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超短尺動画の最適なソリューションを提供する 領域横断型エキスパートチーム「ULTRA SHORT」が始動
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超短尺動画の最適なソリューションを提供する 領域横断型エキスパートチーム「ULTRA SHORT」が始動

多様かつ大量な情報が流通し、短い時間で心を動かす動画形式のコミュニケーションの重要性がますます高まる中、動画クラフト力とメディアプランニング、PRナレッジを掛け合わせたエキスパートチーム「ULTRA SHORT」が新たに誕生。クリエイター×メディアプラナー×プロデューサーの精鋭がタッグを組み、生活者の心をつかむ「短く!強く!効く!」ショート動画のソリューション開発に臨みます。チーム立ち上げの経緯や、今後の展望などについてメンバーに聞きました。

スピーカー:
リーダー 江口貴博(クリエイティブディレクター)
メンバー 田中裕二(CMプロデューサー/ディレクター)、東晃弘(クリエイティブディレクター)、横山昴(ディレクター)

―チーム立ち上げの経緯について教えてください。

江口
背景から説明すると、まずは15秒以下の広告動画における急激なニーズの高まりがあります。実際にFacebook、YouTubeなど各プラットフォームにおける動画配信の秒数を調べてみると、15秒以下の広告動画配信の比率がFacebookだと約8割、YouTubeだと6割以上にのぼり、さらに短尺化する傾向にあります。また、そもそもウェブ上の広告動画はテレビCMと異なり強制視聴はさせられないため、スキップが可能だったりタイムライン上で飛ばしたりできます。生活者は最初の約4秒未満でその広告動画を見るかどうかを判断しているため、特に冒頭のアテンションを加味した広告動画プランが求められていて、広告業界全体でもこれに専門的に取り組んでいこうという機運が盛り上がっているところなのです。
横山
冒頭のアテンションというのは、ある意味デジタルムービー広告に携わるすべての人が最初にぶつかる壁です。なぜならプラットフォームによってその特性は全く違うから。YouTubeならSKIPまでの冒頭5秒という与えられた有余の中でいかに掴むか。どう、引き込むかが求められます。
僕はそのポイントを“しずるポイント”と呼ぶのですが、Facebook/Instagramであれば2.5秒、Twitterなら3秒。それぞれのプラットフォームごとに、このポイントは違うんです。
また、その掴み方の名称も、プラットフォームによって全く違う。YouTubeが「Attract」、TikTokが「Bite(かじる)」、LINEは「指先ハック」……。その“しずる”を徹底的に科学し、新しい“クリエイティブ”として既成概念を壊していくかが今重要になっているのです。
広告動画においては、尺が伸びれば伸びるほど視聴離脱が起きるという現状があります。獲得動画では商品やサービス理解を深めることを目的としているため、視聴時間を伸ばして情報を伝えることが必要です。だからこそ、最初の3秒、5秒で心をつかみ、そのあとも如何に離脱させないように設計して、15秒、あるいは30秒40秒の動画を完全視聴してもらうかが、我々の腕の見せ所なのかなと思っています。
―チーム構成と各自の役割について、またチームの強みを教えてください。
江口
チーム構成としては、動画をつくるクリエイティブ側と配信側のプロが掛け合わさったメンバーとなっています。まずクリエイティブサイドの面々は、過去10~20年近くにわたり15秒CMの企画に携わってきており、短い尺で視聴者に観たいと思わせたり、伝えたいエッセンスを凝縮させるといったことを訓練してきたスタッフです。それだけの長期間で得た経験と知見は、業界内においてもかなりの強みであると言えるでしょう。今回欠席の神田裕介は日本広告業協会(JAAA)の2019年クリエイター・オブ・ザ・イヤーに選出されるなど、業界でも際立ったクラフト力を持つトップクリエイターで、10秒という短尺でストーリーを伝えるドラマ制作などに携わっていますし、僕自身は、SNS上で短い動画を配信し、そのエンゲージ率から逆算してCMをつくる――ショート動画からCMへのデジマス型クリエイティブを試行しています。
田中
僕はCMプラナーとして昨年までTBWA HAKUHODO に在籍していました。TikTokなど、デジタルの中でも特に新しいプラットフォームにおける広告動画を得意としていて、過去の広告動画を徹底的に分析し、それをもとに複数の“バズる”広告動画を手掛けてきました。未開拓のフィールドで、新しい広告動画制作の方法論をつくり出すところからチャレンジしています。
自分はこのチームで、クリエイティブ部分と配信の中間でハブ的な役割を負っています。普段は、尺ごとの再生率などを細かく計測、その実績データに基づいて最も見られた素材を次々と組み合わせていくなど、動画広告の再構築や配信ボリュームを変えるといった改善を施しながら、視聴完了率、広告効果の最大化に努めています。クライアントと常時接続し課題を見つけていきながら、小さいPDCAをどんどん回して“勝ちクリエイティブ”をつくる。そうして大きく成長させるといったスキームで、運用型広告に携わっています。
横山
僕は博報堂DYメディアパートナーズとDACの混成チーム「MP.QuickMovie」を1年半前に立ち上げました。博報堂DYグループ内で最もメディアに近い立ち位置から、動画制作を見ています。運用型のニーズに合わせて早く安く、かつ効果を追求するクリエイティブ作りは博報堂DYグループ内でもかなりニーズがあり、昨年は年間で600本の動画制作を担当しました。作るだけではなく、結果と照らし合わせながら次のクリエイティブへとつなげます。その実績から、プラットフォーム側に外部講師として招かれ、登壇することも増えてきました。
ULTRA SHORTチームにおいては、プラットフォームが持つデータ視点とメンバーが持つクラフト力との架け橋的存在になれたら、強い化学反応へとつながるのではないでしょうか

(左から)東晃弘 クリエイティブディレクター、横山昴 ディレクター

江口
業界でも稀有なクラフト力を持つクリエイティブの面々と、東、横山のディストリビューションのプロが一緒になることで、これまでにない強力な布陣が実現しました。このメンバーで、まったく新しいウェブ動画を生み出すことができるのではないかと期待しています。
―ショート動画制作の手法、工夫について具体的に教えていただけますか。
横山
僕は普段から「3BlockPlanning」というオリジナル手法で、動画をモジュール化して考えています。このモジュールは、配信後の上がってくるレポートから逆算した動画作りです。どういうことかというと、頭・中・お尻に全く違う役割を担わせ、配信後にその要素がしっかりと行動につながっているのかをわかりやすくするのです。例えばGoogleのTrueView for Actionであれば冒頭5秒のアテンションはもちろん、10秒まで視聴させてからクリックしてもらうとそこで新たなアルゴリズムが発生する…そういったプラットフォームごとの細かいモジュール化が大事になってくると考えます。僕の作る動画は、一見つなぎ目のないシームレスなクリエイティブでも実はそういった裏の意図が組み込まれています。
我々は「ビッグデータの肩に乗る」という言い方をしているのですが、GoogleやYahoo! JAPANのプラットフォームデータ、及び博報堂DYグループが提供するHABIT exなどのビッグデータを複数掛け合わせて分析し、ターゲットの嗜好を掴む、競合関心層との特徴の差を知る、メッセージの訴求軸を見つけるといったインサイトハックを行っています。プラットフォームデータでは検索/視聴行動といった中に、無意識に近い欲求が潜んでいるため、データ活用プランニングの軸にしています。可能なところはどんどん機械化自動化し、細かくデータの裏打ちをしながら進めています
江口
今、2人が話したようなことは従来であればマーケティング部門が考えていたところで、現状でもデータ分析ありきのクライアント側からのオリエンというのはまだまだ珍しい。CM制作においても、まだ従来型のゆっくりとしたスピードで進むことが多いのが現状です。ただ、僕も田中も、担当するWEBムービーなどにおいては、実際それなりに小規模なチームで機動力高く、スピード感を持って対応するため負荷も大きい状態でやらざるを得ないのが現実です。そんな中、先述した、SNSのエンゲージ率を活用して制作したCMのケースでは、クライアントの上層部に対する説得が非常に容易で、データが持つ説得力を痛感しました。さらには実効果も非常に高く、データの裏付けをベースとしたクリエイティブの意義というものを強く感じました。
田中
僕がTikTok上で広告を制作するときに行っていたのは、とにかく成功例、失敗例を見まくるというアナログなものでした。まだ方法論が確立されていないプラットフォームでのクリエイティブ制作においても、本当に感性だけでクリエイティブをつくるというよりも、そのプラットフォームの特性をいかに理解し、さまざまな情報を分析しアウトプットにつなげるかが今後ますます重要になってくるだろうと考えるに至りました。
数字の部分でどんどんフロントに出ていくメンバーと、博報堂流のしっかりとしたクラフトを新しい形で提供していくメンバーが一緒になることで、総合力で戦える体制が整ったと実感しています。

江口貴博 クリエイティブディレクター

―プランニング、制作から運用までがワンストップで可能になることで、どんな価値を提供できるでしょうか。

江口
一般的にプランニングと制作と運用をシームレスに行うのは難しいと思います。しかし、ULTRA SHORTのチームはすべての側面――配信もベストで、かつその配信に応じて最適なクリエイティブをつくること可能で、僕ら広告会社が持つ100%の力、可能性を活かすことができる。つまり、それらの要素をいずれも高次元で達成できるというのが、我々ULTRA SHORTが唯一無二の存在意義になっていくだろうと考える理由です。
田中
実際、僕らクリエイティブチームはWEBムービーを制作しクライアントに納品したら、その後どのように運用されているかを知らされることは通常ありません。このクリエイティブはこう配信したが、ここが離脱ポイントだった、というようなフィードバックが来ることは少ないです。
横山
まだまだ業界的にもそうですよね。メディア視点でクリエイティブが語られていない。例えば納品された5本のうち最適化がかかりすごく伸びたクリエイティブが1本あるとしたら、ほかの4本を「あまり効果がなかった」クリエイティブとして、クライアントに報告して終わってしまいがちです。では、そのクリエイティブのどういった要素が効いたからこの結果に至ったのか。じゃあ次のクリエイティブは、どうDOする?までは語られない。両者にメディアの配信知見だけはたまるものの、運用クリエイティブ知見は貯まりづらい。提案段階からフィードバックをして再度トライする、という認識がそのチームにない限り、結局はそのままですね。ブランドの一番外側の顔はクリエイティブだっていうのに、もったいないですよね。
江口
成功例、失敗例の情報がブラックボックス化して、経験が積み重なっていかないという課題があります。ULTRA SHORTではクリエイティブから運用までチーム一体で考えていくことになるので、クリエイターとしても、その辺りのフィードバックから得た学びを活かして次につなげることができると思います。さらに東さん、横山さんの存在によって、ひとつの動画を1カ月くらいのスパンでどんどん改善し、進化させていくことができる。超未来型の広告制作を2人から学びながら、融合していけるのではないかと思います。

―今後の展望、意気込みをお願いします。

田中
広告業界にいる我々、CMプラナーやコピーライターも、正直なところデジタルは面白みに欠けるとか、TrueViewはとっつきにくいだとか…そういうイメージを抱いている人が少なくないと思います。でもそこはまさに、現状で実現できていないことがたくさんある領域だし、これからどんどん魅力的な仕事ができていく場所だと思っています。なので僕自身としては、下の世代の若いクリエイターたちが「自分たちもやりたい」と思えるような仕事に、ショートムービーを憧れの存在と思えるようにしたいですね。 

田中裕二 CMプロデューサー/ディレクター

クリエイティブ面では、チームの確かなクラフト力で、見応えのある、最後まで視聴してもらえる広告動画を生み出す。運用面では、クライアントと常時接続しながらPDCAを回し効果検証を繰り返すことで、より確実な成長へとつなげていく。個人的には動画をきっかけにしたマス施策などの他案件への拡大も図りながら、より大きなビジネスの可能性を探っていければと考えています。
横山
このチームでしかつくれない“しずる”をつくり、会社のナレッジにしていきたいですね。グループ内のさまざまな組織にさまざまなナレッジがあるわけですから、それらをすべて出し合って、さらに横につながることで、博報堂DYグループ全体で勝てるクリエイティブをつくっていく。そうすることで博報堂DYグループの将来の資産になっていくといいなと思います。
江口
改めてチームの売りをまとめてみると、「SNS上で15秒は長すぎる!10秒ドラマパッケージ」「テレビ1秒も見てない若者向けSNSパッケージ」「精度の高いマスCMを生み出すSNSデータドリブン型CM制作」「PDCAを回しながら動画を磨きあげる勝ち抜き動画方式」「ターゲット・プラットフォーム最適で縦横画角最適化」などになるかと思います。
中でも、「テレビを1秒も見てない若者向けSNSパッケージ」にあるように、まずは従来型の枠で獲得できていないターゲットを目指すべきだと考えています。それから、「精度の高いマスCMを生み出すリサーチャブル型パッケージ」のように、特に現在横山さんが多く手掛けている、地方や小規模のスタートアップ企業などに対して、オウンドのSNSから始め、失敗しないCMを一緒に作り上げるというデジマスの形をひとまずは想定しています。
データとの向き合い方という側面で考えると、得てしてクリエイターは、強い主観を持って、これがいいはず、面白いはず、といった姿勢で臨みがちです。でも想定していたデータとは異なる結果が出たときにこそ、ある種の楽しみがあるとも思っています。主観とはちょっと違ったとしても、データに従順になってみて、そこからクリエイティブを生み出していく。そうすることで、すでにこれまでとは違う新たな地平が見え始めています。僕としてはそこを楽しんでいきたいですね。
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  • 株式会社博報堂 クリエイティブセンター第一クリエイティブ局
    クリエイティブディレクター

  • 株式会社博報堂 クリエイティブセンター第二クリエイティブ局
    CMプロデューサー/ディレクター

  • 株式会社博報堂 クリエイティブセンター統合プラニング局
    クリエイティブディレクター

  • 株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
    クリエイティブ&テクノロジー局
    ディレクター