したユーザーが、どのページを見て、誰がどの講座に申し込みを行ったのか、HDYの専用ツールで計測し検証に役立てました。

<結果>
複数年に及ぶ取り組みが功を奏し、2018年は講座への資料請求申込数が前年比増を達成。

<成功のポイント>

総括

最後に茂呂は、紹介した2つの事例の共通点を振り返りながら、「ブランドや商品の新しい価値を、クリエイティビティをもって、デジタル、マス、店頭で創造していくこと」だと総括。

 さらに「データの読み解きの段階から配信設計に至るまで、クリエイティブの視点や意識を持ち込むことが、データドリブン×クリエイティブを成功させる鍵になるのでは」と提案。これこそが「生活者発想」という価値創造の根源となるDNAがあり、クリエイター、ストプラ、メディア、デジタル人材が一体で取り組む博報堂グループだからこそ発揮できる強みだと結論づけ、プレゼンテーションを締めくくりました。

プロフィール

茂呂 譲治(もろ じょうじ)
博報堂 アクティベーション企画局 局長

深いデジタル知見をベースにしながら、国内外複数企業の事業戦略から統合プランニング、クリエイティブにまで向き合う。データドリブン×クリエイティブ領域においては、グループ十数社と連携しながら、マーケティングコミュニケーション業務や新領域ビジネスを追求。このテーマでモデレーターを務めたadtech tokyo2017では人気セッション1位を獲得。「Cannes」をはじめ国内外多数受賞。

この記事に関する お問い合わせはこちら

このページをシェアする

  • twitter
  • facebook
  • line
  • line

関連記事

2018.09.13

記事・コラム

ヤフーのデータ戦略と Handy Marketingの取組

  • ヤフー
    川邊 健太郎
  • ヤフー
    佐々木 潔 
  • Handy Marketing
    柴田 貞規

閉じる