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ヒット習慣予報 vol.242 『背伸び教育』
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ヒット習慣予報 vol.242 『背伸び教育』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの村山です。

さて、11月になり、いよいよ冬がちらつきはじめた今日このごろ。今年は夏がなんとなく長く、秋があっという間にひっこみ、すぐに冬がきた!?ような肌感があり。季節が徐々に移り変わるのではなく、ひとつの季節をスキップしまったような感覚が個人的にはありました。そんなスキップと関係あるようなないような今回のテーマが「背伸び教育」です。

35歳もすぎてくると、周りの友人や会社の同期にも子供がいる人が増え始め、お宅にお邪魔して子供をあやしたりする機会も増え始めたのですが、どの子供もスマホを使えるのは当たり前、すいすいとネットで動画を観始めるなど、時代の移り変わりをまざまざと感じるだけでなく、自分が子供だった頃とは圧倒的に情報量が違う時代に突入しているんだなぁとぼんやりと考えてしまいます。そんな情報が溢れる時代に生きる子どもたちにむけた教育が「背伸び教育」です。

「背伸び教育」とは昭和の子供だったら学ばないような「ちょっと背伸びした学び」を小さい頃から様々なアイディアで教えようとする教育のことで、その分野は多岐に渡ります。

「学習方法」の検索数推移

出典:Googleトレンド

Googleトレンドで「学習方法」と検索してみると5年前から緩やかな上昇が見て取れることからもわかりますが、急速なデジタル化やあやうい国際情勢、など様々な変化の激しい時代に「学び方」そのものに世の中の注目が高まっている事がわかります。例えば、先日SNSで子供に対して「おかず選挙」という体験を提供したという投稿が拡散しているのを見つけました。どうやらお父さんといっしょに選挙にいったところ、大人だけ選挙にいってずるい!といった5才児に対して、晩ごはんのおかずに対して投票してもらう手作り選挙を実施したようなのです。こどもが興味のある題材で企画された選挙は、投票用紙まで作り込まれており、親の愛情がつまっているように感じ、とても微笑ましい気持ちになりました。ただ微笑ましいだけでなく、こんな体験をした子供は小さいながら(僕なんて高校生になってもとんと興味がなかった)「選挙」についてその仕組みや意義を進んで理解し学ぶことができると思いますし、何よりもこんな小さな体験が未来の日本を変える力になるかもしれないのです。このように、いままでの5歳の子供が学ばなかったであろう「選挙」という少し背伸びしたテーマを学ぶことが「背伸び教育」です。

他にも、いままではなんとなく思春期になって自分の性自認がなされはじめた頃から徐々に学んでいくことがほとんどだった「性教育」についても、もっと前から学んでいこうという活動も始まっているようです。それこそ、オムツを替える時にも無理やり無言でやるのではなく、アイコンタクトや声かけをしながらやることで最初の一歩として「体を大切にされていること」を理解させるようです。おむつを卒業した子供に対してもプライベートゾーンに触ることに対するマナーやルールを教えるなど成長の段階に合わせて体を思いやることを教えていくようなのです。僕もなんとなく幼少の頃に「コウノトリが子供を運んでくる」といった御伽話を聞かされた記憶が薄っすらとありますが、小学校になったらなぜ子供ができるのかということをしっかりと真面目に教えていくような取り組みもはじまっているようです。子供だからとごまかすのではなく、適切な形で身体のことをしっかりと教えることは自分や他人を大切にできる人に育つかもしれませんね。まさに、全国の小中高校で、子供を性被害から守るための「生命の安全教育」  も始まりつつあるようです。未就学児も対象となっています。学校が手動することで、家庭内での教育へも波及が進みそうですね。

また、鹿児島には園児に料理を教えてくれる保育園もあるようです。包丁をもち、魚を3枚におろし、なんと揚げ物までやらせてくれるというからびっくりしました。危ないから、とか、子供には無理だ、と決めつけるのではなく、子供の可能性を信じ適切なステップを踏みながらやらせてみることでなんと園児たちが考案したメニューを提供するレストランを開き、その利益を知るために、足し算引き算を自発的に勉強するようになった子供までいるようです。子供の可能性を制限してきたのは、大人であり、社会なのかもしれないなと思い知らされました。ただ、“わかる”だけでなく“できる”体験をさせることで「生きる力」を育むのは文部科学省が改定した学習指導要領とも通じるところだと思います。まさに国をあげて教育のあり方の改革が求められているのではないでしょうか。

なぜ今回ご紹介したような「背伸び教育」に注目が集まっている理由としては、冒頭に述べた変化の激しい時代の最中にあることが大きいと思います。右肩あがりの成長時代においては生き方の型が決まっており、その型をはみ出た教育は求められず、受け入れられず、定着しない。ただ、正解のない時代においては既存の価値観を疑い、バイアスを壊すことで、自らが新しい型を見つけられる教育が必要とされます。親も自分の子供が大人になった時に、どんな社会になっているか分からないという危機意識から、生きる力を子供に教える試行錯誤を繰り返されているのではないでしょうか。また、情報が溢れる時代において親がどんなに気をつけても子供が様々な情報に触れてしまう環境になったということも要因かもしれません。性の情報などに子供が初めて触れた時に、正しい知識のベースがあることはとても大切なことのように思います。

最後に、「背伸び教育」のビジネスチャンスについて、少し考えてみたいと思います。

「背伸び教育」のビジネスチャンス例
■先生が遠くから見守って手出しはしない「見守り遠足」。
■お弁当の食材は自分たちで育てる「お弁当食育」。

過去の常識にとらわれず、なるべく軽やかに生活するためにとりあえずお腹の脂肪を軽くすることに取り組みたいと思います。(全然痩せない)

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • 博報堂 PR局
    ヒット習慣メーカーズ メンバー
    車からお菓子に至るまで様々なクライアントの情報戦略、企画立案に携わる。運動不足でたるみきった体と気持ちを鍛え直したいと思い、筋トレを始めました。