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ヒット習慣予報 vol.217 『音声ARガイド』
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ヒット習慣予報 vol.217 『音声ARガイド』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。

ながいながいゴールデンウィークがついに終わってしまいました。休みボケから立ち直れずに回らない頭をギシギシいわせながらコラムを書いています。さて、ここ数年なかなか旅行にも行きづらい日々が続いていましたが、今年こそはとこの休みを利用して旅行にでかけた人もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のヒット習慣予報のテーマはそんな観光に関する新しい潮流「音声ARガイド」です。まだまだコロナの状況は先が読めない今日ですが、「観光」の検索数をみてみてもここ1年で右肩上がりに推移していることが見て取れます。

「観光」の検索数推移

出典:Googleトレンド

ARとは、「Augmented Reality」の略で、一般的に「拡張現実」と訳される技術で、スマートフォンゲームの普及もあってだいぶ一般化してきている気がします。通常ARはスマートフォン(あるいはスマートグラス)のディスプレイ越しに現実世界にある情報が重ねられて表示されることを指すと思いますが、今回ご紹介する「音声ARガイド」は特定の位置情報や場所に連動して音声コンテンツが重ねられることで観光をより深い体験にする技術を指しています。
実際に箱根や博多といった観光地で専用のアプリをつかって「音声AR」で街歩き観光をより楽しめるコンテンツがすでに使われ始めています。これまでの観光ではガイドブックやスマートフォンを片手に文字や画像をみながら情報を得る体験がふつうだったと思いますが、「音声ARガイド」ではアプリを起動してその場所に近づくだけで“自動で”音声が流れてくるのでストレスなく没入感のある観光を楽しむことが可能です。もちろん、観光ガイドスタッフの人にお願いすればその人が様々な情報を音声で教えてくれますが、アプリなので深夜でも早朝でも自分の好きな時間に好きなように楽しむことができるのです。さらに、その場所の観光情報だけでなく、場所と連動したオリジナルドラマ(エンタメコンテンツ)を楽しむこともできるようです。

実際にわたしも音声ARガイドを試してみたのですが、何よりも“いちいち画面をみる行為”から解放されることで目が忙しくなく、目はリアルな風景を、耳は音声コンテンツを、というすっきりとした役割分担がされストレスなく没入感のある新しい体験を楽しむことができました。まるで横にガイドの人がいるかのように聴こえるバイノーラル録音されたコンテンツにするなど様々な工夫がされることでもっとワクワクする体験にすることもできそうです。

事実、スマートスピーカーや音声配信サービスなどのボイステック市場は海外からも注目を集めており、様々な企業が関連技術会社の買収に動いているようですし、イヤホンも完全に耳を塞ぐタイプの商品ではなく、外音も同時に取り込んで聞こえるタイプの商品も次々と発売されていたりと、「音声ARガイド」を楽しむ環境も整っていくことが予想されます。

なぜボイステックや今回ご紹介したような「音声ARガイド」に注目が集まっているのか、その理由はいくつかあると思いますが体験してみて最も感じたのは、画面をみるストレスから解放されることが最も大きいのではと思いました。今後スマート「コンタクトレンズ」のような商品が一般的になり、ストレスなく視界に情報が重ねられるとしたら別ですが。自分の視界になんらからのディスプレイをとおして情報が重ねられるとしたら、その情報にはそれになりの価値がなければストレスに感じるんだなということを実感しました。また、スマートフィンやパソコン、テレビなど毎日長時間ディスプレイの情報と接する生活をつづけていることによる「画面疲れ」も追い風になっているように感じます。わたしも少しの時間があればスマートフォンを眺めてしまう癖がついてしまっています。そこで少しの時間画面から離れるために耳だけで、それも歩きながらリモート会議に参加する「ウォーキング・ミーティング」を実践する人も増えてきているとか。情報過多に時代に体験のDX化を考えた時に、最もストレスなくコンテンツと取得することができる「音声」に実は様々なチャンスがまだまだ眠っているかもしれませんね。

最後に、「音声ARガイド」のビジネスチャンスについて、少し考えてみたいと思います。

「音声ARガイド」のビジネスチャンス例
■自分の好みに合わせて、近くのおすすめの店を音声で教えてくれるサービス。
■アニメの登場人物と巡る、聖地巡礼音声ARガイド。
■街を歩きながら楽しむ位置連動型「街なかフェス」。

最近のマイブームはお風呂でカラダを洗いながらラジオを聴くことです。お風呂だけじゃなく、運転やトレーニング中など音声が入り込む余地はたくさんありそうですね。

「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 PR局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。