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いまどき女子のデジタル活用術! VOL.1  ~インスタ映えはもう古い!?~最新のインスタインサイトと広告活用術とは【後編】
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いまどき女子のデジタル活用術! VOL.1  ~インスタ映えはもう古い!?~最新のインスタインサイトと広告活用術とは【後編】

本連載では、働く女性について研究している博報堂キャリジョ研※が、いまどきの女子を取り巻くデジタル環境、デジタル活用の実態などについてご紹介。彼女たちにはどんな広告アプローチが有効かを探っていきます。第1回は、博報堂DYメディアパートナーズの瀧川千智と佐藤有紗が、いまどき女子のインスタグラム活用実態について深掘りしていきます。

前編はこちら

■どうなる!?「インスタ映え」の次なる傾向

佐藤
ここからはいよいよ、「インスタ映え」の次に来ている現象について見ていきます。
いま見えているのは、自分ブランディングのためのブランディングツールだったインスタが、それを見てモノを買う、ウェブ検索する、ECサイトに行く…といった行動促進ツールになってきていることです。

具体的にどこがどう変わっていったのかを5つのポイントに分けてご説明します。
まずは、「写真から動画メインへ」。投稿の多くが写真から動画に変わってきました。これまではプロフィールページやフィードにおしゃれでセンスのいい写真を投稿して楽しむというメディアだったのですが、ストーリーズの機能が出てきてからは、ストーリーズへの動画投稿がメインのメディアに変わってきました。そして、「加工からナチュラルへ」。そのストーリーズで投稿されているものが、以前のような加工された写真とは対象的に、ナチュラルで飾り気のない、日常を切り取ったような動画へと変わりました。続いて「スローから、ファストへ」。投稿速度にも変化があります。時間をかけて作り込むよりは、ナチュラルな方がおしゃれだという感覚で、より即時性が重視されるようになっている。たとえば友だちとただ楽しくおしゃべりしている様子や、飲み会で盛り上がっている様子などの動画を撮り、すぐに投稿するというスタイルが主流です。

また、投稿の動機についても、「承認欲求から、コミュニケーション欲求へ」と変わってきています。かつては自分ブランディングしたいという気持ちが動機になっていたのですが、投稿を基点にコミュニケーションをとりたいという欲求に変わってきている。以前ほど”いいね”の量を気にしなくなった代わりに、投稿に対してどんなリアクションが返ってくるかを気にかけ、それをモチベーションにしている子が多いのです。たとえば人気のアミューズメントスポットの画像を上げて「ここに行きたい!」と投稿すると、「私も行きたいと思ってた」というコメントが入り、そこから「じゃあいつにする?」というアポイントまでつながっていく。遊びに行く予定を立て、そのアポイントを取りたいがために、わざわざ友人たちの反応を期待する投稿をしているわけです。”いいね”やコメントをもらうだけではなくて、その先の行動につながるような、リアクションの質を求める投稿が増えてきた印象です。
ちなみに私たちキャリジョ研がコメントホイホイと呼んでいる現象もあります(笑)。音楽ストリーミングサービスに、「いまこんな音楽を聴いています」という画面をSNSにアップできる機能があるのですが、それを活用して「自分はいまこういうおしゃれな曲を聴いているよ」と伝えたくて投稿すると、「私もその曲知ってるよ、おしゃれだよね」といったコメントが付く。これまではたくさんの人に伝わるよう発信していたのが、よりピンポイントで、分かり合える人とだけわっと盛り上がるようなことが起きています。

最後に「見るだけから、きっかけメディアへ」という変化もあります。これまでは投稿されたきれいな写真を見て楽しんだり、自分のプロフィールページをおしゃれな写真で揃えてその世界観を楽しんだりといったことで終わっていたのですが、いまは、投稿を見た後、その先のオフライン・オンライン行動にまでつながるようになっている。たとえば、フェスなどのイベントの投稿を見て「私も行きたいな」と思い実際に足を運んだり、インスタの仕様自体も変わって広告をタップするだけで商品の詳細ページやECサイトに飛べるようになっているので、インスタグラマーの投稿やブランド広告から「私もこれ欲しいな」と思えば、すぐにタップして調べる、購入するという行動に移すようになっている。きっかけのメディアになってきています。

■インスタにはどんな広告価値がある?

──ユーザーが「インスタ映え」から「コミュニケーション映え」を希求するようになった現在、インスタにはどんな新しい広告価値があるのでしょうか。

実は、インスタが普及してから時間も経ち、利用者が増えるにつれて、各ユーザーのフォロー数が増えすぎてしまっているという状況があります。インスタにおけるPR施策といえばインフルエンサーに商品やイベントの投稿をしてもらうということがメインでしたが、フォロー数が増えすぎた結果、インフルエンサーの投稿がほかの投稿に紛れてしまい届けたい層に届かないという問題が発生しているのです。インフルエンサーにしてみても、一定数のフォローはされているのに実際は閲覧されないという事態が起きてしまっている。インフルエンサーを起用してPRするという手法は一定の効果を生んできたとは思いますが、改めて、広告という枠でしっかり見せることの重要性が高まっていると思います。さらに言うと、インスタ高感度層に一番リーチできるであろうストーリーズにおける広告の活用も重要なのではないでしょうか。

──では、インスタ広告を活用する上では具体的にどんなことがポイントになるのでしょうか。

キャリジョ研としては7つのポイントがあると考えています。
1つ目は、ほかのウェブ媒体と同じように、ターゲットセグメントを使うこと。2つ目は、どういうターゲットに当てるのかを念頭においたうえで、さらに「フィード」と「ストーリーズ」の使い分けをすることです。フィードであれば、ブランディングにおける世界観の構築に寄与できるような、「理解」を促進するような広告を、一方でストーリーズにおいては、「認知型」の、アテンションをひいたり即時性のある、リーチ獲得や誘引を目的とした広告が有効ではないかと考えます。3つ目としては、広告のクリエイティブにおいてこれまで以上にクオリティが重要になってくるということ。現状ではチープ感のある広告が多い印象ですが、世界観を大切にする彼女たちにしてみれば「うざい」となりかねない。そうではなくて、クオリティの高いグラフィックやキャスティングで目立たせながら、アテンションをつくる方法が確実なのではないでしょうか。実際、化粧品メーカーの広告で、共同生活を送っているという設定の男女2人の俳優が、互いに写真を撮り合うという仕立てのものがありましたが、徹底したリアリティとクオリティの高さで、若い子の間では話題になっていました。

4つ目は、他のコンテンツやメディアとの掛け合わせによってクリエイティブパワーを引き出すということです。たとえば、インスタと親和性が高いと言われる雑誌のタイアップとして作成した記事を、出版社がインスタ広告として配信するといったことが考えられます。5つ目は、共感やロイヤリティを得るためには企業アカウントの人格化が必要だということ。まずはこういう人格でこういう世界観を持って、という設定をきちんとつくり、それに沿った形でクリエイティブやコンテンツを投稿していく。ユーザーの女性たちも世界観を大切にしているので、そことずれが生じてしまうと「この企業は何か違うな」ということになりかねません。

6つ目は、接触頻度が高いがゆえにインスタがすべての情報行動の基点になっているという点を理解することです。彼女たちはインスタ内で何か気になったものを見かければそのままインスタの中で検索しますし、そこからウェブ検索や店舗への来店などさらに次の行動も起こします。そういったカスタマージャーニーをきちんと意識したプランニングやクリエイティブ設計が求められるということです。最後になりますが、7つ目のポイントとしては、インスタは購買にもつなげられるし、顧客の囲い込みもできるメディアであるということ。たとえ知らないブランドでも、クリエイティブやデザインが気に入ればあまり考えずに即時タップして購入するという子もいました。認知があまり行き届いていないブランドでも新規の獲得が期待できるメディアがインスタではないでしょうか。また公式アカウントの投稿がきっかけとなり購買につながる場合もあるので、既存の顧客の囲い込みにも活用できる。新規顧客にも既存顧客にも有効なメディアなのです。

情報過多の時代、若い世代にとっては自分に合った情報を選んでほしい、引き寄せたいというニーズがあります。そのため、アルゴリズムを通じて自分仕様になっているインスタグラムは、毎日の生活に寄り添い、自分が求める情報を提供してくれる貴重なメディアになっているのです。そうしたインスタの利用実態をふまえつつ、SNSにおける広告活用のヒントにしていただければと思います。

***

以上、第1回ではいまどき女子のインスタグラム利用実態・広告活用術についてご紹介しました。
第2回以降は、ほかSNSの利用実態や、ゲストに登場して頂きSNSの有効な活用について語って頂く予定です。
ご期待ください!

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  • 博報堂DYメディアパートナーズ
    雑誌局 業務推進部
    2005年博報堂入社。マーケティング職として8年従事し、化粧品、トイレタリー、飲料、通信会社などを担当したのち、博報堂DYメディアパートナーズの雑誌局へ。ファッション・コスメ・クルマなどを担当し、メディアプランニングやメニュー開発を行う。女性プロジェクト「博報堂キャリジョ研」のメンバーでもある。
  • 博報堂DYメディアパートナーズ
    データドリブンマーケティング局
    データドリブンマーケティング部
    2012年からオンライン・オフライン領域含めた幅広いマーケティング業務に従事。戦略立案から実行までワンストップで携わる。
    博報堂DYメディアパートナーズに入社後は、飲料、食品、美容、金融、ECなどをクライアントとし、ダイレクト領域のマーケティング戦略や戦術プラニング、PDCAマネジメント、メディアプラニングを担当。
    働く女性を研究対象とした社内プロジェクト「博報堂キャリジョ研」のメンバーでもある。