自社に最適なマーケティングオートメーションツールは? MAツール選定のTipsをご紹介
■はじめに
マーケティングオートメーション(以下MA)はここ1-2年で急速に普及してきたマーケティングツールです。
獲得した見込み顧客を管理し、メールやSNS、Webサイトアクションなどデジタル施策を自動化、施策効果や顧客の反応などを可視化するのを得意としております。最近のマーケティングトレンドは「顧客行動の一元管理」×「見える化」だと感じております。MAは、マーケティングプロセスにおける興味・関心・購買意欲を喚起させることができ加えて顧客の行動や興味関心度の見える化を図れることが、toCのみならずtoB領域含め急速に普及してきた要因と考えられます。
急速に普及してきたMAツール界隈で今沸きおこっているのが、国内外様々なツールベンダーが参入していることです。
それこそ、2年前では知らなかったようなサービスを今では当たり前に口ずさむようになっており、マーケティングツールの時代変化はここ数年凄まじい状況です。
競争が激化している中、各社独自の強みを活かし日進月歩成長拡大している領域です。しかし、利用検討側からすると「どれが良いのか正直わからない」と声が多く上がっているのも事実です。
本稿では、多数ある「マーケティングオートメーション」の中から、どのツールが自社に最適か?、様々なMAツール導入のコンサルティングをしてきたTipsを元にご紹介していきたいと思います。
■マーケティングオートメーションは「顧客情報活用型マーケティング」に適している
toC/toB問わず様々な購買プロセスでよく利用される
「課題認識」→「解決行動」→「情報収集」→「比較検討」→「購入/契約」→「評価」→「再購入/契約」があげられます。
この各プロセスを次へ次へと壁を超えていくために、様々なマーケティング施策やコンテンツ提供をおこないます。
この壁を超えるためには、コンテンツも大事であるが適切な情報を適切なタイミングで届ける必要があります。
適切なタイミング言わば、「誰が」「いつ」「何に興味があり」「どんなアクションをしたか」を把握して、その人の都合に合わせて最適なタイミングで情報を届けるのがMAは得意な領域となります。
ここでポイントなのは、「誰が?」であり、顧客情報を把握した上で購買を進めていく商材(例えばBtoB領域ソリューションや、BtoC領域だと自動車や不動産など高額商品、会員組織)の顧客情報活用型マーケティング領域がMAの強みを最大限発揮することです。
■MAツールベンダーの特徴
「顧客情報活用形マーケティング」がMAの強みを最大限発揮するとお伝えしましたが、各ツールベンダーは顧客情報活用の機能のみならず+αの味(訴求ポイント)を付けていることがトレンドだと感じます。
例えば、誰でも簡単にシナリオが構築できたり、顧客情報取得前のunknownな状態(cookie情報のみ)でWebアクションを行えたり、SFA機能も備えたり、業界に特化したツール、痒いところにも手が届くシナリオが構築できたり、誰でも簡単に設定できたり、LINEに配信できたり etc・・・と各ツールベンダーは他社との差別化に力を入れている印象を受けます。
この差別化は更に充実させたマーケティング活動を実施できる一方で、ツール選定/導入は頭を悩ませるポイントになっているのも事実です。。
■結局どのツールが自社に適している?
「どのツールを入れるのが良いですか?」「正直どのツールがいいの?」「ツールは同じベンダーで合わせたほうがいいのかな?」「Web接客ツールやBIツールなど他の言葉と混じってわからない!」等様々なご質問を頂くことが多いです。マーケティング課題/顧客情報収集手法/導入先環境/DMP・CDP連携/SFA連携などなど、多角的に情報を踏まえてツールを選定していくのが正しいのですが、「上申にあたりある程度絞りたい」「比較検討中のため松竹梅で並べて検討したい」などツールを選ぶ段階でも様々な状況があるかと思います。
今回は数多くあるMAツールの中で、ある程度方向性を見据えてツールをいくつか候補をあげるオリジナルのフレームワークをのちほどご紹介させていただきます。
その前に1つツール選びにおいて多くの方が間違えに陥りやすい注意点を先にご紹介いたします。
それは、BtoC/BtoBの領域でツールを区別するのではなく集客重視型ビジネス/商談重視型ビジネスかで判断するのがベストです。
例えば、SalesforceのPardotもBtoBがメインと思いきや、BtoC領域も実績は多く、扱う商材のビジネススタイルで変更をすることをおすすめします。
■ズバリ最初は取り扱う商材が、集客重視型/商談重視型どちらかで判断
なぜ、商材における集客重視型ビジネス/商談重視型ビジネスかで判断するのがベストか?
それは商材のビジネススタイルで求められる機能が大きく変わるためです。
MAの中でも大きく2つの機能に分かれ
・見込み顧客管理および顧客育成
・見込み顧客態度変容および行動把握、営業へのトスアップ
があげられます。それらと、ビジネススタイルをかけ合わせることで求められる機能が変わります。
-集客重視型ビジネスの場合
価格帯が安い、消費財、大量の顧客を誘導したいなどに活用されるタイプがあげられます。
集客重視型ビジネスで求められる機能は、
【大量のユーザーに】×【様々なタッチポイントで】×【コンテンツを用いた誘引(サイトや店頭/告知)】×【短期スパンで接点構築】
に注力したい場合に適しています。
-商談重視型ビジネスの場合
こちらは営業マンが商談化することで効率が良い場合に活用されるタイプがあげられます。
例えば、自動車や不動産、保険、ビジネスソリューションなど営業と顧客の接点結びを重要視などです。
商談重視型ビジネスで求められる機能は、
【興味関心度が高いユーザーへ】×【育成したり/見つけ出したり(スコアリング)】×【営業連携し】×【中長期スパンで関係値を構築】
に注力したい場合に適しています。
Salesforceを例に挙げると、
集客重視型ビジネスの場合はMarketingCloudが得意としており、商談重視型ビジネスはPardotが得意としています。
各社ツールベンダーは全てを網羅していたり、ある領域で特化していたりと様々であるがまずどんなツールを見つけなければいけないか?という最初の段階では、この集客重視型と商談重視型で切り分けることが一歩であると感じます。
■他、重視する軸は?
まずは最初の切り分けがなされたと思います。
次に重視すべき点は、対象顧客数(以下ユニークユーザー/UU)です。
取り扱う商材もしくは企業規模により興味関心度の母数は変わります。
例えばコミュニケーションにおいても大量配信も得意としたり、大量の顧客をセグメント化するのも簡単に設定できるなど対コミュニケーション対運用サイドからみても重視すべき点です。
端的に言えば、20万~100万件を扱うような場合は、MAツールも大手ベンダーを導入したほうが使い勝手やコストなどに影響してきます。
逆にスモールスタートをしたい場合や顧客情報が1千~1万などミニマムな場合、ハイスペックなものは投資対効果が悪いため、それらに適したツールを選ぶ必要があります。
ここまでの条件で、ある程度のツールは実は絞れることができます。
あとは実現したいこと、導入先のシステム環境やコスト、データ連携範囲、ROI、初期構築体制、運用コストを総合的に見ることで正しいツールを選定していくことができると思います。
■結論、【重視したいビジネス領域】×【注力したい機能】×【UU】で決めよ
下記に大まかに選別できるツールのフレームワークをご用意しました。
※あくまで大まかに絞れる形になります。多くのMAツールが存在する中、様々なツールを1つ1つ調べ尽くすのはかなりの労力やコストがかかります。このフレームワークで少しでも選定の力になって頂けたら幸いです。
※カテゴライズや命名順で各ツールベンダーの優劣をつけておらず、あくまで経験上からジャンル分けしております。
例えば、高級商材で営業と顧客との間で密なコミュニケーションを求めているため「商談重視型ビジネス」を選択。
既存会員組織10万件に対して、顧客一人一人の行動を把握して、手厚い情報提供および顧客反応をつぶさに見て営業へトスアップしたい。となった場合、オススメするのは、ハイスペック重視を中心とした大規模高機能ツールを選ぶことが最適解と感じます。
また、シンプルなシナリオ機能でも50-100万UU以上の大量ユーザーを抱えている場合もハイスペック重視をある程度カテゴライズ分けすることができます。
■最後に
ツールベンダーは競合ひしめく中しのぎを削り努力している中であるが、私達ユーザー側にとってはベンダー同士切磋琢磨した結果、更に新しいツールや機能が次々と出て便利な領域になっていくことは間違いありません。
マーケティングオートメーションツールを上手に使いこなすための指南役として本情報が皆様のマーケティング活動に活かされると幸いです。
■博報堂プロダクツはツール選定/戦略/導入/開発/個人情報含め運用を一気通貫して対応可能
博報堂プロダクツは、12の事業本部と3つの支社、国内外8つのグループ会社から構成される製販一体型の総合制作事業会社です。
データビジネスデザイン事業本部CRMデザイン部は、様々なMAツール/CRMツールの課題を解決する部隊です。
今回のテーマのようなツール選定はもちろんのこと、現状分析・調査→改善施策→デジタル全体戦略の構築からシナリオ策定、UIUX改修、MA/CRMの設計・導入・Pマークを用いた個人情報運用、データを用いた分析改善提案と上流から下流までワンストップでできる数少ない企業となります。
ツールを導入してみたが効果がうまく出ないなど、小さなお悩みも一緒になって解決していきます。
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博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部
CRMデザイン部 第三コンサルティングチーム チームリーダー/データマーケティングディレクター博報堂プロダクツにエンジニアとして新卒入社し、大小様々な企業の、MA・CRM構築からWebデータを用いたWeb戦略構築・Web制作・システム構築と、デジタルマーケティングの上流から下流まで一気通貫して従事。現在は、大企業から中小企業まで幅広い企業のデジタルマーケティングのコンサルティングを担当。