クライアントのマーケティングシステムのあらゆる課題を解決する!──〈HAKUHODO Marsys Solution〉の可能性
システムを駆使したマーケティング活動を支援する博報堂のマーケティングシステムコンサルティング局。そのメンバーたちがこの2年間開発を進めてきた〈HAKUHODO Marsys Solution〉の全ラインナップが完成しました。組み合わせることによってマーケティングの全領域を網羅する6つの個別ソリューションの機能と、それによって生み出される価値について、マーケティングシステムコンサルティング局の3人のリーダーたちに聞きました。
白子 義隆
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局長代理兼
マーケティングプラットフォーム部長
金子 明彦
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
マーケティング推進部長
上田 周平
博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
カスタマーサクセス部長
クライアントの課題と解決法を「型化」する取り組み
──博報堂マーケティングシステムコンサルティング局が開発に取り組んできた〈HAKUHODO Marsys Solution〉の6つのソリューションがすべてリリースされましたね。
- 白子
- この2年間、クライアントの課題をマーケティングとシステムの両視点から支援するために必要なソリューションについて試行錯誤を重ね、最終的に6つのソリューションとなりました。これによって、マーケティングシステムに関連する全段階の様々な状況で起こる課題に対応可能な体制が構築できたと考えています。ソリューションを開発するに当たっては、「マーケティング」と「セールス&カスタマーサクセス」という2つの領域を想定し、さらにそれをいくつかのフェーズに分割しました。6つのソリューションは、その各フェーズに対応しています。
まずマーケティングの領域ですが、ここは「IT構想策定」「実装」「オペレーション」「再構築&グロース」の4つのフェーズに分割しました。そのそれぞれに対応するソリューションが〈Marsys Assesment〉〈Marsys Archetyping〉〈Marsys Onboading〉〈Marsys Rebuild & Growth〉となっています。
一方のセールス&カスタマーサクセスの領域は「RevOps」「セールス高度化」、そしてマーケティング領域と同じ「再構築&グロース」の3つのフェーズに分けています。「RevOps」とは、レベニュー(収益)を最大化するためのビジネスオペレーションを部門を横断して構築する取り組みということです。その取り組みの導入段階を支援するソリューションが〈Marsys Assesment for RevOps〉で、そのあとの「セールス高度化」には〈Marsys Sales Tech〉が対応します。〈Marsys Rebuild & Growth〉は、マーケティングとセールス&カスタマーサクセスの両領域共通のソリューションとなっています。
──ソリューションが出揃ったことの意義をどう考えていますか。
- 上田
- 以前は、クライアントの課題解決のために個別にプロジェクトを立ち上げてご支援していました。その中で見えてきたのは、それぞれの課題には共通する部分が非常に多いということです。その課題を可視化し分類して、解決方法を「型化」したのがこれらのソリューションです。「型」として表現したことによって、クライアントの課題とそれに対する解決方法が明確に整理されたと考えています。
- 金子
- 私たちの所属するマーケティングシステムコンサルティング局がクライアントへ、具体的にどのような価値をご提供できるのかがわかりやすくなったことも大きなメリットだと思います。課題ごとにパッケージ化したことで、各営業がクライアントにご提案しやすくなったと思っています。
──6つの「型」をつくるのは、たいへんな作業だったのではないですか。
- 白子
- 苦労しましたね(笑)。マーケティングシステムの課題を整理して、それぞれのフェーズで私たちに何ができるのかを考え、そこでどのような価値を生み出すかを一つ一つ定義していきました。重視したのは、マーケティングシステムの全領域を網羅するソリューション群をつくることです。その目標はほぼ達成できたと思っています。
- 上田
- ソリューションの機能や価値をできるだけわかりやすい形に整理することが必要でした。それぞれのソリューションのスコープやそこから生まれるアウトプットについて、マーケティングシステムコンサルティング局のメンバー全員が理解し、クライアントに明快に説明できなければならないからです。そこがとても苦労したところでしたね。
- 金子
- クライアント側のマーケティングシステムのご担当者は、マーケティング部門だけではなく、IT部門や情報システム部門の皆さんということになります。ITや情シスのご担当者にシステムコンサルティングを広告会社に発注するという発想はあまりありません。博報堂がシステムまわりでご支援できることの意義をどうご理解していただくか。それを常に考えながら開発を進めてきました。
──博報堂がマーケティングシステムのソリューションを提供することをクライアントに納得してただくにはどうすればいいのでしょうか。
- 金子
- 私たちはコンサルティングだけをご提供するわけではなく、また、システム構築だけをご支援するわけでもありません。エグゼキューション、つまり、具体的なマーケティング施策の実行や広告展開などの活動まで伴走しながら、中長期的なご支援を続けていくことができます。そこに博報堂の一番の強みがあることをクライアントに丁寧にご説明することで、納得していただけると考えています。
「アセスメント」から「実装」「運用」までを支援する
──個別のソリューションについてお聞きしていきたいと思います。まず、〈Marsys Assesment〉についてご説明ください。
- 白子
- マーケティングシステムを構築したいけれど、どのようなツールを選んでいいかわからない。マーケティングシステム全体をどう設計したらいいかわからない──。そういった課題の解決を支援するのが〈Marsys Assesment〉です。クライアントのマーケティング課題をヒアリングして、その課題解決に最適なツールやテクノロジーをご提案するのがこのソリューションの機能です。私たちはツールベンダーではないので、フラットな立場で適切なツールを提案することができると思います。
〈Marsys Assesment〉の現状評価・最適化支援についてのシステム図説
──対象となるのは、マーケティングシステムをこれから構築しようというクライアントなのですか。
- 白子
- ゼロからマーケティングシステムを立ち上げるケースと、すでにシステムを運用しているけれど思うような成果が出ていないケース。その両方にご対応することが可能です。
〈Marsys Assesment〉に関する詳細記事はこちら
https://seikatsusha-ddm.com/article/11481/
──2つ目が〈Marsys Archetyping〉ですね。
- 白子
- マーケティングシステムの実装フェーズでお使いいただけるのが〈Marsys Archetyping〉です。システムを構築する際は、まずプロトタイピングによって細かな検証を行ったのちに、あらためてシステムをつくっていくというスタイルが採用されることが多いのですが、実は無駄が多いのではないかと考えています。プロトタイプは検証が終わった段階で役割を終える場合が多いからです。
そこで私たちは「アーキタイピング」という概念をベースにこのソリューションを開発しました。アーキタイピングとは、実際に活用することを前提としたアーキテクチャーをつくり、それを試験的に動かしながら改善していくことを意味します。これによって無駄のないスムーズな実装が実現します。そのような流れを支援するのが〈Marsys Archetyping〉です。
〈Marsys Archetyping〉のマーケティングシステム・実装支援についてのシステム図説
──3つ目の〈Marsys Onboading〉についてご説明ください。
- 上田
- マーケティングシステムを実装した後に、システムを使って具体的な成果を出していく活動をご支援するのが〈Marsys Onboading〉です。構築したシステムを使いこなせていない、投資をしたのにそれに見合った効果が出ていない、システムの中でデータがつながっていない──そういった悩みを抱えているクライアントは少なくありません。そのお悩みを解決するために、運用体制などを見直し、確実に成果につながるお手伝いをします。最終的に、クライアント側で運用の内製化を実現するところまでご支援していきます。
〈Marsys Onboading〉のマーケティングシステム・実装支援についてのシステム図説
〈Marsys Onboading〉に関する詳細記事はこちら
https://seikatsusha-ddm.com/article/13450/
事業成長を実現するためのシステム再構築支援
──ここまでお聞きしてきた3つのソリューションはマーケティング領域を対象にしたものですね。次に、セールスとカスタマーサクセスの領域のソリューションについて解説してください。
- 白子
- RevOpsは、先ほども少し言及したように、レベニューを軸としてマーケティング、セールス、カスタマーサクセスの各プロセスを統合していく取り組みを意味します。その取り組みを始めるに当たって何をすればいいかを調査し、RevOps実現に向けた計画立案をご支援するのが〈Marsys Assesment for RevOps〉です。
博報堂は企業のマーケティング活動をご支援していますが、近年は売り上げを上げるためのセールス施策や、ロイヤル顧客を増やすためのカスタマーサクセスの課題についてもご相談をいただくケースがとても増えています。今後、RevOpsを対象としたソリューションのニーズがいっそう高まっていくことが予想されます。
〈Marsys Assesment for RevOps〉のマーケティング・営業・CS基盤最適化支援についてのシステム図説
〈Marsys Assesment for RevOps〉に関する詳細記事はこちら
https://seikatsusha-ddm.com/article/11481/
https://seikatsusha-ddm.com/article/13657/
──次の〈Marsys Sales Tech〉が対象とするのは、そのうちのセールスのフェーズということでしょうか。
- 白子
- そのとおりです。売り上げの向上を支援するソリューションが〈Marsys Sales Tech〉です。以前は使えるツールが限られていたのですが、改良を加えていくつかのツールを活用できるように機能を拡張しました。
〈Marsys Sales Tech〉のセールス領域における課題解決実行支援についての図説
- 上田
- セールス活動はオンラインで完結するものではありません。オンライン、オフラインのデータをすべてマーケティングシステムに取り込んで、セールスの最大化を目指していくのがこのソリューションの機能です。
- 金子
- オフラインでも、従来のPOSデータに加えて、アプリなどを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。そういった生活者とのインターフェースをシステムによってつないでいく、というイメージですね。
──6つ目のソリューションが、マーケティングとセールス&カスタマーサクセスの両領域を対象とした〈Marsys Rebuild & Growth〉ですね。
- 白子
- 構築したシステムを実際に運用していく過程で、様々な課題が見つかるケースがしばしばあります。とくに多いのが、ツールの機能に制約があるために、必要とする施策をなかなか実行できないというケースです。そのような課題を解決するためにシステムを再構築(リビルド)する支援をするのが〈Marsys Rebuild & Growth〉です。「グロース(成長)」という文言をあえて加えたのは、ソリューションが最終的に目指すのは「システムの改善」ではなく「クライアントの事業成長」だからです。
〈Marsys Rebuild & Growth〉のマーケティングシステムの見直しを起点にグロースを支援するサイクルについての図説
- 上田
- クライアントの事業成長を実現させるには、RevOpsの考え方と同じように、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスの3領域を網羅するシステム活用が必須になります。その3領域をすべて視野に入れて、システムを最適かつ最新の状態にするためのソリューションが〈Marsys Rebuild & Growth〉です。
- 金子
- 保険や車も、ある時期が来たら見直したり買い替えたりしますよね。それと同じで、システムも何年か使っているうちに改善すべきポイントが明らかになったり、新たな機能が必要になったりします。その際に、システムの改修や新しいツールの導入などを支援するのがこのソリューションの機能である。そう説明してもいいかもしれません。
- 白子
- 私たちの立場から見ると、「クライアントのカスタマーサクセスを実現するソリューション」と言うことも可能だと思います。
「テクノロジーをベースにした生活者発想」を
──6つのソリューションが完成したことで、マーケティングシステム支援の「武器」が揃ったことになります。
- 上田
- これまでの私たちの取り組みをあらためて整理し言語化して、世の中に向けて広くリリースできたことが感慨深いですね。
- 白子
- マーケティングシステムコンサルティング局の内部でも、ソリューション名である「アセスメント」「アーキタイピング」「オンボーディング」といった言葉が普通に使われるようになっています。ソリューションをつくったことで、思考や行動の型ができて、意思疎通もしやすくなった。そんなふうに感じています。
- 金子
- このソリューション群を開発したことで、私たち自身の仕事のハードルが上がったと言えるかもしれません。クライアントに最適なシステムやツールをご提案するには、アンテナを立てて、テクノロジーやサービスの最新情報をキャッチし続けることが必要です。その作業によって、それぞれのソリューションが生み出す価値を常に最新の状態に保っておかなければなりません。これはたいへんなことです。
ですが、
その取り組みによってクライアント支援の質を高めることができますし、私たちの知見を磨いていくこともできます。そう考えれば、たいへんでもやり続けなければならないと思います。
- 白子
- 最新情報をキャッチするだけでなく、新しいツールを私たち自身が検証するという作業も必要です。自分たちが使ったこともないツールをクライアントにご提案するわけにはいかないからです。すでに、最新ツールのPOC(実証実験)の仕組みを社内に整備しているので、この仕組みをフルに活用して、ご支援やご提案の質を上げていきたいと考えています。
──最後に、今後の見通しや展望についてお聞かせください。
- 金子
- ソリューションを担う人材をより豊富にして育成していくことがこれからの課題になると思います。ソリューションにはコンサルテーションが含まれるので、人材の力や人数がソリューションの質に大きく関わってきます。優れた人材がさらに増えれば、このソリューション群の価値をまた二倍にも三倍にもできると僕は思っています。マーケティングシステムは成長領域なので、ぜひ多くの皆さんに僕たちのチームにジョインしてほしいですね。
- 上田
- 現在、多くの企業がテクノロジー活用を経営アジェンダに掲げています。システムやテクノロジーは企業活動を陰で支えるものではなく、経営課題の本丸になってきているということです。私たち自身も視座を高くして、ソリューション起点でクライアントの成長に寄与していくという意識をもっていかなければならないと思います。
- 白子
- 博報堂DYグループは「生活者発想」という理念を掲げていますが、今後は「テクノロジーをベースにした生活者発想」という表現を使う場面がもっと増えてもいいなと私は考えています。また、テクノロジーの領域にいる私たちのようなチームがクライアントとのプロジェクトを引っ張っていく機会も増やしていきたいと思っています。この6つのソリューションを駆使して、「テクノロジーが牽引するマーケティング」を実現していくこと。それがこれからの目標です。
この記事はいかがでしたか?
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博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局長代理兼
マーケティングプラットフォーム部長2014年博報堂入社。デジタル領域のビジネス開発に幅広く携わりながら、ビジネス面とテクノロジー面を考慮した全体設計・プロジェクトマネジメントを行う。近年はデジタルマーケティングプラットフォーム/データ基盤領域/サービス開発領域を中心に、様々なクライアントのプロジェクトに携わる。
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博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
マーケティング推進部長銀行、専業代理店等を経て2016年博報堂入社。様々な業種業態のクライアントに対してデジタルマーケティングの運用支援やマーケティングツールの導入・開発支援を担当。直近では特にCDPやMAを起点としたDXプロジェクトのPM業務を担当。趣味は釣り。
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博報堂 マーケティングシステムコンサルティング局
カスタマーサクセス部長SI企業を経て、2005年よりマーケティングシステムのプロデュース、プロジェクトマネジメントに従事。2018年博報堂入社。企業のマーケティングDX/デジタルマーケティング実行へのコンサルティング~システム導入~運用までシームレスに支援。