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博報堂キースリー主催「web3グローバルハッカソン」 最終ピッチレポート【後編】
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博報堂キースリー主催「web3グローバルハッカソン」 最終ピッチレポート【後編】

web3事業プロデュース企業の博報堂キースリーが手がける企業タイアップ型のハッカソン「web3グローバルハッカソン2023」。
後半では、三菱地所のハッカソンテーマで1次審査を通過した5組の最終ピッチが行われました。
▶前編はこちら

審査員は下記の通りになります。

・谷沢 直紀(三菱地所株式会社 コマーシャル不動産戦略企画部 ビジネス戦略・産学連携推進ユニット ユニットリーダー)
・志村 侑紀(株式会社shiftbase 代表取締役CEO)
・田中 厳貴(HEALTHREE Pte.Ltd Co-founder/CTO)
・RugRug Pudding(株式会社Kudasai Co-founder/取締役)

発表に先立ち、谷沢氏が挨拶を行いました。

「前半のプレゼンを聞いていても『web3には境界がない』というのをあらためて感じ、マツダさんのご提案を仮に三菱地所が取り組んだとしても意義のあるものになるのではと思いました。何気ない日常のこと、生活の延長戦上にどう意味を持たせられるかが問われていくなか、最終審査に残った5組のプレゼンを聞けるのがとても楽しみです」(谷沢氏)

1.Sirus(シリウス/サイルス)

インドから参加のシリウスチームは、人々の繋がりを作るためのソーシャルフィードスペース「Signal DAO」を開発しました。

現代社会は人との繋がりを見つけることの難しさ、社会的参加の機会の欠如が課題になっており、「社会的孤立」が取り沙汰されています。

Signal DAOでは、そうした課題に対する包括的な解決策として、都市に集まる人の声をリアルタイムに抽出し、イベントやコミュニティを通して繋がりを促進するプラットフォームを提供していくとのことです。

審査員からは、課題意識を持ち、DAOで解決していくという着眼点は素晴らしいというコメントが寄せられた一方、どの都市からPoCを回していくかなど「具体的なアクションにまで踏み込んだ内容が聞きたかった」とのフィードバックがありました。

2.Web 3 City(ウェブスリーシティ)

ネパールのスタートアップチームが発表した「Web 3 City」。
ブロックチェーンを活用し、安全かつ信頼できる分散型の環境を提供する近代的な都市コンセプトを掲げ、Web 3 Cityで利用できるトークンを持っている人であれば、誰でも建物や施設にアクセスが可能できるものとなっています。
ユーザーのトークン保有量に応じて基本レベル、中級レベル、プレミアムレベルと3つの階層に分け、それぞれに応じたユーザー体験を提供していき、将来的にはさらなるトークン経済の発展を視野に入れていきたいそうです。

「Web 3 City」というコンセプトの面白いサービスを、より多くの人に訴求していく方法やユーザーを増やすための施策について、審査員から質問が上がりました。

3.GrowhUP(グロースアップ)

GrowhUPを通して解決したい点は下記の3つになります。

・ビルや街の改善提案の発見
・企画の立案からプロジェクトの開始までのリードタイム短縮
・企業間の新たな繋がりを創出

「提案AI」と「投票AI」の2つがサービスの肝となっており、企業はGrowhUPを通じて、他社との交流が生まれ、新たな施策やビジネスパートナーづくりのきっかけをつくります。
将来的には生成AIとトークン経済を形成した、まだ見ぬ未来の都市づくりにGrowhUPは貢献していきたいとのことです。

サービスの考え方が、ハッカソンテーマに沿った内容で、審査員からも好評価でした。

そのなかで、ビルの改善提案というサービスから、AIによる提案と投票の仕組み、企業へのトークン付与など、全部をビジネスとして捉えようとしていたため、「サービスの焦点がぶれてしまっていた」という意見も聞かれました。

4.水脈DAO

水脈DAOはデジタル村民NFTを共同所有する「DAO型」コミュニティ事業の計画案です。
ユーザーが水脈DAOのメンバーシップNFTを購入することで、地方各地のデジタル村民NFTを共同で所有する内容になっています。
さらに運営は各村民NFTの権利を細分化し、それをチケットNFTとして水脈DAOのメンバーへ売り出すことで、持続的な経済圏の構築を目指すそうです。
水脈DAOを通じてTOKYO TORCHを起点に、「オープンイノベーション3.0」の加速をさせていくのを目標に据えています。

審査員と発表者の質疑応答では、デジタル村民NFTの課題感を捉えた理由や、地方の課題解決に向けた取り組みについて、やり取りが交わされました。

5.Torch Hub「CommuLink」(コミュリンク)

自律的にコミュニティを形成できるサービスが「CommuLink」です。NFTを共通軸にしたコミュニティと管理者を持たないDAOの運営で、人々の交流を活性化を促すソリューションとなっています。
ユーザー自身は、取得したNFTでコミュニティを作成したり、すでにあるコミュニティへ参加したりすることができます。また、特定の条件を満たすと、施設内で利用できるクーポン等を獲得できる仕組みになっています。

審査員を交えた質疑応答では店舗とNFT、ユーザー、コミュニティの設計周りやサービスの細かなユーザー体験まで、白熱した議論が繰り返し行われました。

ハッカソン結果発表。W受賞したチームも

マツダと三菱地所の最終ピッチが終了後、厳選な審査が行われ、「web3グローバルハッカソン2023AW」で受賞したチームの結果が発表されました。

▼Moon賞|Sion
受賞理由:
高い技術力やテーマ選定の面白さが受賞の決め手に。三井物産グループで新規事業開発を推進する「Moon Creative Lab」とのシナジー効果も高く、建設重機や船舶といった分野での協業や発展性に期待が持てることが評価につながった。

▼VeryLongAnimals賞|TWINACTIV
受賞理由:
金融や投資が絡むNFTプロジェクトが多いなか、TWINACTIVはデジタルでの自己表現(アイデンティティ)をNFTにしたサービスだったのが受賞の理由。

特にクルマは所有しているだけで、ある種のコレクション的な価値を感じられ、それを体現したTWINACTIVが評価された。

▼Web3 Foundation賞|Carbon Drive App
受賞理由:
Web3 Foundationはエネルギー効率を高めることを追求しており、Carbon Drive Appは
自動車業界におけるエネルギー使用を改善する上で、大きな役割を果たすことができると感じたのが受賞したポイントになっている。

▼Biconomy & Astar賞|Torch Hub「CommuLink」
受賞理由:
Biconomy を使ったAA(Account Abstraction、アカウントの抽象化)のソリューションを生かし、技術的にも高いサービスを開発したのが受賞につながった。

▼Astar優秀賞|てりたま、Pigeon
受賞理由:
てりたまは「ビンゴ×NFT」という発想の面白さと、Astar zkEVMを活用したテクノロジーのアプローチが非常に秀逸でサービスに落とし込まれていたのが高評価を得るポイントだった。

PigeonはAstar zkEVMを始め、グローバルで主流となっているさまざまなweb3技術を取り入れていた点が受賞のきっかけになった。

▼Astar最優秀賞|MAZDA Driver Identity
受賞理由:
MAZDA Driver Identityは大企業がweb3事業をスタートする際に課題となるポイントを先回りし、それを解決した上でサービスに落とし込んでいた。プロダクトの実装から提案、企画まで隙のない完成度だったのがAstar最優秀賞に選ばれた大きな理由になった。

▼三菱地所 優秀賞|GrowthUP
受賞理由:
web3は、既存のものを変えるよりも新しいものを作った方が好ましく、GrowthUPは
三菱地所と連携して「新しい街」を作っていくという気概を感じ、未来をイメージできたのが評価ポイントになった。

▼三菱地所 最優秀賞|水脈DAO
受賞理由:
「日本を明るく、元気にする」というTOKYO TORCHの掲げるビジョンに向かって、東京と地域がつながっていける未来を描けていたのが最優秀賞受賞の決め手になった。

▼マツダ 優秀賞|02 Club、Beavers’Hive、YAKIONIGIRIs、てりたま、Enn-Drive
受賞理由:
02 Clubはクルマの移動経路も楽しめるサービスになっていたのに加え、ARを含めた未来を見据えていたことも評価につながった。

Beavers’Hiveは、今年に登場した最新のweb3技術を積極的に使っていて、さらに埋蔵というユーザー体験に必要となるトークンも、アスターの持っているdApp Stakingと非常にマッチしている点が受賞した理由となっている。

YAKIONIGIRIsはドライブの経路をNFT化し、コネクテッドカー同士が補完し合って、ストリートビューを完成させていく着眼点の良さから優秀賞に選出された。

2度目の受賞となったてりたまのSotomiruは、目的地へ行く際の長いドライブを楽しめるプロダクトだったほか、相対的な発展性も受賞を決める大きな要素となった。

店舗集客や地域振興と相性が良く、バブリックモードによるビンゴの作成はファンミーティングとの親和性も高いため、プロダクトを磨いていくことで、いろんなユースケースを創出できる点が評価された。

Enn-Driveは初めてのweb3開発だったにもかかわらず、技術的にも高いプロダクトに仕上がっていたこと。コンセプト的に優しい気持ちになれることが審査員に評価され、優秀賞に選ばれた。

▼マツダ 最優秀賞|MAZDA Driver Identity
受賞理由:
バーチャルとリアルを融合させ、必ずしも経済的価値に紐づかない「Fan to Use」を考え、具現化したこと。

それに加え、最先端の技術を取り入れるなど、プロダクトの完成度やメタバースと連動する際の実装力の高さが際立っており、最優秀賞にふさわしい仕上がりだったのが受賞の決め手となった。

表彰式は熱気に包まれたまま幕を閉じました。
今回の「web3グローバルハッカソン2023」は、web3事業をリードする博報堂キースリーのもと、多様なバックグラウンドを持つ参加者たちによる新たな技術と創造性が融合した提案が数多く登場し、マツダや三菱地所の審査員からも高い評価を得ることができました。
入賞チームは両企業からの出資や共同開発、グロースサポート等を受け、ハッカソンで終わらせずに企業とともにサービスの社会実装を目指していきます。

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