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【第3回】各事業者のフルファネル型EC支援を実現する、Eコマースチームとは
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【第3回】各事業者のフルファネル型EC支援を実現する、Eコマースチームとは

2021年10月に誕生した、ショッパーマーケティングを専門とする組織「ショッパーマーケティング事業局(SMK局)」に迫る本連載。第3回となる今回は、SMK局メーカーDX推進グループで、コマース(EC)チームとして各事業者のEC支援を行っている澤田、島田、水穂、永見に話を聞きました。
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澤田 航太 メーカーDX推進グループ コマース(EC)チーム
島田 典明 メーカーDX推進グループ コマース(EC)チーム
水穂 優太 メーカーDX推進グループ コマース(EC)チーム
永見 拓哉 メーカーDX推進グループ コマース(EC)チーム

ECを起点に、事業成長に必要なことは何でも支援する

――自己紹介をお願いします。

澤田
SMK局メーカーDX推進グループの澤田です。本日参加している4人はいずれもメーカーDX推進グループで、各事業者のEコマースを支援するコマース(EC)チームの一員として活動しています。それと並行して、博報堂DYグループ全体を横断してクライアントのECを起点とする事業成長を支援する対外組織「HAKUHODO EC+」のメンバーでもあります。

私は2016年に新卒でメーカーに入社し、BtoB営業のセクションに所属していました。その後2017年に博報堂に入社し、ビジネスプロデューサーとして通販企業の事業プラニングのサポートを行った後、メディアプラナーとしてデータマーケティングを生かしたメディア戦略提案に従事しました。現在はクライアントの事業コンサルティングや事業プロデュースを行い、事業売上を伸ばす支援をミッションとしています。

もう1つ、ライブコマースに関する社内横断プロジェクト「HAKUHODO Live Commerce+」にも所属しており、リーダーを務めています。Live Commerce+ではライブコマースの可能性を拡張し、先進事例を作るべく活動しています。

島田
私は新卒で大手食品メーカーに入社し、営業・商品開発・新規事業開発を経験しました。DtoCブランドの立ち上げを主導した経験からデジタルマーケティング領域のプロフェッショナルになりたいと考えるようになり、外資系大手食品メーカーのEコマース部門に転職しました。自社ECのマーケターとして主にCRM領域を担当し、お客様の購買データ分析から得られた示唆を元にマーケティング施策の立案を行いました。博報堂には2022年9月に入社し、現在はECコンサルタントとして上流の事業戦略策定から、プロモーションやCRMの戦術フェーズまで幅広く担当しています。

水穂
私は新卒で百貨店業界に入社し、外商営業担当として富裕層に対する営業活動を主に行っていました。その後デジタル業界に身を置きたいと考え、大手ECプラットフォーマーに転職し、ECコンサルタントとして出店企業の売上最大化をミッションとしたコンサルティング業務に従事していました。博報堂には2022年8月に入社し、現在はECモールを起点としたコンサルティング業務を主に担当しています。
また、当社とECプラットフォーマーが連携するためのタスクフォースのメンバーも務めています。大手ECプラットフォーマーと博報堂DYホールディングスが共同で立ち上げた新会社とも連携し、両社の強みを生かすソリューション開発に取り組んでいます。

永見
私は2021年に博報堂に新卒入社し、初期配属でコマース(EC)チームに参画しました。日々の業務としては、クライアントの事業戦略の立案、その中で発生する新商品開発、各種調査などのマーケティング関連業務を担当しています。並行して、私もLive Commerce+に所属しておりまして、ライブコマースの戦略設計~実装まで一気通貫でプランニングを担当しています。加えて、若者向けコマース攻略の組織にも所属しており、Z世代の新しいコマース体験について、博報堂がイニシアティブを取っていくために何ができるかを考えています。

――コマース(EC)チームはどういった雰囲気の組織ですか。

島田
チームのメンバーにはキャリア入社の社員も多いため、良い意味でまだカルチャーが醸成され切っておらず、とても溶け込みやすい環境でした。また、事業会社出身者やECプラットフォーマー出身者など多様なバックグラウンドを持つメンバーが在籍しているため、色々な角度から情報が得られるのもこのチームの魅力のひとつだと感じています。
永見
私は新卒で博報堂に入社したので業界知識が全くない状態でのスタートでしたが、多様なバックグラウンドを持っている方と一緒に働き、勉強できることをとても嬉しく感じています。また若手の裁量権の幅が大きく、自身が主導権をもって業務を進める機会も多くあります。
水穂
私も同じ印象ですね。とても働きやすいとも感じています。よくチームで「ベストプレイスで働こう」と言うのですが、実際にオフィス内でも席は決まっていませんし、我々のチームでは出社か在宅かをその日の業務にあわせて自身で選択しています。
澤田
現在、「Eコマースに課題を抱えていないクライアントはいない」と言い切れるくらいの状況なので、多くのご相談が日々あります。コマース(EC)チームは、ECを起点に事業成長を支援するのがミッションであり、「EC」という名前はあるものの「事業成長のために必要なことは何でもする」というスタンスです。それが 「事業成長に貢献していれば働き方は自由でいい」という雰囲気に繋がっていると感じますし、議論を好むチームなのでメンバーの多様さは大きな武器になっていますね。

様々な場面でNewコマースを折り込んだ提案をしたい

――SMK局内の他の組織や、博報堂の他部署との連携はいかがでしょうか。

水穂
SMK局内はもちろん、博報堂DYグループ各社とも壁がなく連携が取れる点には驚きました。たとえば私が関わっている大手ECモールのコンサルティング業務においては、私が全体ディレクションをし、サイト構築を博報堂プロダクツ、広告運用をDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム)と連携しながら進めることで「戦略策定~実装・運用」までワンストップでの体制を構築しています。ナレッジやスキルを集約することができる連携力は我々の強みにもつながっていると考えます。
永見
先ほどお話した若者向けコマース攻略のチームでは、SMK局の博報堂買物研究所と連携して若者の購買行動調査などを行っています。2つの組織が持ちうるナレッジや視点の違いを活かしながら調査設計を行うことで、他の市場調査とは異なった視点から若者世代の実態にアプローチすることを狙っています。
澤田
商品開発をする場合は、社内のクリエイティブ部門とも連携しますよね。
島田
そうですね。クリエイティブ部門との距離が近く、クリエイティブスタッフとも連携しながら仕事を進められる環境は博報堂ならではの強みだと感じています。事業会社にいた時は、社内にクリエイティブの知見がなく外部パートナー任せになってしまっていましたので、私自身のクリエイティブとの関わり方も大きく変わりました。
水穂
私は前職では所属しているECモール内におけるクライアントの売上最大化がミッションだったため、所属ECモールのコンサルティングに注視する必要があり、真の意味のパートナーになれていないな、と感じていました。博報堂の場合、もちろんモールに限定しないEC領域全般のコンサルティングサービスが提供できますし、例えば新商品が必要となればマーケティング分析を行い、パッケージや広告、販促をどうするか、といったこともワンストップでご提案可能です。そうやってパートナーとしてクライアントの事業成長に貢献できるところに醍醐味を感じています。
澤田
先に博報堂に在籍していた立場として嬉しい言葉です。一方で、前職時代にやられていたモール内での売上を伸ばすためのきめ細かいノウハウも、我々が実装領域の支援を行う上で大きな武器になりますよね。
水穂
はい、プラットフォーマーと対等に話す上で、モール運用の実務的な知見は重要になりますね。私がそこで貢献できればと思いますし、一方で博報堂には全体戦略立案に優れている人材が多いので、一緒に連携していきたいと考えています。

――コマースチームは、目の前のコマース体験や事業創造だけでなく、「ECの未来を作っていく組織であること」を掲げ、「Newコマース」への取り組みを重要なミッションとしています。Newコマースについてどう考えていらっしゃいますか。

澤田
現状では、Newコマースの中でもライブコマースの注目度が高まっています。私はLive Commerce+のリーダーもしているので、盛り上がりを肌で感じています。その一方で、ライブコマースをやることが目的化すべきではないと考えています。ゴールはあくまでも事業成長であり、そのために「ライブコマースをどう使うか」「配信を通じた売上だけでなく、配信を通じてどう事業の資産を作れるか」といった視点が重要です。それらを多面的に捉えるのは新たな挑戦であり、非常に困難で苦しい部分でもあるのですが、だからこそ面白いと感じています。
島田
私が担当しているクライアントの多くも、「自社ECはどうあるべきか?」という課題に直面されています。私自身事業会社で自社ECビジネスに携わっていた経験からもこの課題は避けて通れないと感じています。
大手ECモールの存在感が大きくなってきている中で、どうすれば自社のECサイトにお客様が来てくれるのか、継続的に利用してくれるのか、という最大の悩みに対しての解決策の1つがNewコマースであると考えています。Newコマースを通じて、自社ECでしか提供できないユニークな体験価値をクライアントと一緒に作っていきたいです。

永見
Newコマースにおいても、商品の話題の作り方や、PRの拡散プランの設計が難しいことはこれまでと同じです。購買者層である若年層がどういったところに興味を持っているのか、どういった内容であれば二次拡散してもらえるのか、というところまで踏まえてプランを考えることが重要です。加えて、ユーザーにワクワクしてもらえないとそういったことは起きないので、人の感性に訴えかけるようなクリエイティビティを入れ込むことが欠かせないと感じます。
水穂
ECは今後、より拡大し、確実に身近になっていきます。ECを始める場合、以前であれば大手ECモールへの出店が一般的でしたが、現在はカートシステムが普及したことで個人での出店ハードルがさらに下がっています。こうした流れを受け、これからは地域活性化の文脈でもNewコマースを体現できるのではないかと見ています。例えば、ふるさと納税のマーケットは近い将来1兆円規模になると言われており、こうした市場に我々が関わることで、新しい体験を提供できるのではないかと考えています。EC+としても、日本各地域の地方自治体・事業者のDX・EC支援を行う「地域DXソリューション」の提供も開始していますので、このようなソリューションを活用しながら貢献していきたいと考えています。

新しい買い物体験の世界をユーザーに見せたい

――Newコマースでも今後の話が出ましたが、EC全体の今後についてどうお考えですか。

島田
SNSが発展した現代においてはモノや情報が溢れ、生活者の嗜好の変化も早いためいかに生活者のことを理解してトレンドを捉えた商品やサービスを提供できるかがポイントになると考えています。そのためには生活者発想で事業戦略を策定し、その戦略をクリエイティブやPRの力で具現化するということが今まで以上に重要になってくると感じています。
永見
私自身がZ世代なので、若者視点でお話させていただくと、多くの人がECに効率性に加えて、体験性を求めているように感じます。
澤田
体験性という言葉を開くと、どうでしょう。利便性だけでなくエンターテインメント性を求めているということですか。
永見
そうですね。多くの企業がメタバース上でコマース体験の提供を検討し始めていることも、そうした流れにあると考えています。特に、何かを購入する際に「単なる決済」で終わらせるのではなく、例えば他のアバターとの交流機能や、そこでしか参加できないゲーム性のある体験を付与するなど、リアリティのあるエンタメ体験を伴ったショッピング・決済体験の提供が普及するのではないかと考えています。
一方で、日用品であればできるだけ意思決定を少なく購入したり、定期的に自動購入するようにしたい、というように商品カテゴリによっては効率性も重要視されると思います。
水穂
「ECプラットフォームにただ出店すれば売れる」という時代は終わり、多くの企業が「ユーザーにとって何故ここで買う価値があるのか」を打ち出す必要があると考えています。事業提供価値、と言えるようなものです。そうした中で、一部でライブコマースやメタバースをどう取り入れようかといった議論もあり、各社が効率性と体験価値の割合をどうするか模索しているのを感じますね。
澤田
ECをただのチャネルとして扱うのではなく、ECを起点に顧客体験をデザインするという視点が大事ですね。
永見
博報堂には買物研究所以外にも、若者研究所や生活総合研究所といった研究組織があり、生活者に関する知見・データを豊富に蓄積しています。彼らのナレッジと私たちのECの知見を掛け合わせ、社内横断体制で新しい顧客体験をデザインするのが重要ですし、自分も注力していきたいですね。
澤田
OMOというキーワードがあるように、ECも店舗施策との融合が不可欠です。SMK局の中にあるリテール、トレードマーケティングに関わる部署とも連携し、総力戦でユーザーのコマース体験をデザインしていきたいですね。

――チーム、もしくは個人としてこう成長して行きたい、という目標や展望を教えてください。

澤田
大前提として、各クライアントの事業成長のご支援は今後も取り組んでいくべき課題です。それに加えて個人的には、新しい購買行動、新しい買い物の世界をユーザーに見せていく、デザインしていくことに関与して行きたいと考えています。将来の買い物体験のあり方がどうなるかはまだ見えていませんし、10~20年前に現状を正しく予想できた人もいないと思います。ただし長期的なトレンドは、細かく見る一つひとつの地道な努力や、事業者が作ったトレンドの積み重ねの結果生まれると考えています。ですから、目の前にある変化の一つ一つに向き合いながら、コマースにまつわるすべてに柔軟に対応できるプロフェッショナルになりたいと考えています。
島田
私はEC+が掲げている「 ECに、新たな可能性をプラスする。 」という言葉に惹かれて転職を決めました。博報堂の強みは多種多様な生活者データを持っていることと、クリエイティビティだと思います。そこに私自身の強みであるデータに基づいたプランニング力を掛け合わせることで、「ワクワクする新しい買い物体験」をECで実現していきたいです。
永見
今は、従来のEコマースから新しいEコマースへの変遷のタイミングだと感じています。その原動力に若い世代がなっていると思うので、同世代としてそのインサイトを捉え、チームに貢献していけたらと考えています。
水穂
組織としては、「コマース領域の悩みを相談するなら博報堂SMK局だよね」と言ってもらえるくらいになることが目標です。個人としては、ECの最適化だけではなく、ビジョンの策定から入り込んでクライアントと一緒に伴走できるパートナーとして仕事を進めていけたら、と考えています。
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  • HAKUHODO EC+ コンサルタント
    博報堂 ショッパーマーケティング事業局 
    メーカーDX推進グループ マーケティングプラニングディレクター
    2017年に博報堂に入社。営業・メディアプラナーを経て現職。EC事業の中長期戦略策定・D2Cブランド立上げ・ECチャネル戦略策定など、ECを起点として事業プランニングを担当。
  • HAKUHODO EC+ コンサルタント
    博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    メーカーDX推進グループ マーケティングプラニングディレクター
    2014年に新卒で食品メーカーに入社し、DtoCブランドの立ち上げを経験。その後、外資系食品メーカーにて、自社ECのマーケターとしてCRM領域に従事。2022年に博報堂入社。これまでの事業会社でのECビジネス経験を元に、消費財業界における自社ECのコンサルティング業務に従事。主に事業戦略策定・戦術策定(プロモーション/CRM)を担当。
  • HAKUHODO EC+ コンサルタント
    博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    コマースDX推進グループ マーケティングプラニングディレクター
    2022年博報堂中途入社。大手ECモールでのECコンサルタントの経験をもとに、EC領域全体の事業設計や戦略策定を担当。新規出店企業から月商数十億円規模のクライアントまで幅広いコンサルティング実績を持つ。EC領域に特化した「HAKUHODO EC+」にも所属し、新たなソリューション開発も推進している。
  • HAKUHODO EC+ コンサルタント
    博報堂 ショッパーマーケティング事業局
    メーカーDX推進グループ マーケティングプラナー
    2021年に慶応義塾大学を卒業後、博報堂に新卒入社。ストラテジックプラニング職。
    初期配属より、コマース(EC)チームに参画し、EC事業の中長期戦略策定や新商品開発、市場調査・企業理念の策定など、幅広い領域のプラニングに従事。並行してHAKUHODO Live Commerce+にも所属し、ライブコマースの戦略策定から実装支援まで一気通貫でのプラニングを行っている。