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変わりゆくメディアと生活者  Vol.2デジタル化による新聞社との関わりの変化とは
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変わりゆくメディアと生活者  Vol.2デジタル化による新聞社との関わりの変化とは

デジタル化による媒体社の変化と、それに伴い博報堂DYメディアパートナーズ(MP)のデータマーケティングにおける役割がどう変わってきたのか、今後どう変わっていくべきかをテーマにした本連載。第2回は、MP新聞局の猪倉丈史に、MPデータビジネス開発局の馬島久直が新聞社とのかかわりの変化について聞きました。

馬島
データビジネス開発局の馬島です。博報堂DYグループで保有しているデータを活用したマーケティングソリューション開発や、それらを活用したクライアントのマーケティング支援を行っています。マーケティング職を長くやっているので、その視点を生かしてデータを解釈し、ソリューションを開発しています。
猪倉
新聞局に所属している猪倉です。普段は新聞社の皆さまと一緒に知恵を絞りあって、クライアントのマーケティング課題にどういった新聞社プロパティが提供できるかを検討し、ともにプロモートしています。
また新聞局内タスクフォースチームであるデジタルソリューション開発チーム・アカウンタビリティチームにも複属しています。世の中全体を取り囲むデジタルトランスフォーメーションの潮流のなかで、新聞社プロパティを活用した新しいデジタルソリューションを開発したり、新聞広告をプロモートするにあたっての出稿効果を説明するエビデンスを開発したりしています。
馬島
今日は、新聞社の現在のビジネスがどうなっているか、その課題は何か、デジタルを使ってどう変えていけるのか、我々はどういうことをお手伝いできるのか、といったことを議論できればと思っています。
猪倉
新聞社のビジネスモデルは、「歴史あるサブスク」と言えるビジネスモデルで、2016年度で、販売収入が58%を占めています。(広告収入が21%、その他収入が31%)。
(出典:『広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2019』)
販売収入と広告収入を支えるのは、その発行部数です。しかし、2018年の新聞の発行部数は48,927千部と言われておりますが、2000年に比べて約70%程度にまで落ち込んでいます。(日本新聞協会
インターネットの普及と、PC・スマートフォンなどをはじめとする生活者のメディア環境の変化が原因です。
新聞社は、こうした生活者のメディア環境の変化を受けて、何か新しいことをできないかと広告ビジネス領域でもそれ以外でも様々なチャレンジをしています。
特に広告ビジネスの領域でいうと、広告費の規模は、テレビ、デジタルに次ぐ3番目で、リーチ媒体・認知獲得媒体としては一定以上、評価されていますが、主読者が高齢化しており、クライアントもそれを意識しています。ですので、新聞社が保有する紙面・デジタル・イベントを立体的に活用しつつ、「新聞社ならでは」の企画づくりを行い、クライアント課題に幅広く対応できるようにしています。

新聞社が保有する様々なプロパティを立体的に活用し、クライアント課題に合わせてプロモートする

馬島
ダイレクトマーケティングの仕事をしていた数年前に、新聞社とお仕事をさせていただいたことがあります。紙とデジタル、リアルイベント、記者の方の専門性をはじめとしたプロパティなどを組み合わせて大きな仕組みが作れないか、という取り組みをしました。新聞社の持つ豊富なプロパティを組み合わせていかにビジネスにつなげるかという考え方はベースにありながら、今はさらにデジタル化が進んでいるかと思いますが、他にどのような変化があるでしょうか。
猪倉
新聞社が沢山の売り物を保有している状況は同じだと思いますが、大きく変わったと感じるのは、新聞社自身がマーケティング視点を持ち、クライアント課題に応じるために、紙面にとどまらず保有するプロパティを立体的にセールスしていることです。
マーケティングの話でいうと、「リーチ・認知→理解・興味→意向・検討→獲得・購買」とマーケティングファネルがあるとき、近年、「マスでリーチをとって、デジタルで獲得する」といった考えから、「ミッドファネル(理解・興味・意向・検討)への注力が必要だ」といった考えへの揺れ戻しが起きています。
新聞社がそうしたマーケティング潮流を取り込んだため、新聞社プロパティを活用したフルファネル型のご提案が増えてきているのではないかと考えております。
馬島
なるほど、データで見ることができる領域が増えて、購買直前の動きに加えて、そこに至るまでのプロセスが可視化できるようになってきたことが大きいですね。マスで広告を打った後にどのような検索やサイト閲覧が増え、SNS上でどのような反応が起こったのかといったことがある程度捕捉できるようになったので、解釈の部分もあるとはいえ、意識や行動の変化が見えるようになりました。ミッドファネルをどう太らせるか、といった取り組みができるようになったと感じます。

総合ニュースサイトを、データで解きほぐし、総合バーティカルメディアに変える

猪倉
デジタルマーケティングの進化によって生活者の行動が全面的に捕捉できるようになったことは、新聞社プロパティをセールスするにあたって新しいチャンスです。
例えば、弊社と媒体社各社の連携による業種特化型ソリューション“カテゴリーワークス”もその一つです。
カテゴリーワークスでは、エッジのたったトライブを保有する各メディア群との連携を進めることで、モビリティやエンタメ、地方創生など、業種・テーマごとに特化したマーケティングソリューションを提供しています。
新聞社の保有するデジタル媒体は総合ニュースサイトですが、媒体や記事のカテゴリーごとに細かく見ていくことで、読者の傾向や意向をより深いレベルで理解することが可能です。
加えて、新聞社のコンテンツ制作力は今も昔も凄まじく、発信するコンテンツもオーディエンスにとって信頼感がある。デジタルデータも活用してそれに合わせたさらに役立つ質の高い情報を適切に提供することで、読者に対してより高い価値を発揮することができます。
馬島
バーティカルメディアの重要性が増しているのは、先ほどのミドルファネルの話とも通じますよね。マスメディア単体で紹介するより、専門性が高く、優良な読者に読まれている媒体でターゲットにアプローチしていくことが重要になって来ています。コンテンツ接触やその後どのような反応をしたか、結果的に意識が変化したかといったプロセスが分かりますので、誰に何を伝えるべきかが明確になり購買行動につなげやすい。マスとWebの間にあるバーティカルメディアがより重要になっているし、それに伴って新聞社の存在感が高まるというのも分かりますね。
猪倉
個人的な話で恐縮ですが、「僕たちはメディアパートナーズと名乗っているけれども、メディアのパートナーとして発揮できる役割はどこにあるのだろうか」とよく感じます。
今後、新聞社をはじめ、顧客との接点を持つ(IDデータを持つ)企業が強くなってくる。加えて、媒体社がマーケティング機能を強化し、保有するプロパティを活かして、フルファネルで企画提案するようになった今、メディアパートナーズである僕たちにできることは何なのか。それは、マーケティング戦略の全体設計だったり、クリエイティブによる表現だったり、データマーケティングを推進することなのかなあ、と悩みながら、日々、目の前の業務と格闘しています。
馬島
媒体社のビジネスを考えるマーケターとしての役割も重要になるのではないかと思います。カテゴリーワークスも同じような考え方で動いていますよね。メディアの枠を売るパートナーというだけではなくて、媒体社のビジネス全体を考えて、「このようにデータを活用することで新たなビジネスや高付加価値商品を作ることができます」とご提案するのがパートナーとしての新たなあり方なのではないかと。

新聞の強みを定量化していくことが重要

猪倉
ビジネスの話から逸れてしまいますが、新聞って本当に凄いなって思っています。世の中のニュースを取材して、毎日発行していること自体も凄いし、その流通網も販売店の皆さまの力があり、台風や地震などの災害時でも、遅配・欠配はほぼありません。
彼らはジャーナリズムを背負い、日本や世界をより良くしようとしている。そんな彼らのビジネスやエコシステムを支えるために、そのメディア効果を正しく評価し、不当な評価を排し、広告収益につなげたい。そしてパートナーとして、ともにメディア効果を最大化させたいという思いがあります。
馬島
新聞広告出稿、と聞いたときに「紙面に広告を出す」ということを真っ先に思い浮かべますが、そういったイメージもちょっとずつ変えていかなくてはならないのかもしれませんね。
猪倉
おっしゃるとおりで、新聞紙面以外にも新聞社プロパティの活用方法は無限に開かれています。近年、デジタルマーケティングの進化に伴い、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)を活用し、メディア別での投資対効果を可視化する取り組みも行われています。
メディア効果を正しく評価するためには、PL的な視点に加えて、もっと中長期のBS(貸借対照表)的な、ブランディング的な視点で考える必要があるし、さらにデータドリブンマーケティングを進化させて定量的に証明しなければならないと痛感します。クライアントにプロモートする以上は、こちらでしっかりとしたアカウンタビリティを持ちたいですね。
馬島
「新聞単発で、この日に出稿しました」のみの広告計画は少なくなっています。ミッドファネルの意識指標をアクチュアルで定量化し、効果を可視化することができれば、メディアパワーをきちんと示していくことができるように思います。
新聞社のパートナーとして、我々ができることは、まだまだ拡がりそうです。今後の展開が楽しみですね。本日はありがとうございました。
  • 博報堂DYメディアパートナーズ
    新聞局 新聞二部
    兼 新聞局 デジタルソリューション開発チーム/アカウンタビリティチーム
    2014年博報堂DYメディアパートナーズ入社。初任はストラテジックプラニング職として、食品、家電、製薬、マスコミ、オンラインサービスなど幅広い業種で、データ統合型マーケティングを推進。ダイレクトマーケティングで培われたPDCA管理力で事業成長パートナーとして併走。2017年10月よりメディアプロデュース職として、新聞局へ異動。新聞社プロパティのセールスおよび広告商品開発を行う。2019 ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS メディアクリエイティブ部門 GOLD受賞。
  • 博報堂DYメディアパートナーズ
    データビジネス開発局 データビジネスデザイン部
    2006年博報堂入社。営業にてマス・WEBのメディアプラニングの仕事に従事。2010年からマーケティングプラナーとして通信、金融、自動車等のクライアントでマーケティング戦略のプランニングや、デジタル領域の戦略・施策プランニング、PDCA運用の経験を積む。2015年に博報堂DYメディアパートナーズに異動し、データマーケティング領域の業務を担当。DMPを活用したマーケティング高度化やクライアント課題解決のためのソリューション開発を行う。