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HAKUHODO DX_UNITEDのスペシャリスト達① クライアントの課題を、テクノロジーとクリエイティブの掛け合わせで解決していく──テクニカルディレクター対談
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HAKUHODO DX_UNITEDのスペシャリスト達① クライアントの課題を、テクノロジーとクリエイティブの掛け合わせで解決していく──テクニカルディレクター対談

クリエイティブ領域とテクノロジー領域を結ぶ新しい職種として注目を集めているテクニカルディレクター。社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が大きな課題となっている中、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、DACの3社横断のDX専門組織として、HAKUHODO DX_UNITEDが立ち上がりました。当組織の中で、重要な役割を担う博報堂のテクニカルディレクターに、その役割や具体的な仕事の内容について、話を聞きました。

西濱大貴
博報堂 マーケティングシステムコンサル局
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター
テクニカルディレクター

栗田昌平
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
テクニカルディレクター

クリエイティブディレクター同様の大きな責任を担うポジションに

──テクニカルディレクターになるまでのキャリアをお聞かせいただけますか。

西濱
情報工学系の大学院を卒業して博報堂に入社したのが2011年です。最初に所属したのがマーケティング×デジタルを推進している新しい部署、肩書は新規事業開発担当でした。しかし、直属の上司が戦略プラナーだったこともあって、プランニングの仕事をメインに関わっていきました。その後は、マーケティング、クリエイティブ、コンサルティングとさまざまな仕事を経験させてもらいましたが、一貫していたのはテクノロジーに関する知識をいかしながら、アイデアを形にしていくということです。テクニカルディレクターは職種としては新しいのですが、まったく新しい仕事をするというよりも、僕自身がこれまでやってきたことの延長線上で、さらにできることが広がったという感じです。
栗田
僕は、新卒で入社した大手メーカーで4年間働いてから、博報堂に転職しました。メーカーではエンジニア職だったので、博報堂でも最初は研究開発の部門に配属になり、3年くらいいました。

4年目に職種転換試験を受けて、クリエイターとして当時のアクティベーション局(現生活者エクスペリエンスクリエイティブ局)というマーケティングとクリエイティブを担当する部署に移りました。企業や生活者との接点に近いところで、デザインやコミュニケーション設計を考えるような仕事がしたい。それが職種転換に応募した理由です。職転後は、サービス開発やUI/UX開発などを担当しながら、インスタレーションやライブの演出などもやらせてもらいました。最近までの肩書はインタラクティブディレクターで、今年の4月にテクニカルディレクターに任命されました。

世の中やビジネスが大きく動いていることもあって、博報堂に入社した頃には想像もしなかったような仕事にこの数年の間に関わることができました。西濱が言うように、テクニカルディレクターになったことでやれることはさらに増えると思っています。

──テクニカルディレクターとはどのような職種なのですか。

西濱
ひと言で言えば、クライアントが抱える課題をテクニカルな視点で解決していくのがテクニカルディレクターの仕事です。たんにテクノロジーの力を使うというだけでなく、コミュニケーション設計、広告、デザインなどのクリエイティブ領域と、システムや仕組みを実装していく領域。博報堂の場合、その両方のスキルが求められます。
栗田
クリエイティブディレクター(CD)は、職名に「クリエイティブ」とついてはいますが、実際にはもっと幅広い領域を担当しますよね。テクニカルディレクターも同じように、クリエイティブ、メディア、テクノロジーなど、いろいろな領域を横断的に見渡しながら、それぞれの領域をつなげていくような仕事だと捉えています。

企業と生活者を結ぶ「体験」のコンセプトを考える

──テクニカルディレクターには具体的にどのような役割が求められているのでしょうか。

西濱
具体的な役割は大きく3つあると考えています。一番期待されているのは、企業と生活者を結ぶ「体験」のコンセプトを考え、それを実現する仕組みや装置をつくることです。

もう一つは、「長さのクリエイティビティ」をつくることです。世の中の動きがどんどん速くなっているために、広告もサービスもコンテンツも役割が短期化する傾向があります。しかし、長く続けることによってしか実現しない価値もあります。長い視野をもって企業と生活者のコミュニケーションを設計していくのが「長さのクリエイティビティ」で、それをつくるのが、博報堂におけるテクニカルディレクターの役割です。

それからもう一つ、「アイデアのコア」を見極めることも期待されている役割ですね。新しい課題やアイデアが出てきたときに、雑多な要素の中から最も中心にある要素を特定し、そこから具体的な仕組みをつくっていく。そんな役割です。

──現在はどのような組織に所属しているのですか。

西濱
僕のメインの所属はHAKUHODO DX_UNITEDの組織の一つでもある博報堂のマーケティングシステムコンサル局です。ここはさまざまな分野のスペシャリストが集まっている50人くらいの規模の組織です。メンバーの半分以上は、事業会社、コンサルティングファーム、ITベンダーなどから転職してきた人たちです。いろいろなジャンルのプロが互いの知見を交換し合いながら、どんどん新しいものを生み出していく。そんな醍醐味がある組織ですね。

ほかに、研究開発や他社とのアライアンスを手がける博報堂DYホールディングスのマーケティング・テクノロジー・センターと、今年4月に新設された博報堂の生活者エクスペリエンスクリエイティブ局にも副属しています。

──部署が異なっていても、職種はテクニカルディレクターで統一されているのですか。

西濱
そうです。できたばかりの職務なので、いろいろな場所での動き方を模索している最中という感じです。
栗田
僕は生活者エクスペリエンスクリエイティブ局の所属で、そこで西濱と一緒に働いています。プライベートでは一緒に釣りに行くくらいの関係でもあるので、一緒に仕事ができるのは楽しいですね。

──最近、DXD bitというサービスを展開されましたが、お二人は、どのようにかかわっているのでしょうか。

西濱
サービスや体験開発に必要なテクニカルディレクターの視点を活用し、誰もが「Input」「Process」「Output」の視点を意識しながら、短期間でアイデア発想から開発まで行うプラニングプログラムです。 「DXD bit」詳細はこちら
以前、大学の特別講義で、「テクニカルディレクター養成講座」と称して広告×テクノロジーに関して8回に渡ってやらせて頂いたことがありました。そのときに評判の良かった、サービスの考え方やアイデアの詰め方が、社会人の方にも使っていただけるのではないか、と思ったのが始まりです。
ですので、とにかくとっつきやすく、理解しやすいというのが売りです。ブラッシュアップするために、栗田に社内研修の対象者にもなってもらったので、実際どうだったか語ってもらった方がいいかもしれません。
栗田
西濱が起案者で、テクノロジーを活かしたアイデア発想をサポートするすごく便利なツールだなと思ったので、サービス展開に向けて、少しだけお手伝いさせてもらいました。いまは、アイデアを考えるときに、自分でもたまに使っています。パズルゲームをする感覚で使えるので、楽しいですよ。
アウトプットだけでなく、インプット情報を何にするのか、といった忘れがちな視点が補えます。

大規模案件からディテールの調整まで

──テクニカルディレクターに求められるスキルや素養とはどのようなものですか。

西濱
一つは提案力だと思います。クライアントから課題解決を依頼されたときに、従来の視点や方法論にとらわれずに、市場や技術のトレンドを踏まえて、まったく新しい切り口の解決法をクライアントに提案していく。そんな力が必要です。

もう一つは、自分自身に楽しいこと、やりたいこと、実現したいことが明確にあることです。AIなどのテクノロジーは日々進化しています。テクノロジーを上手に活用しながら、自分のやりたいことにどんどんチャレンジしていくことが仕事にもいかされる。そう考えています。

──テクニカルディレクターの仕事の一番の醍醐味は何ですか。

西濱
とにかく、大きな仕事ができることだと思います。場合によっては、一億人規模の方たちを相手にする仕事に携われる可能性もあります。自分が生み出した価値をたくさんの人に届けられる。
栗田
ものすごく大きな案件に関われる一方で、例えば、WEBサイトの入力フォームの但し書きをどうするかといったものすごく細かなことを考えたりもします。世の中を動かすこともできるし、生活者との接点の肌触りのようなディテールを緻密につくることもできる。そんな醍醐味がある仕事だと思います。
西濱
無理だと思っていたアイデアを実現できるのも、面白いですね。新しいアイデアを思いついたときって、それが新しければ新しいほど、「実現させるのは無理じゃないかな」と感じてしまいますよね。でも、テクニカルディレクターの立場でいろいろな人とつながって協力し合うことで、それが実現してしまうことがあります。僕個人としては、その瞬間が、一番心が躍りますね。
栗田
仕事の面白さということで言うと、
尊敬できる人がすぐ近くにいるということが大きいですね。エンジニアは、リスペクトできる人のもとで働くことに大きな喜びを感じるものです。僕にもそのマインドがあるので、近くにリスペクトできる素晴らしい人がいると、毎日の仕事がすごく楽しくなります。特に、コピーライターやCMプランナー、アートディレクターなど、自分の得意な分野とは異なる分野で活躍している(素敵なアウトプットを生み出している)方々から日々刺激を得て、学ばせてもらっています。ですので、博報堂のテクニカルディレクターの魅力は、生粋のクリエイティブ職の方々が身近にいて、そういった方々から独創的な視点をもらって、一緒にものづくりができることだと思っています。

グループのビジネスの幅を広げていきたい

──「HAKUHODO DX_UNITED」が立ち上がったことで、今後、お二人のようなテクニカルディレクター人材がさらに必要になりそうですね。

栗田
社内外からテクニカルディレクターを目指す人たちがどんどん出てくることに期待しています。まだできたばかりの職種なので、今テクニカルディレクターになることは、言ってみれば、店舗のオープニングスタッフになるようなもので、全てを自分たちでつくりあげていける。その特権をぜひ享受してほしいですね。
西濱
ベンチャー企業の創業メンバーみたいなものですね。
栗田
そうそう。その中からスタープレーヤー、カリスマプレーヤーがたくさん出てくればいいなと思います。

──最後に、今後「HAKUHODO DX_UNITED」の中でどのような役割を果たしていきたいか、展望をお聞かせください。

栗田
僕が博報堂に入って驚いたのは、関われる仕事がものすごく多岐にわたり、いろいろな案件でプロの技を発揮することができるということです。ここまで幅広い案件に関われる会社はあまりないのではないでしょうか。テクニカルディレクターは、いろいろな要素やプレーヤーをつなぐことができる立場なので、これまで以上に新しい案件を生み出していくことができると思います。それによって、博報堂のビジネスの幅を広げていければいいと思っています。
西濱
グループ内に多種多様なスペシャリストがいることが博報堂グループの大きな魅力ですが、これからは自社グループ内だけで仕事を完結させる時代ではありません。世の中の広範な技術や知見を混ぜ合わせて、新しい価値を生み出していくことが必要です。その「混ぜ合わせ」において力を発揮できるのがテクニカルディレクターだと思っています。いろいろな混ぜ合わせ方を考えて、クライアントのビジネスの成長やDX推進に寄与していきたいですね。
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  • 博報堂 マーケティングシステムコンサル局
    博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
    博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター
    テクニカルディレクター
    慶應義塾大学大学院にてタンジブルインタフェースの研究を行った後、2011年博報堂入社。マーケティングシステムコンサルティング局所属、マーケティングテクノロジーセンター兼務。フロントエンド、バックエンド、ソフトウェア、ハードウェアなど幅広いテクノロジーに関する知見を持つ。テクノロジーの進化を生活者価値に変換し、企業やブランドのアップデートに関わるメディア開発やサービス&UX開発、ブランディングといった業務を得意とする。
    受賞歴:ACCメディアクリエイティブ部門 ブロンズ
    社外活動実績:デジタルハリウッド大学特別講師、『イノベーションデザイン 博報堂流、未来の事業のつくり方』出版協力、特許第6654721号 喫食判定システム、コンピュータプログラム及び情報機器
  • 博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
    テクニカルディレクター
    大学卒業後、電機メーカーにエンジニアとして入社。UI/UX開発、データ分析に携わり2014年より博報堂入社。データやテクノロジーを活用したデジタル体験やサービス・プロダクト開発、インスタレーション制作業務などに従事。
    受賞歴:ACC ニューテクノロジー賞、ADFEST モバイル部門 ブロンズ受賞 等
    社外活動実績:アドテック東京登壇 等

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