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インタラクティブコミュニケーション×成果報酬モデルで実現する新しい広告ソリューションサービス「ADsMINE」(後編)
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インタラクティブコミュニケーション×成果報酬モデルで実現する新しい広告ソリューションサービス「ADsMINE」(後編)

博報堂が提供する新しい広告ソリューションサービス「ADsMINE」。
成果報酬型かつインタラクティブなコミュニケーションを武器に、得意先の課題解決をスピーディに実現するこのサービスについて、共同開発にあたったRAB青森放送、株式会社アービング、博報堂の各担当者が、開発の背景や概要、実際の事例、今後の展望などについて語ります。
後編では、ADsMINEの強みや、音声メディアの変らない魅力と今後の可能性、インフルエンサーマーケティングのこれからの形について、事例を交えて紹介します。

(前編はこちら

■音声メディアの変わる“聴かれ方”と変わらない魅力

信川
西澤さんは、ラジオ業界の動向と課題についてどんなことを感じられますか。
西澤
ラジオからテレビ、そしてSNSに動画配信サービスと、近年はシンプルにメディアの選択肢が増えて、ラジオを聴く人、聴くシーンは確実に減っています。その結果広告予算がラジオに割かれなくなってきているというのが実状です。確かにradikoの登場によってラジオコンテンツには触れやすくなっているとは思いますし、コロナ禍でも、ポッドキャストを利用する若者が増えたりラジオを聞きながら仕事をする人が増えたという話もありますが、あいにく広告予算には反映されていない気がしています。
森田
おっしゃるように今は媒体を選定してコンテンツを楽しむというよりも、コンテンツ主体で媒体を選択する時代になりました。ラジオにはまる若者も増えているなかで、まだそれを企業が広告ビジネスとして活かせていない気がしています。というのも、聴取率のような指標文化でラジオを理解することが難しいというのもあるし、広告ビジネスの主な担い手となる年代と、ラジオを聴く若い年代が異なるトライブにいるため、選定されにくくなっているのだと思います。その点、成果報酬型の広告メニューや新しいサービスの形を提供することで、とりあえずトライしてみて成果を出していくという群戦略的な進め方が、ADsMINEでは可能になっています。
鈴木
海外では日本に先行する形で、音声メディアが広がり、外資系の企業が広告予算を出すときには「とりあえずポッドキャストに出そう」というケースが少なくないそうです。数値上でも米国ポッドキャスト広告収益は2022年に約18億ドルとなり、直近2年の成長率はデジタル広告市場全体を上回っています。
日本の場合まだ音声メディアに対する理解、音声メディアの活用が進んでいない状況ですが、逆にいえばこれからのチャンスではあります。

radikoの登場で、そのとき流れてきたものを受動的に聴くというよりも、能動的に聴きたいコンテンツを選んで聴く人が増えました。それによってラジオ特有の濃密なファンコミュニティ性というのは、強化されていっていると思います。実際、先日あるラジオ番組を持つタレントがその番組の公開放送イベントの告知をSNSで行ったところ、チケットが即日完売したこともありました。それくらい、深いファンがそこに集約されていっているということだと思います。それを活用しない手はないですよね。

西澤
おっしゃるとおりですね。ラジオ広告に関しては、そこから派生したイベントという形でよりアグレッシブに展開していくことで、 売り上げを伸ばしているケースも確かにあります。ラジオコンテンツを能動的に楽しむ人が増えたことで、鈴木さんのおっしゃるような“ファンの深化”や若年層化も起きている。僕が個人的に好きなラジオ番組の公開イベントに行った際、2020年冬頃は、自分と同じようなオタクかおじさんばかりだったのですが(笑)、コロナ禍以降、若い女性が非常に増えていました。
やはりコロナ禍の間に好きなラジオコンテンツを能動的に聴くことがより一般的になり、ラジオ関連イベントの熱狂度も増しています。ことラジオに関しては、一定のリーチはありつつもニッチなファンコミュニティを持つメディアではあるので、そこから客単価を上げるなり、LTVを伸ばしていくという作業を今後はやっていく必要があるかと思います。

信川
ポッドキャストの場合、「2023年買ってよかったもの」「ドラマ考察」「アラサー」「キャリア」「美容課金」などの知りたい“関心テーマ”を起点に番組を検索します。これまでのラジオにはなかった現象ですよね。
テーマに沿って多種多様な番組が検索結果として出てくるので、知らなかった番組やタレントとそこで出会い、ファンになったりする。生活者が気になっている何かしらのテーマなりカテゴリーがあるとして、企業が先回りして情報を出していけば必ず触れていくことになるわけです。
その時々の話題のテーマやトレンドと連動させてイベント協賛するといったやり方もきっと有効ですよね。ちなみに、協賛がつきやすいラジオパーソナリティの傾向などはありますか。
西澤
テレビですでに人気の人は、他のポッドキャストやゲスト回でも人気だったりします。あとは、いわゆるお笑いコンビの“じゃない方”と言われるような方がラジオだと活きるというのはよくあります。それから、スポンサーがついた番組はパーソナリティが割とがっつり宣伝するんですが、リスナーとしてはなぜかあまり嫌な気持ちにならないというのもラジオならではかもしれません。「これが売れないと番組を続けられない」などと聴くと、ファンは嬉々として「よし買おう」となる。応援心理が働くようです。
信川
それもラジオならではのユニークな現象ですね!

■ユニークな企画と最適な掛け合わせで大きな効果を発揮するADsMINE

森田
ここで、実際にADsMINEで実施したPR施策を2つご紹介します。
1つ目は、首からかけるポータブルタイプの空気清浄機のPR施策です。
青森放送の番組内で、事前にリスナーから募集した歌詞をもとに、番組に呼んだ社長の前でアーティストが作曲し、歌を披露。できた曲をSNSでも投稿し、商品の売れ行きが良ければCMソングとして使っていただこうというものでした。自社ECの月間販売数の約4倍の商品が20日間ほどで売れ、販促事業のパートナーとして高い評価を頂きました。

キャスティングのポイントは、そのアーティストがTikTokでもインスタグラムでも数十万のフォロワーがいるインフルエンサーだったということ。彼らのインスタでも番組をライブ配信したことで、青森放送の放送域に入らない全国のファン、普段ラジオを聴かないような方も、生で配信を聴くことができました。さらに番組終了後、ライブの続きをSNS配信することで、ラジオとSNS相互のファンが楽しめるような仕組みにできた。Xのトレンドにも番組名が上がるなどの盛り上がりをつくれた事例です。

信川
ライブ配信中にファンと演者がコメント欄でやり取りできるという、SNSの特徴も活かせていましたよね。
森田
そうですね。そのCMソングは商品説明にもなる歌詞だったので、曲が拡散されることで商品理解も広げることができた。ラジオやSNS、そしてアーティストをうまく組み合わせることで初めて可能になる効果だと思います。
鈴木
その派生として実施したのが、2つ目の事例。
ボタンを押すだけでコードが弾けるという電子ギターのPR施策です。
ある芸人さんの番組で、リスナーから集めたボケネタに電子ギターのメロディを合わせてジングルをつくり、完成したジングルを1カ月間流すというものでした。さらにその模様を短尺動画にして、SNSでの拡散も図りました。高単価商材ということもあって、販売数が跳ね上がったわけではありませんが、 TikTokもポッドキャストもコンテンツに資産性がある 点で高単価商材との相性が非常にいいことを発見できました。
どういうことかというと、リアルタイムのラジオ放送で高単価商品を紹介されても即購入とはいかないと思いますが、短尺動画を保存できるTikTokに送客することで、購入決断のタイミングを広く保ち、カスタマーの検討ジャーニーにマッチさせる。 そういう意味で、高単価商材には有効なメディア選定だったと思います。
信川
コンテンツや媒体、タレントを掛け合わせて、これまでなかったような広がりや効果の持続が期待できるのがADsMINEの強みです。これも博報堂と各社との確かな協業体制が構築できているからこそだと思います。

■メディア、SNS、キャスティングのあらゆる可能性を、掛け合わせの中から探っていく

信川
私自身、コロナ禍がきっかけでポッドキャストやラジオにはまった人間なので、これからも音声コンテンツの可能性と、SNSの活用については追求していきたいですね。SNSでの拡散だけを目指すのではなく、やはり信頼性やコアな求心力のあるラジオというメディアと連動させて、より面白く、多くの人に刺さるテーマの切り出し方、企画に挑戦していきたいと思います。
森田
今までは、テレビならテレビでだけ、SNSならSNSでだけの企画を考えていましたが、メディアも統合が進んできて、多様な接点を押さえなくては通用しなくなっていると痛感しています。
今後の可能性としては、NFTの活用も画策中です。 ITP規制の中で、クッキーの新たな代用として、NFTを利用します。また、NFTを通常の広告に付与し、広告に接触するだけでその商品のインセンティブがもらえて、来店時に特別なサービスを教授できるといった仕組みです。
そうすれば、“広告”を見たくないもの、邪魔なものとしてではなく、当たれば当たるほどその人の得になるようなものに価値づけできる。Web3の世界ではそれも可能なんじゃないかと思って、いま画策しているところです。
鈴木
僕は、ラジオの体験にはまだまだ拡張性があると思っています。インフルエンサーとコラボしてSNSやマスと掛け合わせるというのはもちろん、ラジオならではの「ながら聴取」ができる特徴も、リアルな場やファンコミュニティとうまく掛け合わせられないかなと考えています。リアル場からラジオ、ラジオからSNSという線が結べた時に、リーチの仕方は広がるし体験も強くなるはず。話題性がつくれれば、ラジオの出稿もメニューとしてつくりやすくなるだろうと思います。
新谷
タレントやインフルエンサーをキャスティングする立場としては、どうしても受け身になって、予算面や想定リスク面からあれもだめ、これもだめと言いがちなんですよね。でもADsMINEの経験を通して、マネジメントサイドももっと積極的にPR案件を活用して、ポジティブにものを売れるようなタレントを育てていきたいと思っています。

西澤
僕はこの協業を通して、ラジオ局という枠組みを超えて何にでもチャレンジしなくてはいけないと改めて思いました。課題解決のためのADsMINEというのはもちろん、ラジオの特性を活かしたイベントや企画など、広告の売り上げ的に厳しい状況だからこそ、そういう状況下で何ができるかというのを模索していきたいですね。そして、青森発で、全国に何か新しいことを広げていければ、それをきっかけにほかのローカル局の盛り上がりにも寄与できるかもしれないとも思います。
ローカル局には多種多様なコンテンツ、可能性がありますから、それをあらゆる手段で活用していくことが、ローカル局がいまできることであり、やらなくてはならないことなのだと思います。
信川
皆さん 本日はありがとうございました。
マス×ソーシャルメディアの施策で、広告成果の可視化・効率化にご興味がある方はぜひ博報堂DXソリューションデザイン局までお問い合わせください。
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  • 西澤 大樹
    西澤 大樹
    RAB青森放送
    東京支社営業部

  • 新谷 拓也
    新谷 拓也
    株式会社アービング
    芸能部 チーフ

  • 博報堂 DXソリューションデザイン局
    マーケティングプラナー

  • 博報堂 ミライの事業室
    Hakuhodo JV Studio
    ビジネスデザイナー

  • 博報堂DXソリューションデザイン局
    マーケティングプラナー

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