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【コンテンツファン消費行動調査2019分析リレーコラム】#1(映画編:前編)「サブスク拡大が引き起こす映画体験へのインパクトとは!?」
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【コンテンツファン消費行動調査2019分析リレーコラム】#1(映画編:前編)「サブスク拡大が引き起こす映画体験へのインパクトとは!?」

映画支出TOPは劇場鑑賞も、伸びるサブスクの映画利用。

振り返れば早4年である、黒船としてNetflixが国内に上陸し、様々な定額制動画配信サービスが登場し始めたのは。動画配信を契機として認知を広げたサブスクリプションサービス(通称「サブスク」)は、今や動画領域に留まらず、音楽やスポーツなどの他のコンテンツジャンル、更には飲食や旅行など、コンテンツに限らない様々な分野へと拡大している。

本稿では、年々影響が増している様に感じられる定額制動画配信サービスの変化を踏まえ、現行の映画ビジネスとの関係性や、今後映画体験がどのようなものになっていくかについて考察してみたいと思う。

まずはじめに、国内の映画マーケットについての基本的なデータ(図1)を、弊社グループで実施している「コンテンツファン消費行動調査」を中心に見ていきたい。

(図1)

映画に対して興味を持っている人は約60%、利用したことがある人は47%、支出したことがある人は35%となる。実際に映画に関する消費行動はどのようなものが多いのだろうか。以下のグラフ(図2)は、映画を過去1年間で有料で利用したことがある、と答えた人に対してどのような消費行動をとったか聞いたものだ。

(図2)

一位は約7割で「映画館での鑑賞」。次に高いのが約3割で「DVD、BDなどのレンタル」となるが、その次は「定額制動画配信サービスの視聴」が26%で続く。サブスクが増え始めた4年前の調査では、同項目は7.2%だった。従ってこの4年で約4倍に拡大していることとなる。まだまだボリュームとしては3割を切るとはいえ、勢いを感じさせる。

サブスクと劇場鑑賞。マーケットボリュームと今後のポテンシャルは?

ここで少し海外の話題にも触れてみたい。Netflixは現状世界で約1.5億人の月額課金会員を抱え、映画を含めたオリジナルコンテンツに膨大な予算をかけることや、今後はマーティン・スコセッシ等の著名監督を起用していくことを発表している(※1)。一方で、今年のアカデミー賞では同社が制作した作品「ROMA/ローマ」が監督賞を受賞したことに際し、映画監督のS・スピルバーグは「いくつかの映画館で1週間未満の上映をして、形だけの資格を得た映画が、アカデミー賞のノミネートに適しているとは思いません。」と発言したと報じられている(※2)。
更には昨今、定額制動画配信サービスへの新規参入も相次いでいる。FOXのエンターテインメント部門を買収したディズニーも「Disney +」という自社サービスの開始を発表したり、Appleも「Apple TV+」という自社の新サービスを通じて、映画やドラマのオリジナルコンテンツを展開していくことを明言している。キャッシュフローの安定性が高いことが同領域への参入理由として大きいと考えられるが、ますます競争が熾烈を極めると同時に、サブスク市場全体が盛り上がっていくことが予想される。

こうしたサブスク領域と、既存の映画ビジネスの主軸である劇場鑑賞領域は、今後どの様になっていくのだろうか。

(図3)

上記(図3)は、映画興味者を100%とした際の、サブスク領域と劇場鑑賞領域の関係性を表している。①~③の層はいずれも映画にお金を払って鑑賞する人達をベースとしており、①は定額制動画配信サービスにお金を払って映画を見る人のみを、②は劇場でお金を払って映画を鑑賞する人のみを、③は定額制動画配信サービスを使って映画を見る、かつ劇場でも映画を鑑賞する人を表している。現状で①は368万人、②は1659万人、③は545万人となる。
また各層の属性は以下の通りだ。(図4)①は男性20-30代がボリュームゾーンとなり、②は女性40代以上、③は①に比べ若干女性比率が高くなっている。総じて劇場は中高年、サブスクは20-30代の若年寄りの利用者となる。

(図4)

今現在では、まだまだ映画にお金を払う層の中で、定額制動画配信サービスを利用するボリュームは大勢ではない。しかしながら、今後の利用意向者も含めるとそのポテンシャルは一気に拡大する。図3の④は、映画の興味者をベースに、本調査で聴取している様々なサブスクの現在の利用者も含め、今後利用意向があると答えたボリュームを示している。推計で3935万人となり、現行利用者(①+③=913万人)の約4倍以上に膨れ上がる。現在の⑤映画の利用者数(=4069万人)と大差がなく、そのポテンシャルは予想以上に大きく感じられた。

もしここで示されたポテンシャルの通り、若年層に支持を集めるサブスクが、今後より一層広まって行った場合、既存の劇場中心の映画ビジネスはどうなってしまうのだろうか。(後編へ続く)

【出典】
※1
Netflix, “2019 Quarterly Earnings : Letter to Shareholders”, 2019-4-16, p.2.

※2
Variety, “Spielberg to Voice Concerns Over Netflix Oscar Competition at Academy Meeting”, 2019-3-2.

  • 博報堂DYメディアパートナーズ
    エンタテインメントビジネス局 
    コンテンツビジネスラボ
    2011年博報堂入社。マーケティング職として6年間小売・流通、放送局、食品、スタートアップ関連企業の商品開発、コミュニケーション戦略立案業務に従事。
    2017年10月より現職。媒体社、コンテンツホルダーにおける課題解決のための戦略・施策立案業務に従事。映画は年間約50本以上を劇場で鑑賞。