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Tableauを活用した「CoE」の取り組み ──博報堂DYグループ内に「データドリブンな文化」を根づかせていくために
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Tableauを活用した「CoE」の取り組み ──博報堂DYグループ内に「データドリブンな文化」を根づかせていくために

データは「21世紀の石油」と言われています。データの上手な分析と活用がビジネスの推進力となるからです。しかし、データ活用の文化が隅々まで浸透している企業はまだ多くはありません。博報堂DYグループにおいて、グループ内に「データドリブンな文化」を根づかせ、その知見をもとにクライアントの課題解決に対しCoE(センター・オブ・エクセレンス)と呼ばれる活動を推進している、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)の廣本嶺と村山早紀に話を聞きました。

グループ全体のデータ活用を推進することが目標

廣本
センター・オブ・エクセレンス(CoE)とは、一般的には「専門性をもった人材を組織横断的に配置し、ベストプラクティスを生み出し、システムなどを効率的に導入するための仕組みや組織」と説明されます。
さまざまな企業において、データ活用に関して部署ごとの差が大きいという課題があると思います。日々のビジネスにデータを活用して、効率化を図ったり、生産性を上げたりすることが重要──。そんな意識はあっても、データをどう具体的に活用していいのかわからないという課題を解決するために、組織横断的にデータ活用を推進する仕組みをつくろうというものです。
村山
私たちがその取り組みを推進するためのツールとして主に活用しているのが、欧米でも広く活用されているデータ分析プラットフォーム「Tableau(タブロー)」です。Tableauの特徴は、データ分析の結果をグラフなどのわかりやすいビジュアルで示すことができる点にあります。それによって、ITの専門知識のないユーザーでもデータを有効に活用することが可能になります。
廣本
Tableauにはもう一つ、ユーザーサイドのコミュニティ活動が非常に活発であるという特徴もあります。ユーザー同士が自発的に結びついて、困りごとや成功事例などを共有することで、ビジネスにより役立つ使い方ができるようになるわけです。

私たちは具体的にはこれまで、大きく4つのフェーズに分けて活動を進めました。
最初のフェーズでは、Tableauをはじめとするデータ関連ツールの活用法をチーム内でしっかり学び、スキルを強化しました。
次に、他社の事例を学んだり、Tableau社のカスタマーサクセスチームとの定例ミーティングを実施するなど、ベストプラクティスに数多く触れました。

CoEを機能させるためのロードマップ

村山
廣本さんは、Tableau社の海外カンファレンスにも参加しましたよね。
廣本
はい。カンファレンスでは海外でのさまざまな取り組みを学びました。「CoE」という言葉を最初に知ったのもそのときでした。海外企業のケースを学ぶ中で、自分たちがやろうとしていることはまさしくCoEと呼ばれているものだと気づき、帰国後にその概念をメンバーと共有しました。
村山
3つめのフェーズで最適な初期案件を選定する作業に取りかかりました。Tableauを活用した成功事例を社内でつくっていく段階です。最初の案件として取り組んだのは、人事部の勤怠管理業務での活用でした。人事部は社内に対する影響力が大きいので、アーリーマジョリティーとしてTableauの活用を社内に広めてくれると考えました。
廣本
最後のフェーズでは、社内での取り組みを徐々に広げながら、継続的なデータ活用が可能になるよう、部署ごとに「分析リーダー」を育成する活動に着手しました。
村山
CoEの活動をしていくなかで、Tableau活用のメリットをはっきり理解してもらうことが意外に大変でしたね。確かに、従来の仕事のやり方やツールに慣れてしまっていると、新しいツールの使い方を積極的に学ぼうという気持ちにはなかなかなれないと思います。
廣本
しかも、日常の業務をこなしながら新しいやり方を覚えなければいけないわけですから、現場の方々のモチベーションを上げるのは簡単ではありませんでした。
村山
だからこそ、まずは成功事例をつくることが大事でした。業務課題を抱える部署でデータ活用を進めて、その成果をグループ全体に広めていくことが他部署のモチベーション向上につながるはず。そう思って活動を続けていました。
廣本
例えば、Tableauを使うことで業務時間がどのくらい削減されたかを具体的に示すといったことです。そこは地道に成功例を積み重ねていくしかないと考えました。
村山
博報堂DYグループ内のある部門では、日常的に使うシステムからExcelにデータを落として、担当者が手作業で情報集計をしていました。その集計と確認の作業に毎月約一週間かかっていたそうです。そのデータをTableauで自動的に更新し、集計結果をダッシュボード上で見られるようにしました。それによって、担当者の作業時間はほぼなくなりました。また集計の手間が省かれるだけでなく、データをひと目で確認できるようになり、適切な業務調整が可能になりました。
廣本
データ管理の手間と時間が減ったことで、その部署の働き方改革につながっただけでなく、仕事の効率化も実現できました。効率化されたことで、部署内のコミュニケーションがスムーズになったのも大きな成果だったのではないかと思います。
村山
この取り組みの成功によって、Tableauによるデータの分析や活用の意義が浸透してきたと感じました。今年度に入ってから、社内での取り組みの経験を活かして、クライアントに提供する活動を本格的に始めています。

異なるミッションを担う2つのチーム

廣本
今年度から、ナレッジマネジメントチームと導入コンサルティングチームに分けて、私が前者を、村山が後者を担当しています。ナレッジマネジメントチームのミッションは、Tableau導入後に運用を支援し、活用を定着させていくことにあります。
ツールを導入したものの、使い方がよくわからず、結局浸透せずに放置してしまう。そんなケースが実は少なくありません。現場の社員ユーザーが参加できる研修プログラムや定例会を開催し、一人ひとりがTableauを使いこなすサポートをすることがナレッジマネジメントチームの役割です。
村山
導入コンサルティングチームの役割は、社内での経験を活かして、クライアントのTableau導入を支援することです。クライアントのニーズに応じて、要件定義をし、画面設計をして、導入後も継続的に使用していただくための支援をすることがチームのミッションです。今年度に入って、導入件数がどんどん増えていますね。
廣本
Tableauの活用には唯一の「正解」があるわけではありません。それぞれの現場の課題に応じて、最適な活用法をそのつど考えていかなければならず、日々の業務の中のどのくらいの範囲でデータを活用していくかも、部署によってまちまちです。
その見極めや調整、そしてTableauを実際に使用する担当者のモチベーションを上げて、それを維持していくことがナレッジマネジメントチームの役割で、難しいところでもあります。
Tableauの特徴の一つに、情報システム部などの専門部門に頼まなくても、自分たちでカスタマイズできる柔軟性があります。データ活用に対するユーザーのモチベーションを上げて、カスタマイズをしながらTableauをアクティブに使いこなしてもらう。その道筋をしっかりつくることがこれからの課題です。
村山
クライアントは、データ活用に関してさまざまな課題を抱えていらっしゃいます。しかし、その課題をすべてTableauで解決できるわけではもちろんありません。Tableauの機能や導入スケジュールなどを勘案しながら、どの課題をどのように解決していくかを一つ一つ考えていきます。
導入支援をさせていただいたクライアントにおいても、複数にわかれていたダッシュボードを1つのプラットフォームに格納して情報を集約化したりしました。現場でツールを使う担当者や状況も含めて、「クライアントがやりたいことを叶えるためにどうするか」と考えて、それが実現できたときは本当に嬉しいですね。
廣本
社内にはデジタルやデータに関するリテラシーが高い人材が多く、DACの強みは長年培ってきたそのノウハウとテクノロジー力です。そこに博報堂DYグループ各社がもっているクライアントの課題解決力の二つをこれまで以上に緊密に連携させることができれば、クライアントに提供できる価値がさらに大きくなると考えています。
村山
DACが開発・提供するDMP「AudienceOne®」とTableauを連携させる試みも進みつつあります。今後は、グループ内のソリューションの組み合わせをどんどん試していきたいですね。

若い人にチャンスが与えられる環境

村山
廣本さんは4年前、私は3年前に新卒で入社しましたが、若くてもチャンスを与えてもらえる環境が整っている、そんな実感があります。やる気さえあれば、いろいろなことにチャレンジできる会社だと思いますね。
廣本
僕もそう感じています。Tableau社が主催している3か月間の集中プログラム「Tableau DATA Saber Boot Camp」に二人で参加し、DATA Saber(データセイバー)という公認資格を取得しました。他社からの参加者の多くは30代以上で、まだ日本には100名ほどしかいないのですが、私たちは20代でそのプログラムに参加することができて、多くの経験を積んだりチャレンジできる環境に感謝しています。
いまは、博報堂DYグループ社員の一人ひとりがデジタルツールやデータを当たり前のように使いこなせる環境をつくっていくことが一番の目標です。“データドリブンな文化”を社内に根づかせて、それをさらに社外にも広げていく活動をこれからも続けていきたいと思います。
将来的には、データの分析と活用のスキルを社会課題の解決に活かしていきたいと考えています。ビジネスだけでなく、社会のためにデータをどう役立てていくか──。そんな視点で仕事をしていきたいですね。
村山
データの分析と活用に関する先進事例をつくることが私の目標です。博報堂DYグループのマーケティングの知見、データ活用力、テクノロジー力などを掛け合わせれば、ほかの会社にではできないことがきっと実現できるはずです。さらに長期的な目標は、今の仕事の経験を活かしてマーケティング部門で活躍することです。データの知見があれば、生活者をより深く理解することができると思っています。
  • デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
    ソリューションサービス本部 第二データマネジメント部
    2016年株式会社博報堂DYデジタル入社。メディアの効果測定や社内プラニングツールの開発推進業務を経て、2年目からBI業務を担当。クライアント業務を中心にデータ活用環境の構築を実施した。2019年より株式会社博報堂DYメディアパートナーズ データビジネス開発局にて、ナレッジマネジメントチームとして環境構築後のサポートや研修に従事し、データ活用ができる人材と組織の育成を目指す。同年にTableau社よりData Saber認定。
  • デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
    ソリューションサービス本部 第二データマネジメント部
    2017年株式会社博報堂DYデジタル入社。1年目からBI業務に従事し通信・自動車・教育などのクライアントに対してデータ基盤構築~可視化までを一気通貫で支援。2019年より株式会社博報堂DYメディアパートナーズ データビジネス開発局にて導入コンサルチームを発足し、テレビ・デジタル含め幅広い領域でクライアントのニーズに合わせた要件定義から画面UI設計までを担当。同年にTableau社よりData Saber認定。