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長期化するコロナ禍を経て、Z世代の買い物はどう変わったか?
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長期化するコロナ禍を経て、Z世代の買い物はどう変わったか?

YOMIKO都市生活研究所では、次世代の購買行動やコミュニケーションを探るべく、若者マーケティングの研究実践に取り組む 産業能率大学 小々馬ゼミとの「リアルZ密着サーベイ」を通して、Z世代の求める「理想の買い物体験」について研究を行っています。

2021年1月の記事で、〈Z世代の気持ちを動かす5つのHOTボタン=EIEEP(イープ)〉についてご紹介したように(※)、情報過多の環境で育ったZ世代は、従来の広告を「押しつけ」に感じ、モノ・コトに対して自分が想定していなかったような新鮮な出会い=〈遭遇〉を大切にしています。

コロナ禍が長期化する中、Z世代の商品・サービスとの出会いに、どのような変化が起こったのか?直近の調査で明らかになった変化について、お伝えします。

※参考 商品との出会い~購入後まで、理想的な買い物体験のための5つのHOTボタン「EIEEP」

コロナ禍の外出自粛が続く中で、Z世代がいい買い物をする時の〈遭遇〉タッチポイントは、店舗からSNSへと変化。

前述の通り、Z世代が求める〈遭遇〉とは、「自分が想定していなかったような新鮮な出会い」のことを指します。オンラインサービスを積極的に利用するZ世代ですが、じつはコロナ禍以前、商品・サービスとの〈遭遇〉の場のトップは、「リアル店舗」でした。Z世代に対する定性インタビューでも、「お店に行って、たくさん並んでいる商品の中から、欲しいものを見つけ出す感覚が楽しい」という声がきかれ、ネットやSNSの情報をもとに、リアルな体験を求めて積極的に行動する姿がみられました。
しかし、コロナ禍の外出自粛が長期化する中で、店頭における商品との〈遭遇〉経験率は大きく低下しています。

変わって、コロナ禍以降、Z世代の〈遭遇〉タッチポイントのトップとなったのは、「Instagram」でした。
コロナ禍以前の2019年と比べるとInstagramでの出会いは、2倍に増加しました。

2021年10月の時点で、Z世代の〈遭遇〉タッチポイントの上位を、①Instagram ②YouTube ③TwitterとSNSが独占。他の世代と比べても、Z世代はとくに「SNS」を通じた、商品・サービスとの〈遭遇〉経験率が高いことが分かります。

その一方で、店頭での〈遭遇〉率は低下していますが、〈購入の場〉のタッチポイントは、コロナ禍以前と変わらず、「店頭」が1位(53%)となっています。“手に入れる瞬間の、買い物体験“を楽しむZ世代にとって、「リアル店舗」は、コロナ禍以降も依然として、買い物プロセスにおける重要なタッチポイントといえます。

SNSにおける、いい出会いとは?一瞬のピン!ときたチャンスを逃さないための、「保存」アクション。

では、SNSにおいて、Z世代はどのように〈遭遇〉しているのでしょうか。大量に情報が流れてくるSNSにおいて、「これは、いい出会いをした!」と思えるような運命的な〈遭遇〉がどのように生み出されるのかを探るため、産業能率大学 小々馬ゼミのゼミ生にインタビューしました。

ゼミ生の発言から、情報量の多いSNSだからこその、2つのステップを踏んでいることが分かりました。
① 一瞬の遭遇のチャンスを逃さないために、少しでも自分が気になった投稿はとにかく瞬時に「保存」する。(感覚的アクション)
② さらに、自分が感覚的に「保存した投稿」を、あとからまとめてチェックする。(客観的アクション)

投稿に対する瞬時の反応・判断が求められるSNSだからこそ、Z世代は「保存」機能をうまく活用し、情報とのいい出会いを生みだそうとしています。
さらに、保存したSNSの投稿については、自分なりに整理するという発言もありました。

瞬時に・感覚的に「保存」した投稿を見返し、さらに自分なりに整理してくことで、「いま自分が求めているもの」に改めて気づかされる。このようにSNSでは、単なる商品やサービスとの出会いにとどまらず、“自分の気付いていない自分を発見する”という、新鮮な出会いも引き起こされているのかもしれません。

まとめ:気づきが得られるSNSコミュニケーションが、Z世代の買い物における〈遭遇〉のポイントに。

コロナ禍以降、Z世代の買い物における〈遭遇〉の場は、「リアル店舗」から「SNS」へと変化しました。そして同時に、Z世代が〈SNSだからこそのモノ・コトとの出会い方〉を自ら積極的に生み出そうとしている姿も見えてきました。情報を感覚的・客観的にとり扱っていくことで、“自分でも気付かなかった、いまの自分の嗜好やニーズを知る”というSNSならではの楽しみ方。これは、今後、リアル店舗へと客足が戻っていく中でも、コロナ禍の期間に醸成された「SNSの遭遇の仕方」として習慣化され、根付いていくのではないでしょうか。
私たちは引き続き、次世代の「理想的な買い物体験」を作り出すことを目指し、Z世代の感性アンテナが反応するような〈幸せな遭遇〉を引き起こすためのコツづくり・研究に取り組んで参ります。

【調査概要】
■「YOMIKO Z世代買い物行動調査」 2021年10月実施

調査対象者:Z世代を含む18~59歳計1,100名(Z世代300名)

■産業能率大学小々馬ゼミ×YOMIKO 「リアルZ密着サーベイ」

小々馬 敦 Atsushi Kogoma
産業能率大学 経営学部 教授
産業能率大学大学院 総合マネジメント研究科 教授
大手広告代理店、世界的なブランド・コンサルティング企業の代表などを経て、2010年ブランド・エンジニアリングを設立。2013年より現職。若者市場研究のカンファレンス『AgeMi!マーケ!2030』(2019年3月)や日本マーケティング協会との共催で「ミライ・マーケティング研究会(2020年~)」を主宰するなど、教育・研究を通じてマーケティング実務家とZ世代をつなぐ取り組みを行っている。

産業能率大学 小々馬ゼミ
「マーケティングとブランディング」を専門領域とし、企業とのコラボレーションや公開セミナーの企画運営、出版、研究レポート・論文の発信等の研究活動を行っている。企業とのコラボレーションでは、商品開発やマーケティングチームにメンバーとして参加したり、企業が直面している実際のマーケティング上の問題を解決するために多様な専門性を有する実務家の方々と協働する「ハンズオン・プロジェクト」に取り組み、企業活動をライブに実体験することにより専門的な資質を高めている。

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  • 株式会社 読売広告社
    コンサルティング会社を経て、2010年読売広告社入社。得意先企業の商品開発、ブランディング、コミュニケーション戦略立案に携わる。2019年より、都市生活研究所に所属。近年は「次世代の購買行動研究」「Z世代研究」に従事。
  • 株式会社 読売広告社
    2000年読売広告社入社。不動産関連の調査、また生活者の「食研究」に携わる。2019年より都市生活研究所に所属し、「Z世代」の調査・研究に従事。