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ヒット習慣予報 vol.353『親子でレトロコミュニケーション』
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ヒット習慣予報 vol.353『親子でレトロコミュニケーション』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの石井です。

みなさんは、大人になった今でも親とコミュニケーションをとっていますか?ありがたいことに私の両親は2人とも元気にしているので、アラサーになった今でも、一緒にランチをしたり、アーティストのライブへ行ったりしています。この間は、母親と一緒に占いに行ってきました。
そして、両親は会うたびに僕の子供時代の話をしているので、親にとって子供時代の記憶は強く残るものであり、たくさんコミュニケーションをとってくれていたんだなと、しみじみ感じます。
そんな親と子(特に小学生以下の子供を育てる世代)のコミュニケーションにおいて、親世代で流行ったレトロなものをツールとして活用したコミュニケーションが近年、注目されているようです。
Googleトレンドでは「レトロ」「親子」というワードの検索ボリューム推移を調べてみると、どちらのワードも似たような波形で徐々に伸びをみせています。ひとつの可能性として「レトロ」と「親子」が関連するかたちでの盛り上がり性にも期待できるかもしれません。

出典:Googleトレンド

今回、ご紹介する「親子でレトロコミュニケーション」は、技術の発達により新商品・サービスの開発が続々と進む中で、あえて親世代に流行った懐かしさを感じるレトロなものを活用して、子供とコミュニケーションをとるという新しい社会の兆しに着目しました。ここからは、具体的な動向を一つずつ紹介していきたいと思います。

まずは、「親子交換ノートでコミュニケーション」です。親子交換ノートは、親と子が日々のコミュニケーションを深めるためのツールとして近年注目されています。交換ノートは昭和から平成初期にかけて、学生たちの間で大流行した手書きのコミュニケーション手段であり、アナログならではの温かみと親しみやすさが特徴とされていました。その懐かしさに基づき、新たな形で親子の絆を育むものとして甦ってきているようです。親子交換ノートが注目される背景には、現代のデジタル化による会話不足が挙げられるでしょう。スマートフォンやSNSの普及により、顔を合わせる機会が減少した中、対面では照れくさいことや、普段なかなか話せない想いをノートに書き綴ることで、互いの理解を深めることが可能となるようです。文字通りの「交換」を通じて、親子の心の距離を縮め、子供の思春期におけるコミュニケーションの壁も自然と低くなりやすいため、親子間の信頼を構築するための新しいコミュニケーションの形として、活用されだしているようです。

次に、「懐かしいおもちゃでコミュニケーション」です。親世代に流行ったデジタルペットの育成やベーゴマ風バトル玩具が、親子のコミュニケーションツールとして再び脚光を浴びています。親が子供と一緒にこれらのおもちゃを手に取り、遊び方を教えたり、一緒に対戦したりすることで、自然な会話が生まれやすくなるようです。そして、当時のエピソードを振り返りながら思い出話をするなど、子どもだけでなく、親としても、心から童心に帰って楽しむことができるので、お互いに能動的な遊びになるようです。また、自分が子供の頃に遊んでいたおもちゃで自分の子供が遊んでいるのを見ると、エモさを少し感じることができるのも人気の要因の一つのようです。このように、家庭でのほのぼのしたひと時を親子で育む要素として、これらの懐かしさを感じるおもちゃでのコミュニケーションが注目されているみたいです。

最後に、「駄菓子でコミュニケーション」です。親子で駄菓子を近所の駄菓子屋に買いに行き、一緒に商品を選んだり、食べたりすることで、子供とのコミュニケーションをとる人が増加しているようです。駄菓子は舌の色が変化するものや伸ばして楽しむもの、当たり付きのものなど、エンタメ要素に富んだものが多いので、子供とのコミュニケーションツールとして最適とされています。また、食べるだけでなく、駄菓子屋でのお菓子選びも、注目される要因となっているようで、日常であまり見かけることのない、懐かしい駄菓子が置いてあったり、駄菓子屋特有のレトロな雰囲気も親子がともに楽しめる空間となっているみたいです。どんな味がするお菓子なのか、どんなことを楽しむお菓子なのかを親子で話しながら、選んで食べる。そんなコミュニケーションが駄菓子を介して行われているようです。

いくつか事例を紹介してきましたが、なぜこのように「親子でレトロコミュニケーション」が盛り上がっているのでしょうか。理由として、これまで親が子供に合わせるようなコミュニケーションが多かったと思いますが、コミュニケーションツールにレトロなものを取り入れることで、当時の懐かしさから親も子供と同じ目線で自分ごと化して楽しめるのではないでしょうか。また、自分がかつて楽しんでいたものを子供に紹介することで、自然な発話が増えたり、かつての自分に重ね合わせて子供を見守ることに感慨深さを感じられることも注目される要因ではないでしょうか。

最後に、「親子でレトロコミュニケーション」のビジネスチャンスについて、少し考えてみました。

「親子でレトロコミュニケーション」のビジネスチャンスの例
■街中で令和版紙芝居イベントの企画
■喫茶店の親子ランチメニューの開発
■親子で聴く子供向けラジオ番組の企画
など

私は、まだ子供はいませんが、最近結婚したので、子供ができた時にどんなコミュニケーションがとれるのかワクワクしています。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 九州博報堂
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    2021年九州博報堂に入社し、統合プラニング職に従事。
    2023年から博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局に所属。
    アウトドア派。旅行が趣味で、1番好きな国はハワイ。老後はハワイに住みたいと思っている。