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ヒット習慣予報 vol.59『シェア勉』
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ヒット習慣予報 vol.59『シェア勉』

 こんにちは。ヒット習慣メーカーズの荒井です。

受験シーズン真っ只中ですね。私も何度か受験を経験してきましたが、一人で粛々と勉強をするのは、やりすぎると寂しくなったりして、気分転換に図書館で勉強していました。受験勉強といえば昔からある伝統的な習慣ですが、勉強のやり方はデジタルによって変わってきているのでしょうか。少し調べて見ると、やはり今どきな勉強のやり方があるようなのです。

例えば、「#勉強垢」というものがあります。SNSでこのハッシュタグをつけて、毎日のように自分の勉強の進捗状況などを共有しています。勉強用のアカウントを通常使っているアカウントとは別に開設して利用します。もちろん、使ったノートや教科書にカラフルな付箋をつけた画像や、間食のかわいいお菓子の画像などを共有したりし、映えるようにすることも重要な楽しみの1つです。
なぜわざわざそんなことをやるんだ?という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
その理由の1つは、自分の頑張りを他の人に認めてもらいたいからというものです。リアルの場だと、自分がこれだけ勉強したということって少し言いにくいですよね。でも、SNSなら嫌らしさがなくなり、友達同士でお互いのモチベーションを高め合ったり、周りの進捗状況を把握し焦って勉強を始めたりできるわけです。

Googleトレンドで勉強垢と調べると、確かに上昇傾向となっています。

出典:Googleトレンド 

「勉強垢」に関するSNSの書き込みを見てみると、以下のようなキーワードが多くなっています。 

※TopicFinderより、「勉強垢」の共起語を抽出 

 注目は「勉強垢さん」。具体的な問題集のタイトルや、目指しているTOEICの点数など、様々な勉強垢が作られており、それと繋がることで参考にしています。また、「質問」「勉強法」といったように、わからない事や勉強のやり方を#勉強垢とつけて質問することで、誰かが教えてくれるようになっています。例えば、解説のわからない箇所を丸でくくった画像を投稿し、「ここの部分がよくわかりません」と投稿するのです。そのようにして、もはや一人で進める勉強を、勉強垢と一緒になって進めているような感覚になっているのでしょう。

さて、他にも勉強のやり方は変わってきています。
例えば、自分がとったノートを共有するようになってきました。今はその専用アプリも登場し、きれいに書いてある誰かのノートを見て、それを自分の勉強に役立てたり、上手く書けたノートを共有することで、いいねをもらえたりしています。
友達同士でわからない箇所について、ノートを共有してもらい、その画像を見ながらスピーカーフォンにして教え合うこともしています。

他には、自分がただただ勉強している模様を動画サイトに流し続けるアカウントが注目されています。本当にただ勉強しているだけで、動きも会話もない。一体なんのために?という気もしますが、これをみることで誰かと勉強している感覚になれるし、自分も勉強しなきゃと奮い立たせることができるようです。動きも会話もないので、自分の勉強にも邪魔にならないし、ちょっと集中力が欠けた時に、目の前で知らない人が勉強しているので、もう少しやってみようとなるのです。図書館に行って勉強する感覚と近いのかもしれませんね。
この動画は再生時間も考えられていて、だいたい1時間や2時間といったキリのいい時間で作られています。

また、自分がいいと思った勉強コンテンツはどんどん共有しています。というのも、勉強コンテンツも充実しているのです。毎日大学受験に必要な英単語が投稿されるアカウントがあったり、科目によっては教科書や参考書よりも、動画を見たほうがわかりやすいので、例えば歴史の時代の流れを把握するための動画があったりと様々です。

このように、デジタルを活用し、勉強は一人でやるものから、みんなで学び合っていくものという動きが出てきています。私の学生時代にこんなものがあったら、かなり活用したんだろうな。きっと自分のノートは字が汚すぎてシェアできませんが。

さて、ビジネスチャンスですが、以下のようなことが考えられるのではないでしょうか。

「シェア勉」のビジネスチャンスの例
■ 学生をターゲットにする商品が、学生向けの勉強垢を開設し、エンゲージメントを作る
■ 勉強以外の領域で、シェアしながら高め合うサービスを作る(健康、ダイエットなど)
■ シェア専用のノートを作る
■ 社会人向けのシェア勉サービスを作る
など。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局 ヒット習慣メーカーズ メンバー
    SIer、メディアサービス企業、経営コンサルティングファームにて、事業企画に当事者・第三者として関与。これまで培ったビジネス視点に生活者視点を融合すべく博報堂へ転職。