ヒット習慣予報 vol.268『ガチ国グルメ』
こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。
最近は夏みたいな暑さの日が続いて今年春あったっけ?桜咲いたっけ?と時の流れの速さを感じてビビりまくる日々を過ごしてます。20代までは暑い=夏=なんかうれしい、みたいなシンプルな頭でいましたが、30代も半ばに差し掛かり、夏バテ対策しなければとか、暑い日こそ健康な食事を心がけねばとか、食生活に対してもちょっと意識するようになりました。そんな食生活と関係のある今回のテーマは「ガチ国グルメ」です。
「ガチ国グルメ」とは、いままで日本では親しまれてこなかったようなディープでニッチで面白い「外国グルメ」のことで、そんなワクワクするグルメが最近、人気がでてきているみたいなのです。こんなテーマを考え始めたキッカケはニュースで「ガチ中華」という言葉を見かけたことがキッカケでした。日本人の味覚に馴染みのある中華料理を提供する「町中華」との対比で「ガチ中華」とはよく言ったもので、いい言葉だなと思っていましたが、調べてみるとそもそも、2018年頃から「町中華」の人気に火がつきはじめていたようです。
「町中華」の検索数推移
検索数でいうとなんと2018年からここ5年で緩やかに上昇を続けた結果3倍以上に跳ね上がっていることがわかります。僕も町中華は大好きでわざわざ検索して町中華を食べに出かけにいったこともあるくらいですが、安くてうまくて腹いっぱい食べられる町の食堂はここ数年の旅行になかなか行きづらかった日々や落ち込む景気低迷などの、どんよりとした社会においても元気をもらえる貴重な場所だったのかもしれません。そんな人気の町中華からさらに一歩ディープに踏み込んだのが「ガチ中華」、店舗によっては行列ができたり予約困難だったりとすごい人気のようです。メニューも辛くてうまい本場の香辛料が楽しめるのはもちろんのこと、ザリガニやカイコのさなぎなど食べたことない!ような珍しい食材も。最近では、そんなガチ中華をおうちで楽しめるよう、レトルトやインスタントで楽しめる商品まで登場し、普通に日本人が買い求めるようになっているとのこと。
10数年前だったら変わり者が食べる食事としてどちらかというとマスマーケットの話題にならなかったはずであろうガチの外国ご当地グルメが人気になっている。本当に時代の変化を感じる食の新しいムーブメントだなと思います。他にもなにかないかな、と探してみたところ、群馬県にブラジル料理を楽しめる「ガチブラジル」や、東京に「ガチミャンマー」、神奈川県に「ガチベトナム」まであるようなので、調べて行ってみると楽しいかもしれません。他にも、少し前にコンビニスイーツとして流行ったマリトッツォも「ガチ国グルメ」だったのではないかなと。マリトッツォはパンのような生地に生クリームをこれでもかと挟んだスイーツで、ローマの名物だそうですが、現地では朝食として、カプチーノやエスプレッソと一緒に食べるのが一般的みたいです。それまでは見たことも聞いたこともないスイーツでもコンビニで売られることで目につく・手に取る機会が生まれるだけでなく、実際に食べるとめちゃくちゃ美味しいから(全く知らないし語感もおもしろいスイーツを)誰かに広めたいというマインドがSNSでの話題化につながったのではないかと思います。例えば、めちゃくちゃおいしいどら焼きをコンビニで発見したとしても、家族や友人にこそっと美味しかったと報告することはあってもSNSで発信してひろめてみようとか、SNSで接触した情報を二次拡散しようといったモチベーションにはつながらないのではないか。「ガチ国グルメ」がSNS時代に話題になるのはその「発見」の面白さが一つの要因なのではないかと思います。さらに、外国人街の異国飯を食べ歩く人もでてきているようです。中国やイタリアといったメジャーな国だけでなく、ネパール、フィリピン、ペルーといったその国の定番料理ってなんだっけ、と質問されても(少なくとも僕は)ぱっと思いつかないような国の「ガチ国グルメ」が楽しめるエリアが様々な場所に点在しており、新大久保の韓国料理、西葛西のインド料理などは有名ですが、まだまだ発掘されていない異国のディープなグルメを求めて食べ歩きしてみるのも楽しいかもしれませんね。
ではなぜ、こんなに「ガチ国グルメ」に注目が集まっているのでしょうか。一つはコロナ禍でのおうち時間の増加がキッカケだったように思います。なかなか旅行にもいけないので、日常生活では感じることのできなかった異国の香りに衝動的に惹かれてしまう、つまり、半径数kmからの脱出願望が起因していると考えられます。さらに、おうち時間が増えたことで、人々のクラフトへの興味関心が高まったように思います。僕もそうですが、家の中で植物をじっくり丁寧に育てるようになったのもおうち時間がキッカケでした。これは、「ガチ国グルメ」ではないですが、萎凋茶葉という珍しい茶葉に注目があつまったのも、おうち時間の増加で“茶葉”からお茶を楽しむ体験がひろがったことが原因だと言われています。もう一つに、先述しましたが、SNSで拡散される発見への渇望があるのではないでしょうか。人とは違う、見たこともないものを体験し、SNSで発信したい、そんな衝動が背中を押しているように思います。
最後に、「ガチ国グルメ」のビジネスチャンスについて、少し考えてみたいと思います。
「ガチ国グルメ」のビジネスチャンス例
■ガチ国グルメを巡るバスツアーを開催
■ガチ国グルメとコラボしたインスタントラーメンを発売
■ガチ国グルメで言語を学べる料理本を発売
ぼくもいろんな町にでかけて、日本にいながらちょっとした旅行気分を味わう休日の過ごし方にチャレンジしてみたいと思いますし、普段はいったことない店にも積極的に足を踏み入れて刺激のある生活を送ってみようと思いました。
▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。
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博報堂 PR局
ヒット習慣メーカーズ メンバー車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。