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企業アカウントをインフルエンサー自らが運用!?縦型動画のプロ集団「TATE-TATE」現る| ~TikTok動画のプロモーション活用の可能性~
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企業アカウントをインフルエンサー自らが運用!?縦型動画のプロ集団「TATE-TATE」現る| ~TikTok動画のプロモーション活用の可能性~

2023年5月、株式会社アイレップ(以下、アイレップ)は株式会社OASIZ(以下、OASIZ)と協業し、縦型動画アカウントの制作運用サービス「TATE–TATE(タテタテ)」の提供をスタートしました。
プロジェクトを主導するアイレップの松尾良馬さん、「ショート動画を制するものはSNSを制する」と語るOASIZのCEO 江藤優氏、手がけるアカウントをすべてをバズらせると話題の通称「ど素人」氏を招いて、マーケティングにおける縦型動画の重要性と、アカウント運用の“コツ”について伺いました。

松尾良馬
株式会社アイレップ

江藤優
株式会社OASIZ CEO

ど素人ホテル再建計画

縦型動画のインパクトを身をもって体感。
しっかり受け入れられるアカウントを作るために、
インフルエンサーと共創する運用スキームをつくりたかった。

-まずはみなさんの自己紹介からお願いします

松尾
アイレップでコミュニケーションプランナーとしてCMやアプリ制作に携わっています。いま非常に勢いのある縦型動画と企業のマーケティング施策を接着させる役割を担うため、今回のTATE-TATEプロジェクトを立ち上げました。
江藤
TikTokやYouTube Shortsなどのショート動画を制作する会社を運営しています。もともとインターンとしてTikTokを運営するByteDanceのクリエイターマネージメント部門で働いていて、そのとき得た知見を生かして現在の仕事に就きました。クリエイターとともに動画を制作したり、企業のアカウント運用などを行なっています。
ど素人
巷で「ど素人」と呼ばれています(笑)。なぜかというと、ホテルなどの観光業界で働いた経験もまるっきりゼロなのに、TikTokだけを使って超赤字の沖縄のホテルを再建しているからです。財政的に困難で、設備投資もできない状況でコストを全くかけられない状態のホテルを黒字化するためには、「そのプロセスにストーリーをつくってバズらせるしかない」と考え、かなり戦略的にやっています。

投稿例①:大赤字リゾートホテルに泊まりたい人を募集した投稿
https://www.tiktok.com/@4610_hotel/video/7066391989318618369?is_from_webapp=1&sender_device=pc&web_id=7179858184240285186

投稿例②:ホテル名を視聴者から募集した投稿
https://www.tiktok.com/@4610_hotel/video/7078977024756321537?is_from_webapp=1&sender_device=pc&web_id=7179858184240285186

そこから全国の企業や行政からもお声がけいただいて、いまや26社のアカウントを一人でコンサルしています。そして、すべてバズらせることに成功しています!

-すべて一人でやっているんですか?

ど素人
はい、完全に一人です。あまり寝ていないので睡眠不足です・・・。

江藤
ど素人さんは、本当にすごいんですよ。私は3~4年TikTokの世界で働いてきて、いろんな方に会っていますけど、ズバ抜けて優秀なクリエイターさんです。本当に天才だなと思っています。
ど素人
ここ、ちゃんと書いてくださいね(笑)。

-TATE-TATEのプロジェクトはどのようにはじまったのですか?

松尾
プロジェクトが始動する前から、マーケティング施策として縦型動画は絶対にくるぞ!と思っていました。けれどそうなったとき、トレンドの移り変わりの早さであったり、TikTok内でつくられている独特な文化や文脈の観点から、広告のプランナーだけでつくるには限界があるなと感じています。しっかり文脈を理解しきれてない人が、マーケティングのためだけに参入していくと、あまりいい結果にならない可能性もあるのではないかと…。だからこそ、その文化や文脈を一番理解しているインフルエンサーと共創するかたちで運用するスキームをつくれないかと考えたとき、江藤さんが同じ視点で活動していることを知って、お声がけしました。それが2023年の年明けですね。

-具体的にはどんなサービスなのでしょう?

松尾
企業のTikTokアカウントを、マーケティング分野の広告会社のプランナーと、縦型動画に特化したプロデューサーである江藤さん、ど素人さんのようなトップクリエイターの三位一体で運用していくサービスになっています。スピードと品質を両立した企業の縦型動画の効果的な制作・活用を全面的にサポートできる体制を整えています。クリエイターについては、企業アカウントによってそれぞれ最適な方がアサインされます。

横型動画と縦型動画はまったく違う文化。
TikTokにフルコミットしている人が最適解を持っている

-それぞれのプレイヤーの立場でTATE-TATEのようなサービスが必要だと思った背景を教えてください

松尾
マーケティング視点でお話しすると、縦型動画、特にTikTokやYouTube Shortsの流れは無視できないなかで、オーガニックアカウントにすごく魅力を感じたことです。これまでも様ざまなSNSの運用を提案してきましたが、まずはフォロワー数を何万人にして…といった積み上げが必要になります。どうしても投資期間が長くかかってしまうことが課題でした。けれどTikTokはアルゴリズム上、コンテンツがおもしろければ初投稿から何万再生、何十万再生まで再生回数が伸びることがあったり、企業の決算視点でも費用対効果が回収しやすいメディアであるといえます。こうした特長からも、縦型動画のアカウント運用に着手する企業は増えており、マーケティング活動に広く活用されはじめていることから、最適なチームを組んでサービスを提供していく必要があると考えたのがきっかけです。

-先ほど、広告のプランナーだけでは限界があるとおっしゃっていた真意は?

松尾
もちろん、いい企画を出せるクリエイターはたくさんいると思うのですが、TikTokのトレンドって本当に日々変化していて、つい1カ月前のものでも古く見えてしまうことがあります。なんとなく「ちょっと前に流行ったこと」を企業が期間を置いてからやっていたら、ユーザーは少し冷めてしまうかもしれない。ノリきれてない感じというか・・・それは避けたいなと思っていました。そのためには、トレンドの早い流れについていくことや、スピード感をもって制作できること、ユーザーの手触りを理解してつくることが大切かと思いますが、それができるのは、日々TikTokにフルコミットで向き合っている人だけです。そういった方たちと組むのが最適解であると考えました。そういう意味で、江藤さんは完璧なパートナーでしたね。
江藤
いまのお言葉、必ず書いておいてくださいね(笑)。

僕が起業までの経験を通して感じているのが、TikTokに関して、「こういうのがバズるみたいだから、とりあえずやってみよう」とか、そういう感覚でやっている企業が多いのではないかと。
縦型動画がスタートしたのはいまから5年前くらいで、すごく新しい文化であるといえます。これまでの横型動画文化とはまったく違う。横だったものをそのまま縦にする、ということだけでは通用しないのです。
いま活躍しているクリエイターは日々TikTokを見て、動画をつくって、TikTokを使ってコミュニケーションしている。その人たちに勝てる人はいないし、そういう人たちと組みたいと思って事業をはじめました。でも残念なことに、企業は現状、どうしても彼らのフォロワー数に注目しがちです。TikTokでは、フォロワー数だけに注目するべきではなく、いい動画をつくればちゃんと数字は伸びるのです。従来のやり方ではなく、まったく新しい文化に対して最適な手段を取ることが必須だなと思っています。

-ど素人さんは実際TikTokのコンサルを手がけていらっしゃいますが、いかがですか?

ど素人
僕がいまやっているホテル再建のプロジェクトは、フォロワー数ゼロからはじめて1週間で2万人に達しました。TikTokのアルゴリズムでは、それまでまったく認知のなかったアカウントでも、いい動画をつくれば認知を得るチャンスがある。クライアントによって最適なプラットフォームは違ってくると思いますが、今回のホテルに関しては、TikTokが最適と判断して使っていますし、そこも含めたコンサルをしています。

-実際にクライアントに対してはそれぞれどのようなサービスを提供するのですか?

江藤
僕らがやることはすごくシンプル。案件に対して最大のバズを提供し、その先の行動につながるコンテンツをクリエイターと一緒につくっていきます。
松尾
動画のクオリティについては江藤さんやクリエイターさんに担保していただきながら、アイレップとしては「ただバズらせる」ではなく、そのバズをいかにマーケティングに有効活用するかの総合的な戦略を立てていきます。クライアント企業の課題に対するマーケティング施策やコンセプト設計など、全体戦略といかに接着させるかが大きなポイントです。

オーガニック投稿からアドへ展開。
TikTokのマーケティング戦略はボトムアップが◎

-縦型動画のプロ集団であるみなさんが考えるつくり方のコツや、縦型ならではの魅力があれば教えてください

ど素人
そもそも、縦型と横型では動画の見方が違いますよね。
TikTokはスワイプして次々と動画に触れていく。最初のビジュアルで「ちょっとおもしろそう」と思わせないと、次に流されてしまいます。最初の1.2秒でキャッチーな言葉を使うことで、一旦スワイプの波を止めさせる。それがすごく重要になってきます。
江藤
TikTokの最初の1.2秒といわれているのは、YouTubeでいうサムネイルですよね。そこが気になればクリックしてくれる。
横型と違って、縦型っていろんなところに「そのまま貼れる」のがいいところです。YouTube Shortsとか、Instagramとか、LINE VOOMとか、Snapchatとか。縦型ならすべてのプラットフォームに貼ることができます。それは、動画を1本つくるだけであらゆるメディアでバズらせることができるということ。そのなかでTikTokは、ByteDanceがあらゆるメディアで培った「バズらせるアルゴリズム」が集約されているので、いま、TikTokを制するものはショート動画を制するという状態が生まれているわけです。そして、ショート動画を制するものはSNSを制する。ですので、いま企業が注目すべきは、「縦型」であり、TikTokであると考えています。
松尾
江藤さんの「媒体別に横展開できる」というお話に加え、これまではTwitterやInstagram、LINEなど、プラットフォームごとにコミュニケーションの仕方を変えなくてはいけないことでコストがかかっていました。しかしいまは、各種プラットフォームが縦型動画に力を入れているので、オーガニックでバズったものを厳選して広告としてリメイクするという運用もできるようになりました。TikTokはオーガニック投稿とアドのフォーマットが似ているので、スムーズにアドに昇華できるというよさもあります。オーガニックアカウントを運用して、強いクリエイティブをつくりアドに展開するというスキームが確立できれば、常にABテストがされている状態になります。それは大きな魅力のひとつです。
江藤
TikTokでは、オーガニック投稿でまず感覚を掴んで、ユーザーとコミュニケーションすることが大事です。アドから展開して成功した事例って、はっきりいって縦型業界では存在しないかと思います。まずは、「いい動画ってなんだろう」という知見を深めることが大事です。ユーザーは何をおもしろいと思っているのか?どういうコメントをしているのか?というところから、ユーザーが求める動画をつくる。こうした考え方が重要で、これができれば自然とバズらせることも可能かと思います。
松尾
広告会社の発想だと、上流のコンセプトメイキングをして、その指針に沿って広告クリエイティブをつくっていく流れになるのですが、ことTikTokにおいては、ボトムアップの方がいいのかなと思ったりもしています。
肌感として、「こういうものがウケるんだ」というものを広告に昇華するアプローチ。それが広告とショート動画のいい接着の仕方なのかなと思っています。

TikTokは一夜で世界を変えるメディア。
クリエイターと共創しながら世の中にインパクトを与えたい

-そういった意味でも、日々TikTokにコミットしているクリエイターと共創することが大事だということですね。最後に今後のTATE-TATEの展望をきかせてください。

松尾
TATE-TATEに限らず、アイレップとして縦型動画へのアプローチで大事にしていきたいのは、「共創」と「統合」の2つの軸です。「共創」は縦型文化のなかで江藤さんのようにアルゴリズムを熟知している方、ど素人さんのように第一線でクリエイションしている方と、いかに協業できるか。「統合」は、マス広告と縦型動画を効果的に連動させ、全体プロモーションのなかでいかに連続性をもたせていけるか。この「共創」と「統合」を軸に、全体戦略を組めるスキームを強化していきたいです。

江藤
僕らにとって圧倒的に大切なものは「仲間」です。
その意味でアイレップさんと同じ視点で取り組みができることで、世の中に対して大きなインパクトを与えられるんじゃないかと考えています。僕がなぜインフルエンサーと組んで事業をしているかといえば、現状クリエイターの社会的価値が低いことに問題意識をもっているから。すごいポテンシャルを持っていることを知ってほしいし、もっともっと活躍してほしいのです。そして、そのためにはクリエイターを「使う」のではなく、「いっしょにつくる」という姿勢でないと、よりよいものはつくれないと考えています。いま、その転換期にきていると感じています。だからこそ僕たちはクリエイターコミュニティをつくって支援しているし、そうやってスター的な一流クリエイターが生まれてくれば、自然と存在価値もあがってくると信じています。ど素人さんみたいに、なかには本当に優秀なクリエイターがいるので、日本だけでなく、世界に向けて発信できるように取り組んでいきたいと思っています。
ど素人
僕はゼロイチ(0→1)がすごく得意なんです。まったく無名だった人を、一夜にして有名にさせることがすごく得意。自分自身もホテルのプロジェクトをやりはじめたことでメディアに出る機会も増えましたし、自分を取り巻く環境も大きく変わってきました。これをいろんな人に体感してもらいたいという想いで、コンサルをしています。そして、無名だった人を一夜で有名にすることができるのはTikTokであったり、縦型動画だけ。これはほかのプラットフォームではなかなか難しいことですし、3~4年前であったらできなかったことですので、いまはそこに注力していきたいですね。ひとりの人間の人生が変わっていくのを目の当たりにできることは、僕にとってすごくモチベーションにつながることでもありますし、そういう方のコメント欄はすごく盛り上がります。その後、もし何かものを売るというときも、すごくコンバージョンが上がることがあるんですよ。
江藤
TikTokはショート動画なので、ほかの動画メディアとは情報量がまったく違います。そういう意味では、コアファンをつくりにくいという側面もあるのですよね。でも本当にうまくいっているアカウントは、コメント欄がファンコミュニティ化していて、すごい熱量ですよ。僕はいま25歳でデジタルネイティブと呼ばれる世代ですが、あらゆるコンテンツを摂取してきた世代といえます。本気で、人生をかけてつくっているものにしか共感できないというシビアな目をもっています。ショート動画づくりには本気度が重要ということは、間違いないと思いますね。
松尾
これまでのCMとショート動画は、刺さり方に違いがあるということなんですよね。
どちらがいいという話ではなく、大事なのはどう相乗効果を生み出すか。その最大効率を提案するのが我われのチームの仕事だと思っています。先ほどコメント欄がコミュニティ化するという話がありましたが、ほかのSNSとくらべてもTikTokのエンゲージメントって非常に高いです。
おもしろい動画をつくればアルゴリズム上広く拡散されるし、広く深く刺していけるメディアといえます。マスの展開に加えて、若年層にアピールするためにTikTokを組み入れるなど、統合施策の一部にぜひ取り入れていただきたいですし、そのための最適解を導くためにTATE-TATEがお役に立てると確信しています。

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  • 株式会社アイレップ
    第2クリエイティブUnitプランナー
    2018年にアイレップにプランナーとして入社。CM制作から大型コンペの統合提案まで幅広く行う。2020年から博報堂DYホールディングスにて、AD Plus VENTURE制度のもと、新規事業の共同責任者として事業の立ち上げに従事。事業計画から商品開発まで、幅広い領域を担当する。2023年からは再びアイレップにて、広告プランナー・新サービス開発に携わる。事業の立ち上げ経験とクリエイティブを掛け合わせ、スタートアップ事業や新サービス立ち上げ等のプロモーションを得意とする。
  • 江藤 優
    江藤 優
    株式会社OASIZ CEO
    1998年生まれ。2019年よりByteDance株式会社のインターンとして、クリエイターパートナーシップ部門に従事。100以上のアカウントを担当した後に独立し、現在は200万フォロワーを有するクリエイターとOASIZを創業し、国内外の膨大なリサーチに基づいた制作のもと、企業の継続的なバズと質の高いエンゲージを提供する同社の代表取締役を務める。
  • ど素人ホテル再建計画
    ど素人ホテル再建計画
    沖縄の赤字ホテルをSNSだけの力で黒字化することに成功。パリピ@廃墟ホテルなど、27のアカウントを0→1で企画構成し、バズらせるという実績を持つ。