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先進的な生活者から、破壊的な仮説を得る方法3.『ドクターシューマー』
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先進的な生活者から、破壊的な仮説を得る方法3.『ドクターシューマー』

こんにちは、SEEDATAの岸田卓真です。
SEEDATAでは、事業成長に貢献する定量的なデータ分析を行うに先立って、定性的な分析に基づいて確度の高い仮説を構築することが重要だと考えます。データが膨大に取得できる時代だからこそ、データを読み解くマーケターの仮説は、マーケティングを進化させるため、顧客に高い価値を提供するために必要なのではないでしょうか。その、仮説を得るために、SEEDATAでは、先進的な生活者調査に基づいた定性的な分析を活用しております。詳しくは、第一回目の記事を御覧ください。
前回は SEEDATAの宮下からトライブ「早育ママ」を用いたプロジェクトについてご説明させていただきました。
今回はトライブ「ドクターシューマー」を活用した商品開発のプロジェクトについてご紹介させていただきます。

ドクターシューマーのライフスタイルを読み解く

ドクターシューマーとは?

まず、ドクターシューマーとは、主に完全栄養食品を日常的に摂取する消費者です。
ドクターシューマーの特徴的な行動として、たとえば昼食にカツ丼やラーメンなどの高カロリーかつ少し不摂生ともいえるようなものを食べたとします。
そういう日にはドクターシューマーの人達は夕食として完全栄養食品を摂取します。
これはいわば昼食に不摂生なものを食べてしまったので夜には自分が考え得る最も健康的な食品である、完全栄養食品を食べることで、自分自身の不摂生や栄養のバランスの帳尻を合わせようとしている行動です。

また、ドクターシューマーが完全栄養食品を日常的に取り入れていることの理由の一つが「何を食べるかを迷わずに済む」ということです。
通常「夕食に健康的なものを食べよう、食べなければいけない」と考えるときに、「サラダにしよう」あるいは「うどんにしようか」といったように何を食べるかを考えなければいけないという手間が発生します。

しかし「完全栄養食品を摂る」と決めている場合、何を食べるか迷う手間を省略することができます。「食事を選択しなければならない」というひとつの行動を省略することで、心に余裕を生むことができると考えているという点が、彼らの大きな特徴になっています。

このように、ドクターシューマーたちは、選択しなければいけない物を減らすことで心の余裕を生むことそのものが健康維持に重要であると考えています。つまり、健康的に過ごすためには栄養素などの体の健康のみならず、「余裕がある」という心の状態が必要で、 心と体が同時に健康であることに重点をおいているのです。

以上のことから、基本的にドクターシューマーは自分の食生活や健康に対して自信があり、一般的な生活者よりも、心身ともに十分に健康に気をつけているという自覚を持った人たちといえるでしょう。

ドクターシューマーの特徴的な行動

ドクターシューマーの価値観を抽出する

我々は、こうしたドクターシューマーの知見をもとに、健康食品や飲料などの消費財の商品コンセプト開発のプロジェクトを行うことがあります。
ただし、これらのプロジェクトで作る商品のコンセプトは、ドクターシューマーをターゲットとして作るのではなく、一般的な生活者をターゲットとします。
その理由として、ドクターシューマーはそもそもターゲットとして成立するほど十分な数がいるわけではないこと、また、 彼らはすでに健康的な生活を送る上で必要な、完全栄養食品という手段を手に入れているため、新たにターゲットとする上では少し不適切であることなどがあげられます。
一方で、一般的な生活者はドクターシューマーのように、自分自身の健康に対して強い関心があったり、心と体の健康に十分に気を使っているわけではありません。しかし生活者の多くは「健康的な食生活を送りたい」という潜在的な欲求を持っています。その健康的な食生活の理想的な形の一つが、ドクターシューマーが送っている生活になるわけです。

ドクターシューマーで得た知見を反映した健康食品や飲料やサプリメントを作り市場に投入することで、ドクターシューマーのような健康的な生活を身につける事ができる商品を一般的な生活者に対して提供することが出来るようになります。

トライブの価値観を元にしたブランド開発

実際にドクターシューマーをヒントにSEEDATAで商品ブランドの開発を行った事例では、まず、その商品を含むブランドが、どのような価値を生活者に提供するのかを考えました。その時にドクターシューマーの特徴である「自分が健康であるという自覚を持っている」ことや、「選択する手間が減るので心にも余裕が生まれ、心の健康にもつながる」といった要素を生活者に提供する価値として取り入れました。
こうして設計された商品を一般生活者が使うことで、ドクターシューマーが持っているような自分自身が健康的なことをしているという自覚を持つことができたり、考える手間や選ぶ手間を省くことで心の余裕が生まれる、といった、今まで一般生活者が潜在的に達成したいと思っていたが出来ていなかった生活を、新たな商品を利用することで達成することが出来るようになるのです。
このようにトライブの価値観を取り出し、商品などの仕様に応用する方法を、SEEDATAではトライブ・ドリブン・イノベーションと呼んでいます。

トライブの哲学や考え方をベースにした商品を一般生活者に届ける

このようにして、ブランドの傘のコンセプトの中で、トライブから得た重要な価値を定義した上で、ブランドに含まれるそれぞれの商品が持つべき商品の個々の機能や特性を明確に定義していきます。
それぞれの細かい商品の特徴や機能特性についてはこの場ではお話することが出来ませんが、SEEDATAでは、このようにして、トライブをターゲットとするのではなく、トライブの調査結果から彼らの考え方をヒントとして数多くの商品開発を行っています。

  • 株式会社SEEDATA マネージングディレクター
    京都大学工学部建築学科卒業 慶應義塾大学院メディアデザイン研究科(KMD)修了 KMD在学中 Royal College of Art と Pratt Institute にデザイン留学。
    2015年にSEEDATA参画し、技術、デザインプロセス、人文等の分野への理解をベースに、通信会社、電気機器メーカー、飲料会社、食料品会社、大手インフラ会社等様々なクライアントに対して、新規事業立案及び推進、新商品開発、ブランディング等の様々なプロジェクトを推進。
    また、退職後シニア、クラフトビール愛好者、若者のSNS利用先進層など多分野にわたる15以上のトライブリサーチを担当。