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Web3.0時代を見据えたNFTビジネスプロジェクト「Hakuhodo DY Play Asset」 【第2回】アニメを中心としたジャパンコンテンツをNFT化する「animap」
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Web3.0時代を見据えたNFTビジネスプロジェクト「Hakuhodo DY Play Asset」 【第2回】アニメを中心としたジャパンコンテンツをNFT化する「animap」

3月に発足した博報堂DYメディアパートナーズグループのNFTビジネスプロジェクト「Hakuhodo DY Play Asset」。その中で提供されるサービスのひとつが、アニメ、マンガ、ゲーム、アートを中心に、そのほか幅広いジャパンコンテンツをNFT化して展開する「animap」です。IP(知的財産権)ビジネスのルールを大きく変える可能性もあるこのサービスの狙いやコンセプトを、プロジェクトメンバーに聞きました。
(聞き手:斎藤 葵/博報堂DYメディアパートナーズ ナレッジイノベーション局)

矢部 征嗣 
博報堂DYミュージック&ピクチャーズ
戦略企画室 室長 兼 編成本部 本部長

長澤 聡美
博報堂DYミュージック&ピクチャーズ
映像事業本部 企画セールス部
プロデューサー

藤澤 俊範
博報堂DYミュージック&ピクチャーズ
映像事業本部 企画セールス部

喜夛 國友
博報堂DYメディアパートナーズ
コンテンツビジネスセンター 戦略企画室
ビジネス計画部 コンテンツプロデューサー

中川 富由基
博報堂DYメディアパートナーズ
コンテンツビジネスセンター 戦略企画室
ビジネス計画部
(兼)
クリエイティブ&テクノロジー局
ソリューション開発グループ
コンテンツプロデューサー

市川 貴洋
博報堂DYメディアパートナーズ
ミライの事業室 グループマネージャー

拡大するNFT取引市場

──NFTという言葉を耳にする機会は増えています。一方で、「よくわからない」という声もまだあるようです。NFTの現状をどう見ていますか。

矢部
僕たちがNFTビジネスに本格的に着手し、IP(知的財産権)ホルダーの皆さんへのアプローチを始めたのが昨年夏以後でした。確かにその頃は、NFTはまだよくわからないという声が多かったのですが、今年に入ってからNFTへの理解が急速に広まっている実感があります。最近では、ビジネスの導入時に「NFTとは何か」といった説明が必要ないケースも増えていますね。

──NFTコンテンツは、売買されることによって価値が上がると言われています。現在のNFTの取引市場の規模はどのくらいあるのでしょうか。

喜夛
グローバルで最もNFTの取引量の多いマーケットプレイスはOpenSeaですが、最近のデータでは、ひと月の取引額がおよそ15億ドルに上っています。また、NFT取引のおよそ85%は暗号通貨のイーサリアムで行われており、そのアクティブユーザーは全世界で45万人くらいです。
日本国内の数字については諸説ありますが、暗号資産ウォレット保有率は、全人口のおよそ10%で、そのうちの5%ほどがNFTの売買経験者であると見られています。実数でいうと60万人くらいが何らかの形でNFT取引をしたことがあるということになります。ただ、アクティブユーザーという観点だと数千人というところでしょうか。
今後、NFTがより扱いやすくなるにしたがって、これらの数字は大きく伸びていくと考えられます。市場は拡大傾向にあると言ってもいいのではないでしょうか。

──2022年3月に博報堂DYメディアパートナーズグループのNFTプロジェクト「Hakuhodo DY Play Asset」が立ち上がりました。その中で提供されるサービスのひとつである「animap」についてご説明ください。

喜夛
博報堂DYメディアパートナーズは、これまで数多くのコンテンツビジネスを手掛けてきました。それらのビジネスは大きく、企業に協賛していただくモデルと、自ら出資して事業を運営していくモデルの2つに分けられます。この2つに加え、コンテンツビジネスセンターでは昨年、IPホルダーのDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する方向性を打ち出しています。
きっかけは、コロナ禍以降、IPホルダーの皆さんのDXに関する悩みをお聞きする機会が増えたことです。ビジネスのDXが必要だけれど、そのリソースやノウハウが十分でない。そのような悩みです。そこで博報堂DYグループのDXノウハウをIPホルダーの方々にも提供できればということですね。
一方、博報堂DYメディアパートナーズのグループ会社で、映像ビジネスを手掛ける博報堂DYミュージック&ピクチャーズ(コンテンツビジネスセンター傘下)も、収益多様化のためにコンテンツビジネスのDXを進めようという戦略を打ち出していました。
IPホルダーのDXと、博報堂DYミュージック&ピクチャーズのビジネスのDX(本件で言うと商品化業務のDX)。その2つの動きが一致したところに生まれたのが「animap」という新しいサービスです。博報堂DYミュージック&ピクチャーズが主戦場とするアニメはもちろん、マンガ、ゲーム、アート、そのほか幅広いジャパンコンテンツを、NFTとして、IPホルダー/企業の皆さんとともに展開していくサービスがanimapです。

NFTコンテンツを通じた新しい体験価値

──「animap」のサービスの概要を教えてください。

中川
NFT販売には、一般にプライマリーマーケットとセカンダリーマーケットがあります。プライマリーマーケットはNFTの一次販売の場で、セカンダリーマーケットは、ユーザー同士がNFT売買取引を行う場です。
animapでは、まずイーサリアムブロックチェーン基盤でプライマリーマーケットを立ち上げ、IPホルダー/企業の皆さんと協働してユーザーにNFTをお届けします。並行してXRサービスなどをはじめとした外部パートナーとの連携でNFTの体験価値、実用性を向上させる仕組みを構築していければと思っています(是非この記事を御覧の皆様、お気軽にご連絡ください)。
今後、セカンダリーマーケットの開発実装に加え、今夏頃には、NFTの配布機能も実装完了する予定です。そうするとコンテンツとタイアップした企業様の販促プロモーションにもご活用いただけるのではないかと思っています。

──IPホルダーにとって、このサービスにはどのようなメリットがありますか。

藤澤
世界中のファンへ、唯一無二のグッズ提供がタイムラグなしに実施できること、そして在庫を持つ必要がないこと、またファンの捕捉でしょうか。日本のアニメ作品の多くは海外でも放映されています。以前は国内放映と海外放映にはタイムラグがあったのですが、最近はネット配信がほぼ同じタイミングで行われるケースが増えています。以前であれば、国内放映に合わせてグッズを開発し、海外放映に合わせてそれをグローバルでも販売していくというフローがつくれたのですが、タイムラグがなくなるとグッズを開発して流通させる時間がとれなくなります。しかし、デジタルグッズ(NFT)ならスピーディな開発が可能ですし、リアルな流通網を介さずに世界中に届けることもできます。つまり、アニメ作品放映とグッズ展開を同時に行うことができるということです。またNFTを保有しているウォレットがわかるため、NFTを購入したファンに対し、追加のユーティリティを提供することもできます。NFT購入者をロイヤリティが高いファンとみなし、例えば優先的に有益な情報提供等が実施できるようになります。

長澤
もう一点、日本では、法人での暗号通貨の取扱いが難しいということがあります(一定の条件に当てはまる場合は、期末で時価評価が必要となり、予想外の評価益が計上され、多額の税金を支払わなければならないリスクなど)。しかしanimapをご利用頂ければ、暗号通貨を取り扱う必要はありません。ロイヤリティ等animapは日本円でお支払いすることが可能です。現状これについても事業者の皆さんにとっては大きなメリットと言えると思います。

──ユーザーのメリットについてもお聞かせください。

中川
自分が好きなコンテンツの、世界で唯一のデジタルグッズ(NFT)を保有できるということはさることながら、ユーティリティ、つまりNFTの実用可能性が広がるという点もユーザーメリットとして挙げられます。例えば、NFTを持っている人だけが参加できるコミュニティやイベントなどを用意して、そこでほかのファンと交流できるという仕組みづくりなどが挙げられます。
NFTを買うだけでなく、買った後でどう使うか。そんな視点を提示していきたいと考えています。

IPビジネスの仕組みが大きく変わる

──アニメやゲーム関連のグッズがNFT化することで、新しい市場が生まれそうですね。

喜夛
そう思います。アニメやマンガのフィジカルなグッズ市場は、国内で6,000億円くらいの規模だと言われています。一方、デジタルグッズ市場は、まだスタンプや電子書籍などのアイテムくらいしかないのではないでしょうか。NFTの登場で、デジタルグッズ市場が大きく成長する可能性は十分にあると考えられます。
現状NFTのマーケットは、高価格帯、中価格帯、低価格帯の3つに大きく分けられます。また、NFTを取引する人たちも、大口投資家、転売を目的にする人、当該コンテンツのファンの3層に大きく分かれています。昨年は、高価格帯のNFTの売買がニュースで取り上げられましたが、現状は中価格帯のNFTプロジェクト(0→1のIP/中長期の運用)がトレンドになっています。既存アニメのファングッズNFTは、概ね中~低価格帯入口にはなると思いますが、世界中のアニメファンにNFTがどのように浸透していくか、また浸透させることができるか、今後色々チャレンジしていきますが、何れにせよNFT市場の裾野は大きく広がっていくと僕たちは考えています。

──アニメなどのコンテンツとNFTは相性がいいと思いますが、ベンチャーなどの競合も多そうですね。

矢部
競合は確かに多いですね。しかし、アニメはコンテンツビジネスへの参入が難しい世界でもあります。近年、アニメ作品の多くは製作委員会のスタイルでつくられることが多く、委員会に入っていないプレーヤーがIPを扱うにはハードルがあるからです。
その点、博報堂DYミュージック&ピクチャーズはこれまでさまざまな製作委員会に入ってきたので、比較的IPビジネスにアクセスしやすい立場にあります。日本のアニメ作品は海外でも人気がありますから、その立場を活かし、海外ファンにもしっかりと当該コンテンツのNFTをお届けしたいと考えています。

──サービスのターゲットは、まずはコアファンということになりそうですか。

中川
クリプト×コンテンツファン=コアファンが入口になるとは思っています。しかし、コアなファンだけに価値を届けるだけではビジネスは広がりません。コアファンを入り口としてプライマリーマーケットでのコンテンツ販売を増やし、さらにセカンダリーマーケットでの二次流通を促すことはもちろん、NFTを保有することでの実用価値を創出し、それをしっかり訴求していくことで、裾野を広げ、市場を活性化させていきたいと考えています。
市川
NFTの大きな特徴は、二次流通でもIPホルダーに収益が還元される点※にあります。例えば楽曲の場合、ダウンロードされたり、カラオケで歌われたりするごとに権利者に収益が発生しますよね。しかし、アニメグッズやマンガは、中古市場で売買されても権利者や原作者にはお金が支払われません。しかし、デジタルのNFTコンテンツであれば、その仕組みを根本から変えることが可能です。IPホルダーやクリエイターの権利を守るという点でも、NFT市場の拡大には大きな意味があると僕たちは考えています。
※現時点では、マーケットプレイス間で規格の互換性がないと収益は還元されません。なお、animapでは最大手のOpenSeaやRaribleと互換性があるため、animapで購入したNFTをOpenSea、Raribleで転売すると、転売の度に設定したロイヤリティが一次創作者に還元されます。

「情報の流通」から「価値の流通」へ

──今後NFTビジネスを展開していくにあたっての課題がありましたらお聞かせください。

市川
まだ成立途上にあるマーケットなので、いかに収益モデルをつくっていくかが課題ですね。とはいえ、現段階でやるべきことは、研究、探索、開発に全力を傾けることだと考えています。
Web2.0は、「情報流通」のイノベーションでした。情報がデジタル化して、世界中で共有できるようになった段階がWeb2.0です。次に来るWeb3.0は、「価値流通」のイノベーションです。価値を保ちながらコンテンツが流通し、流通が活発になることでコンテンツの価値がいっそう高まる──。その基盤となる技術がNFTです。
Web3.0の時代になれば、ビジネスのルールが大きく変わる可能性があります。本格的にWeb3.0の世界が成立したときに存在感を発揮できるプレーヤーになるために、今のうちに準備をしておくことが大切だと僕たちは考えています。

喜夛
先んじて動くことによって、情報、知見、ノウハウが蓄積していきます。Web3.0に向けた動きを積極的に起こすことで、将来の収益につなげていこうということです。
市川
1990年代に、デジタルの世界がここまで進化していることを予想していた人はほとんどいなかったと思います。デジタルの進化は今後も進んでいくはずです。その進化の先で「勝てるプレーヤー」になること。それが僕たちの大きな目標です。
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  • 博報堂DYメディアパートナーズ
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  • 博報堂DYメディアパートナーズ
    ナレッジイノベーション局 ナレッジマネージメントグループ グループマネージャー
    兼 メディア環境研究所 対外発信/リレーション推進担当
    2002年博報堂入社。雑誌・出版ビジネスを中心としたメディアプロデューサーを経て2016年より現職。現在はメディア・テクノロジー・デジタルマーケティング業界のプレイヤーとのビジネスマッチングやディスカッションの場の企画・運営・プロデュースを行う傍ら、❝生活者データ・ドリブンマーケティング通信❞サイトの編集部員として取材・発信活動も行っている。