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「ターゲット配信×リッチクリエイティブ」という新しいモデル──機械学習によって広告効果を最大化する「ML TARGET CREATIVE」
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「ターゲット配信×リッチクリエイティブ」という新しいモデル──機械学習によって広告効果を最大化する「ML TARGET CREATIVE」

デジタル広告のリッチ化によって広告成果を高めることを目指すソリューション群「Rich Creative Promotion Service」。博報堂DYグループのデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(以下DAC)と博報堂アイ・スタジオが開発したこのソリューションの第4弾となる「ML TARGET CREATIVE」がリリースされました。機械学習を活用した配信モデルを組み入れたこのソリューションの機能やそこから生まれる価値について、3人のメンバーに語ってもらいました。

今栄 牧人
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)
プラットフォームストラテジー本部メディアDX推進局データデザイン部

ヨン・ウンジュン
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)
ソリューションマネジメント本部データアナリティクス部

長浜 達也
博報堂アイ・スタジオ
ビジネスプロデュースセンター 第3ビジネスプロデュースユニット

広告のインプレッションの価値をいかに上げるか

──「Rich Creative Promotion Service」というソリューション群の概要についてご説明ください。

今栄
博報堂DYグループのDACと博報堂アイ・スタジオの協業で広告効果の高度化を目指したサービス開発に取り組んできたのが「Rich Creative Promotion Service」です。これまでに「Rich Creative」「Q&A CREATIVE」「MOMENT CREATIVE」の3つのソリューションをリリースしています。
長浜
「Rich Creative Promotion Service」はクリエイティブ×テクノロジーを掛け合わせた、デジタル広告の効果を向上させるソリューションです。
主に「ディスプレイ&ビデオ 360」や「Google Web Designer」といったGoogleが提供するツールを活用しています。
今栄
デジタルメディアやデバイスの進化によって、生活者と広告のタッチポイントが非常に増えています。生活者が日々膨大な広告に接する中で、メッセージ力を強化するには、広告の視認性を高める必要があります。その方法の1つがクリエイティブのリッチ化です。

──それが「Rich Creative Promotion Service」というソリューション名に込められた意味ですね。

今栄
そうです。生活者がデジタル広告内の画像をスライドすることで複数のクリエイティブが表示される、スクロールすることによって表現が変化する、生活者に質問を投げかけて答えを選んでもらう、あるいはビールの泡のようなリアルな質感を表現する──。そういったさまざまなクリエイティブの機能によって、デジタル広告の価値を上げていきます。また、「クリエイティブのリッチ化」だけでなく、生活者のモーメントに合わせて広告を出し分けるなど、「配信のリッチ化」も実現しています。
長浜
データ活用や広告運用に強みのあるDACと、デジタルクリエイティブを手掛ける博報堂アイ・スタジオがワンチームになることで、クリエイティブ設計から配信、さらに効果検証までのサービスをワンストップでご提供できるのがこのソリューション群の大きな特徴です。
生活者のデジタルの接触機会が多岐にわたる現在、クリエイティブの新鮮さを保つために、常に「いま」を意識したクリエイティブ、短期間でPDCAを回すこともこのソリューション群・チームで対応可能となりました。

機械学習によるセグメンテーションとクリエイティブの改善

──「Rich Creative Promotion Service」の4つ目のソリューションである「ML TARGET CREATIVE」が5月にリリースされました。これについてもご説明ください。

今栄
クライアントが保有する1stパーティデータをもとに、機械学習を用いて広告を配信するターゲットセグメントを明確化し、広告効果の最大化を目指すのが「ML TARGET CREATIVE」です。「ML」はマシンラーニングを意味しています。

活用する1stパーティデータは、Google Analytics、Google Cloud、各企業が構築しているCDP(顧客データプラットフォーム)などのデータです。それらのデータから、LTV(生涯顧客価値)が高いと考えられる顧客や、高いCTR、CVRを期待できる顧客のセグメントをつくり、そのターゲットに対してリッチクリエイティブを配信していくというのがこのソリューションの基本的な考え方です。

長浜
「ML TARGET CREATIVE」のもう1つの特徴は、機械学習で明らかになったターゲットの傾向(特徴量)をクリエイティブデザインに反映できる点です。機械学習によるセグメント設定が精緻でも、配信される広告クリエイティブがそのセグメントの生活者の心理を捉えるものでなければ、クリックにはつながりません。アクションを期待するターゲットに対し、最適なクリエイティブを配信する点が「ML TARGET CREATIVE」の特徴だと考えています。

──セグメンテーションを設定する機械学習の仕組みをご説明いただけますか。

ヨン
大きく3つのモデルがあります。1つ目は、サービスへの申し込みや商品の購買といったKPIに対してどのような特徴量が有効なのかをAIに判定させるモデルです。
2つ目は、クライアントが保有している購買データから、LTVが高くなりそうな顧客を予想して配信するモデルです。ROAS(広告の費用対効果)を向上させるモデルと言ってもいいと思います。
そして3つ目が、「休眠予測」と呼ばれるモデルです。サブスクリプション型のサービスでは、入会後にサービスをあまり活用せず、会員から離脱する可能性のあるユーザーが一定数います。そういった顧客を特定し、離脱防止を目指すメッセージを配信するモデルです。

──「ML TARGET CREATIVE」開発の背景についてもお聞かせください。

今栄
個人情報保護の観点から3rdパーティデータの活用が制限されるようになったことで、1stパーティデータの重要性が高まっています。多くの企業は、本人のパーミッションを得ることによって比較的自由に活用することができる1stパーティデータの蓄積を進めています。しかし、データを集めたけれど、それをどう活用していいかわからないというケースが少なくありません。そのような課題を解決するために、1stパーティデータの有効な活用法を提示し、かつデータ活用を支援することが必要であると私たちは考えました。それを「ターゲット配信×リッチクリエイティブ」という形で実現したのが「ML TARGET CREATIVE」です。蓄積している1stパーティデータの分析から、モデルづくり、配信、効果検証、クリエイティブ改善といった取り組みをワンストップ、ワンチームで行うことができるので、企業側の負担を最小限にとどめながら、データを確実に価値化することが可能です。

──1stパーティデータは、クライアントにとってたいへん貴重な資産です。それを活用した広告配信を支援するには、クライアントとの信頼関係や緊密な連携がこれまで以上に必要になってきそうですね。

今栄
おっしゃるとおりです。ブランド戦略まで含めたトータルな支援の中で、1stパーティデータ活用をともに進めていく。そのような関係が理想であると考えています。
別の視点から見れば、データマーケティングへの取り組みが、クライアントとの信頼関係を深める機会になる可能性もあります。データは客観的な情報であり、その情報に対して両者が「正直」になることで、より本質的なコミュニケーションが成立すると考えています。データを中心にしたコミュニケーションを大事にし、ともに価値を生み出していけるような関係構築を目指していきたいですね。

新しい領域を切り拓いていくチームであり続けたい

──現在、生成AIが注目を集めています。「Rich Creative Promotion Service」シリーズに生成AIは使われてはいませんが、今後、何らかの形で取り組まれる可能性もあるかと思います。生成AIの可能性をどう見るか、お聞かせください。

長浜
生成AIの活用によって、クリエイティブのアウトプットがさらに身近になり、個々のクリエイティブ力が向上すると思います。制作領域においては業務の効率化や新しい価値や表現を生み出していくのではと期待しています。
そうなるとAIを活用したクリエイティブプロデュース・ディレクションスキルがある人材が求められ、同時にAI活用によるリスクヘッジもしていくことが必要になると思います。

クリエイティブには直感的な要素もあると思います。人の直観力とAIを組み合わせ、共創によるクリエイティブ・ユーザー体験をつくることができるか。それがこれからのこの業界における挑戦になると思います。それを達成するには私たち両社の連携が欠かせないと考えております。今後は、両社でクリエイティブとAIの掛け合わせによるマーケティングの仕組みをつくり、世の中に価値を生み出していくソリューションやアプトプットを生み出していく。そんなチームをつくり拡大、深化していきたいと思っています。

ヨン
プログラミングの領域でも生成AIには大きな可能性があると思います。重要なのは、機械学習の対象となるデータに著作権などがある場合に、どういったレギュレーションでAIを運用していくかという視点です。ビジネスに生成AIを実装していくには、そのような検証を重ねることが必要だと考えています。

──「Rich Creative Promotion Service」および、このチームの次の展開について構想をお聞かせください。

今栄
「Rich Creative Promotion Service」の開発自体は、「ML TARGET CREATIVE」で一段落ついたと考えています。まずは、「Rich Creative Promotion Service」の4つのソリューションを多くのクライアントにお使いいただけるよう、認知を広めていきたいですね。
ヨン
現在、Google Analytics 4の使い勝手をよりよくしていくための仕組みを構想しています。例えば、独自のダッシュボードをつくって、データやその活用成果を可視化するといった方向性がありうると思います。そのような新しい仕組みを「Rich Creative Promotion Service」と組み合わせることができれば、ソリューションはより使いやすいものになると考えています。
長浜
「Rich Creative Promotion Service」において得た「クリエイティブ×テクノロジー」の知見を活かし、新しい表現や体験を生み出していくことにぜひ取り組んでみたいですね。
そのために、博報堂DYグループ内で連携してよりよいアウトプットをつくり出していければと考えております。これまでにない領域をつくりだし、継続的に成長し続けていくチームでありたいと思っています。

──最後に、今後クライアントのビジネスにどのように貢献していきたいか。それぞれの思いをお聞かせください。

ヨン
先ほどお話しした3つのモデルのうちの3つ目の「休眠防止」。
これは、サブスク型サービスに取り組んでいるクライアント、あるいは今後そのようなサービスを始めようと考えているクライアントにとって非常に重要なモデルになると考えています。顧客の購買行動を明らかにするCPM分析という手法がありますが、これを使ってサブスクサービスを分析すると、登録者の半数が休眠ユーザーであることがわかるケースも少なくありません。離脱可能性の高そうな顧客に最適なクリエイティブでアプローチしていくことは、クライアントのビジネスに大きな成果をもたらすはずです。
このモデルをぜひ多くのクライアントに活用いただけるよう、提案を続けていきたいと思っています。

長浜
単にクリエイティブを制作するだけでなく、生活者やクライアントの立場で考えて価値を生み出すか、ビジネス成果に結びつくかというところまで考えながら、デジタルクリエイティブ領域のプロフェッショナルとしてこれまでにない表現や体験をつくり出していきたいですね。そして今できることとして、「Rich Creative Promotion Service」を活用してクライアントのビジネスに貢献していきたいと思います。
今栄
デジタル広告を展開していくうえで、ROASやCVRといった指標の重要性はこれからも変わらないと思います。以前のようなデータ活用が難しくなっている中で、ROASやCVRを上げていくためのソリューションが「Rich Creative Promotion Service」です。第4弾の「ML TARGET CREATIVE」ではクライアントの1stパーティデータを活用した配信を実現していますが、今後、1stパーティデータとリッチクリエイティブを組み合わせて広告効果を上げていく取り組みはますます必要になるはずです。中長期的な視野に立って、データ活用とクライアントの事業成長に結びつく広告展開を引き続き支援していきたいと考えています。

※Google、ディスプレイ&ビデオ 360、Google Web Designerは、Google LLC の商標です。

前回の記事はこちら
「バナー」という枠の中で広告の価値を最大化する──デジタル広告のクリエイティブに特化した新しいソリューション「Rich Creative Promotion Service」

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    プラットフォームストラテジー本部メディアDX推進局データデザイン部

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    ソリューションマネジメント本部データアナリティクス部

  • 株式会社博報堂アイ・スタジオ
    ビジネスプロデュースセンター 第3ビジネスプロデュースユニット

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