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ヒット習慣予報 vol.246 『アンパーソナライズな生活』
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ヒット習慣予報 vol.246 『アンパーソナライズな生活』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの金田です。

11月も終盤ですがみなさまいかがお過ごしでしょうか。
関西は最近グッと冷え込む日があれば、少し暖かい日もあるなど、きまぐれにも感じる気温の変化があり、私は「どんな気温にも対応してくれる洋服あればいいのになあ」なんて思いながら、その日の服装に頭を悩ませています。

さて、今回のテーマは「アンパーソナライズな生活」です。
パーソナライズという言葉はまだまだ人気ですが、今回はその一方でパーソナライズに少し飽きが来ており、汎用性の高さを売りにした商品が注目され始めているのではないか、という兆しに関するお話です。

まずは、「フード」です。
 “完全栄養食”という言葉を聞いたことがある人も増えてきているのではないでしょうか?
完全栄養食とは、厚生労働省の定める“日本人の食事摂取基準”に基づき、その基準で設定された私たちの生活に必要とされている栄養素をバランスよく網羅的に摂取できる食品のことを指すのだそうです。
最近コンビニなどでも完全栄養食を見かけるようになり、商品のバリエーションも増えているなということを実感しています。
これまでは、個々で足りていない栄養素は異なっているので、自分に不足している栄養素を補うために野菜やたんぱく質の摂取を意識したり、糖質を控えたりといった食事をする人が多かったように思います。
ただ、忙しいタイミングなどで毎回栄養バランスまで考えるのって正直大変ですよね。
完全栄養食の “これさえ食べておけば(栄養面でも)大丈夫かも”というどんな人にも当てはまる食の安心感が注目を集めてきているのかもしれません。

続いては「コスメ・メイク」です。
自分により似合うコスメやファッションが手軽にわかる診断系のサービスが近年ブームになっています。
例えば、髪質や瞳、肌の色などを分析し、自分に似合うカラーを教えてくれるパーソナルカラー診断。ブルべ(ブルーベース)・イエベ(イエローベース)といった言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
このような診断が人気になっている一方で、パーソナルカラーを問わず誰にでも似合うことをウリにしているコスメも登場し、「中間色コスメ」と呼ばれて注目が集まっています。
また、動画サイトなどにアップされているメイク動画でも、「イエベやブルべは関係ない」といったような誰にでも似合うことをうたったメイク動画も登場してきています。
実際、私も興味を持ってパーソナルカラー診断をしたのですが、セルフ診断だと自分の診断があっているのか自信が持てなかったり、診断後も「この色は好きだけど、診断結果からすると似合わないのかも…」と足踏みをしてしまった経験があります。
診断結果に合わせて自分の選択肢をせばめず、自分の好きなように楽しみたいという気持ちに寄り添ってくれると、本来のメイクのワクワクする気持ちを楽しめてとてもいいですよね。

さらに、「スキンケア」でもこのような“汎用性”をウリにしたトレンドは来ています。
最近、私は「美容オイル」というものを使ってスキンケアをしています。
このオイルの良いところは、なんといっても肌だけではなく身体や髪にも使えるところです。
これまで、顔は顔、髪は髪、身体は身体と部位別で分けてケアをしていたのですが、美容オイルに変えてから1本で全部ケアできるようになりとっても楽になりました。
実際に「美容オイル」についてgoogleトレンドを見てみると、年々伸長しており、注目度が上がってきていることがわかります。

(出典:googleトレンド「美容オイル」で検索 ※美容・フィットネスカテゴリ)

また、化粧水や乳液、美容液など複数の機能が1つにまとまっている「オールインワンケアアイテム」も、各メーカーのオールインワンアイテムが注目され始めていたり、メンズ用のオールインワンケアアイテムも発売されたりなど、改めて注目が高まってきています。
コロナ禍がきっかけで男女とも肌への美意識が高まった一方で、忙しい日々は変わらないため、汎用性の高いアイテムを使って効率的にケアをしたいというニーズが高まっていることが影響しているのかもしれません。

ではなぜこのような「アンパーソナライズな生活」が注目を集めるようになってきているのでしょうか。
まず大きな背景としては、モノや情報が溢れかえっている社会が考えられます。
世の中にあふれかえっているものの中から自分にピッタリ合うものを選び出すことはとても大変です。
汎用性の高いものは選ぶ際のハードルを下げ、「みんなに合うなら自分にも合う」ため間違いないという安心感を得られるところに魅力を感じる人が増えてきているではないでしょうか。
また、冒頭でも軽く触れましたが、近年の「パーソナライズ」ブームにも要因があるのではないかと考えます。このブームによってさまざまなジャンルでパーソナライズされた商品やサービスが登場しています。
パーソナライズによって確かに自分に合うものはわかりますが、裏を返すとそれは自分の選択肢を狭めるということにもなります。
選択肢が狭まることを窮屈に感じた人たちが、パーソナライズブームの反動で、汎用性の高いものを求めるようになってきているのかもしれません。

最後に「アンパーソナライズな生活」をめぐるビジネスチャンスについて考えてみました。

「アンパーソナライズな生活」のビジネスチャンスの例
■どんな人でもびしっと着こなせるスーツの販売
■みんなに似合う髪型のカットのみ行う専門ヘアカットサービス
■様々な業種横断で活用できる企画書プラットフォームの開発

個人的には、似合うと好きは違うけど、似合うものにとらわれすぎずに、自分が好きだなって思ったものは試してみようと思いました。とりあえず、まだ試したことのない中間色コスメを試してみようと思います。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 関西支社第二ビジネスデザイン局第二プラニングチーム
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2017年に博報堂入社。大阪生まれ大阪育ちのマーケター6年目。ヘルシー&ビューティー関連が大好き。最近新しい“推し”と出会ってしまい、日常生活がとても活き活きしています。