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若年層にアプローチする、ゲームを活用した次世代PR手法とは?【Roblox/Fortniteセミナーレポート】
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若年層にアプローチする、ゲームを活用した次世代PR手法とは?【Roblox/Fortniteセミナーレポート】

2024年11月、ARROVAではRoblox(ロブロックス)/ Fortnite(フォートナイト)セミナーを開催。「若年層とのブランド関係構築に新たな打ち手を」をテーマに、毎月3億人以上がプレイするゲームを活用した次世代PRの手法をご紹介しました。
ゲームが持つ“プレイ”という要素をブランディングに活かし、遊びながらブランド価値を高める「プレイアブルブランディング」を目指すARROVA。 Roblox/Fortniteに特化し、ゲーム開発から集客までマーケティングソリューションを提供するEbuAction。 従来の広告の枠にとらわれない「手口ニュートラル」なアイデアで企業の課題解決に取り組む博報堂ケトル。3者の視点で語ったセミナーの内容を、一部編集してご紹介します。

野田 慶多氏
EbuAction 代表取締役

永渕 雄也
博報堂ケトル クリエイティブディレクター/PRディレクター

荒井 浩介
ARROVA 代表取締役社長

ものごとを知るきっかけはゲームから。ゲーム版YouTubeとも言われるRoblox、Fortnite

荒井
いま、若年層に対していかに深くブランドメッセージを伝えていくか、課題を抱えている企業が多くいらっしゃいます。その解決のためにゲームがどう役に立つのか、今日は話し合っていきたいと思います。
まずは現在のゲーム市場について簡単に振り返りましょう。
ゲーム市場は人口、売上高ともに大市場化しており、2023年に人口は33億人、売上高は1,880億ドルに到達しています。日本でも人口の約半数、5,500万人ほどがゲームコンテンツに接触していると言われています。また、若年層はゲームに投下する可処分時間が他の世代とくらべて多い傾向にあり、α世代においては21%。これまでゲームはサブカル的な存在として見られていましたが、もはやマスメディア。コミュニケーションの場として十分なポテンシャルがあると言えます。

そのなかでもRoblox(ロブロックス)と Fortnite(フォートナイト)は異彩を放つ存在です。プロからアマチュアまで、クリエイターが自作の空間、ゲームを自由に配信、収益化できる、いわばゲーム版YouTubeのような状況が生まれています。

野田
個人や企業がつくるコンテンツが日々更新され、利用者は基本無料で数十万以上のゲームをプレイすることができる。おすすめのゲームが次々に出てくるので、若年層はどんどん夢中になって、ものごとを知るきっかけもゲームから得るようになっています。
もうひとつの特徴はバイラル性。従来のゲームは一人、もしくは二人程度で完結するものでしたが、Roblox/Fortniteでは常に世界中のユーザーとランダムマッチングして同じゲームを楽しむことができます。その交流の中で「このゲームがおもしろかったよ」とバイラル的にコンテンツが広がっていく。ゲームの要素にSNS的な楽しみ方も加わって急成長しているプラットフォームです。

荒井
有名なパブリッシャーがつくったものから個人のクリエイターによるものまで無数のゲームが並んでいるわけですが、なかにはPR手法としてうまく活用し、ブランドの世界観をリッチに表現しているものもありますよね。ゲームを遊ぶだけでなく、カルチャーそのものを楽しめるようなコンテンツになっています。
永渕
フォートナイトのなかで遊びたいユーザーにとって、企業としてはどのようなコンテンツであれば阻害しない存在になれるのでしょう?
野田
ブランドの世界観を感じてもらいたい場合は、タイクーンと呼ばれるまちづくり的な経営シミュレーションゲームや、アスレチックゲームのようにブランドの世界を散策するジャンルと相性が良いと思います。 例えば音楽にCMのサウンドロゴを活用するなど、ゲームの世界観を崩さずブランドを印象づける工夫もできると思いますよ。
永渕
もともとブランドが持っている資産を生かせるということですね。それはとてもいい話ですね。

コンテンツをつくって終わりではない。ユーザーとの接点を持ちながらアップデートし続ける

野田
しかもゲームの良い点は、公開後にコンテンツを更新できること。ミニマムで公開してユーザーの反応を見ながら改善することができます。オープンワールド(ゲームの進行が自由で、プレイヤーの思うように行動できるゲーム)の環境内では既存の媒体にくらべてユーザーの行動分析がしやすいですし、改善してアップデートすることでアルゴリズムとして評価される仕組みができています。
永渕
従来の広告では、表現を途中で変えるのは簡単ではないのですが、今の話だとクライアントと一緒にみんなの“反響”を見ながら、変えたり改善できていくってことですね。
野田
公開して終わりではなく、継続的に運用していくことが大事です。ユーザーとの接点を深く持ちながら意見を取り入れることが、集客につながります。ユーザーからアイデアを募れば常にネタはつきないですし、ユーザーの求めていることを知ることができる。ユーザーの願望を反映できることがゲーム媒体ならではの強みだと思っています。
永渕
まさにそこが強みであれば「運用」という言葉を変えた方がいいかもしれないですね。運用というと単純に効率を上げることのように感じますが、いまのお話は体験のアップデートであり、エクスペリエンスの拡張。運用と言ってしまうのがもったいない気がします。
荒井
長期的にコミュニティを育てていくという意味では、運用というよりアップデートですよね。
永渕
ゲームがPRとして活用できるかという今日のテーマにもつながってきますが、世の中に投げて終わり、ではなく、反響を受けてそれに対してよりブランドらしさを反映していく。それができることが圧倒的にユニークですよね。 ゲームではプレイしたタイミングや自分の一挙手一投足で結果が変わりますし、ひとつのコンテンツをつくることでさまざまな情報を提供できるという意味でも、新しい概念を広めるのにすごく向いているものだと感じました。
荒井
たしかに、ゲームは毎回結果が違うという究極のライブコンテンツ。結果の数だけPRの種があると言えますよね。ブランドの世界観・メッセージを込めたコンテンツを能動的に体験してもらうことができるのが重要だと思っています。

企業課題から社会課題まで。ゲームを使ったコミュニケーションは高いポテンシャルを持っている

永渕
さいごにひとつ、クライアントとして表現したいことと、わかりやすくゲーム化するうえで省かなければいけない要素があったり、言い方を変えなくてはいけないことがあったり、その匙加減がクリエイティブとしてすごく重要なのではと感じましたが、いかがですか?

荒井
そこは一番むずかしいところですね(笑)。エンタメ性を担保しながらどうコミュニケーションするか。ゲームはメタシミュレーション性を持っているので、たとえば地球温暖化やジェンダーの問題といったソーシャルテーマとも相性がいいですし、実際カンヌライオンズの「エンターテイメントゲーム部門」でも、気候変動をテーマにしたゲームが受賞するなど注目を集めています。こういったむずかしい内容もいかに伝えていくかが今後のテーマになってくると思います。
永渕
まさしくシミュレーションでどこまで危機感を感じられるかですよね。日本は災害の多い国ですから、たとえば避難所に逃げるというミッションのゲームがあってもいい。その日の状況、周囲の人の動きによって必要な行動が変わってくるという可変要素を理解するだけでもゲームで体験する意味がありますよね。ゲームの特性を洗い出していくと、向いている社会課題もたくさん出てくるのではないでしょうか。
荒井
我々としては企業の課題解決をするというマーケティングの側面だけでなく、もっと広い視点で業界全体を巻き込むようなコミュニケーション、さらには社会課題へのアプローチにも取り組んでいきたい。今日のセッションで、PR、ブランディングとゲームを使ったメディアコミュニケーションは大きな接点があると感じていただけたと思いますので、ご興味のある企業の方はぜひご相談ください。本日はありがとうございました。
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  • 野田 慶多
    野田 慶多
    EbuAction 代表取締役
    2021年よりeSportsチーム KAWAZのゼネラルマネージャーとして新体制の立ち上げを行い、Fortnite最高峰の競技大会と言われるFNCSでASIA CHAMPION獲得に導く。その後、株式会社EbuActionを設立。EbuActionでは、Roblox/Fortniteに特化したメタバース制作スタジオ「BORDER」を運営。国内のFortnite制作スタジオの中で最多の制作実績を誇る。
  • 博報堂ケトル クリエイティブディレクター/PRディレクター
    2003年博報堂入社。06年からTBWA HAKUHODOに出向。その後、博報堂に戻りPR×広告による統合プラニングに従事。2024年より博報堂ケトル。PR×クリエイティブで「世論を味方に、事業成長をリードする」。PRSJ日本PR協会、NGO.NPO、官公庁等にて広報/広告研修講師。また、スタートアップや上場前企業の情報戦略アドバイザーも務める。
  • ARROVA 代表取締役社長
    2019年に博報堂DYメディアパートナーズに入社。デジタルマーケティング領域に従事。2023年にゲームを通じた、ブランディング・プロモーションを展開する次世代メディアエージェンシーARROVA設立。3DCG・XRなどのデジタル技術×コンテンツによる“プレイ”という新たなコミュニケーションの確立に取り組む。

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