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ヒット習慣予報 vol.349『電車内クリエイション』
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ヒット習慣予報 vol.349『電車内クリエイション』

こんにちは。ヒット習慣メーカーズの中川です。

電車に乗るのが好きで、旅行のときは、飛行機や車でよりも電車を選びがちです。特に新幹線の中だと、本を読んだり、映画を見たり、お酒を飲んだり、のんびり自由に過ごせるのが好きなのです。家の積読がどんどん高くなってくると、集中して読むために、わざわざ遠方を目指し、電車に揺られながら読書に没頭したりします。電車の乗客を眺めていると、寝ていたり、本を読んでいたり、スマホをいじっていたり、いろんな人がいますが、最近、ちょっと変わった人を目撃するようになりました。そこで、今回のテーマは「電車内クリエイション」と題して、電車の中で創作活動をする新習慣をご紹介します。

ひとつ目は「電車内イラスト制作」です。
年末休みに北国に向かうべく新幹線に乗っていたら、通路を挟んで向こう側に座っていた若い女性が懸命にタブレットで絵を描いていました。じろじろ見るのも失礼なので一瞥すると、どうも漫画を描いているようでした。調べてみると、タブレットやスケッチブックで、イラストや漫画を描いている人が散見されました。Googleで「電車でイラストを描く」と検索すると「恥ずかしい」という共起語が出ていたので、周囲の目を気にしながら勇気を持って描いているようです。

次に「電車内編み物」です。
これも、本当?と突っ込みたくなりますが、実際に私の目の前に座っていた若い女性がとても器用に編み物をしていました。たしか、何かの手袋のようなものを編んでいたと思います。Xで「電車 編み物」で検索すると目撃情報が多数あがっていました。そもそも、最近、編み物が人気のようで、検索数を見ると、ここ半年でグッと増えていることがわかります。「編み物男子ブーム」という記事もあり、そんな盛り上がりの中、電車内でも創作をする人が増えてきたのでしょう。

▼「編み物」の検索数推移

出典:Googleトレンド

最後は「電車内音楽づくり」です。
これも、私が新幹線に乗っているときに目撃しました。これにはかなり驚きました。タブレットを縦に持ち、タッチペンで黙々と楽譜に音符を書いているようでした。私は楽譜が読めないので、小説を書くように音楽をつくってしまう人に妙な感動を抱いたのを覚えています。調べてみると、様々な音楽制作アプリがあるようで、どんどん作りやすくなっているのも、後押ししているようです。作曲だけでなく、作詞をしている人もいるようで、言われてみれば、何か文章を書いている人もたまに見かけます。

では、なぜ「電車内クリエイション」は広がりつつあるのでしょうか。
ひとつは、創作活動の民主化があげられます。スマホ、タブレット、アプリと作りやすいツールが増えていることで創作のハードルがグッと下がっています。さらには、それを発表する場が増えているのが大きいと思います。私も、実際に、文章を投稿するプラットフォームを使うことがあるのですが、書いた文章をユーザー同士で褒め合ったりするので、創作モチベーションが高まります。単に何かを消費するのではなく、自分の赴くままに創作する楽しさに目覚めた人たちが増えているのでしょう。
さらには、電車が創作に向いている環境という理由があげられます。創造性の4Bという言葉を聞いたことがあるでしょうか?アイデアが浮かびやすい場所のことで、Bus(バス、電車などの移動中)、Bed(ベッドで寝る前、寝ているとき、起きた後)、Bathroom(風呂やトイレに入っているとき)、Bar(バーなどで酒を飲んでいるとき)の4Bです。わざわざ電車の中でやらなくてもいいじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、実は絶好の創作スポットだったわけです。

このように広がりつつある「電車内クリエイション」ですが、そこには新たなビジネスチャンスが広がっています。

「電車内クリエイション」のビジネスチャンスの例
■周囲の目を気にせず思い切り創作活動ができる「創作専用車両」の導入。
■編み物好きが集まる、移動中もみんなで編み物をしつづけ、完成品をみながら語り合う、ツアーの開催。
■電車で移動中に音楽を完成させ、終着駅で出来の良し悪しを競い合う、「電車内作曲グランプリ」の開催。
など

実は、私も、最近こっそり、電車内で小説を書いたりしています。混んでいるときはスマホで、新幹線とかはタブレットで。電車内はとても集中できるし、アイデアも浮かびやすいからとてもはかどるのですが、腕は全然上がりません、、、笑。今年は、少しでも納得できる物語を生み出せるようになりたいものです。

▼「ヒット習慣予報」とは?
モノからコトへと消費のあり方が変わりゆく中で、「ヒット商品」よりも「ヒット習慣」を生み出していこう、と鼻息荒く立ち上がった「ヒット習慣メーカーズ」が展開する連載コラム。
感度の高いユーザーのソーシャルアカウントや購買データの分析、情報鮮度が高い複数のメディアの人気記事などを分析し、これから来そうなヒット習慣を予測するという、あたらしくも大胆なチャレンジです。

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  • クリエイティブ局 チームリーダー
    ヒット習慣メーカーズ リーダー
    エグゼクティブクリエイティブディレクター
    メーカーの商品開発職を経て、2008年に博報堂中途入社。
    ECDとして、広告のみならず商品、サービス、事業にいたるまで幅広い領域に携わっている。いい年になってきて、思考がちょっと凝り固まってきた気がするので、今年は「ふざける」をテーマに奮闘中。