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ヒット習慣予報 vol.302『推しヘルシー』
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ヒット習慣予報 vol.302『推しヘルシー』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。
毎年同じことを思っている気がしますが、もう年が明けてから1ヶ月も経過してしまったのかと思うと早くも焦りが止まらない2024年です。昨年の冬は暖かい日がつづきましたが、いよいよ寒さも本格化してきたようで、周りに体調を崩す方もチラホラ見受けられます。30も半ばを過ぎたので、そろそろ本格的に健康に気を使わねばと思うのですが、痩せるための筋トレもなかなか続かないし、お酒も飲んでラーメンも食べてしまうしとなかなか不健康な生活から脱せずにいるのですが、健康になるための習慣って得てして続かないものですよね。(そんなことない!という方も多くいらっしゃると思いますが)

そんなハードルの高い“健康”に関する今回のテーマが「推しヘルシー」です。読んでそのまま「推し活」と「健康習慣」をかけあわせた習慣が「推しヘルシー」なのですが、そもそも「推し活」とは自分の好きなコンテンツやアーティストを応援する活動を指す言葉です。健康と距離のあるように感じるこの習慣が健康と握手し始めているというのが新しい潮流になります。「推し活」をgoogleトレンドで調べてみると2022年あたりから爆発的に伸びていることが伺えます。

「推し活」の検索数推移

出典:Googleトレンド

そもそも、推し活ということばを調べるとどうやら最初に登場したのは2010年頃に遡るようで、当時はアイドル好きの男性の活動を指す言葉として存在していたように記憶しています。ただ、最近では、推す対象も、アイドルだけでなく、二次元のアニメからキャラクター、俳優まで多岐に渡るだけでなく、男性だけではなく女性まで年齢性別まで多用な広がりをみせています。しかも、推し活はメンタルヘルスにいい影響をもたらすということまで言われ始めています。そんな「推し活」とまさに「健康」をかけあわせた「推しヘルシー」にはどんな事例があるのでしょうか。

最初の事例は「推し活」✕「体重計」です。健康のために痩せたい!という人は多いとおもいますが、かく言う私もふくめて、なかなか続かなかったり、そもそも自分の体重をみるのもいやだったりと、うまく行かないことが多いですよね。そこで話題になっていたのが、憧れの推しの対象である声優さんが、自分のその日の体重に合わせて、“声で”褒めてくれたり叱ってくれたり励ましてくれたりする体重計です。実際にあるアニメとコラボした体重計が発売されて話題になっていました。

他にも、オタク専門のパーソナルジムも人気のようです。ジムは私も登録したことがありますが、行くとしっかりと運動ができるのでいいのですが、忙しい生活の中で、挫折してしまったり、やる気が継続できないことがあるのも事実です。 そこで、推し活にはまる人たち向けにつくられたこのジムは、トレーナーもオタクたちなので、同じ趣味趣向をもつ人たち同士で話もはずみそうです。自分のことを分かってくれたり趣味について楽しく会話できるだけで、運動のモチベーションがあがりますよね。

さらに、最近では、健康✕推し活の事例として、睡眠をゲームコンテンツによって改善していくアプリも話題になっていました。スマートフォンを枕元に置くだけで、スマートフォンが睡眠を計測・記録してくれることで、ゲームが進行していく仕組みになっており、まさに推しのキャラクターのために楽しんで睡眠を改善することができる、すぐれものアプリになっています。私も仕事や飲み会で睡眠時間を犠牲にしがちですが、適切な睡眠時間と健康の関係は様々に研究されており、睡眠を削ってしまいがちなスマートフォンをつかって睡眠を改善するという、まさに「推しヘルシー」の良い事例なのではないでしょうか。

若年層に限らず、シニアにも推し活が健康に対していい影響を及ぼしてきているようで、その事例が高齢者施設でのサッカー選手への推し活です。高齢者というと推し活と距離があるイメージがありますが、サッカーを施設で観戦しはじめたところ、なんとスペインのサッカー選手が好きになったことがきっかけで、スペイン語を勉強し、スペイン語で応援メッセージを書くおばあちゃんまで出現しはじめたとのこと。このように「推し活」はまさに、年齢性別を超えて、健康の熱源になりはじめているようです。

今回ご紹介したような「推しヘルシー」は、何故生まれたのか。まず、人生100年時代に突入し、健康への関心の高まりや、仕事や家庭以外の豊かな趣味の時間への投資の増加など価値観の変化が根底にあると思います。さらに、「好き」の多様性がみとめられ、様々な「好き」が応援されはじめていることが背景にあるのではないかと思っています。いままでは「健康」というとなにかそれらしい動機やモチベーションでしか達成できないようなものと、ある種、高尚な目標のようなものとして語られてきたような節があるように思います。ただ、そんなに高尚で固定化された動機ではない、多様な「好き」が社会から認められ始めてきたことで、「健康」を卑近な目標として捉えることができるようになった結果、「推し活」という動機や手段が新しく新鮮で魅力的なものとして拡散されるようになったのではないでしょうか。(もちろん、小さな一歩が共感をもとにSNS拡散される情報環境も大きく影響していると思います)

最後に、「推しヘルシー」のビジネスチャンスについて少し考えてみたいと思います。

「推しヘルシー」のビジネスチャンス例
■推しが健康な食生活をサポートしれくれる「推しレシピアプリ」。
■推しがランニング中に応援してくれる「推しランニングアプリ」。
■推しが一緒にトレーニングしてくれる「推しARジム」。

は植物を育てるのが好きなので、自分が健康になればなるほど、植物が育つとか、新しい植物が購入できるとかあったらやってしまうかもしれません。(ないと思いますが)

 

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 PR局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。