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中国生活者を捉える“生活者データ・ドリブン”マーケティングの実践【後編】
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中国生活者を捉える“生活者データ・ドリブン”マーケティングの実践【後編】

博報堂DYグループでは2014年から「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」の取り組みを開始。データ基盤の整備や、ソリューションの拡充などを通じて、各企業のマーケティングを支援してきました。もちろん中国においても、データドリブンマーケティング領域を全面的にサポートできる体制を整えています。前編に引き続き、博報堂データドリブンマーケティング局グローバルデータマーケティンググループに所属するプラナーの楊蘇瑞が、中国における「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」の取り組みの全容と事例をご紹介します。

※前編はこちら

中国における「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」の実践事例

これから事例を一つご紹介して、博報堂DYグループの「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」の特徴の理解を深めたいと思います。
この事例は、ある食品メーカーのシリアルブランドの事例で、中国ECチャネルで新規顧客を獲得し、売上を増やすことが当初の課題でした。私たちは得意先の課題に対して、単に効率的なメディアプランを作るだけでなく、良質なブランド体験を構築することにより、中国におけるブランドファンを増やし、新規顧客獲得の好循環を作ることが重要と考えました。
この目標の達成のために、消費者行動ビッグデータでは、EC行動データ、購買データ、オンライン行動データを。生活者洞察データでは、定点調査データ、口コミデータ、検索ワードデータを活用しました。

まず、EC行動データと定点調査データを生かして分析することにより、新しいファンになりうる顧客層が、ママ層、大学生層、OL層に集中していることがわかりました。その後、オンライン行動データや口コミデータ、検索ワードデータなどを生かして、さらに3つのセグメントをそれぞれ分析し、ニーズが大きく異なることがわかりました。

ママ層は、朝は忙しくても、子どもには品質の高い栄養のある朝食を用意してあげたいと思っています。そうすることで、子どもの集中力を高めて成績を高めたいと思っています。そこで私たちは、ママ層に向けて、時短重視の子どもの集中力を高められる、栄養朝食方向を企画しました。
大学生層は、寮や家で引きこもることが好きで、ドラマや映画を見たり、デリバリーサービスを頼んだりするライフスタイルです。また、お菓子が大好きで、時々ご飯の代わりにも対象商品を食べています。そこで私たちは、自宅に引きこもる時のおやつ方向を企画しました。
最後のOL層は、多くは外資企業で働いていて、時間に余裕がある時は簡単な手作りお菓子を作ったりしていることがわかりました。しかも食べ物の写真映えを重視しています。こうしたOLのニーズに合わせて、私たちは写真映えする手作り料理の方向を企画しました。
これで気づかれたと思いますが、違うニーズの人に対して、1つの商品で異なる商品使用シーンを提供したのです。このような形で私たちは、商品の使用体験を改善していったのです。

ちなみに、このシリアルブランドは元々の発売国では朝食として食べることが主流です。しかし、中国生活者を分析してみると、一部の生活者にとっては、朝食よりも主流ではない新しい食べ方の方がニーズに合っていたのです。例えば、おやつ方向や手作り料理の食材として使うことなどです。したがって、私たちは中国では本来の主流的な食べ方とは異なる、より中国生活者のニーズに合致する、新鮮な食べ方を生活者に提案することにしました。これにより、この商品の中国における話題性を作り、中国での新しいビジネスチャンスを作ることができました。

最終的に、3つの異なるニーズに合わせて、良質なブランド体験をオンラインからオフラインまで、購買から使用までトータルで設計し、それぞれの対象者に精緻なマーケティングアプローチを実施しました。施策実施の結果、ECチャネルでの新規顧客の獲得増という当初の目標とした成果に加えて、多くのブランドファンを生み出すことに成功しました。また、これらのファンが更に生活の中やネット上で周りの人に自主的にシェア行動を行い、ファン層を起点とした新規顧客獲得の購買循環を生み出すことができたのです。

中国においても、「“生活者データ・ドリブン”マーケティング」の実践によって効果創出の好循環へ

中国の生活者は、進んだ生活者となっています。そのため、これからの中国では、単なる媒体配信効率の向上にとどまらない、一歩先のデータドリブンマーケティングが求められるようになっています。 
私たちは、消費者行動ビッグデータと生活者洞察データを統合し、生活者を360度理解し、生活者の強いこだわりニーズを発見します。そして、こだわりニーズに対して、購買から使用まで、オンラインからオフラインまで、全体的なブランド体験を設計し、実施します。そうすることで、ブランドファンを育成し、次の新規顧客の獲得循環を生み出していきます。

中国の生活者は、進んだ生活者となっています。そのため、これからの中国では、単なる媒体配信効率の向上にとどまらない、一歩先のデータドリブンマーケティングが求められるようになっています。 
私たちは、消費者行動ビッグデータと生活者洞察データを統合し、生活者を360度理解し、生活者の強いこだわりニーズを発見します。そして、こだわりニーズに対して、購買から使用まで、オンラインからオフラインまで、全体的なブランド体験を設計し、実施します。そうすることで、ブランドファンを育成し、次の新規顧客の獲得循環を生み出していきます。
 

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  • 博報堂データドリブンマーケティング局プラナー 兼 研究開発局研究員
    2013年大学卒業後博報堂に入社。中国における豊富なデータドリブンマーケティングの知見を活かし、得意先グローバル事業に関する提案、ならびにブランド課題に関する戦略的コンサルティングを主に担当。同時に、研究開発局にも複属し、中国生活者に関するデータプラットフォーム及びソリューション開発を担当。