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【データで紐解くBtoBの顧客開拓】VOL.1

本連載は、デジタルマーケティングの専門家である株式会社博報堂プロダクツの神谷克也と、B2Bセールスの専門家である株式会社セレブリックスの今井晶也が、B2BマーケティングからセールスまでのナレッジやTipsを紹介していきます。
連載第1回目は、マーケティングとセールスの観点で見るリードナーチャリング。B2Bのマーケティング手法として「リードナーチャリング(見込み顧客の育成)」が注目を集める昨今。マーケティングとセールスそれぞれの観点から「リードナーチャリング」をディスカッションしました。

写真左から) セリブリックス今井晶也、博報堂プロダクツ神谷克也

マーケティングからセールスまで一連の顧客開拓としてシナリオを描く

神谷
この度はありがとうございます。
今井さんが所属されているセレブリックスは、2016年12月に博報堂プロダクツと資本提携し、博報堂グループの一員になりましたが、まずは、セレブリックスの紹介を少しお願いします。

今井
セレブリックスは国内最大級の営業代行・営業コンサルティング会社です。
創業は営業専門のコンサルティング事業として立ち上がりましたが、より企業の成果にコミットするために、“現場でお客様と共に汗を掻きながら課題解決に導く”というスタイルを確立しました。当時のコンサルティングは、戦略立案や分析等の考える機能に特化していましたが、こうした分野にはじめて“代行”という概念を取り入れた会社です。

神谷
ありがとうございます。
博報堂プロダクツがプロモーションを中心とした総合制作事業会社なので、セールスを主戦場とするセレブリックスとは、同じ業務を見るにしても視点がかなり変わりますよね。
例えば、B2Bビジネスの世界では、リードナーチャリングというワードが注目されてきていますが、セールス視点でのリードナーチャリングの課題は何ですか?

今井
一概には言えませんが、“リードナーチャリングという取り組み自体の認識を正しく理解し、システム頼りにせず、ちゃんと人が介在する”ということだと思います。
例えば、「リードナーチャリングという行為が即ちマーケティングオートメーション(以下MA)を導入すること」となっているケースが散見されます。
勿論、MA自体は非常に便利なツールですが、そもそもターゲット企業が「今すぐ買おうと思っていない」からナーチャリングが必要なわけで、買おうと思っていないターゲット企業へ、メルマガを送ったくらいでは、購買意欲に変化をもたらすことが難しいのが実態です。
特にB2Bの世界ではB2Cの世界に比べて、商品単価が高いものが多い傾向にあり、自分のお金ではなく、会社の経費で導入(購入)という判断するので、様々な利害関係者の意思や判断が関係し、デジタルマーケティングだけで顧客を育成していくことが難しいのだと考えます。

神谷
デジタルマーケティング側の人間としては耳が痛いですが、最終的な商談や成約まで考えると、確かにデジタルだけでは完結しないですね。
デジタルマーケティング側からの話ですが、マーケティングチームが集めたリード情報を営業チームがフォローしてくれないという話も聞きます。

今井
ありますね。
それでいうと、セールスチームで良くあがる声は、マーケティングチームが集めてきたリードは成約の確率が低い、そもそものターゲットが間違っている、ホットリードだと渡されたはずが実際には購買意欲が高まっていなかった…などを聞くことが多いです。

神谷
そうですね。
セールスチームとしては、セールス側が売りたい/売れると思えるリードをマーケティングチームが提供してくれないということなのでしょうね。
博報堂や博報堂プロダクツでは、マーケティングチームとの業務が多いため、そこも耳が痛いところではあります。
最近ではABM(※1)というメソッドが流行っていたりもしますが、セールス起点でのマーケティングシナリオを作成するケースが増えつつありますね。
このように、“リードナーチャリングでしっかりと成約まで結びつける”という観点では、マーケティングとセールスが独立した個別の目標や計画を持つのではなく、マーケティングからセールスを一連の顧客開拓としてシナリオを描くことが重要です。

企業がリードナーチャリングを成功させるポイントとは?

今井
ちなみに、マーケティングチームの観点で“今、企業がリードナーチャリング”を強化すべき理由を挙げるとすれば、どのようなことが考えられますか?

神谷
商品・サービスの導入が顕在化している企業はWEB等で情報収集し、比較検討しやすい環境になっています。
こうなると、営業としての差別化は効きにくく、コストでの比較や商品の機能勝負に陥りがちになります。
そうならないためにも、商品・サービスの導入が顕在化しきっておらず、具体的な商品購入検討をしていない状態の企業に接触を図り、ニーズの顕在化からホットリードに育成する必要があると考えます。

一方でセールスチームの観点ではどうですか?
リードナーチャリングはやはり強化すべきですか?

コールドコールとリードナーチャリングの変数比較表

今井
はい、勿論です。
営業の難易度という観点で考えると、やはりリードナーチャリングの方が成約に至る確率が高まる傾向にあります。
実例をもとに説明させていただくと、 こちらは、当社が様々な企業の営業代行を行う中で見えてきた傾向を表にしたもので、いわゆるコールドコール(※2)とリードナーチャリングの変数の比較表です。
平たく言えば、完全に新規のリストと、接点のあるリストでアポイントの獲得難易度がどのように変化するのかを示したものです。

アポイントを取得する上での条件(顧客の温度感や役職、業界)などによっても、数字は大きく左右されますが、一般的にみてコールドコールと比較すると、接点を持っている顧客に対してアプローチした方が、効率が高いことは明らかです。
また、図表の通りリードナーチャリングの中でも、いつ獲得したリードなのか?に注目してみると、ホットリードを生成する上では、その「鮮度」も非常に重要な要素です。

神谷
なるほど、数字ではっきり表れていますね。
ちなみに、セールス視点で考えると、リードナーチャリングを成功させる際のポイントはどのようなものがありますか?

今井
いくつか考えられますが、最も大切なのはリードナーチャリングの専任担当を配置することだと思います。

神谷
確かに、マーケティングチームはリードを創ることがミッションで、セールスチームは受注を獲得することが求められます。
そういった意味では、リードナーチャリングを責任もって遂行する人物がいないと、役割が曖昧になるなど、最適な推進活動ができなくなりますね。
今井さんが思うリードナーチャリング専任担当の役割はどのようなことですか?

今井
専任担当の領域は、マーケティングチームがリードを獲得してから、セールスチームに本格的な商談として案件が引き継がれる前までとなります。
つまり、問い合わせの段階から“購買意欲が高い顧客”はナーチャリングをせずとも、すぐにセールスチームに提供(引き継ぐ)することになります。
そのため、リードナーチャリングでは、まだ情報収集レベルのターゲット企業や成約確度の低いリードに対して、電話やセミナー、オンライン商談、メルマガといった様々なコミュニケーションを通して、顧客に興味喚起や価値提案を実施していきます。そして十分に購買意欲が高まったホットリードのみをセールスに引き継ぎます。
このように、リードナーチャリングの専任担当がマーケティングとセールスの橋渡しをすることで、マーケティング担当の視点では、リードが無駄にならず、セールス側の視点では、質の高いリードを供給してくれるといった双方に納得のいく運用が可能になるのです。

神谷
なるほど。
そう考えると、リードナーチャリングを専任として経験したことのある人物はまだ少ないと思うのですが、どの企業の担当者も手探りで始めることになり、成功までの道のりに時間がかかりそうですね。

今井
はい、その通りです。
そうしたケースから、営業の専門集団である私どもに“リードナーチャリングのサポートや代行”のご相談をいただくケースが非常に増えました。
私どもは、リードナーチャリングを代行したプロジェクトも沢山ありますので、ノウハウや経験が蓄積されています。

神谷
そうですね、経験のある専任担当がリードナーチャリングをしてくれれば、とても心強いですね。

今井
はい、ただ勿論MAを有効活用し、専任担当が人的コミュニケーションも取り入れながら推進していく、というのがベストだと思います。

神谷
そうですね。
MAを活用するなどの効率的なコミュニケーションとともに、顧客のアクションに応じた人的なコミュニケーションを取り入れ、ホットリードに育成していくことが重要ですね。
次回は、リードナーチャリングにおけるマーケティングオートメーションの有効活用に触れてみたいと思います。
ありがとうございました

今井
ありがとうございました。

※1  ABM:Account Based Marketingの略。アカウント(企業・団体)に対して、マーケティングとセールスがアカウント情報を統合した上で連携し、ターゲットアカウントへ戦略的にマーケティング活動を展開する手法
※2 コールドコール:新規顧客や名刺交換後から接点が少なく、興味度合いやニーズの有無が判らない「冷たい(温度の低い)相手」にかける電話営業

B2Bビジネスサポートプログラム「MARUTTO」のご紹介

博報堂プロダクツとセレブリックスは、B2Bマーケティングにおける接点構築から顧客化までマルットサポートするB2Bビジネスサポートプログラム「MARUTTO」をリリース。
プロモーション領域を得意とする博報堂プロダクツと営業領域を得意とするセレブリックスが、それぞれの得意分野を合わせてB2Bマーケティングの接点構築から顧客化までマルットサポートいたします。

B2Bビジネスサポートプログラム「MARUTTO」の全体概要

プロフィール

神谷克也
株式会社 博報堂プロダクツ

アナログ・デジタル双方のコミュニケーションツールの企画・制作、Web企画・制作、Webコンサルティングなどの業種を経て現職。
博報堂プロダクツでは、Webプロデューサー、プロモーションプランナーを経て、デジタルとアナログ領域を越境するプランニングディレクター。

今井晶也
株式会社セレブリックス

企業の営業や販売を支援する株式会社セレブリックスにて130以上のプロジェクトで実営業活動からマネジメント、コンサルティグに従事。新商品のテストマーケティングや売れない商品の仕組みを作ったり、売り方を変えたりと現場の最善線に立ち、顧客とともに汗をかきながら様々な課題解決を提供。現在ではその経験を生かし、同社の営業コンサルタント兼主席エバンジェリストとして、営業ノウハウを中心とした講演や執筆活動に従事。代表的な活動として【宣伝会議主催の営業関連講座】【キーマンズネットでの営業コラム】等がある。

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