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~都市生活者のNEXT WORKSTYLE! Vol.2~ 日本のワーカーが求める、これからのテレワークスタイルとは?
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~都市生活者のNEXT WORKSTYLE! Vol.2~ 日本のワーカーが求める、これからのテレワークスタイルとは?

日本ではテレワークに対する生活者の意識は、現段階でどうなっているのか?

こんにちは、読売広告社 都市生活研究所です。働き方改革も本格化しつつある昨今ですが、テレワークを中心に変化しつつある日本のワークスタイルの潮流について、第1回に続き第2回のコラムとなります。
今回は読売広告社の独自調査をさらに細かく紐解くことで、テレワークに対する生活者のニーズや認識の違いについて、より詳細に分析していきます。

テレワークに対する生活者の意識は4タイプ

読売広告社では、東京30km圏に住む20~50代のフルタイムワーカー(勤務者)1998人に対してアンケートを行いました。この中でテレワークについてある程度「自分ごと化」できている人は全体の24.6%、約4人に1人が現実的かつ前向きな回答となったことは前回のコラムでご紹介したとおりです。

そのようなテレワークに前向きな人を、多変量解析の手法を用いながらさらに細かく分析すると、4つのタイプが存在することがわかりました。

4つのタイプそれぞれの人たちが元々持っている生活価値観の特徴は、次のようになっています。

『ビジネス力向上志向タイプ』の人たちは、今の仕事に対して「単なるお金を稼ぐための手段」というよりは、「仕事を通じて自分を高めている」という意識を持った人が約65%と非常に高い水準となっているのが特徴です。
『プライベート充実志向タイプ』の人たちは、仕事に対しても比較的前向きではありますが、それ以上に「プライベートや家庭を中心に考えて生活を組み立てている」が約80%と高いスコアとなっている所が特徴的といえます。
『現状改善志向タイプ』は、「毎日定時で帰れるような会社がいい」のスコアが約71%と非常に高くなっており、いまの仕事・職場環境に不満が大きいことが推測されます。
またもっともボリュームとしては大きな『受動的受け入れタイプ』ですが、どのスコアにおいても高い数字が出づらいのが特徴となっており、生活全般に対してやや「受け身」の傾向が強い人たちであることが推察されます。

次に、これらの4つのタイプの人たちがなぜ「テレワーク」を利用したいと思っているのか?その理由でテレワーク意向者全体との比較で、スコアが高く特徴的なものを挙げてみます。

『ビジネス力向上志向タイプ』は、「副業ができる」「通勤の分の時間が活用できる」等がテレワークを活用する理由としてスコアが高く、ビジネスの生産性をもっとあげたいと考えている人たち。
『プライベート充実志向タイプ』は、「仕事と家庭の両立ができる/しやすくなる」「配偶者が喜ぶ」などが高スコア。テレワーク活用によってプライベートを今よりももっと充実させたいと考えている人たちと考えられます。

『現状改善志向タイプ』は、「わずらわしい人間関係から解放される」や「残業が当たり前という風潮に合わせなくて済む」が高スコアとなっていることからわかるように、テレワークが現状の労働状況の「不満低減」につながると考えている人たち。

『受動的受け入れタイプ』は、テレワークをしたい理由として全体より5%以上、上回る項目がなく、テレワークの意向はあるものの、目的やメリットは非常に漠然としている人たちと考えられます。

注目したいのは、2つのタイプ

ここまで4つのタイプを解説してきましたが、特にテレワークを導入した時の自分の姿やライフスタイルを、現時点である程度しっかりイメージできているのは2つのタイプ。『ビジネス力向上志向タイプ』と『プライベート充実志向タイプ』について、さらに深く考察してみます。

『ビジネス力向上志向タイプ』は30~40代がやや多く、マネジメント層の比率もやや高い傾向にあります。また都心居住の志向が強く、職住近接へのニーズが高い傾向も見られます。仕事もプライベートも、今よりさらに充実させたい意欲が高い人たちですが、特に仕事に対して達成感を求める傾向が強く、テレワークに対してもさらなる達成感・自分の成長にむけたひとつの手段としてとらえているようです。

『プライベート充実志向タイプ』は20~30代の若い世代が比較的多く、城東エリア(※1)への居住意識が高い傾向にあります。都心や城西エリア(※2)とくらべると比較的金銭的に無理をせずに住居を手に入れやすい場所を検討している……ということでしょうか。また家族や友人たちと楽しく暮らしたいという生活価値観が強く、非常に社交的な人たちが多いことがうかがえます。現状の残業もそれほど多くはないですが、テレワークによってさらにプライベートを楽しみたい・充実させたいと考えている人たちです。
※1:東京都中央区、台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区
※2:新宿区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区

『ビジネス力向上志向タイプ』『プライベート充実志向タイプ』が変える、近未来のワークスタイルは?

ここまで『ビジネス力向上タイプ』と『プライベート充実タイプ』の考察をお伝えしましたが、それを踏まえて、それぞれのタイプにおける近未来のワークスタイルを予測していきます。

【ビジネス力向上志向タイプ】多拠点ワーキング・スタイル!
テレワークを、より広い視野とネットワーキングに活かしたい「ビジネス力向上志向タイプ」は、たとえば空き家となった地方の実家と都心の自宅を行き来しながら、いくつかの仕事をパラレルにこなしていくようになるかもしれません。時間と場所に縛られない働き方が可能になれば、これまでの仕事を大都市で続けながらも、地方の地元で新しい仕事を立ち上げ、そちらも副業的に並行させてゆくことも可能になるのでは?
「マルチハビテーション(多拠点生活)+多拠点ワーク」による、新しいワークスタイルと人生をはじめる人が増えるかもしれません。

【ビジネス力向上志向タイプ】自宅は最高のワーク環境!
自宅勤務でも最高のパフォーマンスを発揮し続けたい「ビジネス力向上志向タイプ」は、家の中にいながら“働く/ゆるむ”のスイッチングを可能とする工夫が必要になります。一日の汚れと疲れを落とすだけではなく、気持ちスイッチのon/offを目的としていろんな時間に、頻繁に、お風呂やシャワーに入ることができる自宅のような場所は、ある意味では「最高のお仕事環境が整っている!」と言えるかもしれません。

【プライベート充実志向タイプ】ショッピングモールが、オフィスになる日も近い?
自宅のなるべく近くで、楽しく働くスタイルを追い求める「プライベート充実志向タイプ」は、休日のショッピングだけでなく、平日の「仕事の場」として商業施設に通うようになる日も近いでしょう。今後増えると予想される郊外の在宅勤務者/テレワーカーに向け、商業施設の一角がコワーキング・スペースになり得そうです。働く場所は都心から郊外へ分散し、現在のショッピングモールが格好のワーク拠点となることが予想されます。ショッピングモールなら、ランチもミーティングもちょっとした息抜きもワンストップで可能となり、楽しそうですし、なにより便利ですよね。

ショッピングモールに出店している企業でいうと、フィットネスクラブはよりちょっとした時間のワーカーの気分転換/気持ちのスイッチニーズをとらえやすくなり、平日利用の会員拡大にもつながりそうです。映画館やゲームセンター、ボーリング場などのエンタメ施設も平日昼間~夜のユーザーの顔ぶれが大きく変わって新しいビジネスチャンスにつながる可能性も高いかもしれません。

【プライベート充実志向タイプ】「時短調理」はもう古い!? 働く人ほど手の込んだ手料理が人気に
働いていても家事を手抜きしたくない「プライベート充実志向タイプ」は、在宅勤務によって料理と仕事を同時進行することも可能に。共働き家庭では家事の「時短」がトレンドとなって久しく、手間や時間がかかる料理は、週末に作ることが多いのではないでしょうか。在宅勤務により、仕事し「ながら料理」が可能となり、これらの料理食材やレシピなどの市場は再拡大するのでは?とも予想できます。また料理だけでなく、浸け置き掃除や洗濯などの時間のかかる他の家事においても同様に、「ながら家事」の需要が大きくなっていくかもしれません。
たとえば、カレーやシチューなどある程度「煮込み時間」が必要で、かつ手間をかければかけるほど美味しくなるメニューが家庭内で増えることで、ルーやスパイスへのニーズが広がり消費量が増えるかもしれません。また、水回りのパイプ洗浄やお風呂場のカビ取り掃除、衣類の漂白など「浸け込み時間」が必要な掃除へのニーズが拡大することで、消費量が増え新しい商品の開発などビジネス拡大のチャンスがここにも創出されるような気がします。

あなたの選ぶ、未来のワークスタイルは?

世界と日本における人口動態、産業構造、技術革新など様々な社会情勢の大変革を背景に、いま仕事のあり方やワークスタイルも大きな変化の潮目に直面しています。
ワークスタイルは、当然「暮らし方、生き方のスタイル」と密接であり、人生100年とも言われるこれからはさらに多様な選択肢が広がり、それらをどう選び取ってゆくか?の個々人における「人生・働き方戦略」あるいは「セルフマネジメント」がより求められる時代となる…と言えるでしょう。生活者のみなさんは、どのようなワークスタイル=ライフスタイルを選びとっていくのでしょうか?
都市生活研究所では、これからもそんな生活者の暮らしの変化を見つめ続けていきます。

  • 読売広告社 都市生活研究所 所長代理
    1999年 読売広告社に入社。マーケティング・プランニング系の部門にて、航空会社・自動車関連企業・玩具/ゲームソフトメーカーなどのクライアントに対するマーケティングおよびブランド戦略に関するソリューション業務に従事。2011年より都市生活研究所に所属。主に地域の再開発に関するコンセプト開発/商品企画や商業施設の戦略プランニング、また都市空間と生活者インサイトに関する研究開発案件などに従事している。